台風の季節は注意!低気圧で頭痛やめまい、耳鳴りが起きる主な原因は自律神経の乱れ。気象病(天気病)のメカニズム・主な症例と対策
1. 気象病(天気病)って?天気の影響で表れる症状の総称だった!
気象病の由来
気象病とは、近年認知されてきている比較的新しい病名です。気象の変化によって起こる身体の様々な変化を総称しています。
天気病や季節病とも言われており、気象病は特に気温や湿度、気圧の急な変化が原因で起こる症状を指す場合が多いです。
気象病の主な症状は、頭痛やめまい、耳鳴りや眠気ですが、症状や程度は人によって千差万別です。
古来から風習や言い伝えなどで天候と体調との深い関係は示唆されていましたが、気象病の具体的な根拠やメカニズムは長らく不明のままでした。しかし近年、研究によってその原因や治療法が明らかになってきたのです。
気象病の多い時期=高気圧と低気圧の変化が激しい時期
天気が悪くなると身体の様々な関節の痛み、頭痛やめまいを経験した方もいらっしゃるのではないでしょうか?天気が悪くなるということは、低気圧がやってくるということです。
気象病に特に注意するべき時期は、特に高気圧と低気圧の移り変わりが激しい春先の3月頃や、梅雨の時期の6月頃、そして台風の活発な8月下旬から10月初旬にかけてです。
さらに、近年増加しているゲリラ豪雨は局地的に気圧が変化する気象現象のため、頭痛持ちなどの持病を抱えた方は特に注意が必要です。
日本人の約6割がかかる気象病、その傾向とチェックリスト
女性の方が変化に敏感?気圧と体調に関わるデータについて
株式会社ウェザーニューズが2012年に行った調査によると、日本人の約6割が低気圧になると頭痛など体調に異変を感じました。男女比でみると男性が2人に1人の割合だったのに対し、女性は4人のうち3人は何らかの異変が表れたと回答しています。
参照:日本人の6割が気圧低下で体調の変化を実感-weathernews
自分の生活を振り返ってみましょう!気象病自己診断チェックリスト
また、日本で唯一の天気痛(気象病による体調の変化)専門の外来を行っている佐藤純(さとうじゅん)医師は、自らが出版した書籍「天気痛を治せば頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」でチェックリストを設けていますので、その一部を引用いたします。
天気痛チェックリスト
- 昔から天気の変化には敏感なほうだ。
- 乗り物酔いをしやすいほうだ。
- どちらかといえば、天気によって気分の浮き沈みがあるほうだ。
- 学生時代など、過去にスポーツで骨折などのケガをした経験がある。
- 暑い季節にはのぼせやすかったり、寒い季節には冷えやすかったりする。
- 最近、体を動かす機会が減っている。
- 耳鳴りがしやすい、耳抜きをするのが苦手、新幹線や飛行機に乗ると耳が痛くなりやすいなどの自覚症状がある
- ストレスを感じやすい性格である、もしくはストレスの多い生活を送っている。
(出典)書籍「天気痛を治せば頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」p002~p003(著:佐藤純)
2. 気圧は耳で感じとる?気象病を招く要因の一つは「自律神経の乱れ」
自律神経とは、循環器や呼吸器、消化器など身体の様々な部位の活動を調整するため、日夜休まず働き続けている神経です。
昼間や身体の活動時に活発になる「交感神経」と、夜間や身体の安静時に活発になる「副交感神経」の2つの自律神経がバランスを取りながら器官のはたらきをコントロールしています。
この2つの神経のバランスが崩れると、身体に様々な異変が表れます。特にどちらか一方の神経が大きく優位になってしまうと「自律神経失調症」という病気が診断されることがあります。
【体験談】仕事のストレスから吐き気や貧血が。病名は「自律神経失調症」
病院と言われても、どこに行けばいいのか分からず、ネットで症状を書き込み、どの病院に行ったらいいか調べたところ、精神科や精神内科がヒットしました。
とても驚きました。
「最近このような病院が増えたなぁ」とは思っていましたが、どのような方が受診をするのかも分からず、私には無縁だと思っていたからです。
近所の精神内科を受診し、問診というより、カウンセリングが始まりました。
今日に至るまでの経緯や症状など。
