【体験談】40℃の熱、喘息発作も!4歳の喘息児がマイコプラズマ肺炎に。
秋から冬にかけて流行する「マイコプラズマ肺炎」は幼児や学童期の子供に多い病気です。
発症すると高熱や乾いた苦しい咳が続きますが、比較的、重症化することは少ないと言われています。
しかし「小児喘息」のお子さんの場合、喘息発作を誘発する恐れがある他、喘息薬との飲み合わせなど気を付けなければならないことも多いため注意が必要です。
そこで今回カルーマガジン編集部では、「小児喘息」の持病があり、マイコプラズマ肺炎に感染したことのあるお子さんのママ、吉川さんという方にインタビューをお願いすることにしました。
発症時4歳だった娘さんがマイコプラズマに感染した時の喘息発作の様子、回復までの経過、大変だったことなど、貴重なお話をたくさん伺うことが出来ました。
「喘息っこ」ママに限らず、お子さんの看病した経験がある子育てママならば誰もが「そうそう!」と共感できるところもいっぱいのインタビューです。ぜひじっくりとお読みください!
(※インタビュー時期:2016年11月)
マイコプラズマ肺炎発症当時、幼稚園児だった娘さん。まずは発症時の様子についてお伺いしました。
Q1.発症時4歳だったとお伺いしましたが、娘さんのマイコプラズマ肺炎はどのように始まりましたか?
娘が発症したのは今から4年前、2012年12月のもうすぐクリスマスという時期でした。
この年は、秋口からずっと風邪を引いては持病の喘息発作を起こしていたのですが、突然40℃前後の発熱があり、咳もいつもより酷く、食欲もなく、とにかくぐったりしていました。
夜中に何度も起きてしまい、機嫌も非常に悪かったです。
Q2.発症当時、喘息を予防するためのお薬は飲んでいましたか?
小児喘息と診断された後、2歳までは予防のため継続してオノンやシングレア(どちらも喘息のアレルギー症状を抑える薬)を飲んでいましたが、2歳を過ぎてからは発作に繋がりそうな風邪を引いた時や発作開始後からの治療に切り替えていました。
発症当時は、継続して風邪を引いていたこともあり、シングレアは飲んでいました。
(補足)喘息の持病がある場合、発作が起きた時に飲むお薬とは別に、「発作を予防するお薬」を飲んで症状をコントロールする場合があります。詳しくは以下の記事をお読みください。
薬物療法(吸入ステロイド薬)が基本!喘息治療のステップと薬の種類・使い方
Q3.お子さんが発症した時、マイコプラズマ肺炎は周囲で流行していましたか?
近隣の小学校で非常に流行していると聞いており、通園していた幼稚園でもクラスで数名が発症していました。
けれど、正直「肺炎」という病気をあまり身近に感じておらず、耳にしたときにもあまり危機感は感じず、「そうなんだ、大変だったね」とどこか他人事に感じていたように思います。
娘さんのかかりつけ医を受診した吉川さん。病院での検査や治療についてお伺いしました。
Q4.どのタイミングでお医者さんを受診しようと思いましたか?
