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2016年10月7日更新

ストレスが腰痛の慢性化を招く!認知行動療法で痛みの悪循環から抜け出す

原因不明の慢性腰痛は、ストレスが原因の場合も。不安やメンタルの不調は脳が持つ「痛みを鎮める働き」を低下させ、痛みを増幅させる悪循環に。ストレスフリーな生活が心因性腰痛改善のポイント。認知行動療法・これだけ体操・痛み日記で心穏やかな毎日を。
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1.慢性腰痛の治療が成功する秘訣は、ストレスを溜めないこと。

厚生労働省研究班の研究調査(2012年)の中で、調査結果から人口比率を計算すると、「腰痛」に悩んでいる人は、全国に約2,800万人(推定)にも上ることが分かりました。

また、厚生労働省 国民生活基礎調査(2013年)の中でも、男性の自覚症状1位、女性の2位という、まさに”国民病”となっています。

腰痛といっても、腰の痛み(ズキズキ・ジンジン・ジーンなど)が3か月以上ある場合、それは「慢性腰痛」かもしれません。

あまりにいつまでも腰の痛みが治らないからと、整形外科を受診してみても、腰痛持ちさんの8割が”これといった身体的に異常は見つからない”原因不明となることがあります。

特に、痛みがひどい場合には、リリカトラムセットなど神経障害性疼痛治療薬の投薬や神経ブロック注射など薬物療法が取られることがあります。

根本的な原因が不明なので、「早く痛みから解放されたい、痛みの原因が知りたい」患者さんにとっては、すっきりせずモヤモヤ、痛みにビクビクしながら生活を送らなければなりませんでした。

■慢性腰痛の薬物療法については、以下の記事で詳しく説明しています。
「慢性腰痛」治療の基本は薬物療法-神経障害性疼痛薬・漢方薬・神経ブロック注射

(参考) 膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究|吉村 典子
こちらのページでは、腰痛以外にも膝痛などの疾患からの要介護移行に関連する要因について、概要の説明されています。

痛みと心は繋がっている!「心因性腰痛」とは?

実は、原因がはっきり分かっている椎間板ヘルニアにも、痛みが強くある人と痛みがない人がいると、知っていましたか?

1995年スイスのチューリッヒ大学の研究データによると、椎間板ヘルニアの患者さんのうち神経の圧迫が強いことが原因で痛みがある人は約30%しかおらず、ほとんどの人は仕事などに強いストレスを感じていたり、病気に対する不安が強く、抑うつ状態がみられ、痛みに心が深く関係していることが判明しました。

メンタルに不調を来し、自律神経が乱れることで、血行不良や筋肉の緊張に繋がり、回復力の低下や筋肉の修復が遅れるため、腰痛が起こる「心因性腰痛」が最近増えてきています。

慢性化したストレスは、痛みを抑える脳の機能を低下させる。

人の脳には、本来痛みを抑える仕組みがあります。
この働きをしているのが、最近話題となっている脳のDLPFCと呼ばれる部分です。

”DLPFC”とは、Dorsolateral prefrontal cortexの略で、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)と呼ばれ、頭の左前の方にあります。

DLPFC

DLPFCは、脳に起きた興奮(痛みの信号)を抑制するために、ドーパミンと呼ばれる脳内物質を大量に分泌させる指示を出して、痛みの回路を鎮め、痛みを和らげる仕事をしているのです。(ドーパミンシステム

カナダのある大学で調査してみたところ、慢性的な腰痛を持っている人の脳にあるDLPFCの体積は、健康な人に比べ約半分くらいになっており、痛みが強く長引いている人ほど、DLPFCの活動自体も衰えていることが分かりました。

この様に痛みを慢性的に感じていると、実は強いストレスとなってDLPFCの痛みの鎮静活動を抑制し、普段の心理状況であればなんてことはない痛みでも増長し、激痛に感じ取ってしまいます。

そして、また普段の腰痛を我慢する→ストレスが慢性化→痛みを抑える脳内物質の分泌が減る→痛みが強く感じる→腰痛が慢性化する→腰痛を我慢する……という痛みとストレスの負のスパイラルに。

つまり、ストレスを溜めないことが、腰痛を治すためには必要不可欠でなのです。

2.「認知行動療法」で、気持ちを前向きに!

