臨月妊婦さんは注意!赤ちゃんへの影響は?妊娠・授乳中のヘルパンギーナ感染。薬・食事・予防法
1.妊娠中、上の子のヘルパンギーナがうつった!?おなかの赤ちゃんへの影響は?
5才以下の子どもに多い夏風邪の一つ”ヘルパンギーナ”。
6月の暑い時期になると西日本から増え始め、7月8月が感染ピークとなり、秋になると減り始めます。
ヘルパンギーナ感染は乳幼児に多いとはいえ、大人でも、もちろん妊婦さんでも感染する可能性があります。
ヘルパンギーナの原因である病原菌は、手足口病と同じ”エンテロウイルス”群です。
主なウイルスは、”コクサッキーウイルス(A群)”と言われ、他にもヘルパンギーナを発症させるウイルスが複数存在します。そのため、一度ヘルパンギーナにかかったとしても、同じウイルスの型とは限らず、結果として免疫を持っていないことから、再びかかってしまう可能性がある病気なのです。
<症状>
大人がヘルパンギーナにかかると、子どもより重症化することがあります。
- 高熱(39度~40度)が3日以上長引く。
- 口腔内(喉の奥)に水疱や複数の口内炎ができる。
- 咽頭炎(激しい喉の痛み)
- 強い倦怠感。
- 関節が痛む。
<手足口病との違い>
ヘルパンギーナと手足口病は、同じ病原菌”エンテロウイルス”(厳密には、コクサッキーウイルスの型が異なる)を持っているので、似た症状が出ます。
熱 | 発疹 | |
---|---|---|
ヘルパンギーナ | 39~40度の高熱 | 口の中だけに水疱ができる |
手足口病 | 37~38度までの発熱 (発熱しない場合もある) |
口の中に水疱が出来る 手や足、全身に発疹が広がる |
<感染経路>
手足口病と同じ、”飛沫感染”や”接触感染”が原因です。
子供の咳やくしゃみ、唾液・鼻水がついたオモチャで遊んだ手からエンテロウイルスをうつされやすいので、上に小さなお子さんがいる妊婦さん・授乳中ママはより注意が必要です。
なお、大人のヘルパンギーナ感染については、以下の記事で詳しく説明しています。
いつまで感染る?大人は重症化も。夏風邪「ヘルパンギーナ」の体験談と予防対策
(参考)ヘルパンギーナ|東京都
こちらのページでは、東京都のヘルパンギーナの流行状況も確認できます。
大丈夫!妊娠初期~後期(出産直前を除く)の妊婦さんがヘルパンギーナに感染しても、おなかの赤ちゃんには影響はない。
前述したとおり、免疫を持っていなければ、妊娠中の妊婦さんも感染する可能性はあり、特にすでに小さいお子さんをお持ちの妊婦さんは、保育園や幼稚園でもらって来るなど、より感染リスクが高くなります。
とはいえ、妊娠初期~後期までに感染した場合(出産直前は除く)は、高熱などが出るので辛いことには変わりありませんが、ほぼお腹の子に流産、死産や先天性奇形など後遺症が出たりする影響は少ないようです。
また、妊娠中にヘルパンギーナに感染した疑いがある場合、内科に行くよりもかかりつけの産婦人科へ相談した方が、お医者さんも母体や胎児について詳しく把握しているので、安心ですね。
ただし、ヘルパンギーナは前述したとおり、ウイルス感染症なので他人にうつしてしまう可能性があります。
まずは、かかりつけの産婦人科へ電話などで、受診について相談した方がよいでしょう。
また、産婦人科へ来院する場合には、必ずマスクをして、二次感染防止に努めましょう。
臨月妊婦さんだけは要注意!エンテロウイルスに感染すると、生まれてくる赤ちゃんに影響がでることも。
出産直前の妊婦さんや家族がヘルパンギーナに感染したら、重症化をさせない、二次感染を防ぐための隔離などの対策が必要です。
