「心の問題の解決方法に正解はない」オンラインカウンセリングサービス”cotree”代表・櫻本真理さんインタビュー
メッセージやSkype通話を活用したオンラインカウンセリングを提供する「cotree」。そのサービスに込められた思いや、今後の目標など、代表の櫻本真理さんにお話を伺いました。
櫻本真理(さくらもとまり)さん|株式会社cotree 代表取締役
1982年 広島県生まれ。
京都大学教育学部卒業後、モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券にて勤務。証券アナリストとして2009年日経アナリストランキングその他素材部門20位、2010年同10位にランクイン。同社退社後複数のスタートアップやプロジェクトに携わり、2014年5月に株式会社cotreeを設立。産業カウンセラー。
1.cotreeを始めたきっかけについて教えていただけますか?
インターネットという場で専門家に相談するという選択肢を作る
心の問題においては苦しみと生き方が密接につながっていることが多いのですが、精神科の医療は「苦しみから解放される」ということについては大きな力を発揮してくれるものの、どうしたらもっとその人らしく生きていけるのか、というところまでは面倒を見てくれないことが多いのが現実です。
一方、自分の人生と向き合い、自己理解を深めていく作業を、他者を鏡にしながら行うのがカウンセリングです。
そこでカウンセリングを利用しようとしても、誰にどう相談していいのかわからない・近くにカウンセラーがいない・人に知られたくない、などの制約から、利用できない方が多いのです。
そこでまずは、悩んだ時にまず触れることが多いインターネットという場で専門家に相談するという選択肢を作ることには意味があると思いました。これが、オンラインカウンセリングのcotreeを始めたきっかけです。
2.cotreeの運営を始めて、新たに感じたことはありますか?
心の問題の解決方法に正解はない
心の問題の解決方法に正解はない、ということをよく感じます。
他の医療分野のように、エビデンスを重視した心理療法を効率的に提供していく、といった観点ももちろん大事ですし、エビデンスで語り得ない人と人とのつながりから生まれる有機的な変化もとても大切です。
人の心は、ささいな出来事や言葉をきっかけに、思いもよらない変化が非連続に起こることがあります。何が変化のきっかけになるかわからないからこそ、心のケアには様々な選択肢が必要なのだと思います。そのたくさんの選択肢のうちのひとつがcotreeだと認識しています。
そして、それは単体で機能しようとするのではなく、そのほかにもたくさんある選択肢や社会的資源への接点として機能していく必要があるということを強く感じています。
3.櫻本さんのこれからの目標を教えてください。
「見えている景色が変わっていく」喜びを大切に
あまり目標を設定するのは得意ではないのですが、あえて到達地点としての目標を設定するとすれば、まっすぐに人生と向き合う場としてのカウンセリングや心理療法と
私個人としては、生きている道のりの中で「見えている景色が変わっていく」喜びを大切にしたいと思っています。それは「周囲の景色が変わること」と「見る側の視点や解像度が変わること」のふたつの側面を持っています。
多くの利用者に価値を提供し、より多くの信頼できる仲間と一緒に仕事をするといった「景色の変化」。
それから私自身の感性と知性を高めていきたい、という「視点や解像度の変化」。
このふたつを大事にしながら、長い時間をかけて、cotreeをより社会にとって価値あるサービスにしていきたい、と考えています。
オンラインカウンセリングサービスで心のケアの選択肢を広げる櫻本さん。「ヘルスケア×インターネット」という、現代社会にフィットした話題性のあるサービスですが、そこには「困った時に誰もが助けを求められる社会の実現」という目標と、サービス提供と仲間との仕事を通した「景色」、そして自身の感性・知性の高まりから見える「景色」の変化を大切にしたいという思いがありました。cotreeそして、櫻本さんのこれからの活躍から、今後も目が離せません。
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