初期の変形性膝関節症は漢方やサプリで改善!気になる飲み方、効果と副作用
変形性膝関節症を「漢方薬」でなおす。
漢方薬は体質改善により変形性膝関節症の症状(痛み、むくみ) を緩和する 。
変形性膝関節症は軟骨がすり減り、骨が変形してくる疾患ですが、まだそれほど骨の変形が見られない初期であれば、運動や理学療法と併せて、漢方薬の内服が効果的な場合があります。
「膝の痛みに漢方?」とピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん漢方薬を飲んだからといってすり減った骨の状態が戻るというわけではありません。
漢方薬は、全身のバランスを整えることで体の不調をなおすことを得意としています。
患者さんの体質に合った漢方薬を服用して体質そのものが改善されることで、変形性膝関節症による痛みやむくみなどの辛い症状の改善が期待できるのです。
(参考)横浜ベイサイドクリニック
※こちらは漢方薬を専門に様々な疾患の治療を行っているクリニックです。
漢方では「体内の水分バランス」「体内の血の巡り」 が悪い人は、変形性膝関節症に注意。
変形性膝関節症は膝関節の老化が大きな原因の1つですが、高齢者だから全ての人が発症するわけではなく、年をとっていっても発症しない人もいます。
漢方的に見ると、変形性膝関節症になりやすい人にはいくつかの共通点があり、特に以下のような2つの体質に当てはまると発症しやすいとされています。
①体内の水分バランスが悪い「水毒(すいどく)」の人
変形性膝関節症になると「関節液」という体液が膝の上部にたまることがありますが、これは漢方で言う「水毒(すいどく)」という状態であり、体内の水分代謝がうまくいっていないためと考えられます。
水毒とは体のあちこちに余分な水が溜まってよどみ、身体の「毒」のようになってしまう状態を指し、長く続くと体に不調が現れます。
水毒になる原因は運動不足、睡眠過多、白砂糖の摂りすぎや高カロリーの食事などの悪い生活習慣と考えられていています。
水毒タイプの人は、「尿の排出量が少ない」「むくみや冷えが強い」などの特徴があり、めまいや耳鳴り、下痢などに悩まされることがある他、関節の水が溜まりやすくなります。
(参考)漢方デスク 水毒
※こちらは漢方や薬膳について様々な情報を詳しく掲載しているサイトです。
②体内の血の巡りが悪い瘀血(おけつ)の人
血液中に脂肪やコレステロールといった血液の流れを悪くするものが多く含まれていると血液の粘性が高くなります。
精神的なストレスや偏食、不規則な生活といったものが原因となり、本来、体内をサラサラと流れているはずの血液の流れが悪くなり、だんだん滞るようになると、身体のあちこちに悪影響を及ぼします。
このような血流が悪い状態を「瘀血(おけつ)」といい、漢方では様々な病気や不調の元になると考えられています。
瘀血の人は少しぶつけただけでもあざができやすかったり、慢性的な頭痛や肩こり、女性の場合は生理のトラブルが起きやすい他、関節の痛みを引き起こすことがあります。
現代の生活ではこのように水毒や瘀血タイプに当てはまる人はとても多く、体内の水や血液などのコンディションの乱れで身体全体のバランスが崩れ、変形性膝関節症などの疾患を発症するリスクが高くなると考えられているのです。
(参考)漢方デスク 瘀血
同じ変形性膝関節症でも人によって処方は違う。まずは「証(体質)」の見極めから。
漢方薬は西洋薬のように「痛みには鎮痛剤」といったような画一的な処方はしません。
漢方では舌やお腹、脈などの診断を行い、「証(しょう)」と言われる「その人その人の体質や体の反応」を見極め、それぞれに合った漢方薬が処方されます。
そのため内服薬といっても変形性膝関節症をピンポイントでなおすというわけではなく、体のバランスを整える薬を続けていくうちに、膝の不快な症状も解消するという効果が期待できるのです。
反対に証に合わない漢方薬を飲むと効果がないばかりでなく、悪影響になる場合もあるので、服用には正しい「証」の診断が必須となります。
整形外科などでも漢方薬を処方してくれることもありますが、最近では漢方の専門外来を持つ医療機関もありますのでお近くにある時は、受診してみるのもおすすめです。
