鼻水・鼻づまり放置はNG!子どもに多い中耳炎の症状と原因・治療法・体験談
子どもがよくかかる疾患の一つに「中耳炎」があります。
この中耳炎とは、日本の子どもたちだけでなく、世界各国の乳幼児がよくかかる病気の一つなのです。
一般的には、「中耳炎=急性中耳炎」とされています。
中耳炎というと、急に「耳が痛い・耳の中が腫れる・発熱」などの症状が出る、「鼓膜を切開して治す」というイメージがあるかもしれません。
しかし、中耳炎の中には、耳が痛い・発熱といった自覚できる症状がない中耳炎(滲出性中耳炎)や何度も繰り返してしまう中耳炎(反復性中耳炎)もあります。
今回は、中耳炎(急性中耳炎・滲出性中耳炎・反復性中耳炎)の種類別症状や原因、治療法等の概要を体験談と共にご紹介します。
また、子どもに中耳炎が多い理由、中耳炎の時の過ごし方(保育園・幼稚園への通院やプール・お風呂)についても、確認していきましょう。
1.3歳までに85%は罹る!?子どもに多い「中耳炎」の症状・原因
小児急性中耳炎診療ガイドライン2013によると、生後1歳までに62%、3歳までに83%が1回は罹患するという欧米の調査結果があります。
また、日本の調査でも1歳をピークとして幼児期に発症する頻度が高いとする結果が出ています。
子どもの「中耳炎」症状-耳の痛み・発熱・難聴・腫れ
中耳炎とは、耳の穴の奥にある鼓膜や鼓室・耳小骨がある部分「中耳」に炎症が起こったり、液体が溜まったりすることで、耳が痛むなどの症状が現れます。
(画像)耳の構造図|フリーメディカルイラスト図鑑
ひとたび中耳に炎症が起こると……
・耳の痛み
ズキズキする痛み。膿が鼓室(鼓膜の内側にある空気が入った場所)に溜まると、鼓膜が腫れてかなり痛い。
入浴後、就寝後に悪化することがあります。
※赤ちゃんの場合は、痛みから機嫌が悪くなる、ぐずる、耳を触るといった態度で示すことが多い。
・腫れ
鼓膜が赤くなり、膿が溜まると腫れます。
・発熱
熱が出ることがあります。微熱(37度台)から38度以上になることも。
3日くらいで下がることが多い。
・耳だれ
炎症により鼓膜が破れ、鼓膜の奥に溜まっていた膿が流れでた状態。
・めまい
耳だれが続いていると、内耳の働きが悪くなってきて、めまいが起こる場合があります。
・耳の閉そく感(耳の違和感)
鼓室に膿や滲出液(しんしゅつえき)*1が溜まるため、耳が塞がっているような感じがする。
お子さんによっては「耳が変な感じ」と訴える場合も。
*1 滲出液:中耳腔の細胞内から滲み出た炎症性の水
・難聴(聞こえが悪い)
膿が溜まったり、鼓膜が破れたりすると起こりやすい。
一時的なものがほとんどだが、乳幼児は自覚しにくい。
風邪・鼻炎に要注意!子どもの「中耳炎」の原因
急性中耳炎の一番の原因は、細菌やウイルスが中耳内で感染することです。
病原体(病気のもと)となるウイルスは、15歳以下のお子さんの場合インフルエンザ菌が一番多く、他には肺炎球菌やモラクセラ・カタラーリス等も多いとされます。
■耳の奥に位置する「中耳」に病原体が入ってしまう理由
中耳(鼓膜の内側)にある”鼓室”には、空気が入っていますが、ここの空気は、鼻の奥にある耳管(じかん)から入ってきます。
そのため、鼻から息を吸う時、空気以外にも病原体となりうる細菌やウイルスも一緒に耳管を通って、入ってきてしまうからなのです。
そして、鼓室内に侵入した病原体が増殖し、”感染”を起こしてしまうと、耳が痛いなどの症状が現れるのです。
風邪を引いた時に、一緒に中耳炎になってしまうお子さんが多いのも、こういった理由からなのです。
なお、赤ちゃんの場合は、吐いたミルクが耳に入ってしまうことで、炎症を起こす場合もあります。
子どもが「中耳炎」になりやすい理由
では、中耳炎はどうして子どもの発症が多いのでしょうか?
