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2016年11月8日更新

耐性マイコプラズマ肺炎治療「抗生物質ミノマイシン/クラビット/オゼックス」効果・副作用

クラリス/ジスロマックが効かないマクロライド系薬耐性マイコプラズマ肺炎治療には、テトラサイクリン系(ミノマイシン)やニューキノロン系(クラビット/オゼックス)。抗生物質と耐性菌の怖い関係、薬の効果や副作用、注意が必要な飲み合わせ等をご紹介。
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「何日も日中は比較的元気なのに、夜になると咳が止まらなくて眠れない……しつこい風邪だな」と思って病院に行ってみたら、「マイコプラズマ肺炎」と診断される人が、2016年10月より急増しているようです。

国立感染症研究所によると、2016年10月第3週の1週間あたりの患者数が、平成11年に統計を取り始めて以降、過去最多となり、このままの勢いでいくと2011年~12年の大流行を凌ぐ可能性も出てきています。

そんな状況の中、「マイコプラズマ肺炎」治療に有効とされていた抗生物質が効かない「耐性マイコプラズマ肺炎」である人の割合も上昇しています。

1.抗生物質が効かなくなってきた!?それって、もしかしたら耐性菌が出来ているかも。

「抗生物質を最後まで飲み切らない+残った抗生物質をまた今度飲む」=耐性菌を増やす手助けに!

そもそも細菌も生物の一種なので、様々なタイプの細菌が自然界には存在しています。
その中で多少薬の効きが悪い細菌がいたとしても、病原菌である細菌の完全死滅を考えて、医師や薬剤師は抗生物質の量を決定します。

しかし、症状が軽くなったから……と

自己判断によって途中で服用を止めてしまう。
→その薬が効きにくい細菌だけ、生き残ってしまう可能性がある。

余った抗生物質を自己判断で適当に飲んでしまう。
→抗生物質に耐性がない細菌は死にますが、再び効きにくい細菌だけ残してしまう原因に。

この薬が効きにくい細菌が元となって増殖。
→細菌には、耐性遺伝子を別の細菌に伝達する性質があるので、どんどん抗生物質が効きにくい菌の集団が作られる。

これらの薬に効きにくい細菌を残す行為(①~③)を繰り返すことによって、菌が段々と薬に強くなっていき、初めは効きにくい程度だった菌でも、次第に完全に効かない「耐性菌」を作り出してしまうのです。

そのため、「耐性菌」が出来て、それがどんどん拡がっていってしまうと、以前は抑えられていた細菌を抑えることが出来ず、生命の危険を伴うような重症細菌感染症(敗血症や腹膜炎など)を発病させてしまうことがあります。

もちろん、毎回同じ抗生物質ばかり飲んでいても、適当に飲んでいるのと同様に耐性が付きやすくなるので、お薬手帳を持って受診するなど、自分でも日頃から「耐性菌」について意識しておきたいところですね。

(参考)「耐性菌」は何故できてしまうの?|お薬Q&A ~Fizz Drug Information~
こちらのページでは、イラスト画像を用いて、耐性菌が出来てしまうしくみを詳しく解説されています。
(参考)抗生物質が効かなくなる|教授対談シリーズこだわりアカデミー at home
こちらのページでは、細菌の耐性遺伝子の伝達について、吉川教授による解説がされています。

2.マイコプラズマ治療の定説が効かない「耐性マイコプラズマ肺炎」も出現!

耐性菌については、ここ十数年「マイコプラズマ肺炎」治療でも問題となり、治療薬に耐性を持った「耐性マイコプラズマ肺炎」患者も出てきました。

「マイコプラズマ肺炎」になる原因(病原菌)は、”肺炎マイコプラズマ”という細菌です。
マイコプラズマ肺炎治療には、細菌の繁殖を抑える働きの抗生物質クラリス・ジスロマックなどのマクロライド系抗菌薬が処方されるのが定説です。

マクロライド系抗菌薬「クラリス・ジスロマック」の効果・副作用・飲み合わせについては、以下の記事で詳しく説明しています。
マイコプラズマ肺炎治療薬「抗生物質ジスロマック・クラリス」の効果・副作用

しかし、2000年頃より「マクロライド系抗菌薬」を服用しても、”肺炎マイコプラズマ”の細菌活動を抑えることが出来ず、解熱や咳が止まらない患者さん(=耐性マイコプラズマ肺炎患者)が増えてきていることが、問題となっています。

その背景には、マクロライド系抗生物質が様々な細菌に効果があることから、主に呼吸器・耳鼻科でよく使われるようになったことで耐性菌になりやすい環境を生み出してしまっていることが一因であると言われています。

