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2018年2月28日更新

注射で花粉症やアレルギー性鼻炎の体質改善。「皮下免疫療法」の効果・期間・費用

皮下免疫療法は、アレルギーの原因物質「アレルゲン」を長期に渡り体内に少しずつ注射していく治療法。薬物などの対症療法と違い、症状の根治が可能です。今回は皮下免疫療法の方法や費用の他、新しい免疫療法である「舌下免疫療法」との比較もご紹介します。
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止まらない「くしゃみ」や「鼻水」、「鼻づまり」による息苦しさ、「目のかゆみ」などの辛いアレルギー症状は、経験した人にしか分からないもの。

アレルギー性疾患は仕事や学校生活などの毎日の生活にも大きな影響を与え、生活の質(Quality of Life)やパフォーマンス(集中力・判断力・作業能率)を著しく落としてしまう厄介な疾患です。

日本国内でも花粉症やアレルギー性鼻炎などに悩む患者さんは年々増加しており、近年ではこれまでは少ないと言われてきた小さな子供の花粉症患者さんも増えるなど、発症の低年齢化も進んでいます。

アレルギー性疾患は基本的に体質にかかわる疾患であるため、一度発症すると治りにくいと思っている方が多いと思いますが、「皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy, SCIT)」という治療法で改善できることをご存知でしょうか?

皮下免疫療法は注射でアレルゲン(アレルギーの原因となるもの)を少しずつ体内に入れて慣らしていくという治療法で、患者さん自身の体質を改善してアレルギー反応を出にくくする効果があります。

薬物療法などの辛い症状を抑えるだけの対症療法とは違い、アレルギーを根本から治すことができる唯一の根治治療として、実は100年も前から行われていましたが、最近になって注射器を使わない「舌下免疫療法」という新しい治療も保険適用になったことで、アレルゲン免疫療法は再び注目を集めるようになっています。

今回は「皮下免疫療法」の方法や効果、費用、さらには舌下免疫療法との比較についてもご紹介します。

1.花粉やダニ、ハウスダストが原因のアレルギーを治療可能な皮下免疫療法

アレルギー発症のメカニズムと皮下免疫療法の作用とは?

皮下免疫療法は、「減感作療法(げんかんさりょうほう)」または「アレルゲン免疫療法」と呼ばれるアレルギー治療の一つ。

私たちの身体は、外から侵入する細菌やウイルスなどの異物に対して体内で抗体を作り出し、侵入を阻止しようとする免疫システムを持っています。

花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患は、その免疫システムの誤作動が原因で起こるもの。

本来無害なはずの花粉やハウスダストと言った物質にも免疫システムが過敏に反応し、「特異的IgE抗体」という抗体が作られてしまうことで発症します。(アレルギーを起こす準備が整った状態を「感作」といいます)

体内でマスト細胞という細胞にくっついている特異的IgE抗体は、特定のアレルゲンが体内に入ってくると、マスト細胞に異物侵入のメッセージを送ります。

するとマスト細胞は異物の侵入を阻止するため破裂して、ロイコトリエン、ヒスタミン、トロンボキサンといった化学伝達物質を放出しますが、これらの有害な物質には鼻粘膜を刺激してしまう作用があり、くしゃみや鼻水といった辛いアレルギー症状を引き起こすのです。

アレルゲン免疫療法しくみ

画像引用:アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)をご存じですか よしだクリニック

皮下免疫療法では、3~5年という長期にわたり、花粉やハウスダストなどアレルギーの原因となっているアレルゲンのエキスを注射で少しずつ体内に投与していきます。

体内にアレルゲンを入れることで、徐々に体をアレルゲンに慣らして免疫を付け、辛いアレルギー反応を起こさないようにさせることが治療の狙いです。

どんなアレルギー症状に効果がある?

皮下免疫療法は、主に花粉症*1やアレルギー性鼻炎気管支喘息の治療に用いられています。

アレルギーには花粉症のように季節性のものとダニやカビ*2のように一年を問わず症状が現れる通年性のものがありますが、皮下免疫療法は、そのどちらにも効果が認められています。

長期間継続して皮下免疫療法を続けることで、体内のアレルギー反応によって起こるくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻炎症状の他、目の充血や痒み、喘息による咳や喘鳴(ぜんめい)、気管支の敏感さ(気管支過敏性)などの辛い症状を改善させる効果があります。

*1花粉症は、植物によって花粉の飛散時期が異なりますが、現在、日本国内で治療用エキスが作られている花粉症は、スギ、ブタクサ、アカマツ、ホウレンソウの4種類です。
*2日本国内で治療用エキスのあるカビの種類はアスペルギルス、アルテルナリア、カンジダ、クラドスポリウム、ペニシリウムの5種類です。