①耳自体(構造)の問題
子どもの耳管を大人の耳管と比較すると、以下の特徴があります。
- 耳管が太く、短く、傾きが水平に近い
→大人の耳管は、細く・長く・角度が付いているので鼻から入った菌が入りにくいのですが、子どもの耳管は逆で「太く、短く、傾きが水平に近い」ため、菌・ウイルスが入りやすい。
(画像)大人と子供の耳管の違い|子どもの鼻水・鼻づまり~鼻と耳の関係 梅華会
こちらのサイトでは、鼻水・鼻づまりの原因や家庭でできるケア等について、詳しく解説されています。
- 耳の外と中との気圧を調整する能力が未熟
→飲み込むことで、自然に耳抜き(耳の外と中との気圧調整)できるなど耳管の換気能力は、7歳以上になると発達してくるとされています。
他にも、小さなお子さんの場合、うまく鼻がかめない場合が多いこと・アデノイド(咽頭扁桃)が大きすぎて、耳管の開口部を塞いでしまう場合があるといった、子ども特有の問題があります。
また、ダウン症候群や先天的な構造異常(口蓋裂など)があるお子さんについても、中耳炎を発症しやすいとされています。
②免疫学の問題
- 母体からの抗体の移行がなくなる
→生後6か月~12か月で母体からの抗体移行がなくなるため、免疫機能が発達してくる2歳くらいまでは風邪をきっかけになりやすい。 - 肺炎球菌に対する抗体の発達が未熟
- 原発性免疫不全症を患っている場合
→半年に3回または1年に4回以上中耳炎になっている場合には、疑われる。
③環境の問題
- 兄弟姉妹がいる・保育園や幼稚園に通っている(集団保育)
→中耳炎を繰り返す子ども(乳幼児)の75%は、2歳未満の保育園児であり、きょうだいの通園を含めると96.5%という全国調査の結果も。 - おしゃぶりの使用・授乳姿勢
→おしゃぶりの使用や子どもが仰向けになった状態での授乳は、耳管圧の変化を起こしやすいため、耳管感染がおきるとされる。授乳の時は、少し頭を高くしてあげるとよい。 - 母乳栄養の有無
→人工栄養のみの乳児は、母乳&混合栄養の乳児に比べ、中耳炎罹患率が高いとの調査結果(アメリカ)があるため、米国小児科学会(AAP)のガイドラインでも生後6ヵ月までは母乳栄養が推奨されている。 - 両親の喫煙
→身近な母親の喫煙は、中耳炎の高リスクとなる。特に両親ともに喫煙している場合、中耳炎の原因菌となる肺炎球菌の保菌率が高いとされている。 - ワクチン接種の有無
→ウイルス感染は、免疫力や耳管機能の低下を招きやすく、中耳炎発症リスクとなる。
インフルエンザ・肺炎球菌は、日米の中耳炎ガイドラインで推奨されている。
また、これまで7価だった肺炎球菌のワクチンが、2013年11月より13価となり、さらに定期接種となったため、中耳炎を起こす原因菌の中で肺炎球菌の割合は、減少している。
このように大人に比べ、子どもはそもそも耳の構造的に細菌やウイルスが入り込みやすく、さらに免疫が未熟であること、周りの環境に影響されやすいことから、中耳炎になりやすいのです。
(参考)日本小児感染症学会若手会員研修会第5回福島セミナー|小児感染免疫 Vol. 26 No. 4 503
こちらのページでは、子どもに中耳炎が多い理由について、解説されています。
(参考)反復性中耳炎の危険因子とその対応―環境因子としての保育園の現状とその対応―|第6回日本小児耳鼻咽喉科学会 シンポジウムⅠ 伊藤真人 小児耳 2011;32(3): 254・257
こちらのページでは、反復性中耳炎の原因となる「環境的社会的因子」の中でも「集団保育」の現状と対策について、解説されています。
2.「中耳炎」の種類と治療法-症状・鼓膜所見・反復性で判断
「中耳炎」は、症状や鼓膜の状況、反復しているか否かによって、
- 急性中耳炎:鼓膜の裏に膿が溜まって、耳の痛みや発熱が急に現れる。
- 滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん):鼓膜の裏に液体(滲出液)が溜まって、耳の閉そく感・聞こえが悪くなる。
- 反復性中耳炎:過去6ヵ月以内に3回以上、12か月以内に4回以上急性中耳炎にかかる。
と分けられています。
急性中耳炎-風邪の後に耳の痛みや腫れ・発熱。炎症期間が3週間以内
- 【症状】:突然の耳の痛み・鼓膜の赤みや腫れ・耳だれ・発熱・耳の閉そく感
- 【好発年齢】:3歳以下の乳幼児に多い
- 【治療法】:経過観察、薬物治療(抗菌剤アモキシシリン+症状に合わせた治療-解熱鎮痛剤アセトアイノフェン等)や鼓膜切開
急性中耳炎を発症した際に、特に気を付けたいのが、発熱や耳の痛みといったツライ症状がなくなっても、自己判断で通院を止めないこと!
