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2016年7月12日更新

喘息症状は毎日の食事で改善!喘息に良い食品・悪い食品・食事療法まとめ

喘息は毎日の食事も大きく関係しています。喘息症状を悪化させ、発作を引き起こす食品に注意しましょう!苦しい咳など喘息症状を改善する食品はある?喘息の食事療法まとめ
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1.喘息(ぜんそく)と食事の関係。

喘息症状には食事が大きく関係しています。

喘息を誘発する原因はハウスダストや感染症、ストレスなどたくさんありますが、食物アレルギーが原因となることも多くあります。

また、直接的なアレルゲンでない食品でも発作を引き起こす誘因となる事があるので注意が必要です。

反対に、発作を起こしやすい食品を避け、栄養バランスなど食事に気を付けることで喘息症状を改善することもできます。

投薬治療と並行して、毎日の食事の見直しを行うことで、さらに喘息をコントロールしやすくなります。

喘息治療をされている方だけでなく、喘息気味かも?と気になる場合もまずは食事を見直してみましょう!

2.大前提!まずはアレルゲンを避ける。

特定の食品がアレルギーとなって喘息を引き起こすことがあります。

喘息症状の悪化や発作を予防するためにも毎日の食事の中でアレルゲンと思われるものを避けることが大切です。

どんな食品がアレルゲンになるのか?

人によってアレルゲンとなる食品はさまざまです。

子供の場合、卵、牛乳、小麦粉、大豆、コメ、そば、肉、魚などがアレルゲンになる場合が多いです。

大人ではおもに、そば、小麦粉、カニやエビなどの甲殻類が発作を引き起こす原因となります。

また果物には体に良い栄養素がたくさん含まれていますが、キウイフルーツは喘息発作を引き起こすことがあります。

これはキウイフルーツに含まれる「アクチニジン」というたんぱく質分解酵素が原因です。

喘息症状の他、時には血圧低下や意識障害など、強いアナフィラキシーショック症状が出ることもあるので注意が必要です。

人によっては、キウイフルーツ以外にもメロン、イチジク、パイナップル、パパイヤ、マンゴー、バナナなどでも同じような発作が起きることがあります。

生のフルーツだけでなく、加熱してあるものや、ジュースや缶詰など加工品にも気を付けましょう。

普段から自分がどのフルーツで症状が出るのか知っておくことが大切です。

食物アレルギーは喘息発作の他に、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状が同時に出ることが多いので、アレルゲンの特定は比較的容易ですが、念のために一度、病院でアレルギー反応の血液検査を受けておくと安心です。

(参考)国立病院機構 熊本医療センター
※小児喘息の原因や治療、食事法などについて詳しく掲載されています。
(参考)川村耳鼻咽喉科クリニック 耳寄り通信
※こちらのクリニックのページでは喘息と食品について分かりやすく説明しています。

3.アレルゲン以外にもある!喘息発作を誘発する食品とは?

喘息の方、すべてに発作が起きるというわけではありませんが、喘息発症のきっかけになったり、発作につながることがあるので注意が必要です。

以下のような食品はなるべく摂らないように心がけましょう。

食品添加物を使った加工食品

合成保存料や合成着色料などの食品添加物を含む加工食品などは喘息症状を悪化させる可能性があります。

特に注意が必要なのは以下の3種類の添加物です。

◆合成着色料(タール色素)黄色4号

食品を新鮮に見せるために使われるが、喘息発作や蕁麻疹、目の充血などアレルギー症状の原因となる。

ゼリー、飴、漬物、魚肉練り製品、清涼飲料水などに使われる場合が多い。

◆合成保存料(安息香酸、安息香酸Na、ソルビン酸など)

食品を長く持たせるために使われる。ハム、ソーセージ、おにぎり、ワイン、佃煮、チーズなど使われる商品は多い。

安息香酸は合成着色料の黄色4号と同時に摂ると喘息が悪化するのが分かっています。

◆発色剤(亜硝酸Na)

食品の色をきれいに見せるために、ワイン、ハム、ソーセージ、おにぎりなどに使われる。

亜硝酸Naはアレルギーの原因となる事があります。

これらの食品添加物は、アスピリンやそれと似た作用を持つ解熱鎮痛薬が原因となって激しい発作がおきる「アスピリン喘息」を持っている患者さんの場合、発作が起きる危険性がさらに高まります。

加工食品を買う時には、食品表示を確認し、なるべく添加物の入っていないものを選びましょう。

ヒスタミン・アセチルコリンを含む食品

タケノコに含まれる「アセチルコリン」という化学物質成分は身体の組織に直接作用し、アレルギーのような症状を起こします。

タケノコ自体はアレルゲン食品ではないのですが、この「アセチルコリン」の作用が喘息発作を引き起こすのです。

このような化学物質を「仮性アレルゲン」と言います。

アセチルコリンの他、ヒスタミンという物質も同様の症状を起こすことがあり、以下のような食品に多く含まれています。

◆アセチルコリンを含む食品

タケノコ、トマト、なす、松茸、里芋、山芋、クワイ、ピーナッツ、そばなど

◆ヒスタミンを含む食品

ほうれん草、トマト、エノキ茸、鮮度の悪い魚(イワシ、カツオ、マグロ、サバ)、牛肉、鶏肉、
発酵食品(味噌、しょうゆ、赤ワイン、パルメザンチーズ、ブルーチーズ)など