出産直前の妊婦さんが、ヘルパンギーナや手足口病を引き起こす”エンテロウイルス”に感染した場合は、生まれてくるお子さんもエンテロウイルスに感染する恐れがあります。
エンテロウイルス感染症は、健康な妊娠・出産のために注意したい感染症の1つです。
エンテロウイルスに感染した新生児は、通常の症状を起こすだけの場合が多いですが、稀に肝臓・心臓を含む多くの臓器に感染し、最悪の場合、死につながる可能性があります。
生後2週間までのエンテロウイルス感染は、特に重症化しやすいと言われているので、要注意です。
<ピンチ!出産直前で上の子どもがヘルパンギーナに感染したら?>
「感染者の近くにいない」ということが、感染リスクを減らすためには重要です。
治るまでは身内の家で看病をしてもらうなどして、感染者と距離を置いて、出産直前でのエンテロウイルス感染を防止するよう努めましょう。
上のお子さんが小さい場合、辛い時にそばでお母さんが看病しないなんて……とかわいそうな気がしてしまうかもしれません。
しかし、おなかの赤ちゃんが生まれてすぐにエンテロウイルスに感染してしまい、最悪の結果を招いてしまってからでは、悔やんでも悔やみきれません。
完治するまでの少しの間です。
近場に身内がいる場合には、できるだけ頼り、助けてもらったほうがよいでしょう。
2.薬は飲んでも大丈夫?でも無理は禁物。妊婦&授乳中ママのヘルパンギーナ対処法
ヘルパンギーナの病原菌である”エンテロウイルス”には、飲めばすぐ治るような特効薬はありません。
基本的に、不快症状への対処療法となります。
そんな対処療法として処方される薬でも効果が高い強い薬は、妊娠中は服用することができません。
ヘルパンギーナの症状は辛いですが、特に治療しなくとも、高熱は4日程度、また口腔内への水疱や口内炎は1週間程度で症状が治まっていくことがほとんどです。
しかし、発熱や痛みが酷くて、我慢できない場合にはかかりつけ医に相談し、妊婦さんや授乳ママでも服用できる薬を処方してもらいましょう。
「妊娠中に薬を飲むと、赤ちゃんによくない」と怖がって治療を行わずにいると、かえって赤ちゃんに悪影響が出ることもあります。
産婦人科で処方されるお薬は、基本的には安全性が高いと判断されているお薬ですので、何がなんでもと無理をせず、産婦人科医に相談してみることをオススメします。
<妊娠中および授乳中にも飲めるヘルパンギーナのお薬>
一般的に、妊婦さんや授乳中ママでも安全性が高いと言われているお薬です。
また、授乳中ママで薬を飲むことに少し抵抗がある場合には、薬の服用する前に授乳をしておくなど授乳のタイミングを工夫するとよいでしょう。
- 解熱剤
-カロナール、ソランタールなど - 喉の炎症を抑える薬
-トランサミンなど
カロナールなどは、4~5時間もすれば、血中濃度が半分以下に下がるので、授乳間隔を調整するとよいでしょう。
ヘルパンギーナ感染で病院を受診した際には、必ず”妊婦”または”授乳期”であることを申告した上で、薬を処方してもらいましょう。
なお、妊婦さんや授乳ママには、薬の処方をしない方針の病院もありますので、ご注意ください。
(参考)妊娠と薬|アルバ薬局
こちらのページでは、カロナールの他にも、妊娠時の薬の使用例、サプリメントなど丁寧に解説されています。
脱水症状に注意!ヘルパンギーナに感染した妊婦さん・授乳中ママの食事
ヘルパンギーナの主症状である喉の奥の水疱や口内炎で、食べることがつらい状況もあるかもしれません。
ですが、お母さんがきちんと栄養を取らないとおなかの赤ちゃんにも栄養が届きません。また、授乳中ママの場合にも、きちんと栄養を取ることが母乳の出に影響するとも言われています。