鼓膜の奥に膿が残っている場合もあり、素人にはなかなか分かりません。
きちんと治しきらないまま放置していると、聞こえが元に戻らず「滲出性中耳炎」へ移行したり、何度も中耳炎を繰り返す「反復性中耳炎」となってしまったりするケースがあるのです。
鼓膜の奥の膿がなくなるまで、少し時間(数週間~数か月)がかかりますが、医師の指示に従い、しっかり治すことが大切です。
また、小児急性中耳炎診療ガイドライン(2013年度版)によると、重症度は「年齢×臨床症状×鼓膜所見」によって分類されています。
特に、鼓膜の状況が最重要視され、重症度によって推奨される治療法が異なっています。
■「急性中耳炎」重症度分類スコア表
当てはまる項目の部分の点数を加算し、合計点で簡易的に重症度を判断します。
※実際の診療は、この限りではありません。具体的な状態や治療法等については、医師と相談の上、決定されます。
■「急性中耳炎」重症度別推奨治療
①軽症:耐性菌増加を防止するため、すぐに抗菌剤は飲まず、3日経過観察。改善がなければ、抗菌剤服用。
②中等度:抗菌剤3日間服用し、改善の有無を判断しながら、薬の継続や変更を判断。
③重症:鼓膜切開+抗菌剤(アモキシシリン以外)
【体験談】鼻水からの「急性中耳炎」。痛みが無くなっても、しっかり治療して完治。
土曜の深夜12時頃に2歳半の次女が急に耳が痛いと泣きだした。
右耳が痛いらしく、右耳を押さえて、耳が痛い~とひたすら泣く。
前日からだいぶ鼻水が出ていたので、中耳炎かもと予想してネットで調べてみるとやっぱり中耳炎っぽい感じ。30分くらい泣くと再び寝るの繰返しを朝まで続けた。
親としてはだいぶげんなりだったが、朝になると何事もなかったように元気になった。
でも、中耳炎の場合は病院に行った方がいいらしいので、日曜にやっている耳鼻科を調べると意外と無い。痛いと言ってた右耳も耳垢が詰まってましたが、どけてみるとやっぱり中耳炎とのこと。
鼻水が耳に流れ込んで中耳炎になった可能性はあるとのこと。
深夜に痛い!と泣いていたときは膿が鼓膜の内側に溜まり圧迫していたのでとても痛かったけど、鼓膜が破れて膿が外に出てしまうと痛くないらしい。いろいろ納得して、点耳薬と抗生物質の処方箋をもらい(近くの薬局が浅賀耳鼻科が当番医ということで日曜なのに開けてくれていた)、来週、再度地元の耳鼻科に行ってくださいと言われ終了。
翌週再度、地元の耳鼻科に行くと、完全には治っていないので再度点耳薬と抗生物質をもらい翌週再度通院してまだいまいち治ってなかったので、薬を飲み、翌々週に再度通院して完治しました。
中耳炎って結構時間がかかるんですね。でも慢性化すると本当に大変と聞くのでしっかり治せてよかった。
(引用元)深夜の中耳炎発症。意外と長引いた
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)-中耳炎の発熱や痛みは無くなったのに、聞こえにくいのが治らない
- 【症状】:耳の閉そく感(詰まったような感じ)・難聴(聞こえが悪い)・耳が変だと感じる(違和感)
→乳幼児の場合、耳を触る・頭を振る・呼びかけへの反応が鈍くなるなど。 - 【好発年齢】:6歳以下の乳幼児に多い。(3歳~10歳に多い)
→1歳までに半数以上、2歳までに60%以上、小学校入学までに90%のお子さんが1回はかかる調査結果も。 - 【治療法】:まずは3か月程度、経過観察(中等度以上の難聴・鼓膜の変化がある場合は除く)
- 経過観察後、改善していないが、鼓膜の病的変化ナシ
→薬物療法(耳の治療+鼻の治療)や耳管通気(じかんつうき)*4
*4耳管通気:鼻から耳に空気を送り、中耳の圧力を正常に戻す治療法
※耳の治療……中耳に溜まっている液体を出しやすくする薬(粘液溶解薬:カルボシステイン)と鼻の治療……鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎、アデノイド炎症などの治療薬を並行して行う。 - 経過観察後、改善してないが、鼓膜に病的変化アリ
→手術治療(鼓膜換気チューブ留置術・鼓膜切開・アデノイド切除)
- 経過観察後、改善していないが、鼓膜の病的変化ナシ
子どもの難聴の原因で一番多いのが、この「滲出性中耳炎」です。
原因として多いのは、急性中耳炎が治りきらず、鼓膜の内側の膿が滲出液となり、残ってしまうことです。
