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2018年2月26日更新

炎症を起こす前の手術がベスト!顔や体にできる「粉瘤」の原因と治療法

いつの間にかできていた顔や体のできものはもしかしたら「粉瘤」かも!痛みがないからと放置すると徐々に大きくなり、ある日突然、炎症を起こすこともあります。粉瘤の原因や症状、治療法や手術のタイミングなどについてまとめました。【記事監修】渋谷駅前おおしま皮膚科 院長 大島 昇 先生
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1.気になる皮膚の「できもの」。こんな症状は粉瘤(ふんりゅう)かも!

  • 脂肪のかたまりのようなポコッとした半球状のおでき
  • 触っても痛みはないが、コリコリとした感触があるおでき
  • 押すと臭くて白い脂のようなものが出てくる、又は中心部分に黒い点があるおでき

いつのまにか顔や体にできてしまった「できもの」、それはもしかすると「粉瘤」かもしれません。
粉瘤とは、医学的な腫瘍の種類では「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」と呼ばれるもので、別名を「アテローム(アテローマ)」といいます。
一見、「脂肪の塊」と思われがちですが、実は脂肪細胞が増殖した「脂肪腫」とは全くの別物。
粉瘤は「皮膚の下にできた袋状の構造物(嚢腫:のうしゅ)の中に垢や脂などの老廃物が溜まったもの」なのです。

粉瘤の大きさは数mmから数cm程度のものが多いですが、稀に30㎝程の巨大な瘤(コブ)になることもあります。
顔や足、腹部、背中、お尻や外陰部など、身体のいたるところに発症することが分かっており、1つだけの場合もありますが、数個できる場合もあります。

表皮嚢腫

(引用)表皮嚢腫の症例 渋谷駅前おおしま皮膚科
※おしりにできた粉瘤。中央部に黒い臍(comedo)も見えています。

2. 粉瘤の原因と発症のしくみ

粉瘤が発症する原因。ウイルスや外傷がきっかけになる場合も

粉瘤の発症は、ウイルスによるもの、傷によるもの、遺伝によるものなど、色々なパターンがあります。
ウイルスによるものでは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というイボウイルスの感染が関係しているという説が最も有力です。

また、外傷を起こした時に、表皮の成分が傷の中に埋め込まれることによって発症することもあり、ピアスの傷が原因で、耳たぶに粉瘤ができるケースもあります。

体質との因果関係も詳しくは不明ですが、実際、同じ人が何度も粉瘤を発症しているケースも多いことから、生まれつき粉瘤になりやすい人もいると考えらえています。

粉瘤の構造と発達のメカニズム

粉瘤は、何らかの原因をきっかけに、皮膚の垢(不要な角質や皮脂)が皮膚の内側に溜まり、その周辺の皮膚が表皮の中にもぐりこんで袋状の構造物である「嚢腫(のうしゅ)」に発達することで発症します。
「毛漏斗(もうろうと)」と呼ばれる毛穴の上方部分の皮膚がめくれて中に入り、入り込んだ表皮が皮膚の下で袋を形成するため、嚢腫の袋の内側の壁は表皮と同じ構造になっています。

もともと、できたばかりの粉瘤は米粒程度と、ごくごく小さい「できもの」にすぎません。
しかし、皮膚の垢は袋の内側の壁である嚢腫壁(のうしゅへき)から作り出され、時間とともに少しずつ溜まり続けていくため、袋(しこり)自体も徐々に大きくなっていきます。
数年単位で少しずつ大きくなることが多いですが、時には急激なスピードで大きくなる場合もあります。

また、粉瘤の中央には開口部(袋の入り口)があり、ふくらみを押すと、開口部から白っぽい脂のようなものが出てくることもあります。
この内容物が袋に溜まった老廃物であり、何年も経過しているため、発酵したチーズのような独特の強い臭いがあります。
開口部近くの老廃物が空気に触れ酸化してできた黒い点は、粉瘤の「臍(へそ)」と言われ、粉瘤の診断する上での大きな特徴となります。

