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2018年6月29日更新

いびき・治らない滲出性中耳炎に「アデノイド切除」、メリット・デメリット・体験談

4~7歳頃にアデノイド肥大(増殖症)が原因でいびき・口呼吸・閉塞性睡眠時無呼吸症候群があり、滲出性中耳炎が治りづらい場合には、全身麻酔による「アデノイド切除手術」が行われることがあります。切除術のメリット・デメリット、入院期間、費用、術後の過ごし方、体験談などご紹介します。
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中耳炎で耳鼻科通いをしているお子さんにこんな症状はありませんか?

「子供のいびきがすごい!」「いつも口が開いていて、口呼吸している」

もしかしたら、これらの症状や繰り返す中耳炎の原因に”アデノイド肥大(大きくなること)”が関係しているかもしれません。

口・鼻と耳は耳管でつながっているため、肥大したアデノイドが咽頭側の耳管口を塞ぐことで、耳管の換気が行われず、滲出性中耳炎を起こしたり、さらにアデノイドが”病原菌のすみか”となり、再発しやすくなったりします。

鼓膜チューブ留置術後の再発、中耳炎に加えて上気道病変(咽頭扁桃炎・閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)があるなど、なかなか良くならない難治性の滲出性中耳炎の場合には、「アデノイド切除術」が検討されます。

今回は「中耳炎とアデノイド切除術」をテーマに、アデノイドの概要やアデノイド切除術のメリット・デメリット、手術方法・入院期間・費用相場をご紹介します。

目次

1.アデノイドとは?症状・原因

免疫機能をもった鼻の奥の方にあるリンパ組織であるアデノイドは、誰でも幼少期に大きくなる組織です。
4~6歳頃にピークを迎え、次第に小さくなっていきますが、小児滲出性中耳炎診療ガイドラインによると、小児滲出性中耳炎の子どもは、中耳炎に罹っていない子どもと比較してアデノイドが大きくなる傾向があるという報告があります。

アデノイドが大きくなりすぎて、鼻の空気の通り道を塞いだり、何度も中耳炎を繰り返したりするなど問題が現れた場合には、アデノイドを切除する手術が行われています。

アデノイドとは何?-鼻の奥にある免疫機能を持ったリンパ組織

アデノイドは、「咽頭扁桃」という組織です。
鼻の突き当り、鼻からのどに移行する部分にあるため、口を開けてみても見えません。

アデノイド・口蓋扁桃など横からみた図(出典)横から見た扁桃|医療法人梅華会グループ 扁桃炎の症状と治療
こちらのページでは、急性扁桃炎の解説のほか、扁桃の働きについても説明されています。

誰でも成長過程の一つとして、アデノイドが大きく(肥大)なります。
一般的に、2歳ぐらいから大きくなり出し、4~6歳頃にピークを迎え、10歳頃になると自然に小さくなっていきます。

ワンダイエルの咽頭輪(出典)ワルダイエルの咽頭輪|医療法人梅華会グループ 扁桃炎の症状と治療
こちらのページでは、急性扁桃炎の解説のほか、扁桃の働きについても説明されています。

また、風邪を引いて、病院で喉を診せた際に「扁桃腺(へんとうせん)が腫れているね」と言われたことはありませんか?
扁桃腺とは、”口蓋扁桃(こうがいへんとう)”のことを意味しており、喉の奥に見えるアーモンド形をしている器官です。
※一般的には「扁桃腺」と呼ばれていますが、厳密には「腺(分泌活動を行う細胞の集まり)」ではないので、名称が改められました。

上記の図のように、アデノイドをはじめとして様々な扁桃組織*1が、喉を囲んで鼻や口から侵入する病原菌を「認識し」「免疫を作る」「免疫機能の中で実効性のあるものに変換する」働きをしています。
*1喉を取り囲む扁桃組織:ワルダイエルの咽頭輪と呼ばれる。

レントゲンで分かる!アデノイドの検査方法:X線検査・ファイバースコープ

アデノイドが肥大しているかどうかは、顔の側面からX線撮影(レントゲン撮影)を行うと分かります。
鼻からファイバースコープを入れて調べる方法もありますが、恐怖心や若干痛みもあるため、お子さんに対してはあまり行われていません。

