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2017年9月26日更新

生後6か月未満&初感染は重症化も!RSウイルス感染症の症状・感染経路・体験談

RSウイルス感染症は2歳までの乳幼児に多く、風邪に似た鼻水・咳・発熱が現れる。生後6ヵ月未満や心臓・肺に基礎疾患がある乳幼児は、重症化しやすい。症状・特徴や感染経路、赤ちゃんの症状悪化サインや注意したい合併症、予防法(シナジス注射)をご紹介します。
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1.2歳までに100%感染!?「RSウイルス感染症」の症状・特徴

お子さんがいない場合には、あまり聞きなれない病気の一つ、「RSウイルス感染症」

「RSウイルス感染症」とは、乳幼児が感染することが多い、RSウイルスによる”急性呼吸器感染症”です。

そんな「RSウイルス感染症」が、2017年は例年(9月頃)よりも早く流行し、猛威を振るい始めています。
国立感染症研究所によると、9月初めの時点で既に10,000例を超えており、昨年の3倍以上、過去10年で一番多い発症数であると報告しています。

■2017年の「RSウイルス」の流行状況については、次の記事で詳しく説明しています。
2017年は過去最多!「RSウイルス」の流行状況や症状、迅速検査

RSウイルス感染症の好発年齢

RSウイルス感染症に感染した人の年齢を見てみると、5歳以下の子供がなんと約99%!
好発年齢は0歳児で、「2歳までのお子さんのうち、一度はかかる感染症」と呼ばれています。

とはいえ、大人は感染しないという訳ではありません。
しかし、年長になるほど症状は軽くなるので、「風邪かな……」と思い込み、RSウイルス感染と気づかないケースが多くなります。

RSウイルス感染症の主症状は、鼻水・咳・発熱。

RSウイルス感染症の症状は、一見すると以下の通り風邪症状に似ています。

  • 無色や少し黄みがかった鼻水
  • 痰が絡むような
  • 発熱

引き始めは、鼻水が出ることが多く、「ちょっとひどい鼻風邪に罹った?」と感じることもあるでしょう。
次第に38~39℃の発熱が出たり、咳がひどくなったり、肺炎など重症化して入院加療が必要となるケースもあります。

「免疫が付きにくい」「初感染が一番重い症状になる」RSウイルスの特徴

  • 免疫が付きにくい!そのため、生涯で何度もかかる。
    →ただし、年齢が上がり、再感染する度に、症状が軽くなっていく傾向があります。
  • 初感染が一番重い症状。
    →母体からの移行した免疫があるにもかかわらず、生後6ヵ月以内が一番重症化しやすい。
    また、入院となるケースも生後2ヵ月~5ヵ月頃が多い。

(参考)RSウイルス感染症とは:国立感染症研究所
こちらのページでは、RSウイルス感染症の疫学・臨床症状について、より詳しく説明されています。

【体験談】生後6ヵ月でRSウイルス感染し入院!翌年、再感染も軽症。

子どもがハーフバースデイを迎える前の頃です。

咳・鼻水だった為、様子をみていましたが
あまりにもひどい状況だった為
開業医の小児科でみてもらうことにしました。

検査結果としてRSウイルスだということが判明しました。

「夜になると、症状が悪化する傾向にあります。
おそらくこの月齢だと入院になるでしょう。
紹介状を渡しておきますので、急変したら大きい病院にいってくださいね。」
と言われました。

他の総合病院の小児科で診察を受けることに。
そして、そのまま大事をとって入院させてもらいました。

1週間入院し、吸入・吸引、投薬の日々。
はじめはぐったりしていた子どもも
日がたつにつれ落ち着いてきました。

それから1年後の冬、またRSウイルスにかかりました。
「二回目は軽い症状」とはきいていましたが、本当にその通りでした。

(引用元)子供がRSウイルスに2年連続かかり、一度目は1週間入院しました。

家庭内でのウイルス伝播に注意!RSウイルス感染症の感染経路

  1. 感染者のくしゃみ・咳などの「飛沫(ひまつ)感染」
  2. 感染者の唾液や鼻水などがついたおもちゃ・タオルの共有など「接触感染」

乳幼児への感染経路で多いのは、実は、家族から(特に、学童期の子供)の感染なのです。
乳幼児の他に年長の子供がいる家庭では、流行期間中に約44%の家族が感染したという報告もあるのです。

前述した通り、乳幼児期を過ぎると、RSウイルスに感染しても軽症で済む場合が多く、「ただの風邪」と思っているケースが多くなります。

軽い風邪ぐらいでは、家庭内、特に兄弟・姉妹間で乳幼児との接触を一切断つ、マスク着用を徹底するというのは、現実的に難しいこともあるでしょう。
そのため、軽症の上気道炎を発症している上の子のRSウイルスが、下の子にうつってしまう結果に繋がってしまうのです。

