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2017年1月23日更新

注射に替わるスギ花粉症の治療法「舌下免疫療法」。費用・効果・副作用と開始時期は?

2014年に保険適応になったスギ花粉症の舌下免疫療法は、注射に代わる新しい治療法です。自宅で手軽に行えるのが特徴です。パン片や舌の下に直接薬を垂らして服用します。治療には2~5年程かかります。治療開始時期はスギ花粉が飛ばない6~12月です。
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2017年もスギ花粉の季節がやってきました。

春が近づいてくると花粉症対策としてマスクとティッシュペーパーが手放せません。

年度や地域によって差はありますが、概ね2月の上旬から下旬にかけて南からスギ花粉の飛散が始まり、3月には全国的にピークを迎えます。

花粉に敏感な人は、1月頃から目のかゆみや鼻のムズムズを感じることもあると思います。

2017年のスギ花粉の飛散開始時期やピーク時期は、ほぼ例年並みといわれています。

2017年のスギ花粉の飛散量は、関西より西にお住いの方は昨年より多くなる予想なので注意が必要です。

九州地方四国地方関西地方東海地方では例年を上回り、昨シーズンを大きく上回る予想です。

中国地方北陸地方は例年並み、昨シーズンを上回る予想です。

東北地方関東甲信越地方例年を下回り昨シーズンよりやや少なくなる予想です。

東北地方北海道例年を大きく下回り昨シーズンより少なくなる予想です。

参照:花粉情報-日本気象協会

花粉症はもはや国民病といっても良いほど、多くの人を悩ませ続けています。

2008年に行われたアンケートでは、全国民の26.5%つまりおよそ4人に1人がスギ花粉症に悩まされているというデータもあります。

参照:花粉症Q&A-第一三共株式会社

花粉症は鼻水や目のかゆみだけでなく、イライラや疲労、睡眠不足、外出を控えるようになってしまうなど、日常生活に大きな支障を来します。

我慢せず、適切な治療を受けることが望ましいとされている立派な病気です。

スギ花粉症は、医師による問診や血液検査や皮膚テストによって診断され、治療が始まります。

今回は、2014年10月から始まったスギ花粉症の新しい治療法「舌下免疫療法」をご紹介します。

1.  スギ花粉にはもう悩まされない?注射に代わる新たな治療法「舌下免疫療法」と薬品「シダトレン」

舌下免疫療法は、減感作療法(アレルゲン免疫療法)の一種です。対症療法と異なり、体をアレルゲンに馴染ませていくことでアレルギー症状の根治を目指します。

減感作療法とは、アレルギー治療法の一つで、投薬治療やCO2レーザー治療などの対症療法と異なりアレルギーの原因となるアレルゲン(今回の場合スギ花粉)を少量ずつ体内に取り入れることで、身体をアレルゲンに慣らしてアレルギー症状を和らげたり無くしたりする治療法です。

減感作療法は注射による皮下免疫療法が行われてきましたが、2014年10月からスギ花粉症の舌下免疫療法の薬「シダトレン」の保険適用が開始されました。

シダトレンは鳥居薬品が製造販売しているスギ花粉エキスが含まれた薬品です。

1日1回、決めれられた量を舌の下に垂らして服用します。

2015年10月までは新薬のため2週間分の処方しか認められていませんでしたが、現在では2週間分以上の長期処方が可能となっています。

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引用元:200JAU/mL ボトル:シダトレン 製剤写真・剤形-アレルゲン免疫情報.jp

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引用元:2,000JAU/mL ボトル:シダトレン 製剤写真・剤形-アレルゲン免疫情報.jp

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引用元:2,000JAU/mL パック:シダトレン 製剤写真・剤形-アレルゲン免疫情報.jp