(参考)アレルゲン製品一覧-鳥居薬品株式会社
※アレルゲンの診断や治療に使われるアレルゲン製品の一覧表です。
(参考)「アレルゲン免疫療法」の基本的考え方-一般社団法人日本アレルギー学会
※アレルギー免疫療法についての学会の見解を見ることができます。
(参考)アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)をご存じですか よしだクリニック
※岩手県にある小児科、アレルギー科のサイトです。アレルギーの種類や起こる仕組み、検査、治療法などについて分かりやすい説明を見ることができます。

2.治療は5歳からOK。皮下免疫療法はこんな人におススメ!

皮下免疫療法は5歳以上のお子さんから行うことができます。

飲み薬や点鼻薬、点眼薬などで十分な効果が得られない方や、使用するお薬の量が多く、少しでも減薬したいというような方にはとても有効な方法です。

特に通年性のアレルギーの場合には一年中お薬が手放せないという患者さんも多く、医療費がかさむだけでなく通院による負担も多いため、皮下免疫療法を試す価値は高いと思われます。

また、妊娠中はアレルギーが悪化することも多く、お薬の摂取にも制限があるため、将来、妊娠出産を考えている方は前もって皮下免疫療法で計画的に治療しておくのも良いでしょう。

その他にも体調管理が重要な受験生、職業ドライバーなど眠気の出やすいアレルギー薬(抗ヒスタミン剤など)の服用が難しい方などにも適した治療法です。

但し、皮下免疫療法は長く続けなくては意味がありません。どのような場合であっても患者さん自身が治療について十分な理解をしているということが必須条件になります。

皮下免疫療法を受けることが出来ない人もいる

スギ花粉やダニのアレルギーがあっても残念ながら以下のような方は皮下免疫療法を受けることができません。

  • 5歳未満の子供
  • 妊娠中の女性
  • 重度の気管支喘息の方
  • 自己免疫疾患(膠原病など)や重篤な全身性合併症を患っている方
  • 悪性腫瘍を患っている方
  • β阻害薬などの心臓病の薬や高血圧の薬を服用している方
  • これまでアナフィラキシー症状が起きた事がある方

皮下免疫療法はアレルゲンを注射によって体内に入れるため、副反応が起きるリスクもゼロではありません。(詳しくは4章で解説します)

上記のような患者さんは特にリスクが高いことから、皮下免疫療法ではなく、従来通りの薬物療法やレーザーによる治療が検討されます。

また、治療期間中(3年~5年以内)に妊娠を考えている方は、その旨をあらかじめ医師に伝え、指示を仰ぐようにしましょう。

(参考)日本アレルギー学会「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」
※花粉症の症状から治療法まで分かりやすくまとめられている手引きです。こちらのページからダウンロードできます。
(参考)日本アレルギー学会 「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」
※ダニアレルギーの症状から治療法まで分かりやすくまとめられている手引きです。こちらのページからダウンロードできます。

3.皮下免疫療法の流れ(診断・注射)

皮下免疫療法はアレルギー科、耳鼻咽喉科、皮膚科、内科、小児科で受けることができます。(但し、実施医療機関は限られているため事前に確認が必要です)

皮下免疫療法は「特定のアレルゲンに対する患者さん自身の免疫を高める方法」であるため、アレルゲンの特定がとても重要です。

そのため治療に先立ち、患者さんがどのアレルギーを持っているのかを判定する検査を行うことが必須で、アレルゲンが判明した後に治療方針を決定し、治療を開始するという流れになっています。

アレルゲン確定のための診断方法

アレルゲンの確定診断には以下のような種類があります。

①問診と視診

医師が症状の出ている目や鼻の中の状態を観察します。
患者さんご自身も「いつ発症したのか」「症状が出やすい場所」「症状の程度」などがきちんと説明できるように受診前にしっかりと記録しておきましょう。

②皮膚反応テスト

皮膚反応テストは、「IgE抗体の有無や皮膚の敏感さ、体全体のアレルギーの強さ」を調べる検査です。

薄めたアレルゲンを腕などの皮膚に注射する「皮内反応テスト」、注射針で皮膚に傷を付けアレルゲンを滴下する「プリックテスト」「スクラッチテスト」などがあります。

しばらく時間を起き、赤みや腫れなどの反応の有無やその度合いを観察します。

③血液検査(特異的IgE抗体検査)

