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2018年5月15日更新

自宅でできる中耳炎対策(応急処置・鼻水吸引)と治療薬(抗生物質等)の効果・副作用

突然の耳の痛み・発熱・耳が腫れる等の症状は、「中耳炎」かも。自宅でできる応急処置(市販薬)や鼻水吸引器の種類別メリット・デメリットと治療効果を高める耳管通気、処方薬(抗生物質・粘液溶解薬・漢方薬)の効果や副作用について、今回ご紹介します。
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急に耳が痛くなる・発熱する・耳の聞こえが悪くなる「中耳炎」。
一般的には、「急性中耳炎」のことを差します。

中耳炎の主な原因は、鼻から入った細菌やウイルスなどの病原体が耳管(じかん:鼻・口と耳を繋いでいる管)を通じて、耳に入ってしまうこと。
大人もなる場合がありますが、子どもの耳管は太く・短く・傾きが水平に近いので、免疫力の弱い小さなお子さんに多い病気です。

特に急性中耳炎は、耳の痛みが強く出ることが多いので、お子さんでは大泣きしまうことも。

今回は、中耳炎症状の応急処置(使える市販薬など)や鼻水吸引(器具別メリット・デメリットやコツ)など自宅で行える中耳炎対策と中耳炎になりにくい耳環境にするための人工的な耳抜き「耳管通気・自己通気」、中耳炎治療で使われる処方薬(抗菌薬・粘液溶解薬・漢方薬)の効果や副作用などについて、ご紹介します。

目次

1.急に耳が痛い……もしや中耳炎!?自宅でできる応急処置

風邪が治りかけに耳が痛くなることが多い、子どもの中耳炎。

耳の痛みは、ずっと継続して痛い訳ではなく、痛くなったり、少し落ち着いたりを繰り返すことがよくあります。
急性中耳炎の場合、血流が良くなる・広がることでお風呂の後や就寝後に、急に痛み出すことが多いという特徴があります。

また、耳の痛み以外にも発熱や耳だれしている場合や特にお子さんは痛みで大泣きしていることが多いため、親御さんも焦ってしまうのも無理はありません。
しかし、「高熱でけいれんを起こしている」「持病がある」場合以外は、急いで救急受診しなくとも、ひとまず持ち合わせの鎮痛薬を服用で対処できることがほとんどです。
※あくまでも目安ですので、不安な場合は市区町村の医療相談窓口などへお問い合わせください。

応急処置①痛み止め(処方薬・市販薬)の服用

アレルギーなどなければ、速やかに鎮痛薬を服用して、様子見をしましょう。
座薬は、15分くらいで効き始めるので、お薬の服用が苦手なお子さんにオススメです。
なお、痛み止めを服用しても、全く痛みが引かない場合には、救急受診を検討すると良いでしょう。

  1. 【処方薬】アセトアミノフェン(商品名:カロナール・アンヒバなど)
  2. 【市販薬】小児用バファリン(3歳~)、ムヒのこども解熱鎮痛顆粒(1歳~)、こどもパブロン座薬(1歳~)
    ※大人が急性中耳炎を発症した場合:タイレノール、バファリンA、ロキソニンS、新セデス錠、リングルアイビーなど

(参考)急性中耳炎・子供編|医療法人立石医院
こちらのページでは、子どもの急性中耳炎が疑われる際の応急処置に使えるお薬について、丁寧に説明されています。
(参考)家庭で知っておきたい耳鼻咽喉科の救急|一般社団法人 広島県医師会
こちらのページでは、耳が痛い症状についての解説や救急を受診する際の目安について、詳しく説明されています。

応急処置②痛いところを冷やす

耳の下や後ろを水で濡らしたタオルで冷やすだけでも、痛みが和らぎます。

応急処置③痛みが治まっていても、翌日に耳鼻科を受診すること

翌朝になると、痛み・発熱など症状が治まっている場合もありますが、耳の中の炎症は治っていないことがよくあります。
そのまま放置していると、難聴の原因となる滲出性中耳炎や繰り返す反復性中耳炎に移行することがありますので、必ず耳鼻咽喉科を受診しましょう!

また、応急処置で市販薬などを服用した場合には、必ず診察の際に申告しましょう。

2.「鼻水の吸引」で中耳炎治療の効果UP!