鼻の病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎等)・喉に慢性的な炎症がある場合やアデノイドが大きい場合にも、耳管の働きが悪くなり、滲出性中耳炎になりやすいとされています。
【体験談】耳をしきりに気にしていた赤ちゃん、半年間の薬物治療で「滲出性中耳炎」が完治
息子が耳の違和感を気にするようになったのは、生後10ヶ月になった頃のことでした。
初めはしきりに耳を気にするような仕草を見せ、そのうち、耳の穴に指を入れて何度も繰り返し掻きむしるようになりました。
さすがにこれはおかしいと思い、耳の奥の方を覗き込んでよく調べてみたところ、耳の奥から黄色い液体が次々と滲み出てきていることに気が付きました。それと同時に、耳の奥から強い臭いもしてきたので、さすがにおかしいと思い、急いで耳鼻科に電話で連絡をしました。耳鼻科では専用の器具で耳の中を詳しく見てもらい、洗浄を行いました。その後、念のためにCT画像も取りました。そこで、『滲出性中耳炎』と診断されました。
滲出性中耳炎は、鋭い痛みを伴う中耳炎とは異なり、症状が進むまで目立った痛みや自覚症状があまり無いのが特徴で、とくに乳幼児の場合は発見が遅れやすいという説明を受けました。
子供の場合は自然治癒するケースが多いそうで、まだ1歳前と年齢が低かったこともあり、とくに切開などは行わずに、治療は耳鼻科での定期的な耳の掃除と洗浄、自宅での朝晩2回の点耳薬と、シロップを飲むことを続けました。
滲出性中耳炎の完治までに半年ほどかかりましたが、今は無事に治り、元気に過ごしています。
反復性中耳炎-半年に3回以上、年間4回以上中耳炎を繰り返す
- 【症状】:突然の耳の痛み・鼓膜の赤みや腫れ・耳だれ・発熱・耳の閉そく感
- 【好発年齢】:2歳以下に多い
- 【治療法】:
①薬物治療(抗菌剤) ※投与前に細菌感受性検査を行い、適切な投与量の確認が必要。
②漢方薬(十全大補湯)
③鼓膜換気チューブ留置
反復性中耳炎の定義は、国内外で標準化されたものはありません。
小児急性中耳炎診療ガイドラインの中では、最近の論文で汎用されている「6か月以内に3回以上、12か月以内に4回以上」を採用しています。
また、急性中耳炎を繰り返すパターンと滲出性中耳炎の時に、急に悪化して急性中耳炎を繰り返すタイプに分かれます。
【体験談】保育園に行き出した年、1年に4回も中耳炎再発。
子供は中耳炎になりやすいと、家族から聞いていましたがこんな早い時期で中耳炎で何度も通院しないといけなくなるとは思いませんでした。
初めて耳鼻科へ行ったのは6ヶ月ごろです。保育園に行きだし、すぐに常に鼻水がズルズルでるようになってしまいました。
最初は小児科に通っていたのですが、なかなか完治せず。
頻繁に高熱も出すようになり機嫌の悪い日が多くなりました。
相談してみたところ耳鼻科のほうがいいかもと言われ近くの耳鼻科へ。診察してもらうと中耳のなかに膿がたまり、鼓膜を圧迫しているとのこと。
高熱も、中耳炎からくるものでした。1度目は投薬してもらいましたが、それでもぐずりが多かったので先生に相談してみると切開しましょうとのことでした。
まだ6ヶ月で泣き叫び、処置は可哀想でしたが痛みから解放してもらえるならと思い了承しました。
切開は、長い針のようなものでぷすっと刺すだけでした。翌日もう1度見せにいきました。
小さいうちは鼓膜を切開しても塞がるので、何の問題もないそうです。その後1年くらいは中耳炎を繰り返し、4回ほど切開することになりましたが、3歳くらいから風邪を引かなくなり、それと同時に中耳炎もピタッとなくなりました。
(参考)小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年|日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科感染症・日本エアロゾル学会-編
こちらのページでは、小児急性中耳炎診療ガイドライン最新2013年版が確認できます。
(参考)小児滲出性中耳炎診療ガイドラインについて|小児滲出性中耳炎診療ガイドライン作成委員会
こちらのページから、2015年に初版が出た小児滲出性中耳炎診療ガイドラインについて、一般向けに分かりやすく説明された解説書が確認できます。
3.「中耳炎」の予防法-鼻の通りを良くしておく!