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変形性膝関節症で処方される代表的な漢方薬「防己黄耆湯」「 越婢加朮湯」「桂枝加朮附湯」
変形性膝関節症の治療には、証に合わせて主に以下の3種類の漢方薬が処方されます。
◆防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
(引用)漢方のツムラ 防己黄耆湯
※様々な医療用漢方薬を作っているツムラのサイトです。
利尿作用がある漢方薬で、関節の変形はそれほどひどくなくても、膝関節の水がたびたび再発するような場合に処方されます。
身体の水分の循環を良くする効果が高く、むくみの解消にも効果があります。
色白で体力がなく、筋力が落ちている水太りタイプの方などに適しています。
成分中の防已(ぼうい)は関節の炎症を緩和する効果、黄耆(おうぎ)には水分バランスを整える効果があります。
(参考)おくすり110番 防己黄耆湯
※こちらは病院で処方される様々なお薬の解説をされているサイトです。
◆越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
(引用)漢方のツムラ 越婢加朮湯
わりと体力があり、胃腸が強くがっちりとした体質の方に適した漢方薬です。
尿の排出量が少なく、むくみやすい時や、膝が熱をもって腫れたり、強い痛みがある場合に用いられます。
成分中の麻黄(まおう)や石膏(せっこう)は熱を下げて痛みを取る効果があり、蒼朮(そうじゅつ)は身体の水はけを良くします。
(参考)おくすり110番 越婢加朮湯
◆桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
(引用)漢方のツムラ 桂枝加朮附湯
強い冷えがあり、胃腸が弱かったり、すぐに体調を崩しやすい虚弱体質の方に適している漢方薬です。
身体を温める作用が強く、関節の痛みを抑える効果があります。
成分中の桂皮(けいひ)は発汗、発散作用、芍薬(しゃくやく)は痛みを和らげる、附子(ぶし)には身体を温める作用があります。
(参考)おくすり110番 桂枝加朮附湯
効果的な漢方薬の飲み方と副作用
体質改善を目的とする漢方薬は、西洋薬のような即効性はなく、穏やかな効き目が特徴です。
個人差がありますが、効果を感じるには3~5週間程度と時間がかかりますが、鎮痛剤などの強いお薬を使いたくない方にもおすすめです。
服用方法は西洋薬のように食後ではなく、食べた物の影響を受けにくい空腹時(食前や食間)に服用します。
病院で主に処方される漢方薬は「煎じ薬」を乾燥させた「エキス剤」が多く、生薬を煮出したものに比べると、かなり飲みやすくなっています。
それでも漢方薬特有の味や臭いはありますが、可能であればぬるま湯に溶いて飲むとさらに効果が高まります。
漢方薬はいくら体に優しいと言っても、全く副作用がないわけではありません。
続けて飲んでいるうちにむくみや血圧の変化など気になる変化が見られる時は、早めに医師に相談するようにしましょう。
漢方薬は薬局などでも手に入れることが可能ですが、証の見極めが肝心であり、他のお薬との飲み合わせも考える必要があるため、自己流ではなくきちんと医師に処方していただいて漢方薬を飲むようにしましょう。
医療用漢方薬は医師の処方箋があると健康保険が適用になります。(※一部適用外の場合あり)
変形性膝関節症をサプリで改善する。
グルコサミン、コンドロイチン……。「膝に良い」とされるサプリメントの効果
ここ最近、グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントが、テレビCMや新聞広告などで「膝関節に良い」と紹介されています。
グルコサミンは軟骨の主成分である「プロテオグリカン」を作り出す成分で、そのプロテオグリカンの中に含まれる主要な成分がコンドロイチンです。
グルコサミンとコンドロイチンは別々に摂取する場合もありますが、同時に摂ることで、効果的に軟骨が減るのを抑制し、骨や軟骨の質を強化すると考えられています。
