男性も女性も発症の危険性が!性感染症「性器ヘルペス」の原因、症状とは?
性感染症(STD)の代表的な病気の1つである「性器ヘルペス」
「性器ヘルペス(GH:Genital Herpes)」は「ヒトヘルペスウイルス」というウイルスが性器に感染することによって発症します。
パートナーとの性行為によって感染する病気「性感染症:STD (Sexually Transmitted Diseases)」の1つで、男性、女性どちらもかかることがあります。
日本では年間7万人を超える患者がおり、男性は20代~30代、女性の場合は10代~20代と若年層に多い病気です。
発症すると、性器やその周辺に小さな水疱が現れ、強い痛みやかゆみなどの様々な不快症状を引き起こします。
【体験談1】患部の痛みや腫れ、ただれが悪化し、排尿時の痛みは悶絶するほど。(30代男性)
3日ほど前から陰茎先端に痛みがあり、ただれている感じがありました。
オイラックス軟膏をドラッグストアで購入し、1日数回塗布していました。
前にも何度かこのような症状がありましたが、
軟膏を塗布することで改善していましたので今回も同じようなものだと思っていました。
前日の夜から、排尿時に激痛が出現し、翌朝には悶絶するほどの痛みでした。
陰茎先端のただれも酷くなり、赤く腫れていました。
排泄後の激痛は3時間ほど続きました。
熱を測ると37.3℃と微熱でした。
【体験談2】初めは膀胱炎と診断された排尿時の痛み。水疱が現れ、皮膚科を受診したところ「性器ヘルペス」が発覚。(20代女性)
ある日、排尿時に激しい痛みを伴ったのでクリニックを受診し膀胱炎と言われ薬をだされました。
ところが数日たっても症状は軽減されないどころか、陰部と肛門に水疱のようなものができ痛みを伴いました。今度は女医さんのいる皮膚科を受診し、症状を話したあとに患部をみせ「性器ヘルペス」と診断されました。症状が重いので初めて感染したんでしょうとのこと。(性器ヘルペスは二回目から症状が軽くなり、一度感染すると疲れなどで発症するらしい。)
飲み薬と塗り薬が処方されました。
原因は感染力が強いヘルペスウイルス
性器ヘルペスを引き起こしている「ヘルペスウイルス」自体は特に珍しいウイルスではありません。
子どもの頃に感染することが多い水疱瘡(みずぼうそう)の原因となるウイルスも、同じヘルペスウイルスの1つであり、多くの人が体内に持っているウイルスです。
ヘルペスウイルスの種類はいくつかに分けられますが、その中でも性器ヘルペスを引き起こしているのは「単純ヘルペス」(HSV:Herpes simplex virus )」といわれるもので、水疱瘡などを起こす他の型のヘルペスウイルスに比べても感染力が強いことが分かっています。
(参考)単純ヘルペスⅡ型顕微鏡写真 NIID国立感染症研究所
単純ヘルペスの特徴は「身体のあらゆるところに感染し、皮膚に水疱(水ぶくれ)を作る」ということです。
単純ヘルペスの中にもさらに、Ⅰ型とⅡ型の2種類があります。
Ⅰ型(HSV-1)は主に上半身に感染し、「口唇ヘルペス」(こうしんへるぺす:口の端にプツプツした赤い水疱が現れ痛みを伴う)」などの病気を引き起こします。
反対にⅡ型(HSV-2)は下半身に感染することが多く、性行為を通して性器がこの型のウイルスに感染すると「性器ヘルペス」となって発症します。
しかし、Ⅰ型のウイルスであっても性器に感染すると性器ヘルペスを発症する事もあり、その強い感染力は、患部を触った手に触れるといった間接的な接触であっても感染することがあるほどです。
ウイルスに感染するとどんな症状が現れる?女性は重症化の恐れも。
性器ヘルペスの潜伏期間は2日~10日程度と短く、初感染で発症する場合(急性期)は特に激しい症状が現れます。
男性の場合は、性器やお尻の周りにプツプツとした水疱(すいほう:水ぶくれ)ができ、激しい痛みや掻痒感(そうようかん:かゆみ)が現れます。
数日の間にその水疱は破れて瘡蓋(かさぶた)になり、2~4週間ほどで治りますが、症状が重い時には足の付け根のリンパ腺が腫れたり、風邪のような発熱を伴うこともあります。
一方、女性の場合は外陰部や膣、子宮頚部やお尻の周りに男性の場合と同じような小さな水疱やびらん(ただれ)ができ、激しい痛みや痒み、熱感を伴うほか、膀胱炎も起こすことがあり、排尿時の痛みなども現れます。