そして、病院から宿題を出されました。
200問程ある、チェックシートです。
「自分が好きか」「将来に不安を感じるか」などの質問に『はい』『いいえ』で答えるものでした。
数日後、チェックシートを持って再度受診をしました。翌日、先生から「自律神経失調症です」と診断を受けました。
私の場合、気づかないうちに溜まっていっていた仕事のストレスが、上司の送別会を機に一区切りついたような感覚になり、爆発してしまったのではないかと言われました。
送別会の翌日から不調が出た事は確かでしたが、自分自身がこのようなストレスが原因の病気になり、このような症状まで出てしまった事に、とても驚き、悲しくなりました。
このまま仕事を続けると症状が悪化し、『うつ状態』や『うつ病』も発症してしまうと言われ、休職を勧められました。
自律神経を乱す様々な要因
自律神経を乱す要因は、様々な変化にあります。その変化が身体や心にストレスとなることで、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
変化の例として主に挙げられるのは、これらの要因です。
- 気温や湿度、気圧の変化などの環境的な要因
- 持病や怪我、疲れなどの肉体的な要因
- 精神的な要因や社会的な要因
これらのストレス要因が、自身のコントロールできる範囲を超えてしまうと、自律神経に乱れが生じ、体調に影響を及ぼします。
気圧の急激な変化に要注意!気圧の変化と自律神経の密接な関係
気象病を招く環境的な要因のうち、私たちが変化に気付きにくいのが気圧の変化です。
気圧の変化という外部からの刺激が、自律神経のバランスに大きく影響します。
天気が悪くなるということは、周りより相対的に気圧が低下する低気圧状態になるということです。
低気圧の場所にいると、身体は気圧の変化という刺激(ストレス)に抵抗するため、交感神経が興奮します。交感神経が興奮すると、血管や細胞が膨張され、痛みを司る神経を刺激するため、体調に変化が起こります。
また逆に、天気が急に良くなる場合にも注意が必要です。
一般には気圧が低下する場合の方が体調に変化が生じやすいと言われていますが、気圧の急な変化が自律神経(特に交感神経)を刺激することは確かです。
ヒトは気圧の変化をどこで感じ取る?その答えは「内耳」にあった!
では私たちは、外部の気圧の変化を、身体のどの部位で感じて取っているのでしょうか。
その答えは、耳にある「内耳」という器官にあるセンサーが敏感に感じ取っていると最近の研究で分かってきました。
内耳には身体の平衡感覚を司る機能があり、そのため内耳には2つのリンパ液が存在しています。内リンパ嚢と呼ばれる袋に入った内リンパ液とその外側にある外リンパ液です。
これら2つのリンパ液が生み出す圧力や振動の差を敏感にキャッチするセンサーやチャンネルがあるのではないかと言われています。
3.頭痛やめまい、うつ・・・、あなたの気象病の傾向をチェック!
気象病の症例は頭痛やめまいといった身体的なものからうつなどの精神的なもの、低気圧が襲ってくるたびに発生する突発性のものから持病の悪化とった恒常的なものまで様々です。
しかし、その多くの症状に天候の変化、とりわけ気圧の急激な変化(低気圧の襲来)が関わっているといわれています。
①頭痛(片頭痛)
気象病の中でも、頭痛は特に多く発症される方が多いです。頭痛のうち、低気圧が来た時に襲ってくる頭痛は「片頭痛」であるといわれています。頭の片側や両側がズキンズキンと脈を打つような痛みや、吐き気や嘔吐感を伴います。
片頭痛の起こる原因は細かい部分まで解明されていませんが、一般に頭蓋骨内部の血管が拡張され炎症が起こるためであると考えられています。
気圧が急激に低下すると、血管を押さえていた気圧が弱まる、あるいは交感神経が活発になります。
すると、脳内の血管が拡張されます。膨らんだ血管が周りにある神経を刺激することで、頭痛が発生すると考えられています。
片頭痛の詳しいメカニズムは、こちらの記事でも紹介しています。
遺伝も!?鎮痛剤が手放せない片頭痛の症状・受診タイミング・治療法・体験談
②首の痛み(むち打ちなど)
首は、自律神経の中心である視床下部から全身へ張り巡らされた交感神経と副交感神経が通っており、そして気圧を感知していると考えられる内耳とも繋がっています。もちろん、脳へと至る血管やリンパ管も通っている非常に重要な部位です。