これまでグルコサミンやコンドロイチンの医学的効果は疑問視されることもありましたが、最近の国内外の調査では、関節の変形がない初期や中期に使用すると、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があるという報告も多くなってきており、今後の医薬品としての可能性も期待されています。
(※慢性化した痛みや症状が関節の変形にまで及んでいると、効果は期待できません。)
通常、鎮痛剤として処方される非ステロイド性抗炎症剤(ロキソニン、ボルタレンなど:NSAIDs)は、長期間の服用が出来ない上、患者さんによっては胃を荒らすなどの副作用があって使えないことがありますが、グルコサミンやコンドロイチンには重い副作用の心配がほとんどないため、早期であれば鎮痛剤の代替品としての使用を考えることもできます。
(※全ての人に全く副作用が起きないというわけではありません。またあくまでも薬ではないため、その効果には個人差があります。)
実際、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを服用した患者さんの中でも、その効果の感じ方は人それぞれ違っています。
以下の国立健康・栄養研究所のホームページには効果があった場合となかった場合のさまざまな試験結果が掲載されていますので、ご自身の症状には「効くのかな?」と気になる方はぜひ、こちらのサイトを読んで参考にしてみましょう。
国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報「グルコサミン」
国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報「コンドロイチン硫酸」
サプリ摂取前に確認!甲殻類アレルギー、糖尿病、血栓症、 高血圧、高脂血症には要注意。
重篤な副作用のないグルコサミンやコンドロイチンですが、サプリメントの服用には注意が必要なケースもあります。
まず、グルコサミンは糖の一種なので、糖尿病の方は使用を控えます。
また、グルコサミンはエビやカニの殻から作られており、キチン質という物質が含まれているため、甲殻類アレルギーを持つ方も摂取しないようにしましょう。
摂取の目安はグルコサミンが1日1,000~1,500mg、コンドロイチンは1,200mgで、それ以上の過剰摂取は害になることもあるので用法用量をきちんと守ることが大切です。
また、他のお薬との飲み合わせも考えなければなりません。
血液が固まって血管をふさいでしまう血栓症の治療に使われるワルファリンなどの抗凝固薬は、グルコサミンによって作用が強まることが分かっているため使用は控えます。
高血圧や高脂血症の方も、病状に影響を及ぼす恐れがあるので、主治医の先生に相談してから摂るようにしましょう。
ちなみに、グルコサミンなどと同じように軟骨や関節液に含まれ、膝の動きを滑らかにするヒアルロン酸については、サプリメントで取り入れても、成分が身体全体に散らばるため、膝関節への治療効果は期待できないと考えられており、治療には膝へダイレクトにヒアルロン酸を補充する関節注射(膝関節に注射針で注入する)が行われています。
(参考)おくすり110番 ワルファリン
(参考)変形性膝関節症-日本臨床整形外科学会
※こちらのページには変形性膝関節症の症状や原因、治療、予防など様々な情報が分かりやすくまとめられています。
漢方もサプリメントも生活の見直しや運動療法との併用で効果が上がる!
ここまで漢方薬やサプリメントの効果についてお話してきました。
どちらもそれだけ服用していれば、劇的な効果を得られるというものではありませんが、穏やかな効き目で体への負担も少ない漢方やサプリメントは、初期の膝の痛みが気になりだした人には試す価値のある方法です。
しかし、もともと肥満が原因になっている場合は体重を減らす事が必要ですし、冷えが強い人は運動の習慣をつける、お風呂で温めるなど冷えを解消する対策をすることが大切です。
ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行ったり、膝に良くない生活の見直しをしつつ、うまく漢方薬やサプリメントを取り入れていく事で症状の改善を目指していきましょう。
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