アデノイドは、極端に大きくなりすぎると問題が出てくる

咽頭扁桃が極端に大きくなった状態を「アデノイド増殖症・アデノイド肥大・咽頭扁桃肥大」またはそのまま「アデノイド」と呼びます。
アデノイドが肥大化する原因は、免疫成熟過程での扁桃の機能亢進(活発化)の結果とも考えられていますが、はっきりしていません。

また、アデノイドは、口蓋扁桃同様、免疫機能を持っている反面、鼻や口から入った病原菌に感染する側面も持っています。
風邪などで一時的にアデノイドが腫れることもあります。

ただ単にアデノイドが大きいだけでは、特に治療の必要はありません。
しかし、低年齢のうちは骨格的・筋肉的にも十分に発達していないので、少しアデノイドが肥大しただけでも、 のどに占める割合が大きくなり、肥大期間が長期化すると下記のような問題が現れてきます。

  • 鼻の空気の通り道を塞いでしまう。
    →いびきや口呼吸、重症の場合には閉塞性睡眠時無呼吸症候群を起こす。
  • 滲出性中耳炎を起こしやすい。
    →軽度の難聴も。
  • 慢性副鼻腔炎を合併しやすい。
    →鼻づまりが原因で、集中力が低下して学習障害を起こすことも。

これらの症状が現れた場合、「アデノイド切除」が検討されます。

さらに、気道が狭くなることで、鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸が慢性化すると、いつも口を開けているため、横から見ると、顎よりも口元が突き出しているような顔つき「アデノイド顔貌(がんぼう)」になるとされています。

また、アデノイドが肥大化している場合には、同じ扁桃組織の口蓋扁桃(扁桃腺)も肥大していることが多くなっているため、同時に「口蓋扁桃」の切除も行われることが多くなっています。

(参考)扁桃とアデノイド Part3  アデノイドについて|やべ耳鼻咽喉科
こちらのページでは、アデノイド切除手術の適応例について、院長が分かりやすく解説しています。

2.滲出性中耳炎への影響とアデノイド切除術の適応条件

中耳炎をよく繰り返すお子さんは、耳管の換気機能障害や上気道の感染・炎症が原因となって、滲出性中耳炎に発展しやすい傾向があります。

アデノイドは、そのどちらにも関係している可能性があることが調査で分かっています。

そのため、アデノイド切除術は、滲出性中耳炎の外科的治療に有効とされていますが、鼓膜チューブ留置法よりも侵襲的*2な手術となりますので、小児滲出性中耳炎診療ガイドラインではファーストチョイスではなく、セカンドチョイスとして、切除術の適応には一定の条件を示しています。
*2侵襲的:(手術の場合)皮膚に傷を作り、体の組織にダメージを与えるということ。

中耳炎の悪化原因!?アデノイドの滲出性中耳炎への影響

アデノイドが肥大化したことによって、物理的に開口部を塞いでしまうと、耳管の換気機能が低下して、滲出液が溜まりやすくなってしまいます。

また、前述した通り、アデノイドは、免疫臓器の半面、時に”感染・炎症のすみか”となり得ます。
その結果、副鼻腔炎や鼻炎など慢性的炎症を起こさせやすくなるため、滲出性中耳炎を悪化させると考えられています。

このため、最近では物理的な影響よりも、アデノイドが感染源として耳管に与える影響の方が重要と考えられるようになってきました。

(参考)滲出性中耳炎の発症機序とアデノイ ド切除の有用性|口 咽 科15:3;285~290,2003
こちらのページでは、鹿児島大学医学部耳鼻咽喉科の先生によって、アデノイドの滲出性中耳炎に与える影響やアデノイド切除の有用性についての調査結果と考察がなされています。

アデノイド切除術の適応となる症状と年齢:4~7歳で①滲出性中耳炎+上気道病変がある②鼓膜チューブ留置術後の再発がある

滲出性中耳炎でアデノイド切除術が検討されるケースには、下記の2つのケースがあります。

  1. 滲出性中耳炎+上気道病変*3がある
    *3上気道病変:咽頭扁桃炎・後鼻孔閉塞・閉塞性睡眠時無呼吸症候群など
  2. 鼓膜チューブ留置術のチューブ脱落後の再発
    →併用すると、より効果的。