子どもに多い中耳炎ですが、その理由は「うまく鼻をかめずに、鼻水が鼻の奥に残ってしまっている」というところにも問題があります。

中耳炎治療で鼻水を吸引した方が良い理由

中耳炎を防ぐには、「鼻の通りを良くしておくこと」がとても大切です!

風邪を引いて鼻水が出ていると、耳管を通じて病原菌が耳に入りやすくなるため、急性中耳炎を発症しやすくなります。
また、副鼻腔炎が起こっている場合には、粘っこい鼻水が鼻の奥からのどに向かって流れるので、耳管が塞がり、膿が溜まる滲出性中耳炎になりやすくなります。

特に、中耳炎になりやすい乳幼児期は、耳の外と中との気圧を調整する能力が未熟で、さらにうまく鼻をかむことができないといった子どもならではの問題があるからこそ、病院でしっかり鼻水を吸って、できるだけ鼻の通りを良くしておくと、中耳炎が発症しにくくなる、また早期治癒に繋がるのです。

おうち用鼻水吸引器の種類別メリット・デメリット

こまめに鼻水を吸引した方が良いと分かっていても、毎日病院へ鼻水吸引をしに行くのも、意外と大変ですよね。
最近は、おうちでも鼻水吸引ができる器具がドラッグストアやネット通販などで販売されています。

①口で吸い上げるタイプ

【特徴】:0歳から使える。吸う人のさじ加減で使えるお手軽鼻吸い器。
【価格】:1,000円前後
【メリット】:価格が安い、吸引力の加減ができる、パーツが全部分解できて洗える、軽いので持ち運べる
【デメリット】:うまく吸引できるかは、吸う人次第。力加減など慣れが必要な場合も。鼻水が大量の場合、稀に逆流する可能性があるため、親が感染するリスクも。

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②スポイト式・ポンプ式タイプ

【特徴】:軽量なので持ち運べる上、親の感染リスクがない。
【価格】:1,000円前後
【メリット】:価格が安い、軽いので持ち運べる(フタ付きの場合)、親が感染するリスクがない、パーツが取り外せて、消毒や洗える商品もある
【デメリット】:他のタイプと比べ、吸引力が弱い。鼻水が多いと、一度で吸いきれない場合も。

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③電動タイプ

【特徴】:高価だが、パワフルな吸引力で、買って良かったという声が多い。親の感染リスクがない。
【価格】:10,000円前後
【メリット】:吸引力が強い。親が感染するリスクがない。取り外せて洗える機種も。
【デメリット】:費用が高い。音が大きいので、最初は怖がるお子さんも。コンセント式の機種は使える場所が限られる。

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おうちで鼻水吸引のコツ

おうちで鼻水吸引するときのポイントは……

  1. しっかりホールドして、パッとやる
    →大人の足の間に子どもを寝かせ足で挟むと、楽に子どもの手足も一緒に固定できます。
  2. 鼻を温める
    →温めたタオルを鼻に乗せる・お風呂で行うなど
  3. 吸引の先は軽く入れ、角度を色々変える
    →鼻の穴から上向きに吸引先を入れます。その後、吸引先が垂直になるような角度に変え、垂直方向を保ちつつも色々角度を変えてみると、鼻水が出てくるポイントが見つかります。(※粘っこい鼻水は、鼻の奥の喉に近いところに溜まっていることが多い)
    吸引先の入れ過ぎに注意!
  4. 姿勢
    →小さなお子さんの場合、授乳するような体勢(横向きに膝に寝かす)など
  5. 加湿
    →乾燥しているよりも鼻が通りやすくなる。加湿し過ぎに注意!