粉瘤のしくみ

(引用)社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
※こちらのページでは粉瘤(アロテーム)の症状や原因など様々な情報がQ&A形式で分かりやすく説明されています。

3.粉瘤と間違いやすい皮膚腫瘍

数ある皮膚疾患の中には、外見上、粉瘤によく似たものもあります。
発症の原因や症状には違いがありますが、状態によっては判別が難しいこともあるため、診断には視診や触診の他、病理検査、画像による検査(エコー検査、CT検査、MRI検査)が行われる場合もあります。
今回はその中でも特に間違いやすい皮膚腫瘍を6つご紹介します。

①外毛根鞘性嚢腫(がいもうこんしょうせいのうしゅ)

頭皮に発症することが多い「外毛根鞘性嚢腫」も粉瘤と似た構造をしています。
頭部にできる湿疹などとは違い、頭皮の表面ではなく皮下から押し上げられたしこりができます。
初期の段階では痛みや痒みもなく、普段は髪の毛に隠れている部分でなかなか自分では確認しづらいものですが、表皮嚢腫に比べるとしこりが若干固めなのが特徴で、時間とともに大きく成長していきます。

外毛根鞘性嚢腫

(引用)社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
※外毛根鞘性嚢腫の症例 。こちらの皮膚科Q&Aページでは粉瘤(アテローム)の種類について書かれています。(イラストや画像つき)

②多発性脂腺嚢腫(たはつせいしせんのうしゅ)

その名の通り、直径1㎝程度の嚢腫がたくさんできるのが「多発性脂腺嚢腫」です。
特に腕や首、脇に出ることが多く、多い場合は20~30個できることもあります。
多発性脂腺嚢腫の場合は粉瘤の特徴である臍がなく、袋の内容物もドロッとしたマヨネーズのような黄色い物質で、感染を起こさなければ臭いがすることはありません。

多発性脂腺嚢腫②

(引用)多発性脂腺嚢腫 渋谷駅前おおしま皮膚科
※肘の内側部分。黒くマーキングされた5つの嚢腫があります。

多発性視線嚢腫(内容物)

(引用)多発性脂腺嚢腫 渋谷駅前おおしま皮膚科
※手術で取り出した嚢腫の中身。5つの袋を確認することができます。

HE染色粉瘤
(引用)HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色の結果、粉瘤と似た疾患である脂腺嚢腫と診断 渋谷駅前おおしま皮膚科
※顕微鏡で見やすくするため嚢腫に染色したもの。当院(渋谷駅前おおしま皮膚科)では、切除した嚢腫は確定診断のため全て病理検査に出し、結果を必ず患者さんにお伝えしています。

③脂肪腫(しぼうしゅ)

脂肪細胞が増殖したものである脂肪腫は、身体のあらゆるところに発生する可能性がある良性腫瘍。
数㎜程度の小さいものから10㎝を超えるものまであり、特に痛みなどの症状はありません。
皮膚の色も通常の肌色のまま変化はなく、ドームのように膨らんだ柔らかいしこりができます。
子供の頃に発症したものが少しずつ大きくなることが多いため、40~50歳頃になって気付くことも多い腫瘍です。

脂肪腫
(引用)脂肪腫 渋谷駅前おおしま皮膚科
※耳の後ろ、側頭部の盛り上がったこぶが脂肪腫です。

④皮膚線維腫(ひふせんいしゅ)

皮膚線維腫は、手足にできることが多い1㎝ほどの褐色の硬い結節で、表面が盛り上がっていることもあります。
「皮膚の浅い部分にボタンを入れた感じ」と表現されることもあり、押すと痛みを感じることもあります。
皮膚の内部の線維成分が局所で増殖するのが原因で、虫刺されなどがきっかけになる事もあります。
放置しても自然に治ることはなく、皮下にできた場合は粉瘤との区別が難しくなります。