また、あまり低年齢で行うと、アデノイド再増殖や周辺の扁桃臓器の代償性肥大が起こる可能性があるため、肥大ピークとなる4~7歳頃に手術を行うケースが多くなっています。

なお、アデノイド肥大による影響が軽症の場合は、手術で切除せずに、次第に小さいくなっていくのを待つ方法(経過観察)が取られる場合もあります。
その間、副鼻腔炎などに対しては、薬物治療などが行われます。
最近、ロイコトリエン受容体拮抗薬ステロイド点鼻がアデノイド炎症に効果とする報告もあります。

◆難聴を伴う滲出性中耳炎治療のファーストチョイス「鼓膜チューブ留置術」については、次の記事で詳しく説明しています。
「難聴・繰り返す中耳炎が軽減!「鼓膜チューブ留置術」のメリット・デメリット・体験談」

■アデノイド切除術対象外

上記のようなアデノイド切除術の適応条件に当てはまる場合でも、口蓋裂がある場合には、鼻咽喉閉鎖不全が引き起こされる可能性があるため、切除術は推奨されていません。

(参考)アデノイドとは?|あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院
こちらのページでは、アデノイドや検査方法・治療などについて、詳しく説明されています。
(参考)小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年
こちらのガイドラインでは、滲出性中耳炎に対するアデノイド切除術の適応条件や効果に対するデータなどが確認できます。(P.63~)

3.滲出性中耳炎への「アデノイド切除」のメリット・デメリット

小児滲出性中耳炎診療ガイドラインの中で、アデノイド切除術は、滲出性中耳炎治療に対するメリットよりもデメリット(リスク)の方が大きいとして、全ての症例のファーストチョイスには推奨しないという考えが示されています。

アデノイド切除のメリット

  1. 中耳の貯留液の改善
    • 滲出性中耳炎改善率:無治療よりも6か月間で22%、12か月間で29%上昇していた。
  2. 鼓膜換気チューブ留置法の効果の上乗せ(中耳貯留液の改善・聴力)
    • 貯留液が生じたことによって再手術となる割合:アデノイド切除併用14%、チューブ留置法単独治療28%
    • 聴力の治療効果:6ヵ月までは鼓膜チューブが機能しているためか聴力に差はないが、12~24か月では、アデノイド切除併用の方が、平均4.2dB良好。
    • 聴力悪化による再手術のリスク:チューブ留置単独治療は、アデノイド切除術併用に比べ、約3倍再手術の可能性が高い。

滲出性中耳炎に対するアデノイド切除術は、単独治療でも貯留液の改善に一定の効果がありますが、特にチューブ留置と併用することで、再留置を減少させることができるとされています。

アデノイド切除のデメリット

  1. 全身麻酔リスク
    • 日本麻酔学会による麻酔偶発症例調査(1999年~2003年)では、麻酔管理が原因で死亡する割合は10万例に1例
  2. 術中・術後の出血リスク
    • アデノイドを含む扁桃には、血管が豊富。
    • 傷口のかさぶたが剥がれて出血した場合、再度全身麻酔による緊急止血手術となる場合も。
  3. アデノイド再増殖・周辺の扁桃組織の代償性肥大リスク
    • 生理的なアデノイド増殖過程にある低年齢(1~3歳)での切除に多い。
    • アデノイドは周辺組織と境目がないため、手術を行っても完全摘出は難しい。
  4. 入院に伴う親の負担
    • 平均入院期間は1週間。親の付き添いが必要なケースも多い。

アデノイド切除術自体は、耳鼻科領域では珍しい手術ではなく、さほど難しい手術でもありません。
しかし、割合は0.2~0.6%と少ないですが、一番怖いデメリット「術後出血」が起こる可能性があります。
なお、術後出血は、術後24時間と傷口が治ってきた術後1週間後くらいに起きやすいとされています。

少し出血しても、その後すぐに止まれば問題ありませんが、大量出血してしまうと、気道を塞ぐ恐れがあるため、止血のために再度全身麻酔におる緊急手術が行われます。

(参考)麻酔の危険性及び合併症|独立行政法人 国立病院機構 水戸医療センター 麻酔科
こちらのページでは、全身麻酔の危険性や偶発症について、分かりやすく説明されています。
(参考)小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年
こちらのガイドラインでは、滲出性中耳炎に対するアデノイド切除術の適応条件や効果に対するデータなどが確認できます。(P.63~)

4.アデノイド切除術(①従来法②マイクロデブリッダー法③吸引焼灼法)の手術方法・入院期間・所要時間・費用相場と体験談

アデノイドを切除する場合、どのように行われるのでしょうか?

