2016年10月19日更新

2016年チメロサール(有機水銀)を含まないインフルエンザワクチンの接種困難の理由は熊本地震!それでも妊婦さんは接種を!

2016年シーズンの予防接種で使われるインフルエンザワクチンは全て有機水銀化合物の防腐剤(チメロサール)が含まれます。チメロサールフリーが出来ない理由は、熊本地震による製薬工場の被災。妊婦さんや胎児への影響はありませんので、接種が大切です。
1,161views

1.2016年チメロサール(有機水銀)を含まないワクチンのインフルエンザ予防接種は熊本地震の影響で受けることが出来ません

4月に起こった熊本地震のため、2016年度は全国的に、例年妊婦さんに勧められていた保存剤のチメロサール(有機水銀)を含まないワクチンの予防接種が行われません。

妊婦さんの心配や不安は、防腐剤として用いられるチメロサール(有機水銀)入りのワクチンの、身体や胎児への影響です。そのため例年インフルエンザ予防接種ではチメロサールを含まない(チメロサールフリー)ワクチンが勧められています。

しかし、熊本地震の影響で、熊本に本社と工場をもつワクチン製造企業の「化血研」が被災し、ワクチンの生産停止を余儀なくされました。そのため国内の他のメーカー(デンカ生研、大阪微研(ビケン)、北里第一三共など)は生産効率の低い(ロスの大きい)チメロサールフリーワクチンの生産を止め、有機水銀を含むワクチンの生産に一本化することで、必要数の確保を目指していました。

その結果、2016年度も大人と子供ともに例年の必要本数は確保されましたが、妊婦さん向けに用いられてきたチメロサール(有機水銀)を含まないワクチンは生産されず、チメロサールが含まれるインフルエンザワクチンのみになりました。

そのため、今年は妊婦さんでもチメロサール(有機水銀)を含まないワクチンの予防接種は受けることが出来ません。

2.ワクチンに用いられる保存剤、チメロサール。その目的や副作用

ワクチンの保存や防腐剤に用いられるチメロサール、有機水銀のため使用は減少傾向

チメロサールはワクチンの細菌汚染を目的とした防腐剤です。有機水銀(エチル水銀)化合物の一種で、殺菌性をもつことからインフルエンザワクチンの他、三種混合ワクチンなど様々なワクチンに添加されてきました。

水銀といっても、エチル水銀は水俣病で有名なメチル水銀とは異なります。しかし、添加物を体内に蓄積する不安から、WHO(世界保健機関)はワクチンからチメロサールを除くよう勧告しています。

日本でも、ワクチン中のチメロサールの減量や無添加ワクチン(チメロサールフリー)の開発と導入が進んでいます。

チメロサールが含まれているワクチンは、一つの小ビンに複数回のワクチンが入っているのが特徴です。一回ごとに注射器で必要量を吸引し、接種することが出来ます。2016年はこのタイプのワクチンが接種出来ます。

bif_a_0000002361
出典:バイアル-インフルエンザHAワクチン(ビケンHA)/1mL×2本-田辺製薬

一方で、チメロサールが含まれていないワクチン(チメロサールフリー)は、あらかじめ注射器に成人1回分の摂取量(0.5ml)が入れられているのが特徴です。チメロサール入りのワクチンと比べ、一回あたりのコストが高いのが難点です。2016年はこのタイプのワクチンの生産は行われていません。

bif_c_0000002365
出典:シリンジ-インフルエンザHAワクチン(フルービックHAシリンジ)/0.5mL×2本-田辺製薬

チメロサールによる副作用

チメロサールの代表的な症状は過敏症が確認されています。接種した際に発熱、発疹、じんましん、紅斑、かゆみが表れることがあります。

3.妊婦さん、胎児や乳児への影響はなし

妊婦さん特有のチメロサールによる予防接種の副作用はありません。

胎児への影響についても、現在健康被害は報告されていません。1990年代にはアメリカで自閉症との関連が指摘されましたが、現在の研究でチメロサールとの関連性は否定されています。

また、授乳中の場合でも支障はありません。母乳を介して乳児に接種したワクチンやチメロサールが影響を与えることはないとされています。

チメロサールの水銀量は健康に問題なし。マグロのメチル水銀にも注意!

有機水銀であるチメロサールですが、予防接種で使われるワクチンでは妊婦さんと胎児ともに健康に支障はありません。

現在、チメロサールを含む製剤の濃度は、0.004~0.008mg/mlで極少量に調節されているため、妊婦さんに投与しても一回の摂取量は0.002mg~0.004mgです。

チメロサールの摂取量基準

チメロサール(エチル水銀)はメチル水銀の基準が適用されます。2003年WHOが出した暫定週間耐容摂取量は1週間あたり1.6マイクログラム(μg)/キログラム(kg)体重とされています。

仮に妊婦さんの体重を40kgとした場合、メチル水銀の耐容摂取量は64μg=0.064mgなので、チメロサールの水銀含有量(0.002mg~0.004mg)は基準値の16分の1となり、問題はないといわれています。

水銀ならチメロサールよりマグロに気を付けて!

ちなみに、水銀で妊婦さんが気を付けなければいけないのは、魚類とりわけマグロやカジキなどの大型魚です。これは食物連鎖が上の動物ほど水銀が濃縮されていく生物濃縮という現象のためです。

マグロ(クロマグロ、メバチマグロ、ミナミマグロ)には、1kgあたり0.55mg~0.69mgの水銀(メチル水銀)が含まれています。ワクチン1回分のチメロサールの水銀含有量をマグロに換算した場合、マグロ3~5g分しか該当しません。チメロサールの水銀含有量は、マグロ一口分にも満たないくらい微量であり、心配する必要はありません。

妊婦さんは、普段マグロを食べるときの方がチメロサール入りワクチンを接種するより十数倍も多く水銀を摂取してしまっていることになります。

最も、水銀が含まれているからといって、マグロが非常に危険な食べ物ということではありません。妊婦さんにとって重要なことは、マグロのような特に水銀含有量の高い魚介類を偏ってたくさん食べることを控えることです。

メチル水銀の耐容摂取量を考えたうえで、摂取しても大丈夫なマグロの量は1週間当たり80g(水銀換算0.044mg~0.0552mg)です。これはマグロの刺身一人前や寿司5貫に相当します。

参照:妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて-厚生労働省

sashimi_maguro_akami

一番大切なことは感染予防。2016年はチメロサールに躊躇せず予防接種を

熊本地震の影響で、2016年は国内でチメロサールフリーワクチンを受けることが出来ません。

しかし、予防接種をしなかった場合に起こり得る重症化のリスクは、チメロサールを含んだワクチンを接種するリスクよりもはるかに高いです。また、インフルエンザの流行も例年通り見込まれています。

そのため、たとえチメロサールが含まれていても、必ず予防接種を受けて重症化を防ぐことが肝心です。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
calooマガジンの最新情報をお届けします
コメント
まだこの記事へのコメントはありません。

コメントを残す

CAPTCHA