皮ふ繊維腫
(引用)皮膚繊維腫 渋谷駅前おおしま皮膚科
※一見、ホクロのようにも見えますが、褐色の半球状の硬いできものが皮膚繊維腫です。

⑤石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)

その名の通り皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮下腫瘍で比較的、若い世代に多いできものです。
0.5cm~3cmほどの石のように硬いしこりができ、少しずつ大きくなる場合もあります。
皮膚の色は正常で無症状なことが多いですが、稀に痛みが出ることもあります。
はっきりとした原因は分かっていませんが、毛根にある毛母細胞(毛を作り出す細胞)が増えすぎることによって発症すると考えられています。

石灰化上皮腫
(引用)石灰化上皮腫 渋谷駅前おおしま皮膚科
※黒くマーキングされている盛り上がった部分が石灰化上皮腫です。

⑥ケラトアカントーマ

ケラトアカントーマは、2cmほどの良性腫瘍で、中年以降の方の顔面にできることが多く、1~2ヵ月で急速に大きくなるのが特徴。
毛包(毛根を包んでいる組織)に由来する皮膚のできもので、ドーム状に盛り上がりますが、その中心部分は凹んで硬い皮に覆われています。
詳しい原因は不明ですが、日光に当たる部分に発症する事が多いと言われています。
6カ月程度で自然に治ることもありますが、痕が残ってしまうことも多い皮膚疾患です。

ケラトアカントーマ
(引用)ケラトアカントーマ 渋谷駅前おおしま皮膚科
※左頬骨部分にできたケラトアカントーマ。中央部分が凹んでいるのが分かります。

4. 粉瘤は早期治療が必要。将来、炎症を起こす可能性も!

粉瘤自体は良性の腫瘍。必ずしも「今すぐに治療が必要な疾患」という訳ではなく、治療を行うかは患者さん次第です。
なぜなら、ごくごく稀に悪性化するものもありますが、通常は命に関わるような腫瘍ではないためです。

そのため、まだ小さいうちは患者さん自身もそれほど気にならず、痛みや腫れもない場合、しばらく様子を見てしまう人も少なくありません。
しかし、何年も放置しているうちに、10年後、20年後、ある日突然炎症を起こして生活に支障をきたすというケースもあるので注意が必要です。

時間とともに大きく成長して突然炎症を起こすケース

毛穴の詰まりなどが原因のニキビと違い、一度できてしまった粉瘤は自然に治ることはありません。
それどころか、老廃物は袋の中で溜まり続けて徐々に大きくなるため、時間とともに外見上にも目立つようになります。
特に女性などは、顔にできるとメイクにも支障が出ることもあり、心理的にも影響が多く、生活の質を大きく落とすことになりかねません。

また、放置しているうちにある日突然炎症を起こす可能性もあります。
粉瘤が炎症を起こすと、患部は2~3倍に腫れあがることもあります。
このように炎症が起きた粉瘤は「炎症性粉瘤」と呼ばれ、腫れの他にも赤みや痛み、熱感といった辛い自覚症状が現れます。
これまで炎症性粉瘤は、そのほとんどは患部が細菌に感染することによって起きると考えられてきましたが、最近では粉瘤の内容物が皮膚の下で破裂して皮膚の内部に漏れた「異物反応」として起こる事もあることが分かっています。

このように大きくなって炎症を起こしてからでは治療自体が難しくなってしまい、痕も大きくなる危険性がある上、治療が長引くことで余計な費用もかかります。

当院(渋谷駅前おおしま皮膚科)では炎症性粉瘤でも積極的にくり抜き法という方法で一期的に切除をすることを推奨しております。この方法は無駄な通院が省けること、術後痛みから解放されること等メリットが数多くありますが、まだまだその治療法は一般的ではありません。(詳細はクリニックHPをご参照下さい)