現在、アデノイドの切除方法には、主に3通りあります。

  1. 従来法
  2. マイクロデブリッダー法
  3. 吸引焼灼法

アデノイド切除術の比較(画像)アデノイド切除術の術式による比較
※クリックすると、画像が拡大します。

アデノイドの切除術による違い(器具・特徴・所要時間など)

それぞれの術式で使用する器具や手術方法(特徴・所要時間など)をまとめました。
病院によって行っている切除術は異なります。
※所要時間は、切除にかかる目安の時間です。実際の手術には、麻酔導入~覚醒など時間がかかります。

①従来法(アデノトーム・輪状刀など)

  • 切除器具
    • アデノトーム:アデノイドを切除する専用の耳かきみたいな小さなメス
    • ベックマン輪状刀:輪状の刃が先についていて、引っ掛けて切り取るような小さいメス
  • 特徴
    • 一般的なアデノイド切除法。
    • 鏡で場所を確認してから、アデノイドをかき取る。
    • 見ながら取ることができないので、マイクロデブリッダー法に比べ、組織の残存(再発リスク)がある。
  • 所要時間
    10~20分

②マイクロデブリッダー法

  • 切除器具
    マイクロデブリッダー:鼻毛カッターのような感じで、組織を切りながら出血も吸引できる。
  • 特徴
    • 1990年代頃に開発されたアデノイド切除法。
    • 内視鏡下で行うため、患部を確認しながら、接触しているアデノイドをほぼ切除することができるので、周辺の粘膜や骨などを巻き込むことや残存による再発リスクが少ない。
    • 耳管隆起している場合は、損傷に注意が必要。
    • 特に小さな子どもには、安全に行えるので有効とされる。
  • 所要時間
    内視鏡の視野に慣れている医師が行えば、10分以内で切除可能。

(参考)アデノイド切除術:デブリッター法と従来法とは何が違うのか?|口咽科 2014 ; 27(1):33 ~ 35
こちらのページでは、従来法とマイクロデブリッダー法の違いについて、詳しく解説されています。

③吸引焼灼法

  • 切除器具
    コブレーター:高周波を利用して、低温(45℃~85℃)で組織への熱損傷を抑えた切開を可能として、凝固・吸引の機能も持っている。
  • 特徴
    • 高周波を利用した一種の電気メス。
    • 出血を吸引できるので、止血が早い。
      →短期入院手術が可能な場合も。
    • 器具が柔軟なので、患者の喉にフィットするよう曲げられる。
    • 内視鏡で見ながら操作ができるので、安全に操作ができる。
  • 所要時間
    15分前後

近年は、より低年齢のお子さんでも安全に行えるマイクロデブリッダー法やコブレーション法でアデノイド切除を行う病院も増えてきました。
しかし、まだ一部の病院でのみ行われている方法です。

(参考)耳鼻咽喉科におけるコブレーション手術:アデノイド手術を中心に|口咽科 23 : 1 ;49 ~ 54, 2010
こちらのページでは、高周波を利用したコブレーション法でアデノイド切除などを行い、手術内容や効果・術後の通院などについて、詳しく解説されています。

アデノイド切除術の流れ・入院期間

アデノイド切除は、一般的に全身麻酔によって、行われています。
※下記の手術の流れは、一般例です。入院日数・手術時間など実際の手術に関する詳細は、執り行う病院や患者さんの状態によって異なります。

    1. 前日
      入院し、問診を行う。
    2. 当日
      • 麻酔施行……子ども向けに麻酔のにおい(いちご・バナナ・メロン・ガムなど)が選べることがあります。
        ※麻酔の導入から覚醒までは、約1時間半
      • 開口器を装着し、口から反射鏡を用いて、アデノイドを確認した後、器具を入れ、アデノイドをそぎ取るように切除する。
        もしくは、内視鏡+マイクロデブリッダーやコブレーションにて、切除を行う。
        →病院によっては、術後の痛み軽減を図るため、アデノイドに局部麻酔を行う場合もある
      • 止血措置
        →止血時間は、約10分
    3. 入院期間
      3日~約1週間
      ※病院によっては、アデノイド切除だけなら「約3日間」と短く済む場合もあります。