日本でも、うつ病など精神分野では、既によく取り入れられている療法です。
認知行動療法とは、簡単に言うと「考え方(ものの見方)を変える!心理療法」のことです。

腰痛に関しても、日本整形外科学会と日本腰痛学会がまとめた「腰痛診療ガイドライン 2012」で認知行動療法は、行うことを強く推奨されています。

(参考):治療|腰痛診療ガイドライン 2012

ステップ1:まずは「腰痛は治るもの」と理解する。

「痛いし、怖いから、動かさず寝てよう」と腰痛に支配された行動やどこかで聞きかじった「この痛みは手術しないと治らない。」「痛み止めを飲まないと痛い。」といった誤った知識でも、不安やストレスで痛みはより増幅してしまいます。

そこで、「腰痛は治る!腰痛は痛くない、安静ではなく動くことが大切」という映像や啓蒙本を見て、痛みへの認知(思い込み)を改善させましょう。
ちなみに、啓蒙本を読むだけで、痛みが軽くなったように感じる人もいます。(読書療法

2015年にNHKスペシャルで放送され大反響となった「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム~」が2016年に出版化されています。興味を持たれた方は、ぜひ読んでみて下さい。

脳で治す腰痛DVDブック
脳で治す 腰痛DVDブック(NHKスペシャル取材班著)

これらは、今まで心配で強いストレスを感じていた脳が、「自分は腰痛の手術はしなくても大丈夫」とか「動かすことは恐怖ではない」と学習することで、DLPFCのストレスが減って、痛みを鎮める命令が活発になったからと言われています。

ステップ2:動かしてみよう!1回3秒これだけ体操

腰が痛いと、ついつい前かがみになって、腰をかばう姿勢を取ってしまいがちです。
しかし、あえて腰の後ろに手を当てて、腰を反らす姿勢を3秒間キープすることをやってみましょう。

これは、腰の名医で有名な東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 松平 浩先生監修の体操です。
※腰からヒザにかけて、しびれが出る場合はNG。医師から運動を禁止されている人もNG。

<1回3秒これだけ体操のやり方>

  1. 足を肩幅より少し広めに開く。
  2. おしりに指先を下にして、両手を当てる。
  3. 息を吐きながら、ゆっくり上体を反らしていく。(※骨盤を前に押し込む感じ)
  4. 上体を反らしたまま、その姿勢を3秒キープする。

≪ポイント≫ひざを曲げずに、あごを引いて行う!

毎日数秒行うだけで、脳が「腰を動かすことへの恐怖・不安」を少しずつ克服していきます

1回3秒これだけ体操の詳しいやり方は、以下の動画で確認できます。

ステップ3:「日記」を付けて、自分の心の声を聞く。

自分の本音を簡単でいいので、書いてみましょう。

楽しかった、悲しかった、腹が立った、うれしかったなど何でもいいのです。書き出すことで、自分が抱えているストレスの原因など客観的に見ることができ、それだけでも心が軽くなることもあります。

また、併せて1日に感じた腰の痛みの平均を、10段階の中から選び、2~3か月間毎日記録してみます。
そうすると、「あ~、こんな事があると腰痛が起こりやすいのか」といった痛み起こる心理状態が分かるようになるため、痛みとの付き合い方を知るヒントになります。

<痛み日記の書き方>

  • 人生で最も痛い痛み→「10」とする。
  • 日記をつける前の1か月間の平均した痛みを記入する。

痛み日記は、以下のサイトからダウンロードできる他、スマホ用アプリも開発され、気軽に管理しやすくなっています。

(参考):「いたみ連絡帳-肩・腰・膝の痛み記録」|「いたみ連絡帳」サイト(外部サイトに移動します)
(参考):Androidアプリ「いたみ連絡帳」のダウンロード
(参考):iPhone・iPadアプリ「いたみ連絡帳」のダウンロード
※「いたみ連絡帳」をご利用するには、サイト先での無料会員登録が必要です。

ステップ4:ストレスを発散させる。

自分が好きな楽しいことをしたり、何も考えない時間を作ったりしてみましょう。

こんな簡単なことで痛みがなくなるなんて、気のせいだ……そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、快感には痛みを抑える力があるのです。

「病は気から」という言葉もあるように、何事も考え方次第です。

「痛くて何もできない」から「痛くてもやれることは、たくさんある」というポジティブ思考に変えて、普段からストレスフリーな生活を目指し、慢性腰痛の負のスパイラルを断ち切りましょう!

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