減塩で予防!慢性心不全に効果的な栄養素、食事の仕方と心臓に優しいレシピ

1.心不全を予防する食事の仕方とは?
心不全の予防には、「塩分コントロール」がカギ!
しょっぱいものを食べると、喉が渇いて水分をたくさん取りますよね。
そのワケとは、塩の成分である”ナトリウム”が水と一緒に移動する性質を持っているためです。
体内のナトリウム濃度が上がると、血液中にある水分で薄めようとしたり(循環血液量の増加)、余分な塩分はどんどん腎臓でろ過し、尿として体外に排出しようとしたりすることにより、血液中の水分不足となることから、水分をたくさん取りたくなるのです。
<塩分コントロールが必要な理由>
塩分の過剰摂取が続くと、循環血液量が増加している状態が続く=心臓の筋肉(ポンプの役割)もフル稼働している状況になり、心臓への負担がかかり続けてしまいます。負担がかかり続けた心臓は、心不全になりやすい状態です。
また、むくみ(浮腫)や息切れ、高血圧などの症状を悪化させる可能性があることからも、塩分をコントロールした心臓に優しい生活が必要です。
<食塩摂取量の目安>
日本人の成人の1日の食塩摂取量は、平均して10~15gです。
2015年4月に改定された厚生労働省発表のナトリウム(食塩摂取量)の目標量は、男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満なので、現状多くの人が塩分過多の状況となっています。
心不全を予防するためには、基準よりさらに低い6.0g/日(小さじ1と1/5程度)を目指すことが大切です。
(参考)慢性心不全 健康だより|ほそたにクリニック
こちらのページでは、Q&A方式で日常生活を送る上での疑問に、丁寧に解説されています。
実は塩分がたくさん!?気づかず取っていた加工食品や調味料
日ごろ、食塩をさほど摂っていないと思っていても、ほとんどの人は塩分を取りすぎています。
その理由は、なんと加工食品や調味料から摂取しているんです。
はんぺん、かまぼこなど魚の練り製品やハムやベーコンなどの加工食品は、一般的に多くの塩分を使って、保存と味付けをしています。さらに、調理加工の際に塩分(ナトリウム)の排泄作用がある”カリウム”が失われるので、体内に塩分が溜まりやすくなるのです。
<加工食品の塩分含有量の例>
食品名 /個数 /食塩含有量
- らーめん 1杯 6g
- 天ぷらそば・山かけそば・月見そば 1杯 6g
- インスタント麺 1個(100g) 5.5g
- きつねうどん 1杯 5.3g
- 握り寿司(醤油込み) 1人前 5.0g
- 天丼 1人前 4.1g
- 塩鮭 1切れ(40g) 3.5g
- カレーライス 1人前 3.3g
- ざるそば 1人前 約3g
- はんぺん大判 1枚(120g) 2.5g
- 梅干し 1個(10g) 2.0g
- ハム 3枚(60g) 2.0g
- 味噌汁 1杯 1.5g
- たくあん 2切れ(20g) 1.5g
- ポタージュ スープ 1杯 1.2g
- アジの開き 小1枚(60g) 1.2g
(引用)塩分の多い食事|からだごはんラボ
<調味料の塩分含有量>
※特に個数の記載がないものは、すべて「大さじ1」
- 薄口しょうゆ 2.9g
- 信州みそ 2.4g
- めんつゆ(3倍濃縮) 1.6g
- ポン酢 1.5g
- ウスターソース 1.5g
- 中濃ソース 1.0g
- ケチャップ 0.5g
- マヨネーズ 0.2g
- ブイヨン 1個 2.3g
- カレールー 1かけ 2.1g
(参考)調味料塩分|もりやま越野医院
覚えておきたい、減塩生活5つのポイント
①塩分を多く含む食品は、多くても1日1品、1回以下の摂取にする。
②らーめんやうどんの汁は残す。汁物は具沢山にする。
③しょうゆやソースは「かける」よりも「付ける」。
-小皿にしょうゆなどをとって、料理をつける。
④薄味でも美味しく食べる工夫をする。
-酢やレモンなど柑橘類の酸味を利用する(ちなみにポン酢の塩分はしょうゆの約半分)。
-しょうが、こしょう、唐辛子、にんにく、わさび、辛子、カレー粉、ごま、ねぎ、みょうがなど香辛料・香味野菜を使う。
-表面に味をつける。(染み込ますよりも塩分を抑えられる)
⑤煮物は何度も火を入れると煮詰まって味が濃くなるため、1回で食べきれる量を調理する。
2.タンパク質やカリウム、マグネシウムを含む食事が、心不全には効果的
あまりに過度な塩分制限は、食欲低下を招くことがあります。
栄養は偏らないようにしつつも、上記のような減塩のコツを踏まえながら楽しく食事をするなど、食に対する関心を持ち続けることが大切です。
また、食事療法が必要な家族を持つ方は、他の家族と別メニューを作ろうとするよりも、途中までは一緒に作り、最後の味付けの部分だけ分けて味付けるなど、調味料の量や種類を工夫するとよいでしょう。
心不全に効果あり!積極的に摂りたい栄養素とは?