2. 舌下免疫療法と他の花粉症治療法の比較

舌下免疫療法と薬物治療の比較

花粉症の治療として最も一般的なのは薬物治療です。

現在では「アレグラFX(久光製薬)」など市販薬としても販売されています。

薬物治療では、花粉が飛び始める前に抗アレルギー薬を服用したうえで、鼻水や目のかゆみなど症状が表れるたびに薬を服用します。

薬物治療のように症状ごとに治療を行う治療法を「対症療法」と呼びます。

一方で、舌下免疫療法を含む減感作療法(アレルゲン免疫療法)は花粉に対する自身の体質を変えていくため、「根本的治療」と呼ばれています。

アレルギー治療において、この2つの治療法はどちらか一方選ぶわけでなく、併用して治療を進めることが可能です。(ステロイド内服薬のみ厳禁)

こちらは、舌下免疫療法と薬物治療を比べた表です。

患者さんの状況や時期を考慮し、医師と相談したうえで治療法を選択してください。

舌下免疫療法 薬物治療
治療目的 体質改善による根治 症状の一時的な緩和
治療開始時期 6月~11月(スギ花粉症のオフシーズン)に限定 症状が表れたとき
服用タイミング 最低2年以上を毎日1回 症状が表れたとき
治療対象 スギ花粉アレルギーのみ アレルギー全般
治療効果 7~8割の人 ほぼ全ての人
主な副作用 口やのどの腫れ、かゆみ 眠気、のどの渇き
処方場所 病院 病院、薬局
治療に対する姿勢 患者の深い理解と根気が必要 手軽

舌下免疫療法と皮下免疫療法の比較

舌下免疫療法が皮下免疫療法に比べてメリットは3つあります。

①投与方法が簡単

皮下免疫療法では、皮下注射で体内にアレルゲンを注入します。

舌下免疫療法では、舌の下に薬液を垂らすだけで済みます。舌の下である理由は、免疫機能を有しているあごの下の左右を通っているリンパ節に薬液を届きやすくするためです。

②自宅で薬が投与できる

皮下免疫療法では、注射の都合上、必ず病院を受診しなければなりません。

舌下免疫療法では、初回の服用以外は自宅で服用することが出来ます。

③痛みが無い

皮下免疫療法では、注射を治療のたびに受ける必要があります。注射が苦手な人は苦痛を伴います。

舌下免疫療法では、痛みはありません。シダトレンの味はやや甘く、酸味もあります。

舌下免疫療法の治療期間

舌下免疫療法を含む減感作療法は、治療を始めてすぐに効果が出るものではありません。

最低2年間、通常で3年~5年毎日続けなければならない大変根気のいる治療になります。

3. スギ花粉症の舌下免疫療法にかかる費用、薬は2014年10月から保険適用済み

舌下免疫療法を始める前に、必ずスギ花粉症を調べるアレルギー検査を受けなければなりません。

ただ、自身のスギ花粉の抗体が陽性であると証明できる検査結果やデータをお持ちの場合、医師による確認の上、初診から舌下免疫療法による治療を始めることが出来る場合があります。

詳しくは受診の際にかかりつけ医までご相談ください。

アレルギー検査料金は5,000~6,000円かかります。

シダトレンの料金は、3割負担が適用されて830円(2週間分)です。

その他、来院頻度は病院や人によって異なりますが治療開始後すぐは2週間に1回、その後は月に1回の場合が多いです。

ですので、治療を始めた月を除けば、治療費はひと月あたり2,000~3,000円かかります。

4. スギ花粉症の舌下免疫療法の開始時期は6~11月だけ

舌下免疫療法を含むスギ花粉症の減感作療法は、6月~11月の間に治療を始めなければなりません。

これは、スギ花粉が飛散している時期に治療を開始してしまうと、アレルゲン(スギ花粉)との接触量が増えてしまい、治療や体調に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。