過去にスポーツや事故などで、むち打ちなど首を痛めた経験のある方は、血行障害などが原因で内耳のセンサーに変化が生じ、自律神経系のバランス調整メカニズムが過敏になっている可能性が考えられます。
【体験談】寒くなるとぶり返すむち打ち
《治療の内容》
整形外科を受診すると
問診、レントゲン、触診がありました。
診察の結果は、わたしも子供も特に異常もなかったのですが、
先生から「一週間くらいすると痛みが出てくるかもしれないので、痛みがあるようでしたらまた来てください。」とお話を頂き様子を見ることにしました。それから一週間ほどすると
首から肩にかけて
痺れるような痛みが出始めたので
再度受診すると
痛みが強い時に飲む痛み止めで様子を見ながら
リハビリを行うことになりました。
事故にあったのが冬だったので、
痛みは朝晩の寒い時に出ることが多く
痛み止めも何度か服用しました。
リハビリでは、電気治療と暖かいタオルで患部をほぐしながらのマッサージも行いました。
リハビリには2ヶ月ほど通院しました。
リハビリが終わる頃には痛みもだいぶ良くなりましたが
、未だに寒い時期になると痛みが出ることがあります。
③関節痛、リウマチ
気圧の低下は身体の内部の圧力の一時的な上昇を引き起こします。
高い山へ登ったときやエレベーターで上昇するときに感じる耳への違和感が、圧力が上昇している証拠です。
また、気圧の低下とともに気温の低下が同時に起こると関節痛が悪化しやすいといわれています。
関節痛が悪化しやすい理由は、身体の内部の圧力が一時的に増加すると、炎症部分の神経の周囲を流れる血管が広がってより炎症部分を刺激したり、関節内部の膜組織への圧迫を引き起こしたりするためです。
また、気温の低下が血流の増加を促し、自律神経が一層過敏になってしまうことも関節痛の原因の一つです。
京都大学が行っている研究では、関節リウマチの症状の悪化は3日前の気圧に特に深く関係していることが分かっています。
3.リウマチの評価日からみて、3日前の「気圧」が最もよく相関する。
④うつ病・不安症
うつ病になる原因ははっきりと解明されていませんが、天気や気圧の変化が影響を及ぼすと考えられています。
仮説ですがいくつか原因として、これらのことが考えられます。
- 自律神経に乱れが生じているため、天候不良によるストレスが一層身体や精神に影響を及ぼす
- 天候不良と自身の不調を共感させてしまうことで、うつの症状が悪化してしまう
- 気圧の変化による片頭痛やめまいなどの肉体的な変化が記憶されているために、気圧の変化が起こるたびに心理的に反応してしまう
いずれの可能性でも、天気の変化は精神にも影響を及ぼすことは十分に考えられます。
うつ病のメカニズムや症状について、こちらの記事でも詳しく解説しています。
⑤耳の症状(耳鳴り)
気象病が内耳にあるリンパ液の動きに深く関係しているため、耳に関連した症状も多く見られます。
気圧の変化が影響する耳鳴りでは、「ブーン」「ゴォー」などの重低音が聞こえる「低音性耳鳴り」が考えられます。また、鼓膜や蝸牛、耳小骨といった内耳の他の様々な感覚器官が相互に影響を与え合うため、耳鳴り以外の吐き気や眠気といった症状が引き起こされることもあります。
耳鳴りのメカニズムや症状について、こちらでも詳しく解説しています。
キーン/ボー/ポコポコ…耳鳴りの原因を音の種類でチェック!治療法・体験談
⑥目の症状(めまい、メニエール病)
めまいは脳の混乱によって引き起こされる症状です。
身体のバランス(平衡感覚)を保つためには、視覚から届く情報と内耳から届く情報が一致していなければいけません。
しかし、目から入る視覚情報では「バランスが保たれている」という情報が届く一方で、内耳から入る気圧の情報では気圧の変化によって「バランスが保たれていない」という相反した二つの情報が同時に脳に届くことによって、脳が混乱を起こし、交感神経が活発になるため、めまいが引き起こされます。
参照:書籍「天気痛を治せば頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」
また、目まいには大きく分けて二つの種類があります。それは内耳の異常による「原発性のめまい」と身体の部位の異常からくるめまいです。
吐き気や耳鳴りも同時に襲ってくる原発性のめまい。その代表「メニエール病」について