元々、風邪で咳や鼻水は出ていましたが比較的元気で、毎週小児科へ通院しつつも休まず登園していました。
夜中に突然40度を超える発熱があり、呼吸音がザラザラゴロゴロした様子に変わったので、予定していた再診日を待たずに、発熱翌日の朝に受診しました。
Q5.病院で行った検査について教えてください。
まず、通常通り聴診器で確認をして、「喘息の発作も起こしているがかなり音がよくないので、肺炎を起こしている可能性が高い、肺炎を起こしていれば流行しているマイコプラズマと考えていいと思う」と言われました。
その日に血液検査をし、翌朝提携している別の病院でレントゲンを撮影しました。
4歳児のレントゲン撮影は動いてしまうのでかなり大変そうでした。
体調も機嫌も悪い中、一定時間動かずに一人で静かな部屋で待つというのは、かなりハードルが高いことだと思います。
たまたまうちの娘は一度怪我でレントゲンを撮影したことがあったのと、人見知りや場所見知りもない子だったので撮影しやすい方だと技師さんからは言われましたが、それでもすこし画像がブレてしまいました。
レントゲンの結果、素人目にもハッキリ分かるほど肺が真っ白に写っており、肺炎であることが確認されました。
ただ、レントゲンでは肺炎だということが分かるのみでマイコプラズマであることの確認はできません。
さらに血液検査の結果でも、マイコプラズマであるという確認はできませんでした。
かかりつけ医いわく、マイコプラズマは発症してすぐだと数値が上がらない特性があるので、「マイコプラズマに効果のある抗生物質が効いた=マイコプラズマ肺炎であったと推測される」とのことでした。
(補足)マイコプラズマの正確な診断には「ペア血清」といわれる2度の血液検査を行うか、遺伝子検査などが必要になりますが、どれも結果が出るのには数日かかることから、実際には検査結果を待たずに治療を開始する場合も多くあります。
なお、現在ではマイコプラズマ抗原キットによる迅速診断も可能になっています。詳しくは以下の記事をお読みください。
15分で判定!マイコプラズマ肺炎検査の主流は抗原キットによる迅速診断
Q6.病院ではどのような治療をしましたか?
発熱翌日の初診時は喘息発作の際にいつも行う吸入を行い、咳鼻水のお薬、シングレアとホクナリン(気管支を広げる喘息薬)とともに、マイコプラズマ肺炎に効果のある抗菌薬(注)、解熱剤を処方されました。
薬の種類も量も多かったですが、持病のせいで薬の服用には慣れていたので問題なく飲むことができました。
(注)通常、マイコプラズマ肺炎にはマクロライド系抗生物質(ジスロマック、クラリス等)が処方されますが、気管支を広げる作用のあるテオフィリンなどの喘息薬の効果に影響を及ぼす場合があり、断薬、減薬などの措置が必要になることもあります。喘息薬に及ぼす影響については以下の記事で詳しく説明しています。
喘息持ちの方は要注意!発疹、中耳炎…様々なマイコプラズマ肺炎の合併症。
何とか入院はせずに済んだ娘さんですが……。自宅での看病についてお伺いしました。
Q7.発症時の水分補給やお食事などで気を付けられたことはありますか?
発熱前から食欲はなく、固形物はまったく受け付けませんでした。
一番酷かったときは、ゼリーすら食べられなかったため、スポーツドリンクを口に含ませる程度でした。
医師からも「無理に食べさせる必要はない」と言われていたので、本人の意思に任せていました。
元々瘦せ型なのですが、数キロ体重が落ちてガリガリになり心配しましたが、回復するとすぐに元に戻りました。
Q8.発熱や、咳症状など、お子さんが回復されるまでの経過はいかがでしたか?
発熱は2~3日で治まりましたが、咳は1か月近くかかりました。
発症が年末だったこともあり、小児科の年末年始休暇の間は気が気ではなかったです。
何かあったら、休日診療に駆け込むように言われましたが、幸い、経過が良好だったので多めにもらった薬をきちんと飲み、休暇明けに再診しました。
最後に看病された感想や、同じく喘息をお持ちお子さんのママへのメッセージをお伺いしました!
Q9.看病された感想や、現在予防のため普段から気を付けていることがあれば教えてください。
看病はかなりキツかったです。
当時、下の娘は生後5か月で授乳中。
うつらないように隔離したかったのが本音ですが、高熱のためうなされたり、布団をはがしてしまったり、夜中に起きて泣いたりすることもあり、あきらめて同じ部屋で寝ていました。
本人も寝ようとしても咳が酷く眠れないので、病気による体調不良はもちろんですが、睡眠不足や食欲不振で体力が低下してしまいました。
いつも元気いっぱいな娘がフラフラと転がってばかりいてとてもかわいそうでした。
看病している私も寝不足でフラフラだったので家事は諦め、娘たちの世話だけをしていました。
ほかの家族にうつることはなく、完治して本当によかったです!
