仕事も可能?若年性アルツハイマー病は早期発見がその後の進行を左右する!
若年性アルツハイマー病の発見が遅い理由。
日本国内にも4万人近くの患者さんがいる若年性アルツハイマー病。
主に発症の多い40代、50代は、家庭や仕事においても中心的な存在です。
現役世代の発症は家計にも大打撃で、これまでの家族関係を一変させてしまうほどの影響があるにもかかわらず、病気の兆候が見られてから、医療機関を受診して確定診断されるまでには1年以上かかることも多くあります。
これは高齢者の認知症に比べても長くかかる結果となっていますが、これほど若年性アルツハイマー病の治療の開始が遅れる理由はどうしてなのでしょうか?
(参考)認知症の人と家族の会 認知症の診断と治療に関するアンケート結果発表
(参考)若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について
若年性アルツハイマー病の診断はお医者さんでも難しい!?
若年性アルツハイマー病はこれまで出来ていたことが出来なくなったり「おかしいかな?」ということがあっても、次の日にはまたできるようになったりという具合に、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ症状が進行します。
働き盛りの40~50代という年代ではまさかそれが認知症の予兆であるとは気づかず、単なる疲れやストレスかなと思い込んでしまうことも少なくありません。
また、家族や本人がおかしいと思い、病院で医師の診察を受けた場合でも、認知症を見逃してしまうこともあります。
「初期」の若年性アルツハイマー病の場合、画像診断を行っても脳の萎縮がほとんど見られず、物忘れ以外にも、頭痛、不眠、不安、抑うつといったような「うつ病」に似た症状が見られます。
仕事でも重要なポストにいるこの年代は仕事や人間関係など何らかのストレスを抱えていることが多い年代です。
抑うつなどの精神症状から実際に病院では「うつ病薬」を処方されてしまうこともあるのです。
若い患者さんの場合、自分のとった行動の異常さに気付くことで自身が不安になり、実際に不安神経症やうつ病に近い症状がおこり、ますます混同してしまうことも。
さらに、女性の場合、追い打ちをかけるのが更年期障害です。40~50代は更年期障害とも重なる時期です。
物忘れや抑うつなどは更年期の症状にも見られるため、更年期だから仕方がないと思い込んだ結果、病気の発見を遅らせてしまうこともあるのです。
生活に支障のある「物忘れ」が起きたら速やかに専門外来を受診する!
若年性アルツハイマー病は、老年性に比べても病気の進行が早く、症状を抑える治療薬が効く期間も短いと言われており、数ヶ月放置している間に進行してしまったケースもあります。
「物忘れが目立つ」「仕事に支障がある」「計算できない」など、明らかに生活に支障が出るような「物忘れ」が見られる時は、出来るだけ早く、脳機能を詳しく調べることが出来る「物忘れ専門外来」「認知症外来」などの専門外来を受診しましょう。
また、現在「うつ病」などで治療中でも、「物忘れ」が見られ始めた時はセカンドオピニオンを求めることも大切です。
症状だけで判断するのではなく、患者さんの状況や悩みなどじっくりと話を聞いてくれる医師を選びましょう。
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移動などの空き時間を利用!便利なスマホアプリで脳トレも。
病気を早期で見つけ、治療を開始することが大切なのは、老年性でも同じですが、高齢者に比べて若年性の場合、自分でも意識して脳トレをしたり、食事や運動、喫煙などの生活習慣を見直したりといった対策が取やすくなります。
認知症の発症前である認知症予備軍(軽度認知障害:MCI)のうちに予兆に気付き、対策をすることで、進行を遅らせたり、症状を改善させることは大いにできると言われています。
中高年の方はスマートフォンをお使いの方も多く、脳トレには便利なスマホのアプリを活用するのもおすすめです。
空いた時間に暗算、計算などゲーム感覚で楽しく脳の機能をUPさせることが出来ます。
ただしやり過ぎると今度は「デジタル認知症」になるので注意が必要です。
(※デジタル認知症とは、若者に多くみられるスマホなどのやりすぎで記憶力が落ちる症状のこと。)
(参考)iPhoneアプリ「HAMARU-きもちよすぎる脳トレ~IQ脳トレゲーム」ダウンロード
(参考)Android版「きもちよすぎる脳トレ HAMARU 計算脳トレゲーム」ダウンロード
認知症は健康診断で発見できる時代に!?認知症予備軍(MCI)の段階から気付くことを目指す取り組みとは?
最近では医療機関の中でも「認知症ドック」と言われる健診を行っていたり、企業や市町村の健康診断でも、40歳過ぎから認知症テストを行うところも増えてきています。
健診で行うメリットは、毎年テストを行うことで、「今年は去年に比べて少し記憶力が落ちたから生活習慣を見直そう」など継続して経過を観察し、早い段階で生活を見直すきっかけを作ることが出来ることです。
実際、健診時のテストで、認知症予備軍(MCI)が見つかるケースもあります。
認知症の患者さんを減らすためにも、今後ますますこういった健診が広まることが期待されます。
初期なら工夫次第で仕事もできる!社会とつながる重要性。
実際、認知症と診断を受けると、「仕事ができなくなるのでは?」と不安になることもあると思います。
また、周囲の人も「話しても分からない」「どうせできないだろう」と考えてしまいがちですが、決してそんなことはありません。
若年性認知症の場合、まだまだ身体は元気で働き盛りの年代。孤独になって引きこもってしまうことはありません。
初期の認知症であれば、職種にもよりますが、仕事やボランティアを続けることは可能です。
出来る形で前向きに社会とつながることで、その後の15年~20年と続くこれからの生き方を見つめ直すきっかけになります。
また、やりがいを持って仕事をすることは何より「進行の予防」にもなるのです。
困った時などは周囲のサポート受けながらも、常にペンとメモを持ち歩き、忘れやすいことは必ずメモを取り、介護施設でヘルパーとしてお仕事をされている方もいらっしゃいます。
特に、認知症であっても料理、皿洗い、掃除、手芸といったような、長い間行ってきて身体が覚えている作業は、健康な人と変わらないレベルの仕事ができることも分かっています。
ご自分の得意分野で活躍できる場があるかもしれません。地域包括支援センターなどに相談をしてみましょう。
「仕事を任せつつ、困った時には手助けできるようにちょっとだけ気にかける」周りの人もそんな優しい気持ちを持つことができれば、若年性認知症患者さんの働きやすい環境は自然と増えていくのではないでしょうか?
最後に若年性アルツハイマー病を題材にした映画を2本ご紹介します。
ご本人やご家族はもちろん、周囲に認知症患者さんがいらっしゃるような場合も患者さんの気持ちを理解する参考になることでしょう。まずは若年性アルツハイマー病を知ることから始めましょう。
◆明日の記憶
渡辺謙さん演じる働き盛りの50歳のサラリーマンが若年性認知症を発症。そんな夫を懸命に支えようとする家族との絆。見終わった後に希望を感じる事もできる作品です。
◆アリスのままで【アカデミー賞主演女優賞受賞 】
言語学者として、まさに人生の充実期を過ごしていた50歳のアリス。
物忘れが頻繁に起こるようになって診察を受けた結果、若年性アルツハイマー病と宣告を受ける。
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