めまいの中でも特に激しい症状が表れる病気に、メニエール病という病気があります。
メニエール病は内耳に含まれるリンパが異常を起こし、内リンパ水腫という状態になってしまうことで引き起こされます。
気圧を感知するセンサーがあるといわれている内耳に起こる疾患であるため、天気や気圧の変化にも密接に関連してくるでしょう。
ぐるぐると回るような回転性のめまいが10分から数時間にわたり反復的に起こるため、もし台風が接近したときはずっと悩まされ続けることになります。
天気の変化と身体の不調を表すその他のめまい
めまいは様々な病気の前兆や初期症状として表れる場合があります。
例えば片頭痛にも、目の前で光がチカチカする閃輝暗点と呼ばれる症状が起こったり、身体の倦怠感の表れとして起こったりします。
また、首の痛みの症状にも関係があることがあります。
首の痛みによって頭のバランスが崩れている場合、内耳が「バランスが保たれていない」と判断してめまいを引き起こしたり、血行不良や頸椎への余分な負荷が原因で内耳の循環の乱れや神経の乱れを引き起こすことも考えられます。
⑦まだまだ当てはまる様々な症状
この他にも、天気や気圧の変化は身体に様々な影響を及ぼします。引き起こされる症状や程度も体質や気候によって様々ですので、自分が抱える「気象病」が何であるかを認識するのが重要になります。
- 歯の痛み
- むくみ
- 肌の痒み
- 気管支喘息
- 神経痛
- 下痢
- 倦怠感
- 眠気
4. 気象病の対策は天気と自分を知ること!アプリ「頭痛~る」活用法
気象病の要因の一つは、天気や気圧の変化です。天気の変化には抗えませんが、頭痛やめまいの症状を上手に緩和したり回避する方法があります。
それは、「天気予報でいつ低気圧がやってくるのか調べること」と「自分の気圧の変化による体調への影響や範囲を知ること」です。
この二つをあらかじめ予測できれば、睡眠を多くとるなどして安静にしておく、ストレスを減らすといった気象病の症状の対策を事前に立てることが出来ます。
さらに、この二つを同時に知ることが出来る便利なアプリがあります。
それが「頭痛~る」です。
この気象病対策アプリ「頭痛~る」の主な機能は2つあります。
一つは現在の気温や気圧、気圧差をチェックできる天気予報の機能です。気象庁からのデータに基づいて天気の変動を更新しています。
もう一つは「頭痛ダイアリー」と呼ばれる日記機能です。痛みの症状や痛みのあった部分、度合いを記録する以外にも、その日の行動や薬など気付いた事をメモとして活用できます。
具体的な活用法。日々の天気や体調の変化を忘れずにチェック!
「頭痛~る」の画面上部には①登録した地点の気温と気圧②カレンダー③6時間ごとの気圧の変化量が表示されています。気圧の周期が9時頃に最も高くなり、15時頃に最も低くなるためです。
画面中央には、天気予報と一日の気圧の変化を予想したグラフが表されているため、その日その時の気圧の状態が分かります。
気圧の変動の表示も、「通常の下降」なら予想範囲内の数値、「大きく下降!」なら天気が大きく崩れるサイン、「低気圧接近!!」なら爆弾低気圧や台風が予想されます。
気圧グラフを確認しながら、自分の体調を日記になるべく詳しく書き込みましょう。
引用元:https://itunes.apple.com/jp/app/id602991338
何日前から、どの地域に発生した低気圧が原因で、どの位の強さの頭痛やめまいが襲ってくるのか、そのタイミングや大きさを知る手掛かりになります。生活や体調を整えるきっかけにしましょう!
・android版はこちら
頭痛ーる:気圧予報で体調管理 – 気象病・天気痛対策アプリ-Google Play
・iPhone版はこちら
頭痛ーる:気圧予報で体調管理 – 気象病・天気痛対策アプリ-iTunesプレビュー
5. 天気の変化には抗えない!気象病対策で一番大切なこと
気象病の原因は、病原菌やウィルスではなく「天気(気圧)の変化」です。つまり、生きていくうえで決して逃れることは出来ません。
私たちがまず一番初めに出来る対策は、気持ちを楽にすることです。
「天気や台風を憎んでも仕方がない。」
こう思うことが、気象病の対策や治療の第一歩であると思います。
台風が訪れるこれからの季節も、そんなポジティブな考えで乗り切って行きましょう!