現在、マイコプラズマ肺炎を予防するために特別にしていることはありませんが、とにかく早めに受診をして早く治療を始められるようには気を付けています。
Q10.同じような喘息っこをお持ちのママへメッセージをお願いします!
小児喘息を持病に持っていると、「咳くらいだとあまり重要に思わない」ことも多いと思います。
私も、通院はしていましたが秋からずっと咳をしていたので「また咳をしているな。」と軽く考えていました。
発熱に至る前に、きちんと呼吸音の確認を毎日していたら、もっと早くに気づいて治療をはじめられたかもしれないと後悔しています。
発熱翌日がかかりつけ医の休診日ではなかったこと、地域的に流行していたので確定診断が出る前に投薬治療をはじめられたので、入院せずに完治することができて幸運でした。
呼吸音の確認もおろそかにしがちだったので、今は咳風邪を引いたらなるべく確認をして、いつもと音が違うようなら早めに受診するように心がけています。
実は今年、同じく小児喘息を持病に持つ次女(またも4歳)もマイコプラズマ肺炎の疑いで通院しましたが、抗生物質の投与で回復し、通院のみで元気になりました。
子どもにとってマイコプラズマ肺炎は案外「身近な病気」です。
そして身近な病気の中では「重症化すると命にかかわる怖い病気」です。
ですが、早めに治療をはじめることさえできれば、「薬を飲むだけで完治する病気」でもあります。
「いつもと違う症状」を見逃さずに、日ごろから早めに受診してほしいと思います。
≪編集部より≫
吉川さんの体験インタビューはいかがだったでしょうか?
学校や幼稚園などで集団生活を送っている以上、どんなに気を付けていても感染症を100%防ぐことは出来ません。
吉川さんのお子さんが発症された時は、呼吸音が「ザラザラゴロゴロ」と変化したとのこと。
このような胸の音の変化は、実際に経験された方にしか分からない情報なので、小児喘息のお子さんがいらっしゃる場合はぜひ覚えておきたいですね。
授乳中のお子さんや看病疲れで体力が落ちている吉川さんなど、他のご家族に二次感染しなかったことが、何よりも幸いでした。
この時の「家事などは無理をせず、お子さんのお世話に専念した」という吉川さんの判断はとても正しかったと思います。
お子さんの看病は、親御さんにとっても肉体的にも精神的にも疲れが溜まり、どうしても辛くなったり、焦ったりしてしまいます。
「時期が来れば治るから今は仕方ない」と割り切れたことが、さらなる感染拡大を防ぎ、その後のお子さんの良好な経過にもつながったのではないでしょうか。
再びマイコプラズマ肺炎が大流行した2016年の秋、今度は吉川さんの下のお子さんが体調を崩し、やはりマイコプラズマ肺炎の疑いがあったそうですが、早めに受診したおかげで軽い症状で済んだそうです。
前回の体験で得られた吉川さんの「小児喘息のお子さんのママ」としての経験値が、今回のお子さんの体調の変化にいち早く気付かせたのだと思います。
そして今回の吉川さんの体験談インタビューは、同じように小児喘息のお子さんをお持ちのたくさんのママにとっても「マイコプラズマ肺炎が喘息に及ぼす影響」について知る良いきっかけになりました。
まだ小さなお子さんは自分で体調の異変に気付くことはできません。
日頃からお子さんの様子に気を配り、吉川さんもおっしゃっている「いつもと違う症状」を見逃さないように、早めの受診を心がけていきたいですね!
子育てに、お仕事に、お忙しい中にもかかわらず、今回のインタビューを快くお受けいただいた吉川さんに心より感謝いたします。
どうもありがとうございました。
※2017年のマイコプラズマ肺炎の流行状況や症状については以下の記事で詳しく説明しています。ぜひ併せてお読みください。
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