<EPA>
魚の油に含まれるEPA(n-3系脂肪酸)が、心不全を起こす原因の一つである冠動脈疾患の予防に有効と言われています。
<タンパク質>
牛乳や動物性たんぱく質は、心臓に負担がかかるため、大豆や豆製品、小魚類など植物性の食品から取るようにしましょう。
<マグネシウム>
野菜・海藻・きのこ類などに含まれ、マグネシウムは対不整脈作用や心臓の筋肉や血管の緊張を緩める作用があると言われています。
<カリウム>
ナトリウムの血管収縮作用を抑制する働きを持っているので、腎臓疾患がない場合、リンゴやブドウなどの果物やレタスなど生野菜を意識的にとることで、ナトリウムの排出を促します。
<抗酸化食品>
(ビタミンA、C、E、セレン、亜鉛、イオウ化合物、ポリフェノールなど)
抗酸化作用が高い食品といえば、一般的に「色の濃いもの、においの強いもの」と言われています。
・ペクチン:りんご、みかん、あんずなど
・リコピン:トマト、すいか、さくらんぼなど
・ポリフェノール:カカオ、赤ワイン、ブルーベリーなど
・イソフラボン:大豆、豆乳、豆腐など
★ビタミン類
・β-カロテン(ビタミンA):緑黄色野菜(かぼちゃ、ほうれん草、ニンジンなど)
・ビタミンC:じゃがいも、いちご、レモン、キウイフルーツなど
・ビタミンE:ナッツ類、アボカド、ブロッコリーなど・・・血行改善・動脈硬化を防ぐ
★ミネラル類
・亜鉛:牡蠣、レバーなど
・セレン:大豆、玉ねぎ、魚介類など
<鉄分>
鉄を含むヘモグロビンが全身に酸素を送る役割をしています。鉄分が不足することで、心臓の動きも悪くなると考えられ、鉄分を補給することで、心臓を若返らせることができるという説もあります。
また、心不全によいとされているのは鉄分10mℊ/日以上とされています。鉄分はレバー・赤身の肉・ハツ(心臓)・ほうれん草に含まれていますが、一日分の量を補うにはほうれん草 14束分も必要です。
単独では難しいので、ほかの食品と組み合わせて、摂取するのがよいでしょう。
心不全の人にオススメ「心臓に優しいレシピ」
<主食>ガーリックライス (エネルギー316kcal/1人分、塩分0.7g)
【材料】(6人分)
5分つき米:3カップ、洋風だしの素:1袋、水:3と1/2カップ、白ワイン:大さじ1、玉ねぎ:1/2個、にんにく:1~2片、塩・こしょう:各少々、オリーブ油:大さじ1、パセリみじん切り:大さじ3【作り方】
- にんにくは薄切りにし、玉ねぎはみじん切りにします。
- 米は炊く1時間前に洗い、ざるにあげて水気をきります。
- 厚手鍋に油を熱し、①のにんにくと玉ねぎを炒め、塩・こしょうで味を調え、米を加えて手早く炒め、洋風だし汁・白ワインを加えて混ぜます。
- 蓋をして中火で炊きます。沸騰したら弱火にし、12分程炊いて火を止め、10分蒸らして、やや硬めに炊きあげます。
- 器に盛り、パセリを散らします。
<副食>わかめたっぷりサラダ (エネルギー37kcal/1人分、塩分0.7g)
【材料】4人分
カットわかめ:8g、レタス:100g、トマト:2個、赤ピーマン:2個
【A】酢:50cc だし汁:50cc オリーブオイル(えごま油、シソ油でも可):大さじ1/2 醤油:小さじ【作り方】
- レタスは手でちぎり、一口大にします。トマトはくし形に切り、赤ピーマンは種を取って一口大に切ります。
- カットわかめはたっぷりの水で戻します。
- ボールに”1″と”2″を入れ、【A】を加えて全体をよく混ぜてから冷蔵庫で10分冷やします。
