喘息かも……と思ったら早期の病院受診が肝心!喘息検査の種類・方法まとめ
1.喘息(ぜんそく)は早めの治療が肝心!
喘息は、空気の通り道である気道が、炎症をおこして腫れてしまうことで気道が狭くなり、激しい咳や呼吸困難などを引き起こす病気です。
その原因は遺伝的要素(アレルギーなど)と環境的要素(大気汚染、気候、ストレスなど)があり、それぞれが複雑に影響を及ぼしあっていて呼吸器の辛い症状となって現れます。
喘息は子供に限らず、大人でも発症する場合があります。
これまで喘息症状が全くなかった方でも突然発症してしまう危険性があり、注意が必要な病気です。
こんな症状があれば要注意。喘息かもしれません!
・咳がとまらない。
・胸が圧迫される感じがして息切れする。
・呼吸がしにくく、苦しい。
・呼吸をするとゼーゼー、ヒューヒューというような音がする。(喘鳴:ぜんめい)
・痰が絡む。
・喉がイガイガするなど違和感がある。
一見、風邪と似た症状なので分かりにくいですが、これらの症状が長期間にわたって続くような場合は喘息かもしれません。
「いつまでも風邪が治らない」「大声で笑ったり、ちょっと走ったりしただけで、苦しい」、「ホコリやたばこの煙などを吸い込んだ時、咳が止まらない」というような場合も喘息の可能性が疑われます。
喘息の場合は、症状をそのまま放っておいても良くなることはありません。
早期治療が症状の悪化を防ぐポイントになるので、何か気になる事がある時は、早めに病院を受診して検査を行うようにしましょう。
2.喘息検査には何科を受診する?呼吸器科、アレルギー科を受診!喘息専門外来もおすすめ。
喘息かどうかはっきりとした診断をするためには、問診の他、いくつかの専門的な検査を行います。
これらの検査は呼吸器科で検査を受けることが出来ます。
また、喘息はアレルギー疾患の一つなので、アレルギー科がある病院の場合はそちらを受診しても良いでしょう。
中には喘息の専門外来を設けている病院もあります。
喘息を専門に診るお医者さんがいらっしゃるので、検査だけでなく、治療を続けることになったとしても安心です。
自宅近くにある場合は「喘息専門外来」にかかってみる事をおすすめします。
3.咳や胸が苦しくなる症状は他の病気の可能性も!喘息と間違いやすい病気とは?
咳や胸が苦しくなるような病気は喘息の他にもたくさんあります。
以下の病気は特に症状が似ていて喘息と間違いやすいものです。
1.急性細気管支炎(きゅうせいさいきかんしえん)
細気管支とは、肺の内部にある、空気を通す細い枝状の管のことで、「RSウイルス」というウイルスが原因の急性感染症です。
ウイルス感染により炎症を起こし、呼吸困難や、ゼーゼーいう呼吸など喘息に似た症状が現れます。
2歳以下の乳幼児がかかる病気で、治療は酸素や水分を補給することで症状が治まることが多いです。
2.アトピー咳嗽(あとぴーがいそう)
痰が絡んだり、喘鳴が起きることはなく、喉や気道の掻痒感(むずがゆい)があり、乾いた咳症状が1ヶ月以上続きます。
タバコの煙やエアコンなどが原因となり、特に閉経後の女性に多くみられます。
その症状は、喘息との区別ができないほど似ています。
アトピー咳嗽の場合、喘息で使用する気管支拡張剤(気管支を広げる薬)は効かず、炎症を抑える効果がある抗ヒスタミン剤の効果があるため、お薬を投与したあとに病名が確定します。
3.慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん:COPD)
気道に炎症がおきたり、肺胞(気管支の末端にある泡状の組織)が壊されたりして呼吸がスムーズにできず、呼吸困難になります。
タバコの煙など有害な物質を長期間吸い込むことが原因で、喫煙習慣のある中高年に発症する病気です。
喘息は安静時でも発作が起きることがありますが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合は歩く、階段を登るなど動いたときに息苦しくなるのが特徴です。
4.百日咳(ひゃくにちぜき)
「百日咳菌」と言われる細菌による感染症で、1ヶ月以上続く咳が特徴です。
子供の病気と思われていましたが、最近では大人の発症も増えています。
風邪のような症状から始まり、だんだんと痙攣性のある咳が出るようになります。
喘息の場合、息を吐くときにヒューという呼吸音が出ますが、百日咳は息を吸う時にヒューという音(フーピング)が出ます。
短い間隔で「コン、コン」というような咳が連続して出て、夜間に発作が現れるのも特徴です。
大人の場合は特徴のない咳が続くだけのことも多く、判断が難しい場合があります。
治療には細菌を殺す「抗生物質」を使います。
5.感染後の咳嗽(がいそう)
風邪をひいた後、他の症状が治まっても咳だけが残ってしまうことがあります。
咳止めのお薬を処方される場合もありますが、自然治癒する場合もあります。
上記の5つの病気はどれも喘息と同じような、咳と息苦しさなどの症状がおこりますが、その原因は細菌によるもの、ウイルスによるものなど様々です。
自分では何が原因なのかは判断できないので、呼吸器専門医の診断が必要となります。
(参考)成人気管支喘息診療のミニマムエッセンス