仮性アレルゲンは日常的に食べている食品にも多く含まれていて、なかなか完全に除去することはできません。

毎日同じものを食べ続けたり、一度に大量に食べないようにしましょう。

調理法も食べるときは加熱する、あく抜きや一度湯通しするなどを心がけると良いでしょう。

また、体調が悪い時は、症状が悪化することがあるので、摂らないように気を付けましょう。

刺激となる食品(香辛料)

カレーやキムチなどの辛い料理や唐辛子、わさび、こしょうなどの香辛料(スパイス)は、気道の粘膜に刺激を与えて、発作を引き起こすことがあり、注意が必要です。

冷たい食べ物、飲み物、アルコール

アイスクリームなど冷たい食べ物や冷たい飲み物は気道の刺激になるのでなるべく避けましょう。

アルコールによって喘息発作が引き起こされる「アルコール誘発喘息」の場合、冷えたビールなど冷たいアルコール飲料はさらに発作が起こりやすくなるので、気を付けましょう。

(参考)喘息の正しい理解のために 宮川医院ホームページ アスピリン喘息
※喘息の知識を広めるため、長年、喘息の診療を行ってこられた先生が作られたサイトで、アスピリン喘息について詳しい説明を見ることが出来ます。
(参考)はしもと小児科 仮性アレルゲン
※こちらのページでは仮性アレルゲンについて分かりやすく説明されています。

4.辛い喘息症状を自分で改善できる!喘息治療における「食事療法」ってどんなもの?

喘息治療の効果を高める「食事療法」とはどのようなものでしょうか?

「食事療法」と言っても、これだけ食べていれば大丈夫、というようなものではありません。

栄養不足で免疫が落ちると、喘息症状の悪化につながります。

「たんぱく質、糖質、脂質」の三大栄養素を基本に、ビタミンミネラルをバランスよく取って、体の調子を整え丈夫にし、症状改善を目指すことが喘息における食事療法の目的です。

積極的に取り入れたい!喘息に良い免疫力を高める栄養素3つ

アレルゲンを避け、バランスよく栄養を摂るのが喘息患者さんの食事の基本です。

さらに症状改善のためには、以下のような栄養素を毎日の食生活の中に積極的に取り入れると良いでしょう。

◆ビタミンC

ビタミンCにはその強い抗酸化力によって、身体を活性酸素から守ってくれる効果があります。

喘息の方はビタミンCが不足していることにより、気道の粘膜が敏感になって症状が起きるという報告もされています。

ビタミンCは野菜や果物に多く含まれており、ジャガイモ、大根、レンコンなどの野菜から摂るのがおすすめです。

同じくビタミンAにも気管支の粘膜を強化する効果があるので、青のりなどの海藻類もおすすめです。

◆食物繊維

腸内に溜まった老廃物を吸収し、排泄する作用があります。

悪玉菌の増殖を防ぎ、善玉菌を増やして腸内をきれいに保ち、身体の免疫力を高めることが出来ます。

ブロッコリー、カボチャなどの緑黄色野菜、海藻、舞茸などのキノコ類、黒豆など豆類に多く含まれています。

◆カルシウム

カルシウムは神経細胞と免疫細胞の間の情報伝達に欠かせないミネラルです。

免疫細胞が働くときに欠かせない栄養素で、不足すると免疫細胞が正しく働かず、アレルギー反応を起こしやすい体質になるといわれています。

カルシウムは小魚、ヒジキ、ゴマ、干しエビ、玄米、納豆などに多く含まれています。

カルシウムと言えば「牛乳が良い」と思われる方も多いと思いますが、実はそうではありません。

牛乳は体内で吸収されるのが早く、血液内のカルシウムの濃度が一気に上がってしまい、余剰分はそのまま排出されてしまいます。

さらに排出するときにカリウム、マグネシウムといったミネラルや栄養素まで一緒に排出してしまうため、逆にミネラル不足を引き起こし、腸内細菌のバランスを崩してしまうのです。

カルシウムは野菜や海藻、豆類や穀類といったものから摂るようにしましょう。

摂り過ぎに気を付けなければいけない食品は?