<ヘルパンギーナ感染した妊婦さん・授乳中ママにオススメの食材>
喉への刺激が少ない食材・食事を心がけましょう。また、軟らかいもの、冷たいものでも食べることがつらい場合には、飲む点滴ともいわれているOS1などで、脱水状態を回避しましょう。
① 雑炊やおかゆ、ポタージュなど、スープ状のもの
卵や野菜を入れた雑炊や野菜とミルクを煮てミキサーにかけたポタージュなどは、喉への刺激が控えめな上、栄養も取れるのでオススメです。
② アイスクリーム
どうしても、喉が痛くて食欲がわかない場合、冷たいアイスクリームもオススメです。
喉の痛みが強く、水分さえも唾を飲み込むこともツライ場合にも、アイスクリームで栄養補給できます。
ヘルパンギーナ感染ピークである夏場の水分不足は、すぐに脱水症状を起こしやすくなりますので、十分注意が必要です。
③ うなぎ(※口内炎の状態などによっては、たれがしみる場合もありますので、ご注意ください。)
鰻には、口の中の粘膜を保護する働きがあるビタミンAだけでなく、ビタミンB群も豊富に含まれています。
ヘルパンギーナの感染ピークとなる暑い季節に旬となり、少量で疲労回復効果の高い食材です。
(参考)鰻の栄養価|辻村外科病院 栄養科
こちらのページでは、鰻の栄養価以外にも、土用の丑の日についての豆知識についても解説されています。
食事を取るのがツライ体調かもしれませんが、なるべく我が子の為に少しでも栄養を摂取するようにしましょう。
3.手洗い・うがい・マスクが大事!妊婦さんのヘルパンギーナ感染予防ポイント。
<妊婦さんのヘルパンギーナ感染対策>
①手洗い・うがい・消毒を徹底的に行う。
→特に配膳前、食事前、排便後、おむつ取り替え後の手洗いは、徹底すること!
②咳やくしゃみをする時には、口と鼻をティッシュ等で覆ったり、マスクをする。(咳エチケット)
③タオルの共用を避ける(プール時やトイレのタオルの共同使用など、要注意!)
④おむつ交換も注意深く行う。
→ヘルパンギーナ感染した赤ちゃんがいる場合、赤ちゃんの便からも1か月近くウイルスが排出しますので、おむつを交換の際に、お母さんの手にウイルスが付着することで、感染する可能性もあります。おむつを処理した後は、必ず手洗い・うがい・消毒をしましょう。
⑤感染者へ近づかない。
→飛沫感染、接触感染がヘルパンギーナの感染経路であると理解し、できるだけ近づかない。
特に、出産直前の場合には、感染者に近づかないようするなど家族に協力してもらいましょう。
妊娠中・授乳中ママは、きちんと事前知識をもって、ヘルパンギーナにそもそも感染しないよう予防することが大切です。
4.周囲の協力も必要。家族みんなが”うがい・手洗い”の徹底でヘルパンギーナを予防しよう。
前述したとおり、ヘルパンギーナなどのウイルス性の夏風邪は、小さな子どもがかかる病気のイメージがあるかもしれませんが、夏バテなどで体力(抵抗力)が低下していると、大人でも感染します。
特に、妊婦さんや授乳中ママの場合、上のお子さんが保育園や幼稚園でもらってきたりすると、通常よりも体力も抵抗力も落ちているので、より二次感染リスクが高くなります。
ヘルパンギーナなどのウイルス感染症予防には、妊婦さんや授乳中ママだけでなく、お子さんや旦那さんなど家族が一丸となって、日頃から手洗い・うがいやマスクなどの基本的な感染対策を行うことが、とても効果的です。
もしも妊娠中・授乳中にヘルパンギーナにかかってしまったとしても、決して無理をせず、周囲に協力を仰いで、早期に病院を受診し、重症化しないよう注意しましょう。
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