減感作療法は、症状に対して服用する薬や治療とは目的が異なり、体質そのものを変えていき、アレルギー症状を無くしていく根本的な治療法です。

治療はスギ花粉が飛散する3か月以上前から始めると効果的だとされています。

ですので、スギ花粉症を舌下免疫療法で治療したい方は11月までに始めて下さい。病院の定めた開始時期以外に受診した場合、治療を待つ必要があります。

なお、病院によって開始時期が多少前後する場合があります。各病院のホームページをご参照ください。

5. 舌下免疫療法を受けられるのは12歳以上のスギ花粉症の方

舌下免疫療法を受けることが出来るのは、こちらの条件に当てはまる人です。

  • 年齢が12歳以上
  • スギ花粉症であること

治療に用いられる薬品「シダトレン」は12歳以上が適応とされています。

また、イネやブタクサなどの他の花粉症や、ハウスダストやダニなどの他のアレルギーには効果がありません。

必ず病院で検査を受けて、スギ花粉症であることが証明されてから舌下免疫療法に臨んでください。

舌下免疫療法を行うときに注意するべき人

また、以下のポイントに当てはまる人は必ず医師と相談の上で舌下免疫療法を行います。その他不安なことがある場合、必ず医師に相談しましょう。

医師の判断で治療を中断したり、別の方法に切り替わることがあります。

  • アレルギー疾患の治療(対症療法、減感作療法)で、アレルギー症状を経験したことがある
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 口内を手術したばかり、口内に傷や炎症がある方
  • 高齢者の方
  • 他に薬を服用している方(全身作用のステロイドは厳禁)
  • スギ花粉以外にアレルゲンをお持ちの方
  • 気管支喘息を患っている方
  • 心疾患や肺疾患、高血圧の方

舌下免疫療法を受けることが出来ない人

こちらの条件にあてはまる人は、舌下免疫療法を受けることが出来ません。別の治療法を選択しましょう。

  • 年齢が11歳以下
  • 重度の気管支喘息持ちの方
  • スギ花粉症ではない

6. 舌下免疫療法は毎日1回自宅で続けるだけ!服用の手順やポイント

必ず病院を受診しなければならない注射による治療法と比べて、舌下免疫療法は自宅で行えるのが大きなメリットです。

舌下免疫療法の手順

  1. 舌の下や口に含んだパン屑に、決められた量の薬液を全て垂らす
  2. 舌の下に薬液を含んだまま、約2分間じっと待つ
  3. しっかりと飲み込む

最初の一回は、受診した病院で医師の監修のもと服用します。分からないことや不安な点は必ず聞きましょう。

舌下免疫療法の経過

舌下免疫療法は2週間で薬の量を徐々に増やしていき、3週目以降は治療終了まで同じ量を続けていきます。これを約2年以上続ける必要があります。

  1. 1週目は200JAU/mlボトルで0.2mlから1mlまで徐々に増やす
  2. 2週目は2000JAU/mlボトルで0.2mlから1mlまで徐々に増やす
  3. 3週目以降は2000JAU/mlパックで1mlを続ける

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(引用元)シダトレンとは?-トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ

薬を飲むときのポイント

薬を飲むときに、いくつか気を付けたいポイントがあります。

  • 薬は冷蔵庫に保管しておく
  • 薬を飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食は控える
  • 薬を飲む30分前後は、激しい運動や入浴、アルコールは控える
  • 午前中、もしくは家族がいる時間帯に服用する
  • ステロイド(全身作用の飲み薬)との併用は控える

じんましんや痒みなどの副作用や、アナフィラキシーなどの重度の副作用が表れないよう、安静な状態で服用しましょう。

学生の方は、部活や体育、自転車通学なども「激しい運動」に含まれますので、夜間に服用するなど注意して治療を続けて下さい。

副作用が起こった場合に備えて、病院が開いている午前中の服用を多くの病院が薦めています。

参照:舌下免疫療法外来-独立行政法人国立病院機構 福岡病院

参照:シダトレン舌下免疫療法はこちら-ふたばクリニック

ステロイド(全身作用の飲み薬)以外の薬を常用している場合は、医師に相談しましょう。

7. スギ花粉の舌下免疫療法の効果と体験談

舌下免疫療法の効果は7割以上!