特に、子供(15歳以下)の80%以上がマクロライド系薬耐性マイコプラズマ肺炎であったというデータ(2008年~2012年の調査)があります。

これも子供が罹りやすい病気のうち、溶連菌感染症・百日咳・マイコプラズマ肺炎・中耳炎・細菌性肺炎などに対し、抗生物質を使用して治療したり、風邪の場合にも細菌による二次感染の予防目的で処方されることもあったりと、少しずつ耐性菌が作られやすい環境にあることが一因と考えられています。

そのため、日本マイコプラズマ学会による「肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針」にも、子供の耐性マイコプラズマ肺炎に関する項目が記載されています。

(参考)肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針(ガイドライン)の改訂版|日本マイコプラズマ学会
(参考)マクロライド耐性マイコプラズマの疫学と抗菌薬の有効性に関する検討|日本化学療法学会雑誌 2014年1月
こちらのページでは、2008年から2012年までの小児を対象とした地方ごとの耐性率を調べた疫学データが公開されています。

マクロライド系抗生物質(クラリス・ジスロマック)を飲んでも効かないなら、すぐ再受診を!

マイコプラズマ肺炎は、重症化すれば肺炎を起こし、稀に脳炎を引き起こすこともあり得えます。

処方されたマクロライド系抗生物質(クラリス・ジスロマック)を飲んで48時間~72時間経っても、症状が落ち着かなければ、マクロライド系薬耐性マイコプラズマ肺炎が疑われますので、すぐ再受診をしましょう!

耐性マイコプラズマ肺炎の場合には、次の2種類の抗生物質(抗菌薬)が処方されます。(2016年現在)

  1. テトラサイクリン系抗菌薬(商品名:ミノマイシン他)
  2. ニューキノロン系抗菌薬(商品名:クラビット/オゼックス他)

3.耐性マイコプラズマ肺炎治療薬-①「テトラサイクリン系抗菌薬」

ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)の特長・効果・服用期間・副作用

■ミノサイクリン 特長・効果・服用期間

  • マクロライド系抗生物質が効かない人の耐性マイコプラズマ肺炎治療薬。後述するニューキノロン系抗菌薬よりも耐性を生みづらいとされるため、成人(16歳以上)や場合によっては子供にも処方されるお薬です。
    ※歯の成長に影響が出る可能性があるため、子供の場合は8歳未満使用NG
  • マクロライド系抗菌薬同様に、細菌の増殖に必要なたんぱく質合成を阻害することで、抗菌作用を発揮します。
  • 飲み合わせに注意しないといけない薬が多いので、市販薬も含めて必ず服用中の薬がある場合には、必ず医師に伝えましょう。
  • 服用期間は、1週間前後。

■ミノサイクリン 薬の種類

    1. 錠剤
    2. カプセル
      →成人の場合、錠剤もしくはカプセルが多く、1日1回~2回を目安。
    3. 顆粒
      →小児の場合、1日1回~2回を目安。

■ミノサイクリンの副作用・服用上の注意点

  • 主な副作用は、吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢など消化器症状。
    →軽い場合には、心配なし。
  • 食道・胃を荒らしやすいため、十分な水と一緒に服用すること。
  • 牛乳・乳製品と一緒に飲むと、薬の吸収が悪くなるため、摂取してから服用まで2時間以上開けること。
  • 妊婦さんや授乳中は、原則NG。
  • 8歳未満は、原則使用NG。
    →子どもの歯の成長段階(妊娠中期以降も胎児に同様の影響あり)で使用すると、エナメル質形成不全や歯が黄色や黒っぽく変色してくる可能性がある。
  • 持病・アレルギーを持っている場合は、必ず医師に伝えること。
    肝臓病・腎臓病などの持病があったり、高齢者も副作用が出やすいため注意が必要。
  • 頭痛やめまいを起こすことがあるため、車の運転や高所作業を控えた方がよいでしょう。
  • 光線過敏症を起こすこともあるため、皮膚が弱い人などはできるだけ直射日光を浴びないよう注意が必要です。

<注意すべき薬の飲み合わせ>

市販薬を含め、服用中の薬がある場合には必ず医師に報告を!

  1. 一緒に服用すると、抗菌薬の効き目が弱まる可能性も2時間以上開けること。
    • カルシウム剤
    • 鉄剤
    • 胃腸薬(アルミニウム・マグネシウムなど金属系含有製剤)
    • 高リン血症治療薬(ランタン)
  2. 併用すると、作用を強めてしまうことがある薬
    • 抗血栓薬(ワーファリン)
    • リウマチ薬(メトトレキサート)
    • 強心薬(ジゴシン)
    • 血糖降下薬
  3. 頭蓋内圧上昇を起こすこともある薬。
    • ビタミンA系