通常の採血で行う検査で、大きく分けて二つの検査があります。

1つ目は「非特異的IgE検査」といわれるもので、「血液中の全てのアレルゲンに対するIgE抗体の量を測る」検査であるため、「総IgE(IgE RIST)」と呼ばれています。

もう1つは「特異的IgE検査」といわれるもので、「アレルギーを引き起こす血液中のIgE抗体がどのアレルゲンに対して反応するのか」を測定する検査で、「IgE RAST」と呼ばれています。

この検査では、「一つのアレルゲンに対するIgE抗体はその一つのアレルゲンにだけ反応する性質がある」という特異性を利用して、どのアレルゲンに反応するIgE抗体を持っているかを調べます。

高い数値が出た項目はそのアレルギーを持っている確率が高いと判断されます。(※皮膚反応テストや血液検査では薬の影響が出ることもあるため、検査の1週間前からアレルギーの服薬をお休みすることもあります。)

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皮下免疫療法の方法は?

検査によってアレルゲンが特定され、治療方針が固まったらいよいよ治療の開始です。

もし前述の検査を行ってもアレルギーの原因が不明な場合や、食物や薬などの他の原因のアレルギーの場合は治療を行いません。

まずはごくごく薄く希釈したアレルゲンのエキスを二の腕に注射し、腫れや赤みなどの皮膚の変化を確認します。

皮下免疫療法は、治療開始後、徐々に注入するエキスの量を増やしていく「増量期」と、間隔を少しずつあけながら毎回、同じ量を続けていく「維持期」の2つに分けて考えられます。

≪増量期≫

最初は1週間に1~2回0.02~0.05 mLというわずかな量から始めていきます。その後、エキスの濃度を少しずつ上げて様子を見ながら0.1~0.5 mLにまで量を増やしていきます。

≪維持期≫

ある程度の濃度に達したらエキスは毎回同じ濃度まま、接種間隔を2週間に1回、月に1回と段階的に減らしてゆきます。

皮下免疫スケジュール
画像引用: 免疫療法(減感作療法)について 山口耳鼻咽喉科医院
※神奈川県小田原市にある耳鼻咽喉科のサイト。免疫療法について分かりやすい説明が載っています。

実際の接種の濃度や接種間隔は、アレルギーの強さや患者さんの体質などによって個人差があります。

皮下免疫療法は薬のような即効性があるわけではなく、あくまでも体質に働きかけるものなので、効果が現れるまでには少なくても3ヶ月程度はかかります。

また、効果が現れて不快なアレルギー症状が消失、改善された場合でも、治療を中断することはなく、3~5年程度継続することでさらに効果を高めます。

Boy you are afraid of injections

皮下免疫療法を受ける上で気を付けること

治療の開始時期は通年性アレルギー鼻炎(ハウスダスト、ダニなど)の場合、時期を問わず治療を始めることができますが、アレルゲンがスギ花粉の場合、より安全に行うため治療の開始は飛散時期(1~5月)を避ける必要があります。

また、接種後の注意点として、注射した部位は揉まないように気を付け、当日は激しい運動は行わないようにしましょう。

(参考)免疫療法の実際 
※日本医科大学耳鼻咽喉科の後藤穣先生作成。アレルゲン免疫療法のこれまでの経緯や実際の治療についての詳細を知ることができます。
(参考)日本アレルギー学会「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」
※花粉症の症状から治療法まで分かりやすくまとめられている手引きです。こちらのページからダウンロードできます。
(参考)日本アレルギー学会 「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」
※ダニアレルギーの症状から治療法まで分かりやすくまとめられている手引きです。こちらのページからダウンロードできます。
(参考)わしお耳鼻咽喉科ブログ 舌下免疫療法の費用・コストは?
※こちらのページでは舌下免疫療法の費用について分かりやすく説明されています。
(参考)池袋皮膚科 アレルギー検査 
※こちらのページではアレルギー検査の内容や費用について分かりやすい情報が掲載されています。
(参考)あゆみクリニック アレルギー血液検査
※こちらのページではアレルギーの血液検査の詳細について分かりやすい情報が掲載されています。

4.皮下免疫療法の効果と副作用(副反応)

7~8割の患者さんが症状改善!皮下免疫療法の効果

皮下免疫療法は人によって効果の現れ方が違いますし、必ず100%効果が出るというものではありません。

しかし、厚生労働省が2010年に行った調査では、スギ花粉症で皮下免疫療法を行った患者さんの80%「症状の改善や消失を実感している」という結果が出ています。さらに2年以上継続して治療を行っている患者さんの70%は、治療をストップしたあとも「治療の効果が持続している」と回答しています。