舌下免疫療法の効果は、花粉症の症状の緩和や改善です。

つらいくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみや涙目の症状が軽くなったり、悩まされないようになります。

また、症状が辛い時期に服用していた花粉症の薬(アレルギー治療薬)も、服用する量や回数を減らすことが出来ます。

症状が軽くなったり無くなることで、QOL(生活の質)の向上も期待できます。睡眠や食事をしっかりとることが出来るようになるため、症状のせいで集中力や判断力が落ちることはありません。イライラからも解放されます。

もちろん改善がみられるまでは、マスク着用など基本的な花粉症対策も忘れてはいけません。

症状の改善が見込まれるのは、2年間治療した患者のうちの約7割というデータがあります。

参照:スギ花粉症の舌下減感作療法の臨床研究報告書-東京都福祉保健局

舌下免疫療法による花粉症の治療において、人によって効果に差が出ることは、治療を始める前に医師から十分な説明を受けます。

きちんと効果について納得の上、治療を始めましょう。

舌下免疫療法の治療がおススメの方

  • 花粉症の症状や薬を減らしたい方
  • 飲み薬の副作用にお悩みの方
  • 高校や大学など大事な受験期に向けて、薬物治療のみでは不安な方
  • 薬が利用できなくなる場合(妊娠など)に備えたい方

スギ花粉の舌下免疫療法の体験談

【体験談】舌下免疫療法の体験レポート、治療後3,4ヶ月で効果が表れ始める

気になる治療の効果ですが、去年の花粉シーズンは例年より断然ましでした。まだ治療して3、4ヶ月でしたが効果が出てたので驚きでした。
通常のシーズンなら、薬を飲み続けますが、昨年はこのシダトレンだけで大丈夫でした。
もしまだ効果が出てなければ、通常の薬と併用することも可能だそうです。そこは担当の先生と相談できます。
通常この治療は2,3年は続けなければならないようです。
ちなみに治療費は一回1000円ほどなので、それほど負担にはならないです。

(引用元)話題のスギ花粉症の治療、舌下免疫療法をレポートします。 (写真あり)

8. 舌下免疫療法の副作用

舌下免疫療法の副作用は、以下の局所的な症状が挙げられます。

  • 口の中の腫れやかゆみ(口内炎、口腔内腫脹)
  • 舌の下の腫れやかゆみ(舌下腫脹)
  • 唇の腫れやかゆみ(口唇腫脹)
  • のどのかゆみ(咽喉頭そう痒感)
  • 耳のかゆみ
  • 下痢、おう吐、腹痛などお腹まわりの症状

これらの症状が表れた際は、すぐに医療機関を受診して下さい。

医師の判断で、治療の継続もしくは中断を決められます。

また、まれにアナフィラキシーと呼ばれる重度の副作用が起こる可能性があります。これは国内では今のところ発症例は見られず、世界でも死亡例は報告されていません。

アナフィラキシーは主に以下のような症状が表れます。

  • 全身にわたる皮膚のかゆみ、じんましん(皮膚の症状)
  • 意識の混濁(神経の症状)
  • 呼吸困難、チアノーゼ(呼吸器の症状)
  • 不整脈、頻脈、血圧の低下(循環器の症状)
  • ひどい吐き気、おう吐、下痢(消化器の症状)

これらの症状が表れた際は、救急車を呼ぶなどして速やかに医療機関を受診して下さい。

副作用に気を付けるタイミング

副作用に特に気を付けるタイミングは、次の通りです。

  • 服用後少なくとも30分間
  • 服用開始初期(およそ1ヶ月)
  • スギ花粉が飛散している時期

(引用元)服用後、特に気を付けてほしいこと-トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ

初回の服用は必ず病院で行います。服用後30分間は院内で副作用の有無など経過を観察して、治療の継続が問題ないか判断されます。

参照:服用後、特に気を付けてほしいこと-トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ

9. 舌下免疫療法を受診できる病院、診療科目

2017年1月現在、全国で1,000院近い病院で舌下免疫療法によるスギ花粉症の治療を受診することが出来ます。来院の際は、事前に医療機関へ確認をお願いします。

また、スギ花粉症の舌下免疫療法を実施している診療科目は、耳鼻咽喉科やアレルギー科、特定の小児科です。

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