片頭痛(偏頭痛)にマッサージは逆効果。食品で予防&ツボ・アロマで改善!薬に頼らない頭痛対策
1.突然始まり、起き上がれなくなる事も!片頭痛(偏頭痛)は原因不明の発作。
日本人の3~4人に1人は持っていると言われる「片頭痛」。
頭痛発作が起きると、ズキズキ脈打つような激しい痛みが数時間~数日続き、起き上がれなくなる事もある片頭痛ですが、その発症メカニズムは不明です。
閃輝暗点(せんきあんてん:目がチカチカする、見えづらくなる)などの前兆が来る方もいますが、いつ始まるか分からない発作の不安に悩まされている患者さんも少なくありません。
発作が起きていない時は無症状で、CTやMRIなどの検査をしても異常は見つからないので、いわゆる「頭痛持ち」で片付けられてしまい、その辛さは周囲からはなかなか理解されにくい厄介な病気です。
【体験談1】週に一度の片頭痛。予兆を感じるが、薬を飲んでも効かないことも!生活への支障が。
週に一回程度の片頭痛に、長い間悩まされています。生理前や、肩凝り、ストレスがたまった時などに、痛みはじめます。
目の奥が痛むとか、眩しく感じるとか、首筋が張るとか、頭痛が来る前の予兆のようなものもあり、来るなと、ある程度、自分でも分かります。
鎮痛剤を服用して、すんなり痛みがなくなる時もあれば、鎮痛剤がすんなり効かない時もあります。
軽い症状の時もあれば、寝込むほど辛い時もあります。
なにせ、なくならない頭痛とは、一生付き合うしかないものの、仕事が大変な日や、育児で大変な時は本当に寝込みたくても、寝込めず、生活の質を低下させる病気です。
上記の方は週に一度の間隔で発作が起きており、発作の前に予兆を感じ、すぐに鎮痛剤を飲んでも、効果が出ないことも。
一度始まってしまうと症状がおさまるまで、なすすべなく寝込んで待つしかないという状況で、毎日の生活に大きな支障が出てしまっています。
(参考)スッきりんのバイバイ頭痛講座
※こちらはファイザー株式会社運営の頭痛に関するさまざまな情報を分かりやすく説明しているホームページです。
※こちらのサイトには頭痛に関する様々な統計が多数掲載されています。
片頭痛が起きる時、脳内で何が起きている?
片頭痛の発作時、頭の中の血管は過度に拡張しています。
パンパンに張った血管が原因で炎症がおこり、頭の片側(時に後頭部や頭全体のこともある)が脈にあわせズキンズキンと痛みだします。
症状のピーク時には吐き気や嘔吐を伴うこともあり、血管の拡張がおさまるまでの間、長い時は数日にわたり辛い痛みに苦しめられます。
片頭痛については以下の記事で詳しく説明しています。
遺伝も!?鎮痛剤が手放せない片頭痛の症状・受診タイミング・治療法・体験談
2.発作が起きてしまったら!自分で出来る対処法。安静・冷やす・睡眠
こちらの都合に関係なく、待ったなしで始まってしまう頭痛発作。
放っておくと、思考力や集中力も切れ、痛みのために動けなくなってしまいます。
「あれ、おかしいな?」と思ったら、早急に悪化させないための対策を取るようにしましょう。
片頭痛への対処の仕方を日ごろから理解しておくことが重要です。
まずは安静が第一。静かなところで休みましょう。
発作が始まってしまったら、まずは少し暗い場所へ移動し、横になって休みましょう。
まぶしい光や大きな音、きつい臭いなどは症状を悪化させることがあります。
外出先で発作が始まってしまった時のために、耳栓やサングラス、アイマスクなどを用意しておくのも良いでしょう。
片頭痛の痛みの特徴は「動くと強く感じる」ということです。
なるべく頭を動かさないようにし、安静にしていることで症状が落ち着くのを待ちましょう。
痛む場所を冷やすと広がった血管の収縮に効果的。
片頭痛の痛みは、血管の拡張によっておきているので、温めるとますます血行が良くなり痛みが増します。
痛む箇所をアイスノンなどで冷やすと広がった血管が収縮するため、痛みの緩和に効果的です。
指でこめかみをそっと押さえて活発になった血流を阻害するのも良いでしょう。
睡眠をとると痛みが改善する。
片頭痛が始まってから、痛みのピークは1~2時間程度と言われます。
睡眠をとると痛みが改善されることが多いので、可能であればしばらく睡眠をとりましょう。
発作時にやってはいけないことって?入浴、マッサージ、運動は避ける。
予防には有効な入浴ですが、痛みが出ている時、温かいお湯はますます血行を良くしてしまうので入浴は避けましょう。
痛みが強い時はシャワーも避けたほうが無難です。
また、痛みをほぐそうとマッサージなどをするのも逆効果です。
身体を動かす事は血行促進につながるので、痛みが出ている時はすべて避けるようにしましょう。
頭痛薬の正しい使い方。鎮痛剤がきかない!?薬物依存、過剰摂取の危険性。
