突発性難聴の名医を探そう!耳鼻咽喉科・難聴専門外来・めまい専門外来
1.難病に指定されている「突発性難聴」
突発性難聴は、原因が不明で完治が難しく、厚生労働省の「難病指定」を受けている病気です。
ある日、なんの前触れもなく急に症状が現れるので、驚いて対応に戸惑う事も多いようです。
ウイルス説、血流不全説もありますが、ストレスなど「生活習慣」との関係も大きいといわれます。
(参考)難病情報センター 突発性難聴
※こちらのページでは突発性難聴の概要や原因、症状なや治療法などについて詳しい情報を見ることができます。
何科を受診すれば良いの?
早期治療をすることが大切なので、症状を感じたらすぐに耳鼻咽喉科などの病院を受診しましょう。
病院では、「症状がいつ、どのように始まったか」など詳しい問診や、聞こえ方を確認するための各種聴力検査を行い、突発性難聴と認められれば、すぐに投薬治療が始まります。
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さまざまな難聴を専門に診る「難聴専門外来」も。
難聴には突発性難聴のほか、先天性によるもの、薬物性によるもの、他の病気によるものなどさまざまな種類があります。
難聴専門外来ではこれらの難聴を専門に診察し、それぞれに適した治療を行っています。
突発性難聴の症例数も多く、検査から診断、治療までスムーズに行えるので早期治療開始が可能です。
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めまいの症状がある場合は?
突発性難聴の主な症状に、「めまい」があります。
しかし、突発性難聴の他にも、貧血、中耳炎、メニエール病などめまいを起こす病気はたくさんあるので、正確な診断が必要です。
めまい症状がある方は、他の病気による発症でないかどうかを詳しく調べるために、めまい治療専門のお医者さんがいる病院を受診すると良いでしょう。
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治療の効果は早期治療がカギ。タイムリミットは2週間!!
突発性難聴にはまだ特効薬はありません。
突発性難聴で使用される代表的なお薬は、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)です。
ステロイドには、内耳の炎症を抑える効果があるほか、細胞死を予防する、活性酸素の除去するなどの効果があります。
内耳にある、音を伝える蝸牛(かぎゅう)という器官の有毛細胞は、障害をうけると数時間~数日で死んでしまいます。
ステロイド剤は、その細胞が死に至る前に助け、受けた障害を軽くすることが出来るのです。
そのためには1日でも早く治療を始めることが大切で、開始が遅くなると効果が少なくなります。
発症から1ヶ月経つと、聴力はほぼそのまま固定し、回復しないといわれているので注意が必要です。
(参考)斉藤耳鼻咽喉科 突発性難聴に対するステロイド点滴治療
(参考)どうまえ耳鼻咽喉科 突発性難聴
※上記の2つのクリニックのサイトでは突発性難聴の原因、症状、治療について分かりやすく説明しています。
2.突発性難聴の一般的な治療法とは?特殊な治療法も!
突発性難聴には、スタンダードな治療法が確立されています。
病院では、突発性難聴と確定診断すると、すぐに次のような治療を行います。
①ステロイドホルモンを血漿増量剤と一緒に漸減投与。(ぜんげんとうよ:最初に大量に投与し、1~2週間程度で徐々に量を減らしていく)
②ATP製剤溶液(身体を活性化させ、耳の血行障害を改善する)やビタミン剤などの投与。
毎日これらの点滴(服薬)を行い、1週間~10日後、自覚症状や聴力検査でどれくらい回復しているか、治療の効果を確認します。
突発性難聴は睡眠不足やストレスからか、妊娠中や授乳中に発症することも多い病気ですが、その場合は使えないお薬もあるので、耳鼻科と産婦人科が連携して治療を行うことが大切です。
(参考)どうまえ耳鼻咽喉科 ステロイド漸減(ぜんげん)投与
※ステロイドの漸減投与について分かりやすくまとめられています。
治りにくい突発性難聴の治療法は?