同じく個人差はありますが、ダニがアレルゲンの治療においても70%患者さんが「症状がなくなった」「軽くなった」「薬が減った」などの効果を感じています。特にその中でもアレルギー性鼻炎を持っている患者さんに効果が高いことが分かっています。

さらに、アレルギー患者さんの場合、時間と共にだんだんアレルゲンの種類が増えていくということもありますが、皮下免疫療法は、新たなアレルギーの増加を予防し、他のアレルギー疾患への進展(アレルギーマーチといいます)を抑制するという嬉しい効果も期待できます。

治療後、赤みや腫れが出る副反応が。ごくまれにアナフィラキシーの可能性も!

少量とはいえアレルゲンを注射で体内に入れるため、治療後、注射した箇所が赤みや腫れ、しびれなどの副反応が出ることは珍しくありません。

副反応とは、「ワクチンで免疫を付けようとする際、同時に起こってしまう好ましくない変化」のこと。副作用と意味は同じですが、「ワクチンの効果を得るために副次的(主ではなく二次的)に起こる生体の反応」という意味で「副反応」という言葉が使われています。

ほとんどの副反応は2~3日程度で治まる事が多く、特別心配することはありませんが、もしも3㎝以上の腫れが現れた時には次の回は増量せず同じ量に抑えるなどの措置を取ります。

また、十分注意して行っていても、稀に接種後に鼻炎症状やじんましん、喘息発作などの副反応が出ることがありますが、適切な処置をすれば1時間程度で症状は治まり、後遺症が残ることもありません。

さらに100万回に1回程度とごく稀ですが、アナフィラキシーという重篤な副反応が起こる可能性があります。

アナフィラキシーによるショックが起きると呼吸困難、喘息発作、血圧の低下などが見られ、最悪、命に関わるため緊急処置が必要になりますが、このような強烈な副反応は接種後20~30分以内に起きることがほとんど。

そのため医療機関では、接種後、患者さんに病院内で30分程度待機してもらい、万一の場合にもすぐに対応できるよう体制を整えています。

なお、喘息などのアレルギーの症状が激しい時、寝不足の時、風邪などで体調が優れない時は副反応のリスクも高まるため、医師の判断で治療を行わないこともあります。

接種に備えてご自身でも日頃の体調管理をしっかり行うようにしましょう。

(参考)的確な花粉症の治療のために-厚生労働省
(参考)日本アレルギー学会「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」
※花粉症の症状から治療法まで分かりやすくまとめられている手引きです。こちらのページからダウンロードできます。
(参考)日本アレルギー学会 「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」
※ダニアレルギーの症状から治療法まで分かりやすくまとめられている手引きです。こちらのページからダウンロードできます。

5.皮下免疫療法の費用は?

検査費用も皮下免疫治療も保険が適用される

皮下免疫治療は健康保険が適用されるので、費用は自己負担金のみとなります。

注射の費用は使用する薬剤の量によっても異なりますが、3割負担の場合、1回につき600円程度。最初は注射を打つ間隔が短いために年間23,000円程度の費用がかかりますが、投与回数が減る2年目以降は年間約3600円~7200円程度となります。(診察料や処置料などは別途かかります)

同じく治療を実施する前のアレルギー検査も保険適用になります。(医師が必要と認めた場合のみ)

アレルギー検査では、あらかじめ調べたいアレルゲンを特定した上で検査を行います。

特異的IgE抗体検査の場合、ダニや花粉など一回の検査でアレルゲンを13項目まで自由に選ぶことができますが、一項目ごとに費用がかかるため調べたい項目が多いほど費用がかかります。

最近では同時に39種類のアレルゲンを調べることができる「Viewアレルギー39」や36種類の検査が可能な「MAST36」というような、最初から発症頻度が高いアレルゲンがあらかじめセットになっているタイプのものが使われることもあります。

検査の種類や調べる項目数、病院によっても異なりますが、検査にかかる費用は3割負担で5,000~8,000円程度が目安です。(※治療、検査ともあくまでも費用は目安となります。実際の金額は事前に受診する医療機関にご確認下さい。)

(参考)わしお耳鼻咽喉科ブログ 舌下免疫療法の費用・コストは?
※こちらのページでは舌下免疫療法の費用について分かりやすく説明されています。
(参考)池袋皮膚科 アレルギー検査 
※こちらのページではアレルギー検査の内容や費用について分かりやすい情報が掲載されています。
(参考)あゆみクリニック アレルギー血液検査
※こちらのページではアレルギーの血液検査の詳細について分かりやすい情報が掲載されています。