上記に挙げたような方法は痛みが落ち着く効果がありますが、やはり即効性があるのは鎮痛剤です。
実際、発作時には市販の鎮痛剤を使って症状を押さえている患者さんは全体の7割にものぼります。
鎮痛剤は痛くなりはじめた時に飲むと、それ以上の悪化しないで済むことも多いので、早い段階で服用しましょう。
市販の鎮痛剤には血管を収縮させる作用はないため、頭痛の根本的な治療にはなりませんが、プロスタグランジンという痛みの元となる物質を抑制し、頭痛を緩和する効果があります。
ただし、たまに起きる発作に使う程度ならば問題がありませんが、発作が毎週のように起き、頻繁に市販の鎮痛薬を使っていると、だんだんと効果が出なくなることがあるので注意が必要です。
だんだん効き目が落ちてきたからと言って、決まった用量の何倍ものお薬を使ってしまう場合も多く、放っておくと薬物依存になる危険性があります。
痛みに神経質になり、発作がいつ起きるかという不安感から予防的に薬を飲んでしまうなど、薬が手放せなくなってしまい、ある日突然、鎮痛剤が全く聞かないほどの頭痛に襲われ、救急外来に搬送されるケースも起きています。
市販薬を使っても適正な量で頭痛がおさまらない場合は、早めに脳神経外科や頭痛専門外来などの専門医のいる医療機関を受診し、頭痛の発症原因である血管の拡張を抑制する薬を処方してもらうようにしましょう。
(参考)医療法人社団 吾勢会 指田医院
※こちらは頭痛専門外来を持つ医療機関のホームページです。頭痛種類や原因や症状、メカニズムなどについて分かりやすく解説しています。
3.突然やってくるあの嫌な痛みを予防する!毎日の生活の中で片頭痛を撃退する様々な方法。
発作の始まるきっかけは天候や気温などの環境的要因、精神的要因、物質的要因など様々で、人によっても違います。
ストレスや飲酒、寝不足など身体への負担がきっかけになる場合も多いですが、反対にストレスから解放された時やたっぷり睡眠をとった後といったように、一見体に良さそうなことが誘因になる場合もあります。
何が発作のきっかけになるかは人それぞれですが、共通して言えることは、身体に急な変化(アップダウン)が起きる時が発症のきっかけになりやすいということです。
普段の睡眠不足を解消するために、休日たっぷりと寝てしまったり、日ごろストレスが溜まる生活をしていて週末になってほっとした途端に発症する場合も多くあり、「休日頭痛」と言われています。
このようにせっかく普段の疲れやストレスを解消しようとしても、緊張とリラックスの差が激しすぎると逆効果になってしまうのです。
普段からコンスタントに睡眠時間をとり、ストレスを適度に発散するなど、日常生活において身体に急激な変化を与えないように規則正しい生活をすることが大切です。
(参考)医療法人社団 吾勢会 指田医院
まずは食事で改善!頭痛の予防に良い栄養素・食品は?
毎日の食事によってあの辛い痛みを予防、緩和できる場合もあります。
以下のような栄養素を含む食品を積極的に摂り入れてみましょう
◆マグネシウム(Mg)
マグネシウムには血管を収縮させる働きがあり、広がって炎症を起こした脳の血管を緩める働きがあります。
また、興奮した神経を鎮める働きもあるので症状の緩和に効果があります。
マグネシウムは大豆食品、海藻、バナナ、ホウレンソウなどの葉野菜、アーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。
◆ビタミンB2
頭痛発作を抑えるセロトニンの放出を促す働きがあります。
ビタミンB2はレバー、ごま、サバ、ウナギ、卵、乳製品などに多く含まれています。
◆カフェイン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインは血管を収縮させる効果があります。
痛みが出始めた時に飲むと症状の悪化を抑える効果がありますが、飲みすぎは逆効果になります。
◆フィーバーフュー(ナツシロギク)
日本ではあまり知られていませんが、ナツシロギクと言われるハーブはイギリス、カナダ政府から「片頭痛の予防に有効」と認定を受けています。
痛みの発生物質プロスタグランジンを阻害し、炎症を抑えることが出来るため、「癒しのハーブ」と言われています。
健康食品店などで販売されているサプリメントを試してみるのも良いでしょう。
発作を誘発しやすい食品は摂取を控える。
上記で紹介した食品を積極的に取り入れつつ、同時に頭痛を誘発する食品を避けることも大事です。
チョコレート、赤ワイン、チーズ、ハム、ヨーグルトなどは血管を拡張する作用があり、頭痛を発症しやすくすると言われています。