■RSウイルスの検査方法(簡易検査キット使用)については、次の記事で詳しく説明しています。
2017年は過去最多!「RSウイルス」の流行状況や症状、迅速検査

2.赤ちゃんのRSウイルス感染症の重症化と悪化サイン

乳幼児に多いRSウイルス感染症は、月齢が高いお子さん程、よくある風邪症状で済み、1~2週間で回復します。
しかし、特に気を付けたいのが、生後6ヵ月未満の赤ちゃんや心・肺疾患等を持った「ハイリスク乳幼児」と呼ばれる子ども達なのです。

1歳未満でRSウイルスに感染は、中耳炎や喘息発作にも注意。

RSウイルスの潜伏期間は、一般的に4~6日となっています。
発症後、風邪のような症状が現れます。

ただし、1歳未満でRSウイルスに感染した場合、症状が強く現れるだけでなく、中耳炎の合併や喘息発作を誘発することが多いので、注意が必要です。

赤ちゃんのRSウイルス悪化サイン-生後1か月未満の感染は「無呼吸」も。

RSウイルスの悪化(重症化)のサインは、「咳がひどくなる」「呼吸が苦しそうになる(ゼイゼイしてくる)」こと。

一度受診しても様子見となることもありますが、赤ちゃんの場合は、1日で急に悪化する場合があります。
RSウイルス感染症は、赤ちゃんにとって危険な病気なのです。

赤ちゃんならではの、RSウイルス感染症の悪化サインとして……

  • おっぱいやミルクの飲みが悪くなる
  • 呼吸回数が増える(苦しいから、回数で補おうとする。新生児で60回以上/分は多呼吸)
  • 呼吸する時、ゼイゼイ・ヒューヒューする音(喘鳴:ぜんめい)が聞こえる
  • みぞおちや肋骨の間が呼吸する度に凹む(陥没呼吸)

特に、生後1か月未満の赤ちゃんがRSウイルスに感染した場合、無呼吸(呼吸していない時間がある≒呼吸の間隔が長くなる)を起こし、突然死に繋がるケースもあります。
また、感染しても風邪のような症状(呼吸器症状)は出ていないことも多く、実は診断が難しいのです。

そのため、周り(特に上のお子さん)が風邪気味で、赤ちゃんに上記のような症状が現れている場合には、念のためできるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

早産児や基礎疾患のあるお子さんは、RSウイルスの重症化リスク高

RSウイルス初感染のうち、30%前後の乳児は、上気道症状のみならず下気道症状(肺炎や気管支炎など)も起こし、入院加療が必要となるケースがみられます。

前述した、生後6ヵ月未満の赤ちゃん以外にもRSウイルス感染には、特に注意したい場合があります。

  • 心肺に基礎疾患がある2歳未満のお子さん
  • 早産児(在胎37週未満)
  • 低出生体重児( 2,500g未満で産まれた赤ちゃん)
  • 免疫不全疾患がある場合
    ※免疫が低下してきている高齢者において、長期療養施設入居者は集団感染に要注意

入院を要する赤ちゃんのうち、約25%が上記のようなハイリスク乳幼児です。
また、国立感染症研究所によると、RSウイルスは、乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%を占めていると報告しています。

「RSウイルス感染症」重症の合併症:急性細気管支炎

細い気管支に炎症が起こり、粘膜が腫れて、気管支が詰まり呼吸しにくくなる病気です。
RSウイルスに感染した2歳までのお子さんに多くみられる重症の合併症です。
多くの場合が、入院加療が必要となります。

ゼイゼイ・ヒューヒューといった喘鳴苦しそうな呼吸が、悪化の目安

次第に、呼吸の回数が1分間に40~60回くらいに増えていき(多呼吸)、肋骨の間が呼吸の度に凹みます(陥没呼吸)。
もっと酷くなると、のど仏までペコペコするようになります。

また、赤ちゃんの場合には、顔が真っ青(顔面蒼白)となるチアノーゼが現れ、場合によっては無呼吸発作(呼吸間隔が広くなる)や急性脳症、さらに最悪の場合、突然死に繋がることもあります。

急性細気管支炎が治った後も、注意が必要です。
風邪を引く度にゼイゼイする(反復性喘鳴)、咳が長引くことがよくあります。
特に、家族がアレルギーを持っている場合は、この細気管支炎がきっかけで将来的に気管支喘息を発症する可能性が高くなるので、まずは重症化しないよう、早めの対処が大切です。

(参考)小児科領域におけるRSウイルス感染症:国立感染症研究所
こちらのページでは、RSウイルス感染症による反復性喘鳴の発症への影響について、詳しく説明されています。
(参考)RSウイルス感染症:北九州地区小児科医会
こちらのページでは、細気管支炎の他、RSウイルスの原因や予防法など、詳しく説明されています。

【体験談】シナジス接種前にRS感染。早産児・未熟児にとって、RSウイルスは要注意な病気だと痛感。

土曜の夜にゼーゼーと息をするようになり苦しそうだったので、日曜の休日当番医を受診。
早産で1300g台で産まれたこともあり、紹介状を渡され、当番医からそのまま救急病院に行くことになりました。