<副食>五目きんぴら (エネルギー81kcal/1人分、塩分0.7g)
【材料】4人分
ごぼう:70g(約1/3本)、れんこん:70g(2/3節)、にんじん:70g(約2/3本)、白滝:80g、油揚げ:1/2枚、だし汁:1/4カップ、油:大さじ1/2、醤油:大さじ1、みりん:大さじ1、酒:大さじ2、白炒りごま:少々【作り方】
- ごぼうとにんじんはよく洗い、皮ごと千切りします。れんこんは皮ごと薄い輪切りにする(れんこんが太い場合は半月または4つ割りするとよい)。白滝はサッと茹でて、5cm位の長さに切ります。油揚げは湯通しして千切りします。
- 鍋に油を熱し、ごぼう、にんじん、白滝、れんこんの順に炒め、出し汁調味料と油揚げを加えます。煮汁がなくなるまで炒り煮し、火を止めてごまをふります。
(参考)心臓 心不全|からだのためのケアごはん
こちらのページでは、ポリフェノールやビタミンAなどさまざまな栄養素が含まれたレシピが多数紹介されています。
食事療法中に外食はNG?「外食=高カロリー&塩分が濃い」を忘れずに!
たしかに、外食は高カロリーや味が濃いものが多く、栄養素が偏りがちになるため、あまり食事療法的には好ましいものとは言えません。
しかし、
- なるべく油を使った料理は避ける
- 和食で主食とおかずが付いている定食のようなものを選ぶ
- 量が多ければ残す
- 汁や漬物は必ず残す
- 野菜が少なければ追加して摂る など
意識して食事方法を工夫すれば、外食も絶対にNGということではありません。
家族や友達と一緒に楽しく食事を取ることも、食事療法を継続していくためには大事なことなのです。
3.気を付けたい!食事と心不全の治療薬の飲み合わせ
- ワーファリン:納豆、クロレラ、青汁はNG。含まれているビタミンKが、ワーファリンの効き目を打ち消してしまいます。
なお、ワーファリンを服用していない人は、ビタミンKを多く含んでいる緑黄色野菜や海藻類など健康食なので、むしろお勧めです。アルコールも控えたほうがよいでしょう。ワーファリンの効果に影響を及ぼす可能性があります。 - カルシウム拮抗剤:グレープフルーツに含まれるナリンジンが、肝臓での酵素の働きを阻害するため、一緒に飲むと薬効が強まってしまう場合があります。グレープフルーツジュースと一緒に薬を飲むことはNGです。
- アスピリンなど抗血小板薬:刺激物はNGです。
(参考)薬と食品の相互作用|一般社団法人 くすりの適正使用協議会
こちらのページでは、グレープフルーツ以外にも納豆・アルコール・カフェイン・チーズ・牛乳など注意すべき薬との組み合わせについても解説されています。
4.心不全の食事療法継続の秘訣は”家族のサポート”
食事療法は制約ばかりで面倒だ…と思わず、食事と栄養について考える良い機会だと捉えましょう。
正しい知識を持って、適切な食材を選び、調理や味付けに工夫をこらすことで、より食卓を豊かなものにすることもできます。
また、食事療法とは、食事と病気の両方の知識が必要です。患者本人の自覚だけでは、どうしても長く続きません。家族や生活支援サービスなど回りの「サポート」があって、はじめて持続できることです。
日ごろから、高血糖、高血圧、脂質異常症などで心臓に負担をかけないようにコツコツ生活習慣を管理することで、症状が改善することも期待できます。
慢性心不全の特徴をよく理解して、「病状の進行を防ぐ」という本人+家族の一致した気持ちをもって、楽しく食事療法を行いましょう!