鼻に入れるという状況や寝ころんで何かすること自体、怖く感じるお子さんも多いかもしれません。
さらに「ちゃんとできるかな?」「なんだか怖いな」といった親御さんの不安な気持ちも、不思議とお子さんにも伝わってしまうもの。
まずは親御さんがリラックスして、やる時はパッと済ませることが、お互いのためです。

また、「鼻水を吸うとスッキリする!」ということが分かれば、小さなお子さんでも次第に嫌がらずに鼻水吸引できるようになるでしょう。

(参考)こどもの鼻水吸引の方法|耳鼻咽喉科かめやまクリニック
こちらのページでは、副鼻腔炎のとき鼻水が喉の方に流れる様子や吸う方法をイラストとともに詳しく説明されています。
(参考)赤ちゃん・子どもが嫌がるシリーズ「鼻水編」|認定NPO法人ノーベル
こちらのページでは、病児保育室スタッフによる鼻水の吸い方や拭き方など鼻水ケアについて、イラストを交えて、丁寧に説明されています。

3.滲出性中耳炎の治療「耳管通気(じかんつうき)」

子どもの難聴の中でも一番多い原因は、耳に液体(滲出液)が溜まる滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)です。

一般的に耳に溜まった滲出液は、中耳の粘膜に吸収されるか、耳管(鼻・口と耳を繋いでいる)の換気機能がきちんと働いていれば、耳管を通じて、自然に鼻から抜けていきます。

しかし、鼻の病気やのどに炎症がある人は、耳管の換気機能が悪くなったり、中耳の粘膜が炎症してしまったりするので、耳に滲出液が溜まってしまうのです。

耳管通気とは?……人工的な「耳抜き」で中耳を換気

鼓膜に病的変化や中等度以上の難聴がない場合には、人工的な耳抜きで中耳の換気をして、中耳の圧力を正常に戻す通気療法「耳管通気」という処置を病院で行います。

耳管通気は、抗菌薬(抗生物質)や粘液溶解薬といった薬物療法と並行して行うことで、治療効果が上がるとされています。

耳管通気のやり方・通院期間

耳管通気のやり方には、「耳管カテーテル法」と主に小さなお子さん向けの「ポリッツェル法」の2種類があります。
どちらも鼻から耳へ空気を通す処置となり、一般的に2~3か月間は定期的に通院して、通気を行います。

(参考)医療法人梅華会グループ 中耳炎の症状と治療
こちらのページでは、耳管通気など滲出性中耳炎の治療法について、詳しく説明されています。

推奨は1日3回以上!自宅で行う「自己通気」

小児滲出性中耳炎診療ガイドラインでは、耳管機能の改善に効果的な耳管通気は、頻回実施することでより有効だとして、耳鼻咽喉科で外来での耳管通気と一緒に自宅で行う1日3回以上の自己通気を推奨しています。

■自己通気のやり方

自己通気は、鼻で風船を膨らませることで、鼻と耳の通気を良くします。
そのため、「鼻風船」と呼ばれることも。

自己通気の詳しいやり方については、下記の動画をご覧ください。

(出典)動画でわかるオトヴェントによる自己耳管通気(日本語字幕)|株式会社名優
こちらでは、自己通気のやり方が動画で説明されています。

自己通気療法後に再発した場合でも、再び自己通気を行うことで、90%以上が改善したとする報告もあります。

また、飛行機に乗るたびに耳が痛くなる場合にも、耳抜きの練習となり予防にオススメです。

■自己通気の注意点

自己通気用の風船は、ネット通販でも¥2,000前後と手軽に手に入れることができます。

しかし、鼻水が多いときなど上気道感染時に使用すると、逆に急性中耳炎を誘発するなど悪化することがあります。
必ず耳鼻咽喉科を受診し、医師の指導の下、使用するようにしましょう!

(参考)オトヴェント|たかむら耳鼻咽喉科
こちらのページでは、自己通気「オトヴェント」について、詳しく解説されています。
(参考)小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年|日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会編
こちらで、自己通気療法の有効性を含む、最新の小児滲出性中耳炎診療ガイドラインが確認できます。

4.中耳炎治療で使われる薬-抗生物質(サワシリン・クラバモックス・メイアクトなど)

中耳炎治療は、年齢や症状、鼓膜の所見から重症度を判断し、重症度別の治療方法がガイドライン化されています。
軽症・中等度であれば、すぐには鼓膜切開を行わず、経過観察を経てから薬物療法を行う方針となっています。
(※すべての症例において、ガイドライン通りの治療方法が取られるとは限りません。)

