586views
2016年10月18日更新

インフルエンザ予防接種、妊婦さんは大丈夫?受けるべき時期、母体や胎児への影響は?

免疫が低下する妊婦さんは、インフルエンザに感染すると症状が重症化・長期化する恐れがあります。感染を防ぐためにワクチン予防接種が推奨されています。予防接種は妊娠中の全期間で受けることが出来て、特有の副作用や胎児への影響はありません。
586views

1.妊娠中は免疫力が低下する。妊婦さんこそインフルエンザ予防接種を受けた方が良い

妊娠中もインフルエンザ予防接種を受けるべきだとされています。なぜなら、妊娠中は免疫力が低下しているため、インフルエンザに感染すると重症化する可能性があるからです。

そのため厚生労働省も妊婦さんへのインフルエンザの予防接種を推奨しています。

一般的に妊娠中の免疫力は通常時と比べて1/3~1/2程度になっているとされています。そのため、妊婦さんこそしっかりと予防接種を受けてインフルエンザにかかりにくくなる必要があるのです。

妊婦さんの免疫力が低下する3つの理由

赤ちゃんを守るため

妊娠中は、母親の免疫から胎児を守るために細胞性免疫の機能を低下させるといわれています。

なぜなら、通常の免疫状態では、遺伝子の半分が父親由来であるお腹の赤ちゃんも異物とみなされてしまい、免疫細胞の攻撃対象になってしまうからです。そのため、免疫細胞の一種である制御性T細胞の機能を抑制させる必要があるのです。

つまり、母体が胎児を守る目的から免疫力を低下させるため、母親はインフルエンザなどの病気になりやすくなってしまうのです。

参照:胎児を拒絶しない免疫機構-Nature 2012年10月4日号102p~

ホルモンバランスの変化のため

女性は妊娠すると、一時的に女性ホルモンの割合が増加します。妊娠によって引き起こされるホルモンバランスの変化は、自律神経のはたらきを乱します。そして自律神経のバランスが乱れてしまうと、免疫力も低下してしまいます。

img01

出典:「こんなに変わるにんぷのからだ」の巻-プレママタウン
出典元:https://www.premama.jp/tokushu/body/004/

具体例として、妊娠に関係する3つの女性ホルモン「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」「エストロゲン」「プロゲステロン」は、時期は異なりますがそれぞれ数十倍から数百倍に増加します。

そのため、妊娠していないときと比べてホルモンバランスが崩れた状態となり、免疫力が低下します。

ストレスのため

妊娠中に生じるストレスは、身体的なものから精神的なものまで様々です。

体型の変化や、つわり、腰痛、肌荒れといった身体的な変化から生まれるストレス。また、出産や育児への不安、食事や体重などの厳しい自己管理から生まれる精神的なストレス。

現在の研究では、これらのストレスを受けたとき交感神経が副交感神経より優位に立つことが分かっています。

ストレスを受け続けると、顆粒球やリンパ球などの免疫細胞のバランスが崩れ、免疫力が低下します。

もっと詳しく知りたい方は、精神神経免疫学の研究者の一人である安保徹教授が、免疫理論というテーマで解説しています。

参照:免疫理論-医学博士安保徹オフィシャルサイト

妊婦さんがインフルエンザに感染しても、胎児には直接の影響はなし

インフルエンザウィルスは直接胎児に感染しないといわれています。実際、赤ちゃんにウィルスが原因の先天異常の発生や身体機能の障害は報告されていません。

しかし妊婦さんの高熱は羊水にも影響して赤ちゃんの心拍数の増加を引き起こします。また激しい咳は腹圧の上昇、つまりお腹の張りを引き起こします。これらの症状が長引くと、子宮の収縮や子宮口が開く可能性が高まり、早産・流産のリスクが大きくなるという指摘がされています。