上記のスタンダード治療を一通り行っても効果がない場合、「難治性の突発性難聴」と考えられます。
難治性の突発性難聴の場合、次の段階として以下のような治療法が検討されます。
◆高気圧酸素療法(こうきあつさんそりょうほう:HBO)
大気圧より高い2気圧以上の圧力環境(カプセル)の中に入り、1時間程度、100%の酸素を吸入します。
血液に通常の7~8倍の濃度の酸素が溶け、内耳への酸素供給量を増やし、血流を良くする治療法です。
発症1週間以内であれば、健康保険が適用されます。(1回4500円程度/3割負担の場合)
入院治療をしている場合は、ステロイド投薬と同時に行う場合もあります。
高気圧酸素療法は大がかりな装置が必要なため、主に大学病院など規模の大きな病院で行っています。
高気圧酸素療法施設がある病院については以下をご覧下さい。
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◆星状神経節ブロック(せいじょうしんけいせつぶろっく:SGB)
星状神経節は首の付け根にあり、頭、顔、首、腕、胸、心臓、気管支、肺などを支配している交感神経が集まっています。
麻酔医により局所麻酔剤を注射し、交感神経を麻痺させ、首の動脈や内耳への血流量を増やすための治療法です。
1~3日おきにブロック注射を受けることで効果が期待できます。
治療は耳鼻科医と麻酔科医(ペインクリニック)の連携のもとに行われます。
健康保険の適用あり。(3割負担、1000円程度/回)
星状神経節ブロック治療を行っている病院については以下をご覧下さい。
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(参考)日本ペインクリニック学会 ペインクリニックにおける非疼痛性疾患 突発性難聴
※こちらのページでは星状神経節ブロックを行っている様子や星状神経節ブロック行った前後のサーモグラフィ検査のデータなどを見ることができます。
これらの治療法による聴力の改善には個人差があり、完全に有効性が実証されているわけではありませんが、ステロイド剤との併用することで効果が見られることもあります。
ステロイド治療で効果がなかったケースでも改善!突発性難聴の特殊な治療法
ステロイド剤治療では効果が得られなかった突発性難聴に対し、宮崎大学医学部附属病院では以下のような特殊な治療法を行っています。
効果には個人差があり、治療に適さないケースもありますが、ご興味をお持ちの方は、一度病院の方に問い合わせてみてはいかがでしょうか?
◆ウログラフィン療法
ウログラフィン(薬品名:アミドトリゾアート)という「血管尿路造影剤」を投与する治療法です。
血管尿路造影剤とは、臓器や血管、尿路などに異常があるか、どのような状態かを調べるお薬です。
難聴患者さんにこのお薬を投与したところ、急に聞こえが良くなった事から研究が始められました。
現在、宮崎大学医学部付属病院では臨床研究を行っていて、ステロイド治療で効果がなかった患者さんでも1週間程度で改善が見られ、高い確率で完治しています。
この治療法は健康保険の適用外です。(宮崎大学医学部附属病院では一部病院負担の例外あり)
詳しくは以下のページをご覧ください。
(参考)宮崎大学医学部附属病院アミドトリゾアート療法について-宮崎大学医学部附属病院
全国のウログラフィンによる突発性難聴の治療を行っている病院を「病院口コミ検索Caloo」で探す
※治療についての詳細は実施している病院の先生にご相談ください。
手術という選択。「人工内耳埋込術」とは?
これまで内耳が原因の感音障害の治療は不可能でしたが、現在は「人工内耳埋込術」という聴覚手術が行われています。
この手術は、内耳の中に電極を挿入し、直接、聴神経に電気の刺激を与えることで、聴覚を取り戻すことができるというものです。
電極は頭皮の下に埋め込まれるので、洗髪など日常生活に支障はなく、故障以外では電池交換も不要、万一故障しても取り換え手術も可能です。耳の後ろにマイクを装着し、拾った音を電気信号に変換し(スピーチプロセッサー)、音を感じるしくみになっています。
現在では健康保険も適用になり、これまでに5500人を超える方がこの手術を受けていますが、適用には「両側90dB(デシベル)以上の高度難聴であること」などの基準があり、片耳の聴力が正常の場合、この手術は行いません。
高音域が聞き取れないケースには最新治療「残存聴力活用型人工内耳挿入術」
これまでの人工内耳埋込術では、「低音域の聴力は残っていて、高音のみ聴力がなくなっている」ケースは手術ができませんでした。
電極を挿入することによって、残されている低音聴力まで悪化させてしまうためです。
ですが、昨今の医療技術の進歩で、聴力の残っている低音は補聴器で補い、聴力のない高音域のみを人工内耳でカバーするという手術も可能になっています。
2014年7月には保険適用が認められていますが、まだ手術を受けられる病院は限られています。
治療には適応基準などもあるため、詳しくは以下のサイトをご覧ください。
(参考)信州大学医学部 耳鼻咽喉科学教室 残存聴力活用型人口内耳