小さいお子さんの場合、しょっちゅう風邪を引いて、鼻水・鼻づまり・喉の炎症などを起こしてしまう……なんてことも、よくありますよね。
前述した通り、鼻や喉(上咽頭)と耳は、耳管という管でつながっています。
また、お子さんの耳の耳管は、太く、短く、傾きが水平に近いため、構造的に鼻から入った細菌・ウイルスが耳に行きやすくなっています。
そのため、中耳炎のきっかけで一番多いのは、「風邪」!
中耳炎を防ぐために、普段から気を付けたいこと
中耳炎を予防するには、「風邪を引かない・鼻水鼻づまりをしっかり治療すること!」が何より重要です。
- うがい手洗いで風邪予防
- 鼻水・咳や痰が続く場合は、病院でしっかり治療する
→鼻のかみ方は、片方ずつゆっくりかむようにしましょう。鼻水吸引はオススメです。 - 栄養の偏りをなくす
→繰り返し中耳炎になる子どもは、病原菌に対する免疫応答*5が低いことが関係しているという調査結果もあるため、栄養に偏りがないようにしましょう。
*5免疫応答:異物(抗原)を認識し、排除するための免疫が作られるまでの生体反応 - 母乳栄養を与える
→母乳は母体からの免役が含まれています。母乳哺育がない子どもは、反復性中耳炎の発症において、高リスクとされています。 - おしゃぶりを常用しない
→急性中耳炎と反復性中耳炎の危険因子となると、調査報告されています。 - ワクチン接種
→中耳炎を起こす原因菌には、肺炎球菌やインフルエンザウイルスがあります。ワクチン接種には、これらの細菌やウイルスからくる上気道炎(鼻からのどの炎症)の予防ができるので、ひいては中耳炎の予防となります。
また、2歳以下のお子さんの場合、集団保育を受けている・兄弟姉妹がいる・両親が喫煙していることなどの生活環境も反復性中耳炎の発症や治りにくくする危険因子となっています。
(参考)Systematic literature review of modifiable risk factors for recurrent acute otitis media in childhood|José Faibes Lubianca Neto, 1 Lucas Hemb, 2 Daniela Brunelli e Silva (原文英文)
こちらのページでは、反復性急性中耳炎のリスク因子に関する研究調査の結果がダウンロードできます。
4.プール・お風呂はどうする?保育園・幼稚園は行っていい?「中耳炎」の時の過ごし方
中耳炎を発症して、一番つらいのはお子さん本人ですが、しんどそうな我が子を見るのは、親御さんにとっても本当に辛いですよね。
さすがに、発熱中や耳の痛みが強い等、辛い症状が現れている時であれば、お風呂・プールや登園・登校など控える方が多いことでしょう。
では、発熱や痛み等が落ち着き、お子さんの辛い症状がなくなった後は、どうすればよいのでしょうか?