多くの病院では切開後、連日の通院が必要で治療に時間がかかることが多いため、悪化する前のなるべく早いうちに適切な治療を行うことを勧めています。

炎症性粉瘤

(引用)炎症性粉瘤の症例① 渋谷駅前おおしま皮膚科
※5年前からあったお尻部分のしこりが3日前に突然腫れ始め、強い痛みもあり。

自分で潰すのは危険!再発してさらに症状が悪化

炎症性粉瘤が悪化すると患部にはニキビと同じような「膿」が溜まります。
ついつい、気になって患部を触り、潰してしまいがちですが、粉瘤を自分で潰すのはとても危険です。

なぜなら、潰して膿を出したところで、内部の袋は皮下に残っているまま。袋が残っている限り老廃物は作り続けられるのでしばらくすると、また大きな粉瘤が再発します。

さらに潰すことで、中から出てきた膿が周辺に飛び散って広がり、周囲に袋の壁が癒着するなど、さらに症状が悪化することもあります。
万一、粉瘤やその疑いがあるできものが炎症を起こしてしまった場合は、極力、患部を触らないようにし、できるだけ早く皮膚科を受診するようにしましょう。

背中炎症性粉瘤
(引用)炎症性粉瘤の症例② 渋谷駅前おおしま皮膚科
※背中の中央部にできた粉瘤が炎症を起こし、赤く腫れています。

5.皮膚科で行われる粉瘤の治療法

皮膚科で行われる粉瘤の治療は、大きく分けて「辛い症状を緩和するための応急処置的な治療」「粉瘤を根本から治す治療」の二つがあります。

粉瘤の腫れや痛みを抑える抗生物質の服用

粉瘤が炎症を起こしているような場合、まずは抗生物質で症状を和らげる治療を行います。

1週間程度、抗生物質を服用して細菌の働きを抑えることで、炎症や痛みを落ち着かせるのが狙いです。(但し、炎症の原因が異物反応であり、細菌感染でない場合は抗生物質では効果がない場合もあります。)
特にひどい炎症が起きている場合は内服薬だけでは効果が少ないため、患部を小さく切開して膿だけを出す「排膿手術」を並行して行うこともあります。

抗生物質は健康保険が適用できるため、費用は自己負担金のみとなります。
おおよその費用の目安は3割負担の場合、1週間分で350円程度です。(フロモックスの場合。その他、初診料などの費用は別途かかります)

但し、排膿も抗生物質もあくまでも、症状を落ち着かせるためのものであり、粉瘤を完治させることはできません。
そのため、通常は症状が落ち着いた後、嚢腫の切除手術を行うことになります。

粉瘤を根本的に治すための外科手術

根本的に粉瘤を治すためには、できてしまった粉瘤を袋ごと外科手術で切除するしかありません。

従来から行われている外科手術は、局所麻酔をした後、紡錘形(ぼうすいけい:糸をつむぐ際に使われる細長い道具のような形)に皮膚を切開し、粉瘤の袋ごと丁寧にメスで切除する方法です。

腫瘤の半分程度の皮膚切開でも、きれいに取り出すことが可能で、取り出した後の空洞部分はきれいに縫い合わせます。
この時、皮膚の表面の表皮ではなく、表皮の下にある真皮(しんぴ)という部分を縫い合わせる真皮縫合を行うことで、術後にできやすい血腫(血の塊)を予防し、手術の傷も目立ちにくくすることができます。

粉瘤の大きさや切除した場所によって異なりますが、手術の所要時間は15分程度と短く、受診した当日に手術を行うことも可能です。

費用は粉瘤の部位や大きさ、個数などによって異なり、手術の麻酔代や軟膏代、病理検査代などは別途かかります。(粉瘤手術の費用については後述します)

但し、この手術はいつでも行えるという訳ではなく、「炎症が治まっている時にしか手術を行えない」というデメリットがあります。
そのため、炎症性粉瘤の場合、手術に先立って抗生物質の内服や排膿手術で炎症を抑える治療が必要になり、通院回数が増えて治療に時間がかかるのが難点です。