また妊婦さん自身も通常のインフルエンザの症状に加えて、以下のような症状に注意が必要です。

妊娠初期にインフルエンザにかかったとき、つわりからくる食欲不振や脱水症状は体力の低下を引き起こし、病状が悪化する原因になります。

妊婦さんが併発しやすい病気は、肺炎や気管支炎、下痢が考えられます。なぜなら妊娠中はお腹に赤ちゃんがいることからいつもより肺や胃を圧迫されて生活しているからです。

2.予防接種の効果は完全ではないが、重症化を防ぐため受けるべき

インフルエンザワクチンの効果と妊婦さんが受けるべき理由

インフルエンザワクチンには重症化を防ぐ効果があります。インフルエンザの症状が重症化、長期化しやすい妊婦さんにとって、予防接種は受けるべきであるといえます。

接種後、体内に抗体が出来るまで個人差がありますが、約2~4週間かかります。妊婦さんの場合、1回接種するだけで90%の確率で予防に十分効果のある抗体がつくられます。さらに、接種をすると胎児にも免疫力が備わるといわれています。

しかし、インフルエンザワクチンの効果は必ずしも完全ではありません。接種しても感染する可能性はあります。

妊婦さん特有の副作用や胎児への影響はないので安心を

予防接種を受けたとき、妊娠中特有の副作用や副反応は現在のところ報告されていません。

一般的な予防接種の副作用として、関節痛や頭痛、発熱が起こったり、接種したところが赤く腫れたりしますが、通常2,3日で治まります。

妊婦さんでも、これらの症状が引きおこるリスクはありますが、通常と比べて発症率に特別な違いは見られません。

また胎児への影響について、インフルエンザワクチンの予防接種で流産や先天異常の発生リスクが高まったという報告はありません。これは、ワクチンが不活化ワクチンという既にウィルスを死滅させ、毒素を取り除いたものを使用しているためです。

3.妊婦さんが予防接種を受ける適切な時期

妊娠中の女性は、医師の判断のもと、すべての時期で予防接種が可能です。ワクチンの予防接種は、母体の状況やインフルエンザの流行状況を総合的に判断します。

厚生労働省の妊婦さんへの予防接種の見解は、特に妊娠初期の流産や先天異常のリスク増加が認められないことから、妊娠週数に限らず接種を推奨しています。

 「流産が怖いから妊娠初期にワクチンを接種したくない」という人がいますが、妊娠初期にインフルエンザワクチンの接種を受けたことで、流産や先天異常が起こりやすくなるという報告はありません。

引用:新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中の人や授乳中の人へ-厚生労働省
引用元:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/ninpu_1217_2.pdf

しかし、医師によっては未だ安全性が確立されていないという判断から、流産の可能性もある胎児や母体が不安定な妊娠初期の接種を避ける場合があります。

6.妊婦、産婦、授乳婦等への接種
妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。

引用:インフルエンザワクチンの添付文書
引用元:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013nne-att/2r98520000013nz4.pdf

もし受診される場合、妊娠週を医師に伝えた上で、インフルエンザの流行状況や自身の体調、感染によるリスクを検討したうえで予防接種を受けましょう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
calooマガジンの最新情報をお届けします
コメント
  1. るんるん

    もう10年前になりますが、妊娠3ヶ月でしたが、上に小学生と2才の子がいたのでインフルエンザにかかると困るので、産婦人科で予防接種を受けたいと相談したらおすすめしません。と言われた。
    それでもやはり不安だったので、今度はかかりつけの内科で相談したら、アメリカでは普通のことだよ。
    と言われたので、思いきって予防接種を受けました。
    結局主人が仕事先でインフルエンザにかかってしまい、私もうつってしまいましたが、さほどひどくならず、子どもも元気に産まれてきました。
    今でも毎年予防接種は欠かさずに打ってます。

    2017年3月5日 4:55 PM コメントに返信
    • makige.shingo

      るんるん様

      コメントありがとうございました。

      本文にもあるように、妊婦さんはインフルエンザ予防接種を受けることで、重症化を防いで安全な出産へ繋げることが出来ます。

      万が一、医師の診察が不安な場合、るんるん様のように別の医師に相談する(セカンドオピニオン)も大切です。
      Calooマガジンでは、不安に思っていらっしゃる方へ少しの助けになればとの思いで執筆しております。

      健康に気を付けてお過ごしくださいませ。

      2017年3月6日 3:40 PM コメントに返信

コメントを残す

CAPTCHA