中耳炎を起こした病原体が、細菌の場合「抗菌薬(抗生物質)」が使用され、病原菌が死滅すれば、耳が痛い・発熱する・耳の腫れ等の中耳炎の症状が落ち着いていきます。

一般的な中耳炎治療における抗菌薬の第一選択は、「アモキシシリン」となり、改善が見られなければ、「クラバモックス」「メイアクト」となります。
また、耐性菌などが原因で、他の抗菌薬で症状が改善されない場合には、「オラペネム」「オゼックス」または点滴での「アンピシリン・ロセフィン」が選択されます。
※必ずしもガイドライン通り処方されるとは限りません。上記の薬剤名をクリックすると、説明箇所に飛びます。

※画像をクリックすると、拡大します。

また、抗菌薬共通の副作用として、軟便や下痢がよくみられます。
これは、腸内細菌バランスの乱れによって起こるため、ひどい下痢が続く・血便が出ていないのであれば、特に心配いりません。
下痢予防に、抗菌薬と一緒にビフィズス菌の整腸薬が処方されることがよくあります。

■「急性中耳炎」重症度分類や中耳炎の種類別の治療の進め方については、以下の記事で詳しく説明しています。
鼻水・鼻づまり放置はNG!子どもに多い中耳炎の症状と原因・治療法・体験談

【抗菌薬】第一選択薬:サワシリン、ワイドシリン、パセトシン(アモキシシリン)の特長・効果・服用期間・副作用

【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 急性中耳炎:経過観察で改善のない軽症、中等度・重症
  • 滲出性中耳炎:経過観察後、鼓膜変化がない場合
  • 反復性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 中耳炎の原因菌となる肺炎球菌などを殺菌する薬
  • ペニシリン系抗生物質。ヒトへの使用経験が豊富なので安全性が高い薬です。
  • 薬の形状には、カプセル・錠剤・子ども用細粒(ドライシロップ)があります
  • 服用期間は、1日3回×3日~5日間。

【副作用】

小さな発疹・軟便・下痢など軽い副作用が現れることが多いですが、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状が起こることは稀。

【服用に注意が必要な人】

  • ペニシリン系の抗生物質で、蕁麻疹などアレルギー症状が出た人
    →基本的には使わない。
  • 高度な腎障害がある人・喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患を持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。
  • 伝染性単核症にかかっている人
    →発疹の副作用が起こりやすいので、使用NG。

【注意が必要な薬の飲み合わせ・食べあわせ】

  • 抗血栓薬 ワルファリン(ワーファリン
    →ワーファリンの作用が強く出ることがあります。
  • 経口避妊薬
    →経口避妊薬の効果が弱まる場合があります。

【妊婦さん・授乳中の場合】

  • 妊婦さん使用OK
  • 乳汁中に薬剤成分は移行するが、新生児への影響はほとんどない。(アメリカ小児学会でガイドラインあり)
    ※どうしても心配な場合は、授乳を一時的に中止した方が良いでしょう。
  • 妊娠中に、アモキシシリンとクラリスロマイシン及びランソプラゾールを併用すると、動物実験では胎児の発育抑制が強くなったと報告されています。

中耳炎治療での抗菌剤で第一選択薬となるのは、成分名:アモキシシリンとなります。
この成分が含まれている薬は、サワシリン、パセトシン、ワイドシリンなどの商品名で10種類以上販売されています。

(参考)サワシリン|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【抗菌薬】クラバモックスCVA/AMPC(1:14 製剤)の特長・効果・服用期間・副作用

【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 急性中耳炎:抗菌薬アモキシシリンを服用しても改善のない軽症、中等度・重症
  • 滲出性中耳炎:経過観察後、鼓膜変化がない場合
  • 反復性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 中耳炎の原因菌となる肺炎球菌などを殺菌する薬。
  • ペニシリン系抗生物質(アモキシシリン)。ヒトへの使用経験が豊富なので安全性が高い薬です。
  • βラクタマーゼ阻害剤のクラブラン酸カリウム(CVA)と抗生物質のアモキシシリン(AMPC)が1:14の割合で配合されています。
    アモキシシリンを増量し、薬剤耐性肺炎球菌などに対する抗菌力を強め、またクラブラン酸カリウムを減量することで、下痢の副作用を軽減したもの。
  • 薬の形状には、子ども用細粒(ドライシロップ)があります。
  • 服用期間は、1日2回×3日~5日間。(食前服用・12時間空ける)

【副作用】

小さな発疹・軟便・下痢など軽い副作用が現れることが多いですが、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状が起こることは稀。