紡錘型切除術

(引用)粉瘤の紡錘型切除手術 渋谷駅前おおしま皮膚科
※切開線に沿って切開をしたあと、嚢胞の袋ごと取り除きます。こちらのページでは手術の詳細を写真付きで見ることができます。

6.回復も早い!負担の少ない低侵襲な外科手術「くり抜き法」

最近では、従来の紡錘型切開による手術に加え、「くり抜き法(へそ抜き法)」という手術方法が考案されています。また炎症中のくりぬき法も最近になり行うことが可能になりました。
従来に比べ、より患者さんへの負担を減らすことができるため、導入する医療機関も増えています。

「くり抜き法」の手術方法

くり抜き法では、局所麻酔の後、メスの代わりに「トレパン」という器具を使い、粉瘤の中心に小さな穴を開け、内容物を押し出しながら取り除きます。
トレパンは粉瘤のサイズによって直径の違うものを使い分けます。

押し出すだけで粉瘤の袋の壁まで取れることもありますが、壁がくっついてきれいに取れない場合は、手術用ピンセットとハサミで慎重にしぼんだ風船のような粉瘤の袋を取り除きます。

最後に取り残しがないことを目視で確認し、開けた穴を縫合します。縫合は表皮を2か所縫い留める方法や真皮を縫う方法など部位によって最適な方法が選択されます。

くり抜き法(へそ抜き法)

(引用)粉瘤のくり抜き法による手術 渋谷駅前おおしま皮膚科
※トレパンで開けられた丸い穴から出てきた茶色っぽい塊が溜まっていた老廃物です。このあと袋自体もきれいに取り出します。

「くり抜き法」で行うメリット

くり抜き法の優れた点は、なんといっても傷が小さく済むことおよび、炎症中も根治術が可能な点です。

くり抜き法で開ける穴の大きさは、皮膚の薄い部位にできた粉瘤なら2~3㎜、皮膚の分厚い部位(臀部や背部)は3~6㎜が目安です。
顔のような皮膚の薄い部位や前述の脂腺嚢腫のようなできものの場合、1~2mmのトレパンを使用することもあり、これならば手術の傷跡が分からないくらいきれいに治ることが多いです。
傷が小さいということは、手術中の出血もほとんどなく、術後の痛みが軽減できて傷の治りも速いということ。
場所や大きさにもよりますが手術時間は早いと5分~10分程度で、しっかりと袋ごと取り除けるので再発する心配もほぼありません。

従来の外科手術と違い、くり抜き法は炎症があっても行うことができるのも大きな特徴です。
そのため、炎症性粉瘤であっても手術前に炎症を抑えるための治療が必要なく、当院(渋谷駅前おおしま皮膚科)では受診した当日に手術を受けることが可能なので通院の回数も減らすことができます。

「くり抜き法」を行わないケースもある

患者さんの体への負担を大幅に減らすくり抜き法は、多くの症例で手術が可能です。
10㎝程度の大きな炎症性粉瘤であっても、くり抜き法を応用した「くり抜き法変法」という方法で切除できる場合もあります。

しかし、過去に何回も炎症を起こしている粉瘤の場合、粉瘤の壁が皮膚の中で飛び散ってしまっていて全部取りきれないケースもあり、診察時に粉瘤の袋がきちんと確認できないような時はくり抜き法を行わないこともあります。

また、似た疾患である慢性膿皮症等はくりぬき法の適応にはなりません。
粉瘤が急激に大きくなった場合も、悪性腫瘍などと見分けるための詳細な病理検査が必要なため、従来通りの紡錘型に切開する手術が行われます。

粉瘤手術の費用の目安

手術を受けるとなると、いくらくらいかかるのか費用も心配になるもの。
粉瘤の手術は保険が適用され、「皮膚、皮下腫瘍摘出術手術」として診療報酬の点数が決められています。