トリアージで「呼吸が苦しそう」だったため、比較的早く検査をしてもらえましたが、検査結果はRSウイルス陰性。風邪をこじらせて細気管支炎を起こしているのかもしれないとの診断で、薬をもらって帰宅。
日中は処方薬で少し落ち着いたように思えましたが、夜になるとまた苦しそうで、親も心配でほとんど寝られず、朝一で再受診。酸素濃度も十分ではないとのことで念のため入院となりました。

入院初日と2日目は酸素チューブをつけて点滴と吸入をしていましたが、あまり良くならず、3日目に再度RSウイルスの検査をすると陽性となり、「どうりで良くならないはずだ」と医師から抗生物質を投薬すると説明がありました。

わが子は妊娠32週で生まれたので、RSウイルスに効くシナジスという予防接種を9月末から始めることになっていた(流行する9月から3月に月1回接種)のですが、その1週間前にかかってしまいました。

10日間の入院となり、3歳の上の子の運動会前日に退院しました。

入院で延期になったシナジスは、退院後まもなく開始しました。RSは何度もかかる可能性があるので、一度かかっても、流行時期は月1で接種したほうが良いとのこと。やはり早産、未熟児で生まれた場合は特に気を付けないといけない病気だと痛感しました。

(引用元)未熟児の子供が予防接種前にRSウイルスに感染し、10日間入院しました。

3.うがい・手洗いの徹底やシナジス注射薬で、RSウイルス重症化を防ぐ。

RSウイルスが発見された1950年代から現在に至るまで、RSウイルスのワクチンはできていません。
ということは、生後6ヵ月未満の赤ちゃんや基礎疾患のあるお子さんが、RSウイルス感染で重症合併症を起こさないためには、「感染しないこと」が最重要なのです。

家族でRSウイルスへの”感染予防”が大事

赤ちゃんの感染を防ぐには、周りにいる家族が、まずはしっかり予防すること!

  • 家族全員で、手洗い・うがいをしっかり行う。
    →家庭内へのRSウイルスの持ち込みは、「軽い風邪症状のある年長のお子さん」が多い。
  • 風邪を引いたら、赤ちゃんに近づかない。
    →風邪気味の人がお世話をしなければならない場合などは、必ずマスク着用・手の消毒など行ってから!
  • 流行時期は、生後6ヵ月未満の赤ちゃんを人ごみに連れて行かない配慮をする。
  • おもちゃなどは、ミルトンなどの次亜塩素酸ナトリウムで消毒しておく。
  • 基礎疾患のあるお子さんは、風邪っぽいと感じたら、早めに医療機関へ受診する。

ハイリスク児は、シナジス注射薬で発症予防を!

前述した通り、RSウイルスにはワクチンはありませんが、遺伝子組み換え技術で作られたモノクロナール抗体(パリビズマブ/商品名:シナジス)の投与もRSウイルスに有効な予防法です。

シナジス注射は、RSウイルスが流行し出す前(秋頃)から、月 1 回筋肉注射することで、RSウイルス感染症の発症予防と軽症化が期待できます。
ただし、保険適用となるのは、下記のハイリスク児のみとなっています。

<シナジスの保険適用対象者>

  1. 早産児
    • 在胎期間(出産時の妊娠週数)が28週以下で、RSウイルス流行時(接種開始時)*1に生後12か月以下の赤ちゃん
    • 在胎期間が29週〜35週で、生後6ヵ月齢以下の赤ちゃん
  2. 慢性肺疾患を持つお子さん
    • 過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)など呼吸器疾患の治療を受けたことがある、RSウイルス流行時(接種開始時)に生後24ヵ月以下の乳幼児
  3. 先天性心疾患(CHD)を持つお子さん*2
    • RSウイルス流行時(接種開始時)に生後24ヵ月以下で、血行動態に異常のある乳幼児
  4. 免疫不全を伴うお子さん
    • RSウイルス流行時(接種開始時)に生後24ヵ月以下の免疫不全を伴う乳幼児
  5. ダウン症候群のお子さん
    • RSウイルス流行時(接種開始時)に生後24ヵ月以下のダウン症候群の乳幼児

*1 RSウイルス流行時とは、例年9月頃を意味する場合が多いですが、接種を行う病院によって接種開始時期が異なる場合があります。
*2 先天性心疾患を持っている場合でも、保険適応とならないケースもあります。

(参考)心疾患児のRSウイルス感染症とその対策:大阪母子医療センター
こちらのページでは、シナジス注射の保険適応となる例や日本小児循環器学会作成の小児におけるパリビズマブの使用ガイドラインが掲載されています。

■RSウイルス感染予防薬「シナジス」の効果や保険適応については、次の記事で詳しく説明しています。
RSウイルス予防には消毒が有効!感染予防薬「シナジス」の効果、保険適用

秋冬は感染症の季節。日頃から予防を

秋の終わり頃になると、インフルエンザも流行し始めてくる時期です。
RSウイルスと同じように、インフルエンザウイルスは、呼吸器疾患を併発しやすいことも知られています。
秋から冬にかけての時期は、より積極的に手洗い・うがいなどで感染症の予防を行いたいですね。

1人1人の日頃の心掛けが、RSウイルスから赤ちゃんや小さな子どもたちを守ることに繋がるのです。

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