※喘息と見分けるべき疾患やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)との見分けるポイントなどを確認することができます。
(参考)チェンジ喘息!様々な喘息
※喘息と間違いやすい疾患についての情報が掲載されています。
4.喘息検査ってどんなもの?よく行われる5種類の検査とその方法。
病院を受診すると、まずは上記で紹介した病気や感染症の他、心臓の異常によるものでないかも確認します。
心臓のポンプ機能が弱まると、呼吸困難や咳といった喘息と同じような症状(心臓喘息、急性心不全)が出ることがあるからです。
また、喘息は遺伝的な要素(ダニ、ハウスダスト、花粉などのアレルギー因子)、環境的な要素(大気汚染、ストレス、気候など)が複雑に絡み合って起きる病気なので、その発症の原因物質が何であるかを突き止めるためにも、細かい検査を行う必要があります。
1.呼吸機能検査(スパイロメトリー)
スパイロメーターといわれる機械を使い、呼吸機能を調べる検査です。
喘息が疑われる時、まず一番初めに行う基本的な検査です。
スパイロメトリー検査は、鼻をノーズクリップで止め、口にマウスピースを加えて行います。
空気を胸いっぱいに吸い込んでもらい、それをすべて吐き出します。どれだけ多くの空気を吐き出したか(肺活量)や息を吐いている時間、スピードなどを測定します。
最初の1秒間で吐いた空気の量を1秒量(FEV1)といい、喘息の人の場合、正常の場合に比べて低くなるので、喘息の重症度を判定する基準となります。
また、最大呼気流量と言われる、思い切り息を吐いたときの速さ(ピークフロー:PEF)を計測することで、現在の喘息のレベルを知ることが出来ます。
2.気道性過敏性試験
気管支に刺激のある薬を投与し、わざと発作を起こしやすくします。
少しずつ薬の濃度を上げていき、どのくらいの濃度まで来たら発作が起こるかを測定します。
気道がどの程度、過敏になっているかを調べることができ、症状が重いほど、過敏性が高くなります。
3.血液検査
喘息はアレルギーが原因の場合が多いので、アレルギー反応の起きやすいアレルゲンは何か(抗原:こうげん)を見つけるための検査を行います。
まず血液を採取し、それをアレルゲンと反応させることによってアレルゲンに対する抗体(特異的IgE抗体)が検出されるかを確認します。
検査にはRAST法、MAST法の2種類があり、RAST法では6段階のアレルギー反応の強さを確認し、 MAST法では1度に26種類のアレルギー検査ができます。
4.皮膚反応テスト
血液検査と同じく、アレルギー反応を見るための検査です。
皮膚に原因の可能性がある特定のアレルゲンのエキスをつけて、アレルギー反応がおこるかどうかを確認します。
しばらく観察し、皮膚に赤み、腫れ、かゆみなどが出た場合はそれがアレルゲンであると特定することができます。
5.胸部レントゲン検査(X線検査)
肺のX線写真をとり、他の呼吸器疾患でないか、肺炎などの合併症を起こしていないかを確認します。
基本的な検査は以上の5種類です。
この他にも、更に心臓病が疑われる時は心電図や心エコー検査、胸部CT検査を行います。
また、X線検査やCT検査で異常があり、肺がんや感染症が疑われるような時は、気管支鏡検査(気管支にファイバースコープを挿入し観察する検査)などの追加検査を行うこともあります。
お医者さんは、個々の患者さんの状態に合わせて、必要とされる検査を行い、その結果データから喘息の診断や重症度の判定を行います。
(参考)日本臨床検査医学会 気管支喘息
(参考)チェンジ喘息!喘息(ぜんそく)の検査
5.検査結果が判明したら。喘息をコントロールする治療を進めよう!
早期治療が肝心な喘息です。検査結果で「喘息」が判明したら、さっそく治療へと進めていかなければなりません。
現在の「喘息治療」は、根本的に喘息を治せるわけではなく、ステロイド薬などのお薬を使って気道の炎症を抑えたり、気管支を拡げる治療を行うのが主流となっています。
炎症を抑え、気管支を正常に近づけることで、健康な人と同じような日常生活を送れるようにし、患者さんのQOL(quality of life:生活の質)を高める事を目的に治療を行っていくことになります。
詳しい喘息の治療法については以下の記事で詳しく説明しています。
薬物療法(吸入ステロイド薬)が基本!喘息治療のステップと薬の種類・使い方
薬物療法と生活習慣見直しのトータルなケアが必要。心配な時は一度検査を!!
症状の改善には日常生活でのアレルゲンの除去なども重要なポイントになります。
室内をこまめに掃除し、換気をするなどほこりが溜まらないように心がけましょう。
また、ストレスや睡眠不足も症状悪化につながってしまいます。
最近、忙しすぎて疲れが溜まっていないか、きちんと眠れているか、今一度、見直してみましょう。
お薬による治療を続け、自分でも生活習慣を見直してゆくという具合に、あらゆる角度から総合的に取り組んでいくことが、喘息を良好な状態にキープするカギとなります。
早期治療の方がお薬の量なども抑えることが出来るので、心配な時はぜひ早めに検査を受けてみてくださいね。
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