【服用に注意が必要な人】

  • ペニシリン系の抗生物質で、蕁麻疹などアレルギー症状が出た人
    →基本的には使わない。
  • アモキシシリンやクラブラン酸カリウムの成分で、黄疸又は肝機能障害が出たことがある人
    →再発の恐れがあるので、使用NG。
  • 伝染性単核症にかかっている人
    →発疹の副作用が起こりやすいので、使用NG。
  • 高度な腎障害がある人・喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患を持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。

【注意が必要な薬の飲み合わせ・食べあわせ】

  • 抗血栓薬 ワルファリン(ワーファリン
    →ワーファリンの作用が強く出ることがあります。
  • 経口避妊薬
    →経口避妊薬の効果が弱まる場合があります。
  • 痛風の薬 プロベネシド(ベネシッド)
  • 免疫抑制薬 ミコフェノール酸(セルセプト)

【妊婦さん・授乳中】

  • ペニシリン系なので妊婦さんに使える抗菌薬として、胎児の安全性は高い。
  • 乳汁中に薬剤成分は移行するが、新生児への影響はほとんどない。(アメリカ小児学会でガイドラインあり)
    ※どうしても心配な場合は、授乳を一時的に中止した方が良いでしょう。

(参考)クラバモックス小児用配合ドライシロップ|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【抗菌薬】メイアクト(CDTR-PI)の特長・効果・服用期間・副作用

【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 急性中耳炎:経過観察で改善のない軽症、中等度・重症。
  • 滲出性中耳炎:経過観察後、鼓膜変化がない場合
  • 反復性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 中耳炎の原因菌となる肺炎球菌などを殺菌する薬。
  • セフェム系抗生物質(セフジトレン ピボキシル)。
    →ピボキシル基が含まれているため、小児は低カルニチン血症に伴う低血糖になる場合があるので注意が必要。
  • 尿糖検査が不正確になることがあります。
  • 薬の形状には、子ども用細粒(ドライシロップ)、錠剤があります。
  • 服用期間は、1日3回×3日~5日間。(食後服用)

【副作用】

小さな発疹・軟便・下痢など軽い副作用が現れることが多いですが、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状が起こることは稀。

【服用に注意が必要な人】

  • セフェム系の抗生物質で、蕁麻疹などアレルギー症状が出た人
    →基本的には使わない。
  • ペニシリン系の抗生物質で、過敏症が出たことがある人
    →慎重投与として、医師に相談が必要。
  • 血清カルニチンが低下する先天性代謝異常がある人
    →特に乳幼児は、低カルニチン血症に伴う低血糖(痙攣や意識障害等)が現れる場合が多いので、使用NG。
  • 高度な腎障害がある人・喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患を持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。

【妊婦さん・授乳中】

  • 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ。
    →ピボキシル基を含む抗生物質を投与された妊娠後期の妊婦さんとその出生児において、低カルニチン血症が現れたことがあると報告されています。
  • 乳汁中に薬剤成分は移行するが、新生児への影響はほとんどない。(アメリカ小児学会でガイドラインあり)
    ※どうしても心配な場合は、授乳を一時的に中止した方が良いでしょう。

(参考)メイアクトMS小児用細粒10%|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【抗菌薬】オラペネム(TBPM-PI)の特長・効果・服用期間・副作用

カルバペネム系注射薬と同様に強い殺菌力を持つ、小児用に開発された経口用抗生物質です。

オゼックス(TFLX)同様、原因菌が薬剤耐性肺炎球菌の場合など、他の抗菌薬を服用しても、症状に改善が見られない場合の中耳炎に限り、使用されるお薬となります。
【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 急性中耳炎:経過観察で改善のない軽症、中等度・重症。
  • 滲出性中耳炎:経過観察後、鼓膜変化がない場合
  • 反復性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 中耳炎の原因菌となる肺炎球菌などを殺菌する薬。
  • カルバペネム系抗生物質(テビペネム ピボキシル)
    →ピボキシル基が含まれているため、小児は低カルニチン血症に伴う低血糖になる場合があるので注意が必要。
  • 副作用が比較的少ない安全性の高い抗生物質です。
  • 一般的な抗生物質が効きにくい難治性の中耳炎の治療に有効です。
  • 薬の形状には、子ども用細粒(ドライシロップ)があります。
    他の抗菌薬で改善が見られなかった場合のみ投与されます。
  • 服用期間は、1日2回×3日~5日間。(食後服用・最大7日間)