アデノイドは、鼻の奥なので、切除した痕(創)をしっかり縫うことができません。
自然止血を行うため、傷口が”かさぶた”となります。
術後1週間くらいが、そのかさぶたが取れやすく、取れて再出血することがあります。

また、稀ですが大量に出血すると、気道を塞いでしまう可能性もあり、緊急手術が必要となることもあります。
お子さんの場合、おうちで1週間安静に過ごすと言っても、なかなか難しいケースも多いですよね。
そういったことからも、念のため入院期間を「1週間程度」と長く取っている病院が多くなっています。

(参考)お子様と麻酔について|日本小児麻酔学会
こちらのページでは、お子さんが全身麻酔を行う際、なぜ麻酔が必要なのか?など麻酔に関する疑問に詳しく解説しています。特に、お子さんの全身麻酔で不安な親御さんにおすすめです。
(参考)アデノイド切除術|社会医療法人神鋼記念会 神鋼記念病院
こちらのページでは、アデノイド切除術の手術の流れについて、詳しく説明されています。

アデノイド切除術の合併症:傷口の痛み・味覚障害・後出血

アデノイド切除では、全身麻酔を行うので、手術中の痛みはありませんが、麻酔が切れた後、痛みを感じることが多いようです。
術後に起こる可能性がある合併症は、次の通りです。

  • 咽頭痛(疼痛)
    日が経つにつれて、必ず治ってきます。痛みが強い場合には、座薬や痛み止めの注射を使用。
  • 味覚障害
    一時的に起こる場合もありますが、1~2か月で改善。
  • 含み声
    一時的に、こもったような声(口を塞いで話しているような声)になることがあります。
  • 口内炎
    手術のストレスで起こる場合があります。
  • 後出血
    一番怖い合併症。なかなか出血が止まらなかったら、圧迫や全身麻酔下での止血術が必要となります。(緊急止血術の頻度:0.8%)

アデノイド切除術は、基本的には大掛かりな難易度の高い手術ではありません。
しかし、後出血のリスクもゼロではないので、入院期間が短い場合にも、術後の過ごし方や通院回数など鑑みて、実施病院についてよく検討されるとよいでしょう。

(参考)手術および入院中の経過について|市立三次中央病院耳鼻咽喉科
こちらのページでは、口蓋扁桃摘出術・アデノイド手術による合併症について、くわしく説明されています。

アデノイド切除の費用相場:乳幼児医療証の利用で「食事代のみ」負担

アデノイド切除のみの手術であれば、3割負担で4,800円です。(麻酔代・点滴代など含まず)
全身麻酔下で行う手術なので、入院費が必要となり、1週間で約7万円~約9万円です。
さらに、入院中の食事代が加算されます。

そのため、3割負担で入院した場合、手術費用+入院費用+食事代のトータル約10万円となります。
ただし、高額療養費制度を利用した場合には、一般的な所得(所得区分B)で、支払いの上限は約8万円となります。

健康保険での支払いを検討される場合には、あらかじめご加入の健康保険の担当窓口へ「限度額認定書」の交付申請を行っておくと良いでしょう。
入院時に「限度額認定書」を窓口に提示することで、窓口での支払い額を法定の自己負担限度額までに抑えた金額で支払うことが可能となります。
※入院時までに間に合わなかった場合には、一度3割負担額で支払って、後から高額療養費返還手続きを行うことで、差額分は返還されます。

なお、お子さんの手術の場合、乳幼児医療証を持っていれば、これらの手術費用および入院費用はかかりません。
ただし、食事代のみは、原則的に全額自己負担で約6,000円です。
また、親御さんの付き添い入院にかかる差額ベッド代なども自己負担となります。
※乳幼児医療証の対象年齢や助成内容については、お住いの自治体にご確認ください。