6.皮下免疫療法と舌下免疫療法の比較

04_img04 (1)

画像引用:通年性アレルギー鼻炎の治療-トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ

最近になって注射以外を使わない新しい治療法として、「舌下免疫療法」の保険診療が認められ、アレルギー免疫療法は再度注目されるようになりました。(花粉症では平成2014年、ダニアレルギーは平成2015年から保険適用)

舌下免疫療法では注射の代わりにアレルゲンのエキスを毎日、舌の裏側に投与します。皮下免疫療法とほぼ同等の効果がある上、自宅で行えるという手軽さが特徴で、アナフィラキシーのような重篤な副作用も少ないと言われています。(全くないという訳ではありません)

これらの理由から皮下免疫療法に比べると、舌下免疫療法の方が治療を受けやすいと思われる方も多いと思いますが、数年間、毎日欠かさずお薬を飲み続けることはとても大変なこと。お薬を飲み忘れると場合によってはこれまでの治療がムダになってしまうこともあります。

上手に薬の服用ができないお子さんや、仕事や学校で忙しく毎日欠かさずにお薬を服用するのが難しい方などにとっては、医療機関で行う皮下免疫療法の方が適しているかもしれません。

皮下免疫療法、舌下免疫療法、それぞれの治療のメリットデメリットを正しく理解し、患者さん自身のライフスタイルや職業、年齢、性格などを考慮し、医師と相談してベストな治療法を選択することが大切です。

皮下免疫療法 舌下免疫療法
対称 5歳以上 12歳以上(ダニは12歳未満も可)*1
投与方法 注射 舌の下に入れ服用
実施場所 医療機関 自宅(初回は医療機関)
投与回数 増量期:週1~2回
維持期:週2~4回
一日一回
服用期間 維持量に到達後、3~5年程度 維持量に到達後、3~5年程度
メリット ・複数のアレルゲンの治療が可能
・家での手間がない
・医師の管理の元に投与が受けられ、
副作用などに迅速対処できる
・通院間隔を徐々に延ばせる
(最長2~3ヶ月に1回)
・痛みがない
・自宅で手軽に行える
・重篤な副作用が少ない
デメリット ・接種時の痛みがある
・定期的な通院が必要
(特に増量期は頻繁な通院が必要)
・稀に重篤な副作用が起きる
・一つのアレルゲンの治療だけ
・エキスの濃度や量の管理が必要
・副作用が出た時に自分で対処が必要

*1ダニのみ2018年2月より12 歳未満の小児にも使用可能になりました。(詳しくはこちらをご覧下さい)

舌下免疫療法の詳しい情報については以下の記事をご参照下さい。
スギ花粉症「舌下免疫療法」効果・副作用・費用・開始時期と2018年花粉飛散予測

(参考)シオノギ製薬 知っとく!アレルギー性鼻炎
(参考)独立行政法人 環境再生保全機構 スギ花粉に対するアレルゲン免疫療法
(参考)わしお耳鼻咽喉科 アレルゲン免疫療法
※上記のページでは皮下免疫療法と舌下免疫療法の比較を行っています。

7.アレルゲンの回避も忘れずに。強い意志でアレルギー克服を目指そう!

アレルギー免疫療法を行う上で忘れてはいけないことは「日々のアレルゲンの除去や回避を怠らないこと」

身の回りのアレルゲンが多いと治療時の副作用も出やすくなります。

スギ花粉症の方は、スギ花粉が飛散している時期は特に注意し、日頃からマスクゴーグルなどで花粉を避ける工夫は怠らないようにしましょう。

通年性アレルギーの原因であるハウスダストやダニアレルギーの方も、こまめに部屋の掃除をし、布団を干すなど、日頃からできるだけアレルゲンを寄せ付けない生活を心がけることが大切です。

薬物療法のように即効性がない分、効果を感じられないと不安に思ってしまうことがあるかもしれませんが、皮下免疫療法を成功させるには、何よりも患者さん自身の理解と根気強く続ける強い気持ちが大切。

治療上の不安や疑問などは一人で抱えたままにせず、信頼できる医師に相談しながら治療を進めていきましょう。

いつの日か辛いアレルギー症状が改善されることを信じて、長い目を持って治療に取り組んでいきたいですね。

(参考)トリ―さんのアレルゲン免疫療法ナビ
※こちらはアレルゲン免疫療法についての鳥居薬品のサイトです。アレルギーや治療法について分かりやすく説明されています。
(参考)厚生労働省 花粉症Q&A集(平成22年度)

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