【副作用】

  • 強い殺菌力があるので、軟便・下痢など軽い副作用が現れることが多いです。
    →特に、3歳未満の約30%に軟便・下痢の副作用が現れたとする報告があります。
    ひどい下痢が続く・血便の場合には受診が必要。
  • ごく稀ですが、他のカルバペネム系抗生物質で、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状や重篤な肝障害・けいれん・重い腎不全や血液障害・大腸炎・皮膚障害・低カルニチン血症に伴う低血糖などが起こることも。

【服用に注意が必要な人】

  • この抗生物質で、蕁麻疹などアレルギー症状が出た人
    →基本的には使わない。
  • ペニシリン系セフェム系抗生物質で、アレルギーが出た人
    →医師に相談が必要
  • 高度な腎障害がある人・喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患を持っている人・てんかんを持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。
  • 血清カルニチンが低下する先天性代謝異常がある人
    →使用NG

【注意が必要な薬の飲み合わせ・食べあわせ】

  • てんかんの薬……バルプロ酸ナトリウム(デパケン、バレリン、ハイセレニン等)
    →てんかんの発作が再発することがあるので、併用使用NG。

【妊婦さん・授乳中】

  • 原則禁忌。
  • 乳汁中に薬剤成分は移行するので、授乳中の場合には、授乳を一時的に中止すること。

(参考)オラペネム小児用細粒10%|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【抗菌薬】オゼックス(TFLX)の特長・効果・服用期間・副作用

小児で安全性が認められている数少ないニューキノロン系抗菌薬です。

原因菌が薬剤耐性肺炎球菌の場合など、他の抗菌薬を服用しても、症状に改善が見られない場合の中耳炎に限り、使用されるお薬となります。
【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 急性中耳炎:経過観察で改善のない軽症、中等度・重症。
  • 滲出性中耳炎:経過観察後、鼓膜変化がない場合
  • 反復性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 中耳炎の原因菌となる肺炎球菌などを殺菌する薬。
  • ニューキノロン系抗生物質(トスフロキサシントシル酸塩水和物)
    →子ども場合、関節障害が起こることがある。
  • ペニシリン系・セフェム系抗生物質でアレルギーが起こる人にも使われます。
  • 一般的な抗生物質が効きにくい難治性の中耳炎の治療に有効です。
  • 薬の形状には、子ども用細粒(ドライシロップ)があります。
    子ども用細粒は、他の抗菌薬で改善が見られなかった場合のみ投与されます。
  • 服用期間は、1日2回×3日~5日間。(食後服用)

【副作用】

  • 副作用は比較的少ないですが、軟便・下痢など軽い副作用が現れることがあります。
  • 子どもの場合、稀に関節障害が現れることもあります。
    →関節痛、関節の腫れに注意して、現れたらすぐ受診しましょう。
  • ニューキノロン系は、光線過敏症が現れることがあります。
    →皮膚が弱い人や長期服用には、日光に当たった皮膚が赤くなることがあるので、注意しましょう
  • 呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状が起こることは稀です。

【服用に注意が必要な人】

  • てんかん等けいれん性疾患がある人
    →けいれんを起こすことがあるので、医師に相談が必要。
  • 重症筋無力症の人
    →症状が悪化する可能性があるので、医師に相談が必要。
  • 高度な腎障害がある人・喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患を持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。

【注意が必要な薬の飲み合わせ・食べあわせ】

  • 喘息薬 テオフィリン(テオドール
    →テオフィリンの中毒症状(消化器障害・けいれん・頭痛・不整脈など)が出ることがあります。
  • 消炎鎮痛剤
    →けいれんが現れることがあります。
  • アルミニウムやマグネシウム分を含む胃腸薬(制酸剤)
    →同時に飲むと、薬の効き目が落ちてしまう可能性があります。

【妊婦さん・授乳中】

  • 原則禁忌。
  • 乳汁中に薬剤成分は移行するので、授乳中の場合には、授乳を一時的に中止すること。

(参考)オゼックス細粒小児用15%|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【抗菌注射薬】アンピシリン(ABPC)・ロセフィン(CTRX)の特長・効果・服用期間・副作用