悪化すると強い痛みのため、前かがみや「がに股」でないと歩けなくなる程、日常生活にも支障をきたすことがあります。
男性に比べても女性の場合のほうが症状は重くなることが多いと言われ、重症化すると「髄膜炎(ずいまくえん:脳や脊髄を覆っている髄膜に炎症がおこる)」を起こしたり、入院治療が必要になることもあります。
(参考)医療法人 正進会 丸善クリニック
※泌尿器科、性感染症内科専門クリニックであるこちらの病院のホームページでは性器ヘルペスの原因、感染経路、男性と女性の症状の違いについても詳しく解説されています。
実は多くの人が感染してる!7割は感染しても症状がでない。
これほどまでに激しく辛い症状があらわれる性器ヘルペスですが、実はその7~8割は不顕性(ふけんせい)と言って感染しても症状が現れません。
しかし、不顕性であってもやっかいなことに、分泌液、唾液、精液などにはウイルスが出ていて、人への感染力はなくなりません。
そのため、本人は自覚症状がなく、感染に気付かないうちに性行為を通してパートナーにうつしてしまうことも多く、根本的な予防が難しい感染症です。
実際、アメリカでは、7割がこのような無症状の時にパートナーへの感染を起こしてしまっているという調査結果もあります。
性器ヘルペスに感染すると、一年以内に再発する人が8割も。
性器ヘルぺスは症状がおさまったとしても、ウイルスがいなくなることはなく、半永久的に体内に残ります。
感染するとウイルスは性器周辺の神経を通って、骨盤の中にある神経節(しんけいせつ:末梢神経が集まり太くなっている部分)にうつり、そのまま症状がなくなった後も潜伏しています。
普段はおとなしく眠っている状態のウイルスですが、不眠や過労、ストレスや免疫力の低下など何らかの理由で目を覚ましてしまうと、ウイルスが暴れだして再び末梢神経へと出てくるため、何度も辛い「再発」を繰り返してしまうことがあります。
(参考)GH再発率 グラクソ・スミスクライン株式会社 GH再発抑制療法
再発の場合、初めて症状が出た場合に比べると症状は軽く、回復までの日数も数日~1週間ほどと早いといわれいますが、患者さん本人にとっては何度も再発を繰り返すことは精神的にも大きなストレスになります。
予防ワクチンのない「性器ヘルペス」。異常を感じたら泌尿器科、性病科、産婦人科の受診を。
これまでお伝えしてきたように、性器ヘルペスは完治することがないため予防が難しく、未だ予防のためのワクチンも開発されていません。
性行為によって感染するデリケートな病気なだけに、なかなか相談もできず一人で悩んでいらっしゃる方もいるのではないでしょうか?
けれど、性器ヘルペスは性生活のある年代の男女であればだれでも発症する可能性がある病気です。
そして実際、たくさんの方が同じ症状で悩み、受診して治療を行っています。
自分だけ特別と思わずに、思い切って専門家である医師に相談することが、辛い症状を改善する「一番の近道」と言えるでしょう。
他の病気と同じく性器ヘルペスは早期に治療を始めたほうが回復は早いことが分かっており、現在では服薬による再発率を減らす治療も出来るようになっています。
性感染症で病院に行くのはハードルが高く、不安もあるかと思いますが、最近は、インターネットで前もって先生や病院の雰囲気、臨床数、治療の得意分野などの情報を調べることもできます。
まずはご自身でいろいろな情報を集め、「ここの病院ならかかっても良いかも。」と思える病院を探して受診してみるのも良いでしょう。
毎日、「再発したらどうしよう……?」と不安を抱えながらの生活は非常に憂鬱なもので、患者さんの生活の質(QOL:Quality of Life)を下げてしまいます。
体内のウイルスを完全に無くすことはできませんが、性器ヘルペスはお薬による治療や体調管理で再発を減らしたり上手くコントロールすることができる病気です。
治療を受けることで、毎日をもっと楽な気持ちで楽しく生活することができるかもしれません。
気になる症状がある時は、1人で抱え込まずに、一度、病院を受診し相談してみましょう。
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