子どもが中耳炎の時の過ごし方①お風呂やプール
「耳に水が入ると、中耳炎になる」として、昔は「プールは全面禁止」と言われていました。
昔は、急性中耳炎を患った後、鼓膜に傷がついて穴が開いたまま放置していた人も少なくないと、推測されています。
現代と比べ不衛生な人が多かった時代、鼻垂れ・耳だれを起こしたまま、お湯や水に入っていたとも考えられ、さらに鼓膜に穴が開いたままの人が不衛生なお湯や水に入ることで、中耳炎になっていたとも考えられています。
しかし、近年は考え方が変わってきて、日本耳鼻咽喉科学会の方針でも「原則中耳炎が治り、医師の指示があるまでは止めた方がいい」とし、全面禁止ではなく、「止めておいた方が良い」と柔らかいニュアンスに変わっています。
そのため、医師の考え方にもよりますが、中耳炎が完治していなくても、鼓膜の状況が良ければ、プールやお風呂に入ってもOKとするケースが多くなっています。
とはいえ、全面的にOKという訳ではないので、注意点を確認してみましょう。
■お風呂で気を付けたいこと
- 中耳炎が完治していなければ、お風呂はサッと入る。
→頭部が温まることで、耳の中の血流が良くなり、痛みが増す場合も。 - 普通に入るのはOKだが、潜る・飛び込むことはNG!
→耳に水が入る可能性があり、中耳炎を悪化させる場合も。 - 発熱・耳の痛み等の急性期や耳だれが起こっている時は、避ける。
- 耳にチューブが入っている時も、普通にOK。
→なるべく水が入らないようにする。耳に綿等をつめるとより安心。
■プールで気を付けたいこと
- 発熱・耳の痛み等の急性期や耳だれが起こっている時は、避ける。
- 潜る・飛び込むことはNG!
→中耳炎を悪化させる可能性がある。 - 耳にチューブが入っている場合には、耳栓と水泳キャップ併用。
- 鼻の調子が悪い時は、プールは避ける。
→プールの塩素消毒は、鼻の粘膜に良くなく、プールで体が冷えることも鼻の症状が悪化し、中耳炎も治りにくくなる原因となる。
プールが好きなお子さんも多いですよね。
中耳炎でもお子さんの状況によっては、プールに入っても大丈夫な場合もあります。
自己判断せず、必ずかかりつけ医によく相談しましょう!
(参考)3443通信 80話 水泳と中耳炎|三好耳鼻咽喉科クリニック
こちらのページでは、水泳と中耳炎をテーマに、対話形式で分かりやすく説明されています。
(参考)こどもの中耳炎とプールこどもの中耳炎とプール|目黒区医師会
こちらのページでは、中耳炎のときのお風呂の入り方やプールで気を付けることなど、詳しく説明されています。
子どもが中耳炎の時の過ごし方②登園・登校
中耳炎の時、保育園や幼稚園、学校は行っていいのか?
うつるものでもないから、平気かな?
この問題は、働いている方にとっては、特に気になるところですよね。
■保育園・幼稚園・学校の登園・登校で気を付けたいこと
- 耳が痛い・発熱など急性期症状が出ている間は、休んだ方が良い。
- 一時的にでも、2歳未満は集団保育を避けることも治療の一環となる。
→急性期症状が落ち着いても、2歳未満は免疫が未熟なので、新たな菌を貰い、より再発しやすくなります。 - 小学生以上は、急性期症状が落ち着いたら、登校OK。
→きちんと鼻をかむ、手をよく洗うなど、自分で身の回りのことができる場合
また、集団保育の中で、中耳炎に何度もかかり治りにくいお子さんは、中耳炎の原因菌が抗菌薬の効きにくい耐性菌に変化している場合が多いとされています。
(参考)小児急性中耳炎診療ガイドライン解説書|小児急性中耳炎診療ガイドライン作成委員会
こちらのページでは、診療ガイドライン2009年度版(旧版)の一般向け解説書が確認できます。
※基本的な内容に変更はありませんが、付録として掲載されている治療の進み方は、最新2013年版と若干異なる部分がありますので、ご注意ください。
中耳炎が長引いても、治療は中断しない!
一見、熱や痛みが無くなって、中耳炎が治ったように見えても、耳の中では治ってない場合があります。
治療を放置することで、悪化し難聴に繋がってしまう可能性もあるのです。
こまめな通院は大変かもしれませんが、少しずつ治していきましょう!
また、鼻通りを良くしていることは、中耳炎の予防にもなります。
鼻の調子が悪い時は、耳鼻咽喉科医に診てもらうと安心ですね。
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