急性中耳炎で重症と判断される場合、点滴で抗菌薬を投与することがあります。
ロセフィン(CTRX)は、2007年11月に小児にも1日1回投与が適用され、成人同様に外来での抗菌薬静注療法(静脈注射)が行われるようになりました。

■アンピシリン(ABPC)の特徴・副作用など注意点

【特長・効果・服用期間】

  • アンピシリン(ABPC)……ペニシリン系抗生物質(アンピシリンナトリウム)
  • 薬の形状は、注射薬です。
  • 投与期間は、1日分(150mg/kg)を3回に分けて3日間

【副作用】

  • 軟便・下痢など軽い副作用が現れることが多いです。
  • ごく稀ですが、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状や重篤な肝障害・けいれん・重い腎不全や血液障害・大腸炎・皮膚障害などが起こることも。

【服用に注意が必要な人】

  • この抗生物質で、蕁麻疹などアレルギー症状が出た人
    →基本的には使わない。
  • ペニシリン系セフェム系抗生物質で、アレルギーが出た人
    →医師に相談が必要
  • 早産の新生児
    →血中濃度の半減期が延長するという報告があるので、医師に相談が必要。
  • 伝染性単核症にかかっている人
    →発疹の副作用が起こりやすいので、使用NG。
  • 高度な腎障害がある人・喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患を持っている人・てんかんを持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。

【注意が必要な薬の飲み合わせ・食べあわせ】

  • 経口避妊薬
    →経口避妊薬の効果が弱まる場合があります。

【妊婦さん・授乳中】

  • 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与可能。(大量投与でラットに催奇形性が報告されている)
  • 乳汁中に薬剤成分は移行するので、授乳中の場合には、授乳を一時的に中止することが望ましい。

(参考)ビクシリン注射用|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

■ロセフィン(CTRX)の特徴・副作用など注意点

【特長・効果・服用期間】

  • ロセフィン(CTRX)……セフェム系抗生物質(セフトリアキソンナトリウム水和物)
  • 薬の形状は、注射薬です。
  • 投与期間は、1日分(60mg/kg)を1~2回に分けて3日間
    ※新生児の場合、1日分(50mg/kg)以下

【副作用】

  • 軟便・下痢など軽い副作用が現れることが多いです。
  • ごく稀ですが、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状や重篤な肝障害・けいれん・重い腎不全や血液障害・大腸炎・皮膚障害などが起こることがありますので、異常が認められたら、すぐ受診しましょう。

【服用に注意が必要な人】

  • 含まれる成分で、ショック症状が出たことがある人
    →使用NG
  • 高ビリルビン血症の未熟児、新生児
    →使用NG
  • ペニシリン系抗生物質で、過敏症が出た人
    →慎重投与として、医師に相談が必要。
  • 喘息・蕁麻疹などアレルギー性疾患、腎臓病、心臓・循環器系機能障害を持っている人・高齢者
    →慎重に投与が必要なので、医師に相談。

【注意が必要な薬の飲み合わせ・食べあわせ】

  • カルシウムを含有する注射剤又は輸液
    →国外で新生児に、同一経路から同時に投与した場合、死亡した報告があり。
  • 利尿剤 (フロセミド等)

【妊婦さん・授乳中】

  • 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与可能。(大量投与でラットに催奇形性が報告されている)
  • 乳汁中に薬剤成分は低濃度で移行するので、授乳中の場合には、授乳を一時的に中止することが望ましい。

(参考)ロセフィン静注用|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

(参考)小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年|日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科感染症・日本エアロゾル学会-編
こちらのページでは、小児急性中耳炎診療ガイドライン最新2013年版が確認できます。
(参考)妊産婦の抗菌薬使用の注意点|日本化学療法学会
こちらのページでは、現在治療に使用されている様々な抗菌薬(抗生物質)の妊産婦さんへの安全性について、詳しく解説されています。

5.中耳炎治療で使われる薬-粘液溶解薬・漢方薬

中耳炎治療で使われる薬は、抗菌薬(抗生物質)だけではありません。

耳の痛みや発熱がなくなっても、聞こえが悪いのがなかなか治らないことで、気付くことが多い「滲出性中耳炎」では、耳の中で残っている膿(うみ)を出しやすくするため、粘液溶解薬がよく使われます。