※こちらの大学のページでは残存聴力活用型人口内耳について分かりやすい説明を見ることができます。
全国で残存聴力活用型人工内耳挿入術を行っている病院を「病院口コミ検索Caloo」で探す
3.突発性難聴のエキスパートはここにいる!全国の名医リスト
突発性難聴を専門としている先生や治療の実績、クチコミなどから総合的に判断しています。
病院を選ぶ材料の一つとして参考にして下さい。
(※受診時期によっては、先生が転籍されていたり、外来を担当していない場合もあります。受診の際には前もって病院にご確認下さい。)
◆北海道・東北地方
・北海道大学病院 耳鼻咽喉科・頭頚部外科 福田 論(ふくだ さとし)先生
北海道札幌市北区北14条西5丁目 ℡ 011-716-1161
・岩手医科大学附属病院 耳鼻咽喉科・頭頚部外科 佐藤 宏昭(さとう ひろあき)先生
岩手県盛岡市内丸19-1 ℡ 019-651-5111
◆関東地方
・帝京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 伊藤 健(いとう けん)先生
東京都板橋区加賀2-11-1 ℡03-3964-1211
・JCHO東京新宿メディカルセンター 耳鼻咽喉科 石井 正則(いしい まさのり)先生
東京都新宿区津久戸町5-1 ℡03-3269-8111
・荏原病院 脳神経外科(高圧酸素療法) 土井 浩(どい ひろし)先生
東京都大田区東雪谷4-5-10 ℡03-5734-8000
・東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・聴覚音声外科 山岨 達也(やまそば たつや)先生
東京都文京区本郷7-3-1 ℡03-3815-5411
・国際医療福祉大学三田病院 耳鼻咽喉科 岩崎 聡(いわさき さとし)先生
東京都港区三田1-4-3 ℡03-3451-8121 (人口内耳埋込術のエキスパート)
・医療法人社団 康心会茅ケ崎中央病院 耳鼻咽喉科 喜多村 健(きたむら けん)先生
神奈川県茅ヶ崎市茅ケ崎2-2-3 ℡0467-86-6530
・新川クリニック 耳鼻咽喉科 新川 敦(しんかわ あつし)先生
神奈川県秦野市南矢名1-6-40 ℡0463-76-3341
・耳鼻咽喉科樋口医院 樋口彰宏(ひぐち あきひろ)先生
神奈川県横浜市鶴見区豊岡町6-7 ℡045-581-3378
・筑波大学附属病院 耳鼻咽喉科 原 晃(はら あきら)先生
茨城県つくば市天久保2-1-1 ℡029-853-3900
◆中部/北陸/東海地方
・信州大学医学部附属病院 耳鼻いんこう科 宇佐美 真一(うさみ しんいち)先生
長野県松本市旭3丁目1番1号 ℡0263-35-4600
◆関西地方
・近畿大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 土井 勝美(どい かつみ)先生
大阪府大阪狭山市大野東377-2 ℡072-366-0221
・神戸市立医療センター中央市民病院 内藤 泰(ないとう やすし)先生
兵庫県神戸市中央区港島南町2丁目1番1号 ℡078-302-4321
◆中国/四国地方
・新倉敷耳鼻咽喉科クリニック 福島 邦博(ふくしま くにひろ)先生
岡山県倉敷市新倉敷駅前3丁目 120-1 ℡086-525-1133
・鷹の子病院 耳鼻咽喉科 暁 清文(ぎょう きよふみ)先生
愛媛県松山市鷹子町525-1 ℡089-976-5551
◆九州地方
・宮崎大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 東野 哲也(とうの てつや)先生
宮崎県宮崎市清武町木原5200 ℡0985-85-1510 (アミドトリゾアート療法実施病院)
4.後悔先に立たず。早期治療と日常の心がけを!
これまで何度も繰り返しお伝えしてきましたが、突発性難聴は早期治療が重要です。
治療にはタイムリミットがあり、時間との戦いです。
「仕事が忙しい」「明日でいいや」と後回しにしていると、難聴が回復しないまま固定してしまい、後から大きな後悔することになりかねません。
早期受診をすることで、上記のようなさまざまな治療法を検討する時間もうまれます。
日常生活で気を付ける事5カ条
治療中、日常生活でも内耳の血流を良くするために、以下のようなことに心がけましょう。
ストレスは自律神経を介し、細い血管を収縮させてしまい、血流低下につながります。早めにケアしましょう。
1.睡眠をしっかりとり、疲れを溜めないようにする。
2.血流促進のためにゆっくり入浴し、心身ともにリラックスする。(熱すぎ、長すぎはNG。)
3.タバコはニコチンが末梢血管を細くしてしまい、血流が低くなるのでやめる。
4.できるだけ禁酒をする。(完全に禁酒するとストレスが溜まる場合は、量を抑える。)
5.耳に大きすぎる刺激を与えない。大音量の音楽などに気を付ける。
一日でも早い回復を目指すために、治療と並行して、自分でもやれることを心がけていくことが大切です。
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