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2016年9月9日更新

睡眠・食事・喫煙…生活習慣改善と「デュアルタスク運動」で認知症を予防!

アルツハイマー型認知症は、生活習慣を見直すことで発症のリスクをかなり下げることが出来ます。睡眠、運動、喫煙、食事、あなたが何気なく行っている習慣は、将来、アルツハイマー病を引き起こす可能性があるのかもしれません。その対処法をまとめました。
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アルツハイマー型認知症は生活習慣病

メカニズムがまだ完全に解明されていないアルツハイマー病ですが、最近、その発症には「生活習慣」との関係が深いことが分かってきています。研究者の中には「アルツハイマー病は生活習慣病の1つである」と主張される方もいらっしゃいます。

残念ながら、現在の医学では発症したアルツハイマー病を完治させることは出来ませんが、今から悪い生活習慣を見直せば、他の生活習慣病と同じように認知症発症のリスクを下げ、予防することは可能なのです。

睡眠、運動、喫煙、食事などの生活習慣がアルツハイマー病発症にどのような関係があるのか見てみましょう。

睡眠と認知症。睡眠不足が身体に及ぼす影響とは。

睡眠不足は認知症発症のリスクを高めます。

オランダで行われた「睡眠と認知症の関係」を調べる実験で、健康な大人を「睡眠をとるグループ」「徹夜グループ」に分け、翌朝、脳内の変化を調べたところ、徹夜したグループでは、たった一晩で認知症の原因物質である老廃物アミロイドβが増加していることが判明しました。

アミロイドβは脳の神経細胞の動きが活発になっているときに増加し、夜寝ている間に脳の外に排出されます。

しっかり睡眠をとったグループでは睡眠中、脳内の神経細胞は活動を停止しているのでアミロイドβは排出されましたが、徹夜したグループは脳の神経細胞が休むことなく活動していたためアミロイドβも増加し続けていたと考えられます。
このことから睡眠不足は認知症発症に大きな影響を与えることが分かります。

「一番体調が良いと思われる睡眠時間」がその人にとっての最適な睡眠時間。

睡眠時間は長ければ良いというわけではありません。

8時間以上寝るロングスリーパーと4~5時間でOKなショートスリーパーの方がいるように、適正な睡眠時間には個人差があります。

適正な睡眠時間は本人が「一番調子が良いと思われる時間かどうか」ということで決まります。自分にとっての最適な睡眠時間を把握し、その時間を下まわらないようにしましょう。

寝不足の日は、日中昼寝する時間をとるなどして睡眠時間を補うのも良い方法です。
ただしこの場合、長く寝すぎてしまうと夜の睡眠に影響を及ぼすため、30分程度にとどめましょう。

(参考)NHK認知症キャンペーン「認知症と生活習慣」

運動と認知症。運動は衰えた記憶力を改善させる!

運動不足も認知症のリスクを高めます。
運動習慣のない人は運動習慣のある人に比べて、認知症の発症率が40%も高いというデータがあります。

運動をするとアミロイドβを分解する酵素が活発になり、脳に溜まるのを防ぐことが出来ます。

現代の生活では、近くの場所でも車を利用してしまう「歩かない生活」をすることが増えています。
意普段からこまめに動くように意識しないと、すぐに運動不足になってしまいます。

運動と言っても激しいスポーツが必要なわけではありません。
スロージョギングやウォーキングといった軽めの有酸素運動30分行うだけでも、認知症の予防には十分効果があります。
まずは週に3日程度、継続的に行うことが大切です。

(参考)NHK認知症キャンペーン「認知症と生活習慣」

何処でもできる!「デュアルタスク運動」とは。

いつでも手軽にできる運動として国立長寿医療研究センターの開発した認知症予防プログラム「デュアルタスク運動」を行うのもおすすめです。

デュアルタスクとは「一度に二つの動作を同時に行うこと」。脳と身体の両方に負担をかけることで、体力をつけながら衰えかけた記憶力を維持または回復させる効果が期待できます。

運動による記憶力の改善

(参考)NHK「きょうの健康」認知症を食い止めよう「運動で記憶力回復」

認知症の予備軍である軽度認知障害(MCI)の改善に開発されたプログラムで、記憶力の衰えが気になりだした時に行うことで症状が改善されることがあります。

デュアルタスク運動の種類~歩きながら引き算・踏み台昇降しりとり・ラダートレーニング

◆歩きながら引き算

ウォーキングしながら100から順に決まった数字をひいていきます。
このとき、歩くスピードが落ちないように気を付け、一歩の歩幅を大きく歩くと、さらに負荷がかかり効果的に運動ができます。

(参考)NHK認知症キャンペーン 認知症予防運動プログラム①

◆踏み台昇降しりとり

踏み台昇降を続けながらしりとりを続けます。

(参考)NHK認知症キャンペーン 認知症予防運動プログラム④

◆ラダートレーニング

はしごや床の升目などを利用して行うトレーニングです。1つの升目の中で4回ステップを踏み、合計8ステップを1単位とします。他の人に1~8のうち2つの数字を決めてもらい、該当する数字のときは足を枠外に出します。

NHK認知症キャンペーン 認知症予防運動プログラム⑤

「有酸素運動」であればウォーキングや踏み台昇降以外の物でもOKです。
少し息が弾む程度の心拍数をキープすることを意識して行うことが大切です。

運動は30分程度を目安に行いますが、きつい場合は10分ずつを3回に分けて行っても構いません。

雨の日でも家の中で気軽にできるこの体操は、思い立った時にすぐにできるのが最大のメリットです。

喫煙と認知症。「百害あって一利なし」のタバコは控える!

喫煙習慣がある方は喫煙習慣のない人に比べ、発症のリスクが2倍高くなることが分かっています。

反対に禁煙をするとアルツハイマー型認知症になる確率は20%減るとも言われています。

長い間吸ってきたからと諦めずに、百害あって一利なしのタバコの習慣は、早いうちにやめるようにしましょう。

食事と認知症。毎日の食事が発症を左右する!

食事も認知症の発症には大きく関係しています。

生活習慣病を防ぐことは認知症のリスクを下げる事につながります。

高血圧動脈硬化の原因となる肉や揚げ物、乳製品など高脂肪、高カロリーの食品の摂り過ぎには注意しましょう。

また、炭水化物や糖分の高い食品は糖尿病のリスクを高めます。

「生活習慣病にならない食事=認知症の予防」ということを忘れず、つねにバランスの良い食事を心がけましょう。

食事については以下の記事で詳しく説明しています。
糖尿病は発症リスクが2倍に!?アルツハイマー型認知症は食事で防ぐ。

以上、生活の中の悪い習慣を見直すことで、他の生活習慣病と同じように認知症もかなりの確率で予防できることがお分かりいただけたでしょうか?

まずは規則正しい生活を心がけ、できることから意識して生活することが大切です。

自分にとって楽しい時間を過ごすことは脳への良い刺激になります。人と会って話をする、料理をする、楽器を演奏するなど自分が楽しめることを積極的に行い、脳を活性化する努力も併せて行いましょう。

「アルツハイマー病は発症してからでなく、なる前に予防する」ことが可能な病気だということを覚えておきましょう!

(参考)NHK認知症キャンペーン「要注意!生活習慣病」

低周波機器の使用による物忘れの予防改善に関する調査

募集

物忘れの多い方を対象とした調査にご協力いただける患者様を募集します。



対象

60歳から75歳までの男女・物忘れが多い方

通院場所

相模原中央病院(神奈川県相模原市中央区)

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