肉類など動物性食品は腸内を汚してしまい、栄養の吸収を妨げ、免疫力を低下させるので食べ過ぎないように気を付けましょう。

また、砂糖も摂り過ぎると体は酸性になってしまい、それを中和するため、カルシウムが大量に使われます。

カルシウム不足になると免疫細胞が正常に働かなくなり、免疫が落ちるほか、腸内細菌のバランスも崩れます。

肉類などの動物性食品や砂糖などの糖類には必要な栄養素も含まれているので完全に除去するのではなく、摂り過ぎに気を付けましょう。

【体験談】アレルゲンを除去し、毎日の食事に気をつけて喘息症状が好転。

子供が大きくなり、体力が少しずつ付いてくると、ぜんそくも楽になって行きました。
また、食事療法も取り入れました。
アレルギーの諸誘因を食べないようにして、野菜や海草などのアルカリ性食品を多く摂らせるようにします。

ビタミンA、B、C、D、E、K、やカルシウム、ヨードを多く含む食品の摂取も大事で、
喘息の薬による肝臓の負担を和らげるためにもビタミンCは必須になります。
私が食事によく取り入れた食材は、黒豆、レンコン、青のり、ジャガイモ、にんにくでした。
食事療法による効果のほどはわかりませんでしたが、結果、ぜんそくは好転したので、
やらないよりはやって良かったと思います。

(出典)小児ぜんそく治療はいろんな軽減・予防方法があります。

上記の方のように、患者さんがお子さんの場合は、成長していくうちに体力がついて、症状が改善していく場合もあります。

成長期のお子さんの場合、成長に必要な栄養をしっかり摂ることが重要です。

アレルゲンを避けつつも、必要な栄養素を十分に摂れるように、親御さんは毎日の食事に気を付けてあげましょう。

アレルギーで食べられない食品がある場合、その栄養素を他の食品から補う必要があります。

自己流の除去食では栄養不足になる危険性もあるので、専門のお医者さんや栄養士さんのアドバイスに従って行いましょう。

(参考)喘息ガイド 喘息と食事療法
※喘息症状を軽くする食事療法に関する分かりやすい情報が掲載されています。

5.コーヒー、油の意外な効果!摂り方次第で喘息の症状が改善できる!?

コーヒー、紅茶などのカフェインは気道を広げる!

コーヒーや紅茶に含まれるカフェインには気道を広げる効果があります。

昔、気管支拡張剤などのお薬がなかったときはコーヒーがお薬代わりに使われていました。

喘息の発作は夜から明け方にかけて起こりやすくなりますが、午後3時ころにコーヒーを飲んでおくと、カフェインの作用でその時間帯の発作を予防する効果があるのでおすすめです。

ただし、喘息の気管支拡張薬「テオフィリン」を飲んでいる時は、カフェイン摂取を控えなければなりません。

薬の過剰反応が起こることがあり、不眠や頭痛、動悸などの症状が現れることがあります。

コーヒーを飲む際は、テオフィリンを服用する前後30分は避けましょう。

油の取り方を見直す!α-リノレン酸、DHA、EPAを積極的に摂る!

バター、ラード、赤身肉に含まれる動物性の飽和脂肪酸はアレルギーの発症原因になってしまうので、なるべく減らすことが大切です。

ですが、油の中には喘息症状を改善もしくは予防してくれる油もあります。

以下でご紹介するような油に含まれる有効成分は喘息に良いことが分かっています。

普段使っている油を見直し、これらが含まれている油を毎日の生活の中で積極的に取り入れるようにしましょう。

◆α-リノレン酸

しそ油、えごま油などに多く含まれるα-リノレン酸はアレルギー疾患の予防に良いとされています。

これまで使っていた油の代わりに毎日の食事の中に摂り入れると、簡単に摂取することが出来るのでおすすめです。

ただし、酸化がとても速いので加熱調理には向かず、サラダなど生食で使い、なるべく早めに使い切るようにしましょう。

◆DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)

アジ、サバ、イワシなどに含まれる不飽和脂肪酸です。

喘息などのアレルギー症状を改善させる効果があるので積極的に取りたい脂肪です。

新鮮なものを選んで食べるようにしましょう。

(参考)宮川医院 喘息最新情報
※アルコールやコーヒーとの関係など、喘息に役立つ情報を見ることが出来ます。
(参考)いりたに内科クリニック 気管支喘息
※喘息についての詳しい情報が分かりやすく載っています。食事についての説明もあります。

6.毎日の食事で喘息をコントロール。長期計画でムリなく摂り入れよう!

これまでご紹介してきたような食品や栄養素は、喘息に限らず、基礎的な体の免疫力を高めるものばかりです。

積極的に取り入れることで、喘息症状が和らぐだけでなく、風邪など他の病気の発症も予防することができて体力のアップにもつながります。

お医者さんや薬に頼るだけではなく、食事によって自分でも喘息を改善できるのはうれしいことです。

食事療法は即効性があるというわけではなく、長く続けることが大切です。

あれもこれもダメ、とストレスになるほど堅苦しく考えるのは逆効果です。

毎日、少しずつでも朝・昼・夜の食事に摂り入れ、いつの間にか辛い喘息症状が和らいでいたということになると良いですね!

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