(参考)ミノサイクリン塩酸塩|おくすり110番

4.耐性マイコプラズマ肺炎治療薬-②「ニューキノロン系抗菌薬」

  • 細菌の遺伝情報物質(DNA)の複製を妨げ、抗菌性の強い薬です。
  • 比較的新しい薬なので、耐性を持つ細菌が少なく、色々な細菌に有効です。
    →とはいえ、キノロン系薬剤は耐性が付きやすく、問題となっている耐性菌増加に繋がる恐れもあるため、治療ガイドラインでは特に小児の使用に対し、適正使用が厳しく求められている薬です。
  • この種類の代表的な薬に、クラビットやオゼックスがあります。

1)レボフロキサシン(商品名:クラビット)の特長・効果・使用期間・副作用

■レボフロキサシン 効果・使用期間

  • 成人(16歳以上)のみ、処方される薬です。
  • ニューキノロン系の中でも抗菌性が強い。
    →飲み薬で治りにくかった感染症にも効果があるほど。
  • 使用期間は、7日~10日前後。

■レボフロキサシン 薬の種類

  1. 錠剤
  2. 細粒
    →1日2回~3回が目安。
  3. 高単位製薬(錠剤・細粒)
    →新薬で、従来の錠剤・細粒よりも成分濃度が濃い。1日1回。

■レボフロキサシンの副作用・注意点

  • 比較的副作用は少ないですが、発疹や下痢、めまい、頭痛症状。
    →続く場合には、早めに受診してください。
  • 光線過敏症を起こすことがあります。
    →皮膚が弱い人や長期服用の際にはできるだけ直射日光を避けると安全です。
  • 妊婦さんや授乳中は、原則使用NG。
  • 持病やアレルギーがある場合には、事前に医師に伝えること。
    てんかん等けいれん性の病気、重症筋無力症、不整脈、心臓疾患がある人は、症状の悪化など注意が必要です。
  • 稀に高齢者、ステロイド薬併用、臓器移植を受けた人などは、アキレス腱障害の副作用が出やすい。
  • 腎臓病の人も副作用が出やすいので、注意が必要。

<注意すべき薬の飲み合わせ>

  1. けいれんを起こしやすくなる可能性がある。
    • フロベンやロキソニンなど一部のやや強めな鎮痛剤(NSAIDs)
  2. 薬の効き目が落ちる可能性がある
    • アルミニウムやマグネシウム分を含む胃腸薬(制酸剤)との同時摂取
  3. 不整脈を起こしやすい可能性がある
    • デラマニド(デルティバ)など抗結核薬
      →定期的に心電図検査を行うなど不整脈に注意が必要。

(参考)レボフロキサシン水和物(クラビット)|おくすり110番

2)トスフロキサシン(商品名:オゼックス)の特長・効果・使用期間・副作用

■トスフロキサシン 特長・効果・投与期間

  • 成人や8歳以上の子供で、クラビットなどレボフロキサシンが合わなかった場合に、処方される薬。
  • 耐性マイコプラズマ肺炎の8歳未満の子供が、唯一使用できる小児用細粒がある。
  • 使用期間は、7~10日程度。

■トスフロキサシン 薬の種類

  1. 錠剤
    →服用は1日2回~3回。原則食後。
  2. 小児用細粒
    →いちご味で飲みやすい。服用は1日2回まで。ただし、他の経口抗菌薬で効果が期待できない症例のみ使用する。

■トスフロキサシンの副作用・注意点

  • 比較的副作用は少ないですが、発疹や下痢症状が現れることがあります。
    →軽い場合なら、問題なし。ただし、透明の水のような下痢が出たら、すぐに受診を。
  • 妊婦さんや授乳中は、原則使用NG。
  • 光線過敏症を起こすことがあります。
    →皮膚が弱い人や長期服用の際にはできるだけ直射日光を避けると安全です。
  • ごく稀に子供の場合に、関節痛や関節の腫れなどの関節障害を起こすことがあるため、注意が必要です。
  • ごく稀にけいれんやアキレス腱障害・低血糖が出ることもあります。
  • 持病やアレルギーがある場合には、事前に医師に伝えること。
    てんかん等けいれん性の病気、重症筋無力症がある人は、症状の悪化など注意が必要です。
  • 高齢者、腎臓病の人は、副作用が出やすいので注意が必要です。

<注意すべき薬の飲み合わせ>

  1. けいれんを起こしやすくなる可能性がある。
    • フロベンやロキソニンなど一部のやや強めな鎮痛剤(NSAIDs)
  2. 薬の効き目が落ちる可能性がある。
    • アルミニウムやマグネシウム分を含む胃腸薬(制酸剤)との同時摂取
  3. 薬の濃度が強くなり、副作用が強く出る可能性がある。
    • テオフィリン(テオドール)など気管支喘息薬
      →手の震え、動悸、頭痛、吐き気など。

(参考)トスフロキサシントシル酸塩(オゼックス)|おくすり110番

マイコプラズマ肺炎と喘息の関係やマイコプラズマによる合併症については、以下の記事で詳しく説明しています。
喘息持ちの方は要注意!発疹、中耳炎…様々なマイコプラズマ肺炎の合併症。

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