(参考)アデノイド切除術|社会医療法人神鋼記念会 神鋼記念病院
こちらのページでは、アデノイド切除術の費用について、高額療養制度や入院費用など詳しく説明されています。
(参考)手術費用|医療法人かくいわ会 岩野耳鼻咽喉科サージセンター
こちらのページでは、アデノイド切除術をはじめとして、主な耳鼻科手術の費用について、説明されています。

【みんなの体験談】アデノイド切除術

やっぱり入院して手術となると、誰でも心配になりますよね。
特に小さなお子さんが受ける場合、自分の事以上に「大丈夫かな?」と心配してしまうのも無理はありません。

実際にアデノイド切除手術を行った方(お子さんが行った方)の体験談をご紹介します。

【体験談】鼓膜チューブ留置術+アデノイド切除+扁桃腺切除を行い、耳の聞こえが改善

子供が風邪をひいてから鼻水が出始め、耳の聞こえも悪くなっていたので受診しました。

検査の結果、鼓膜の奥に水が溜まる「滲出性中耳炎」と言われました。最初は服薬で様子を見ていたのですが半年たっても症状がよくならず、このままだと難聴になる事も考えられるとの事で手術を勧められました。

麻酔医の説明を受け、事前検査(心電図、血液検査、レントゲン)を手術とは別日に受けました。
手術は子供の場合は全身麻酔で鼓膜にチューブを入れるというものでした。同時に扁桃腺切除とアデノイド切除もしました(鼻が詰まるといびきがひどかったのはこれらが原因のようです)

入院は一週間。手術時間は1時間強でした。のどの奥を切っているので食事は流動食から慣らして・・・といった感じでした。術後の点滴は抗生物質などを入れる為に数日しておく必要がありました。

子供の入院の場合は親が一緒に入院する必要があります(こちらの病院は中学生までは付き添いが必要)個室を取ったので周りを気にせず入院生活を送れましたが個室は自己負担が部屋によって変わるので注意が必要です。

術後は耳の聞こえも良くなり、鼻水も出にくくなりました。アデノイドと扁桃腺を取ったので声が高くなったように聞こえましたが、これが子供の本来の声との事だったので知った時は衝撃でした。

(引用元):子供の滲出性中耳炎が悪化

【体験談】4歳でアデノイド切除。術後、滑舌も改善

4歳の子供が、滲出性中耳炎を繰り返し、いびきが酷く、睡眠時無呼吸症候群ではないかと、耳鼻科を受診しました。すると、慢性化した滲出性中耳炎と言われ総合病院を紹介されました。

紹介先の耳鼻科で、検査をすると、やはり聴力が衰えているとのこと、その原因のひとつ、アデノイドが大きいので、鼻から耳に入った鼻水が圧迫されて、排出されにくいとのことで、切除をすることに。

一週間の入院と、全身麻酔が必要でした。
手術の前日に入院して、翌日麻酔をかけやすくして、手術がはじまりました。

縫うこともなく、血を口から出しながらも、抗生物質を点滴して、傷が治るのを待ちました。
翌日から食事も少しずつ取れました。

術後、滑舌もよくなり、風邪もひきにくくなりました。まとめて、扁桃腺も切除してもらい、いまでは体力もつきました。

(引用元):4歳で肥大したアデノイドを切除。滑舌が良くなり、風邪も引きにくくなった

【体験談】アデノイド切除後、いびきや食べにくさ解消。本人は楽になったが、付き添い入院は大変。

子どもが5歳の時に、アデノイドと扁桃腺の切除術を受けました。
赤ちゃんの頃から、風邪を引くとすぐ中耳炎になり月の半分も耳鼻科へ通っていました。

大きくなれば、中耳炎になり難くなるからという言葉を信じてましたが変わらず。
鼓膜にチューブ留置する手術を受けたり。様々な治療を行いました。

が、引越しがあり、新天地で新しい耳鼻科へ行き、そこで初めてアデノイドと扁桃腺が肥大していると知りました。
直ぐに総合病院へ紹介され、検査があり、手術日が決まりました。

子どもなので、付き添いが必須。
1週間の入院中、子どものベットで一緒に寝ました。
手術は、およそ一時間。
ただ、平気そうに見えたものの、麻酔が切れてから痛さに泣き叫びました。
夜中も、恐怖からと泣きながら起きる事がありました。