これらは摂取を控えたほうが良い食品ですが、あまり厳しく制限するとストレスから逆効果になる場合もあります。
人によっても誘発する食品が違う事もあるので、自分にとって明らかに発作が起きると分かっているものは避け、それ以外のものは摂りすぎに注意をしましょう。
(参考)スッきりんのバイバイ頭痛講座
(参考)慢性頭痛治療ガイドライン市民版
※こちらのサイトでは頭痛診療における治療法を示したガイドラインを一般の方向けに分かりやすく解説しています。
薬を使わないで痛みを和らげるツボ療法
以下のツボは片頭痛の緩和に効果があります。
ただし、ツボ指圧はお薬を使わず、手軽にできるのでおすすめですが、痛みが出ている時に行うと症状が悪化する場合もありますので様子を見ながら行うようにしましょう。
◆百会(ひゃくえ)
頭のてっぺんにある百会はあらゆるタイプの頭痛に効果があるとされています。
痛みによって乱れがちな自律神経も整える効果もあります。
親指でゆっくりと2~3分押すと効果があります。
◆合谷(ごうこく)
上半身全体の痛みに効くツボです。
人差し指と親指の交わる骨の交わるところで、人差し指寄りのくぼみが合谷です。
反対側の手の親指で強く押すことで効果があがります。
鼻からの吸入効果。アロマテラピー(芳香療法)で和らげる。
アロマセラピーは「芳香療法」と言われ、香りによって体の不調を改善する自然療法です。
嗅覚は本能にダイレクトに働くので、心身の不調に効果があり、特に片頭痛のような慢性病の緩和に効果があります。
エッセンシャルオイルと言われる植物の精油を使って辛い症状を和らげます。
≪ペパーミント油のシップ≫
洗面器に水を張り、その中にペパーミントの精油を1滴たらします。
良くかき混ぜ、そこにタオルをよく浸してから絞ります。
そのタオルを目の上に乗せ、10分程度シップをすると効果的です。
ペパーミントには痛みや炎症を和らげ、冷やす作用があります。
目の周辺やこめかみなどが冷やされて気持ちが良いだけでなく、鼻から入ってくるペパーミントの香りが脳に伝わり、痛みをクールダウンさせることが出来ます。
日頃から食生活に気を付け、上記のような薬を使わない治療法を積極的に毎日の生活の中に取り入れることで、発作の頻度を減らしたり、症状の緩和が期待できます。
4.片頭痛とどう付き合う?症状をコントロールして毎日の生活を快適に!
それぞれ対処法が違う!?緊張型頭痛と片頭痛の混合型も。
これまで、さまざまな片頭痛についての対策法をお知らせしてきましたが、違うタイプの「慢性頭痛」では対処法が全く違うこともあります。
片頭痛は冷やすと痛みが和らぎますが、同じ慢性頭痛の1つである「緊張型頭痛」は筋肉の緊張をほぐすため、温めたほうが楽になります。
人によっては、緊張型と片頭痛の頭痛を混合して発症する場合もあり、発作時の対処法が違うため注意が必要です。
【体験談2】緊張型と片頭痛の混合型頭痛。自分でもどちらの頭痛か判別が難しい。
慢性化した頭痛に悩まされています。
緊張性頭痛と偏頭痛の混合型なので、今の頭痛がどちらなのかの判別が大変です。
パソコン仕事が長かったり、スマートフォンを長くいじっていると、1時間くらいで頭が重くなります。
私の判断では、これは緊張性頭痛です。
帽子を被せられた感じや、肩の張り、首コリを感じます。朝から天候が悪い曇りの日や、午後から雨の日などは、だんだんと気分の落ち込みがきて、前頭部の片側が痛くなります。
これは偏頭痛で、こうなると夜間の車のライトすらイライラします。
目を開けているのが辛いです。
上記の方も、どちらの頭痛が起きているのか判断が難しいとおっしゃっていますが、頭痛のタイプに合わせた適切な対処法をとらないと効果がありません。
片頭痛の治療や対処法をおこなっても効果がない場合は、この混合型頭痛の場合も考えられます。
混合型では処方する薬も変わってくるので、心配な方は一度専門の医療機関を受診してみることをお勧めします。
あなたの片頭痛はどういう時に起こる?まずはパターンの把握をして自己コントロールを!
頭痛発作のきっかけは人によっても違うので、どういう時に発作が起きやすいか、場所や天気・状況など把握するために「頭痛ダイアリー」をつけて自分の頭痛の起きるパターンを掴んでおきましょう。
頭痛ダイアリーは病院を受診する際にも有効です。
頭痛発作が出ている時は痛くて動けないことも多く、実際受診するのは痛みがおさまってからということも多いので、お医者さんに症状を説明をするうえでも役立つ記録を残しておくことは大切です。
自分の頭痛を正しく理解・対応することが、症状コントロールをして快適な毎日を取り戻すポイントになります。
※こちらの日本頭痛学会のサイトから頭痛ダイアリーのダウンロードができます。
コメントを残す