そのため、実際に支払うのは自己負担金のみですが、粉瘤のできた箇所や大きさによって費用は異なります。

◆非露出部(半袖、半ズボンで隠れる位置)の手術費用※3割負担の場合

径3㎝未満 3,840円
径3㎝~6㎝未満 9,690円
径6㎝以上 12,480円

◆露出部(半袖、半ズボンでも外にでる位置)の手術費用の目安※3割負担の場合

径3㎝未満 4,980円
径3㎝~6㎝未満 11,010円
径6㎝以上 13,080円

※実際には、この料金以外に手術時に使用した局所麻酔代、軟膏代等500~600円程度、病理検査代金3,000円程度が必要になります。

7.粉瘤の治療を受ける時。後悔しない皮膚科選びのポイントは?

粉瘤は、少しずつ進行していく腫瘍のため、長い人では40年以上の付き合いという人もいらっしゃいます。
自覚症状がないうちは、いつ治療を始めるべきか迷ってつい先延ばしにしてしまうこともあるでしょう。

けれど根本的な治療を行わない限り、将来、炎症を起こし、悪化するかもという不安はなくなりません。
時期を見てなるべく早いうちに治療することを心がけましょう。

そして、粉瘤の治療を受けることになったら、一番重要なのは病院選び。
なぜなら皮膚科ならどこでも同じ結果が得られるという訳ではないからです。

特に外科手術は、担当する医師の経験値や技術力によって、術後の痛みや傷の大きさ、回復のスピードには大きな差が付くことも。
たとえ小さな粉瘤であっても、ご自分の大切な体を切開する手術は納得して受けたいもの。そのためにも信頼できる医師を見つけることが大切です。
最後に、より良い医師や医療機関を選ぶための3つのポイントを以下にまとめましたのでぜひ参考にしてみて下さい。

①粉瘤手術の実績が豊富

手術の実績が豊富ということは、それだけ多くの患者さんが手術を受けに来ているということ。
その分、様々な大きさや難しい症例を数多く見て、実際に治療してきているということなので、手術を受ける上でも大きな安心に繋がります。
医療機関によっては、ホームページなどで年間に行った粉瘤の手術件数を公開しているところもあります。

② 皮膚科専門医による執刀

手術を担当する医師が厚生労働省の認可を得ている皮膚科(または形成外科)の専門医であるということは必須条件。
非専門医の場合、まだ治療の経験が浅い医師や、しっかりとした手術のトレーニングを受けていない医師もいるためです。
実際、経験の少ない医師の手術を受けて症状が再発してしまったという患者さんもいらっしゃいます。

また、専門医が在籍している病院でも、それは名前を載せているだけで実際の手術は他のアルバイトの医師が行うという病院も最近は多いので、必ず事前に執刀医の名前、その経歴や実績等は確認するようにしましょう。
さらに診療から手術、術後のケアまで担当する医師が一貫して治療を行ってくれるような医療機関だと安心してお任せできますね。
お近くの皮膚科専門医は以下のサイトから見つけることができます。

全国の皮膚科専門医のいる病院を「病院口コミ検索Caloo」で探す

公益社団法人 日本皮膚科学会専門医 専門医MAP
※こちらのページでは皮膚科専門医を都道府県別に調べることができます。

③充実した設備と手術法の工夫

粉瘤手術に力を入れている医療機関では、手術に使用する装置や器具も充実しており、その使用法なども独自に工夫をしています。

手術前に行う麻酔一つとっても、細い針を使う、患部を冷やす、などちょっとした工夫で患者さんの痛みや不安を軽減することは可能。
また、くり抜き法で使用するトレパンも細いものを使うことでより傷を小さくすることができ、傷が治るまでの期間も短縮することができます。

さらに器具の選び方や使い方のコツなども研究を重ね、患者さんの負担を減らしつつ、よりきれいな仕上がりになるようこだわりを持って手術を行っているような医療機関なら安心です。
事前に手術法や設備を医師に確認するのはもちろん、ホームページなどでも手術の設備や工夫を紹介している医療機関はたくさんあるので参考にしてみましょう。

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