日に3回のイソジン溶液でのうがい。
抗生剤の点滴は24時間。
他の飲み薬もありました。

手術後は、重湯などから始まり、普通の食事に戻るのに、長い時間が掛かりました。
ただ、イビキや食べにくさ、などは無くなり本人は以前に比べて非常に楽になったようです。
ただ入院中は、運動もできないし、もちろん外出もだめ。

なかなか付き添いにはシビアな1週間でした。

(引用元):5歳児のアデノイドと扁桃腺肥大切除術。入院の付き添いは大変。

5.アデノイド切除術後の過ごし方

アデノイド切除術では、頻度は少ないですが、術後の出血に注意しなければなりません。

傷口が治っても、中耳炎治療は継続必要!

退院後の通院回数は、「アデノイド切除の術式」や「単独手術/口蓋扁桃との同時手術のどちらか」などの条件により異なります。

アデノイド肥大によるいびきや口呼吸は、手術によって数日間で改善していきますが、滲出性中耳炎の原因はアデノイド肥大だけではありません。
切除した痕が治っても、中耳炎や悪化させる原因となっている鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの治療は、継続して行う必要があります。

(参考)アデノイド切除術|老木医院
こちらのページでは、アデノイド切除術の目的をはじめ、術後の外来通院などについて説明されています。
(参考)耳鼻咽喉科におけるコブレーション手術:アデノイド手術を中心に|口咽科 23 : 1 ;49 ~ 54, 2010
こちらのページでは、高周波を利用したコブレーション法でアデノイド切除などを行い、手術内容や効果・術後の通院などについて、詳しく解説されています。

退院後の注意点:退院後1週間はなるべく安静に

前述した通り、アデノイドを切除したからといって、中耳炎が完治するわけではありません。

頻度は少ないですが、家庭での万が一は”一大事”に繋がりかねないので、アデノイド切除部分からの再出血を予防するため、退院後も1週間くらいはなるべく安静に過ごしたいですね。

また、中耳炎の原因となりうる感染症予防のために、日頃から風邪を引かないように注意しましょう!

退院後の過ごし方のポイントは、下記の通りです。

  • 安静に過ごす。
    →特に口蓋扁桃も一緒に摘出した場合は、手術後2週間程度、出血する恐れがあります。
  • 入浴
    →温まりすぎると、痛みや出血リスクが上がるので、さっとシャワー程度が無難です。
  • 食事
    →固いものや大きな塊などは、かさぶたが取れて、出血の恐れがあるので、柔らかいものを食べると良いでしょう。
    また、すっぱいものやしょっぱいものは、傷が滲みる場合があるので、薄めの味つけが良いでしょう。
  • 運動
    →退院後1週間程度は、激しい運動は避けましょう。
  • 普段の生活
    →風邪を引かないよう、うがい・手洗いの励行。
    鼻水は片方ずつゆっくりかんで、鼻の通りをよくしておきましょう。

気になることは主治医に相談!納得してから手術を

アデノイドは免疫組織の一部なので、「切除してしまうと、免疫が落ちるのでは?」と心配され、切除手術を躊躇する親御さんもいるかもしれません。
しかし、近年「切除しても感染症になりやすくなる訳ではない」と報告されており、6歳頃には免疫が大人に近づいて来ることや切除しても他の扁桃が役割を代償していると考察されています。

また、どんな手術でも、メリットとデメリットが存在します。

ちょうどアデノイド手術が適応となる時期は、幼児期の成長が著しい時期と重なるため、いびきが酷かったり、口呼吸になってしまっていたり睡眠障害がある場合には、デメリット(合併症リスク)がメリット(手術の有用性)を上回ると考えられています。

もし、かかりつけ医から「アデノイド切除」を提案された場合、まずはしっかり医師の話を聞いた上で、分からない部分があれば納得するまで説明を受けて、すっきりしてから手術に臨むようにしたいですね。

(参考)扁桃・アデノイドの基礎知識と手術治療に関連する問題点|日耳鼻 119:701-712,2016
こちらのページでは、札幌医科大学医学部耳鼻咽喉科の先生によって、扁桃・アデノイドの基本的機能や肥大メカニズムについて、説明されています。(扁桃摘出による免疫学的異常については、P.9)

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