また、小児急性中耳炎診療ガイドラインによると、2歳未満の免疫力の弱いお子さんに多くみられる、中耳炎を繰り返してしまう「反復性中耳炎」には、漢方薬も有効であると報告されています。

なお、滲出性中耳炎の治療では、耳の治療以外にも鼻(鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎)の治療も同時に行うことが大切です。
鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎の治療に使われるマクロライド系抗菌薬(抗生物質)については、以下の記事で詳しく説明しています。
※実際の服用量や服用期間については、かかりつけ医にご確認ください。
◆マイコプラズマ肺炎の治療薬「マクロライド系抗生物質ジスロマック・クラリス」効果・副作用

【粘液溶解薬】カルボシステインの特長・効果・服用期間・副作用

【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 滲出性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 粘液修復薬に分類される代表的な去痰薬で、滲出性中耳炎の排液慢性副鼻腔炎の排膿にも使われます。
    小児滲出性中耳炎治療で認可されている唯一の内服薬
  • 気道粘液調整・粘膜正常化剤(L-カルボシステイン)
  • 副作用が極めて少ない薬です。
  • 薬の形状には、子ども用細粒(ドライシロップ)、シロップ、錠剤があります。
  • 服用期間は、1日3回。

【副作用】

  • 副作用が極めて少ない薬ですが、軟便・下痢など軽い副作用が現れることもあります。
    →ひどい下痢が続く・血便の場合には受診が必要。
  • 稀ですが、呼吸困難など重篤なアナフィラキシー症状や重篤な肝障害などが起こることもありますので、異常が認められたら、すぐ受診しましょう。

【服用に注意が必要な人】

  • この薬の成分で、過敏症など起こったことがある人
    →基本的には使わない。
  • 肝臓に障害がある人
    →肝機能が悪化することがあるため、医師に相談が必要
  • 持病がある人
    →事前に医師に伝えておきましょう。

【妊婦さん・授乳中】

  • 安全性が確立されていないとして、投与しない方が望ましいとされています。
  • 授乳中の場合は、念のため医師に確認しましょう。

(参考)カルボシステインシロップ小児用5%|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

【漢方薬】十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)の特長・効果・服用期間・副作用

【対象となる中耳炎の種類や重症度】

  • 反復性中耳炎

【特長・効果・服用期間】

  • 免疫の向上や栄養状態改善に効果。
  • 漢方は体に足りないものを補う治療法として、副作用が少ない安全な薬です。
  • 薬の形状には、細粒があります。
  • 小さなお子さんの場合には、牛乳・ココア・オレンジジュースチョコアイス・ヨーグルトに混ぜると、飲ませやすい。

【副作用】

  • 重い副作用はほとんどありませんが、胃の不快感やもたれ感、食欲不振、吐き気などが起こることも。

【服用に注意が必要な人】

  • 甘草(カンゾウ)成分が含まれる他の漢方薬(芍薬甘草湯など)を飲んでいる人
    →偽アルドステロン症といった低カリウム血症や血圧上昇・浮腫みなどの副作用が出ることもあります。
  • 持病がある人
    →事前に医師に伝えておきましょう。

【妊婦さん・授乳中】

  • 安全性が確立されていないとして、治療の有益性が危険性より上回る場合のみとされています。
  • 授乳中の場合は、念のため医師に確認しましょう。

十全大補湯は、①頻回に中耳炎を繰り返す②2歳未満③集団保育を受けている④家族内での受動喫煙(両親の喫煙など)などのハイリスク群に対して、より有効性が高いという報告がされています。

(参考)十全大補湯エキス細粒|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
(参考)なだクリスタッフ体験記 Part1(漢方薬)|なだこどもとアレルギーのクリニック
こちらのページでは、よく処方される漢方薬について、何と混ぜると漢方薬の味がしないのか?など実際に試して一覧にされています。
(参考)小児反復性中耳炎に対する十全大補湯の有用性に関する多施設共同二重盲検ランダム化比較試験|厚生労働科学研究成果データベース
こちらのページでは、反復性中耳炎に対する十全大補湯の有効性に関する調査研究結果の概要が確認できます。

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