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2016年9月15日更新

【体験談】麻疹(はしか)と間違えやすい症状シリーズ③川崎病

川崎病は1967年日本人医師によって発見された原因不明の病気です。感染症の麻疹(はしか)と似ている症状がいくつか見られます。発熱や発疹もタイミングや形大きさに違いがあります。迅速に診察を受けることと、正確に治療を受けることが何より大切です。
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第1弾はこちら
妊婦さんは要注意!?麻疹(はしか)と間違えやすい症状シリーズ①風疹

第2弾はこちら
【体験談】麻疹(はしか)と間違えやすい症状シリーズ②手足口病

1. 原因不明の病気、川崎病。医療の進歩で治療も可能に

川崎病は、1967年に日本で発見された比較的新しい病気です。

発見者は小児科医の川崎富作先生。川崎病の病名は「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」といいますが、発見者である川崎先生の名前を取って「川崎病」と呼ばれています。

原因はウィルス?細菌の感染、遺伝?未だ解明されないけれど、進む研究

川崎病の原因にはいくつか説が唱えられていますが、はっきりと判明はされていません。

何らかのウィルスによって発症が引き起こされているウィルス説、ブドウ球菌や桿菌などの細菌によって引き起こされている細菌説、特定の遺伝子異常から引き起こされる遺伝説などが唱えられてきました。

他にも、気流に乗って海外から何らかの原因物質が飛来していると唱える説や免疫反応による説などがありますが、原因を裏付ける決定的な証拠はありません。

川崎病とはしか、発症初期は診察は難しい?

こちらは、川崎病とはしかが間違われた体験談です。

【体験談】小学生の娘が麻疹の診断。改善が見られず大病院で診てもらうと、川崎病

娘が小学校3年生の時です。急な発熱、そして顔や体に湿疹が出ました。小児科へ行くと、麻疹と診断され薬をもらい帰宅しました。2日たっても、3日たっても症状は改善せず、体中に赤みが出て、熱は上がったり下がったりを繰り返していました。
麻疹の場合も湿疹が引くまで数日かかるので診断を疑うこともしませんでした。
しかし、5日目になっても良くなる気配がないので、再度小児科へ。その時、様子が違うとのことで大きな病院を紹介されました。
紹介状を持ち、長時間の順番待ちの末にやっと診察。すでに娘は疲れぐったりしていました。この頃には、肌がカサカサを皮がむけてきていました。
先生は一目診て、川崎病を疑い、即入院。そして本来ならば2日以内が好ましいと言われるアスピリンの点滴を開始しました。川崎病について、知識のなかった私は、ただ、先生の指示に従うのみでしたし、未知の病気を告げられ不安でした。入院3日くらいまではぐったりしていました。

(引用)娘の川崎病闘病記:急な発熱、顔や体に湿疹が出てカサカサに。

はしかと間違われた原因は、高熱と身体にできた発疹、そして症状が表れた年齢でしょう。

しかし、このような共通の症状がある一方で、はしかにはない川崎病特有の症状や診断基準が存在します。

2. 麻疹(はしか)と川崎病の違い

①ウィルスの違い

川崎病は原因が特定されていないため、ウィルスの違いから、はしかとの違いを判別することは出来ません。

一つ確実に言えるのは、麻疹ウィルスのワクチン接種を受けておけば、はしかとの判断に悩まされる可能性が大きく減るということです。

②症状の違い

川崎病は、発症後10日間は「急性期」と呼ばれます。

この急性期の間に、6つの主要な症状の他、下痢やおう吐、せき、けいれんなどが発生します。

潜伏期間の違い

川崎病は原因が不明なため、潜伏期間が存在しているのか定かではありません。

ただ、発症後は迅速に医療機関を受診しなければなりません。

はしかの場合、潜伏期間はおよそ10日です。

主要症状別の違い

川崎病の診断は6つある主要症状で判断されます。この6つの症状のうち5つ以上の症状が認められた場合、川崎病の本症と診断します。

  1. 5日以上続く発熱(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)
  2. 両側眼球結膜の充血
  3. 口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
  4. 不定形発疹
  5. 四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑
    (回復期)指先からの膜様落屑
  6. 急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹

(出典)川崎病診断の手引き-厚生労働省川崎病研究班
(出典元)http://www.jskd.jp/info/tebiki.html

1. 発熱の違い

発熱は、38度以上の高熱が出る場合があります。解熱剤のような抗生物質による治療は、効果が望めないことがあります。

また、他の主要症状でも同様ですが、全く発熱が出ないケースでも他の4症状及び冠動脈瘤が認められ、他の疾患の可能性が除外できた場合、川崎病と診断されることがあります。

はしかは、2,3日の間39度以上の高熱が表れます。その後一旦発熱は収まりますが、再び半日程度で高熱がぶり返します。

主な違いは、発熱する期間の違いです。発熱の温度の経過と期間を必ず記録するようにしましょう。

2. 結膜の充血の違い

川崎病は、両目の白目の部分(眼球結膜)が充血して真っ赤になります。

発疹と同じく、発熱の2日後あたりで充血し、目ヤニや痛みは無いのが一般的です。

k01

引用:症例写真-日本川崎病学会

はしかも、発熱と同時に結膜炎症状が表れ、目が充血しますので、判別には注意が必要です。

主な違いは、目ヤニの有無です。

川崎病では一般的に目ヤニが見られないのに対し、はしかでは目ヤニが生じたり光を眩しく感じたりします。

3. 口の中や、唇、舌が赤くなってしまうときのわずかな違い

川崎病を診断する主な症状に「口唇の紅潮、イチゴ舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤」があります。

イチゴ舌は舌にいちごのように真っ赤なブツブツができる症状です。川崎病の他に溶連菌でも引き起こされますが、川崎病の場合は舌を流れる動脈の炎症によるものと推測されます。

びまん性発赤とは、粘膜全体が赤くなった炎症によくみられる状態です。

唇は赤く爛れて、出血することもあります。

参照:川崎病のはなし-循環器病情報サービス

k05

引用:症例写真-日本川崎病学会

はしかも、川崎病と同様に口内が赤くなります。

しかし、それらは発疹によって口内の粘膜が荒れたもので、充血による赤みとは異なります。

ただ、素人目には赤みの具合を判別することは難しいので、必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。

分かる特徴といえば、はしかの発症後3~5日間(カタル期)に口内にできるコプリック斑ははしかの特徴です。

4. 発疹の違い

川崎病の特徴は不定形発疹と呼ばれる、通常発熱と同時期から2,3日後に表れる発疹です。

不定形発疹は、麻疹のような円形の紅斑が特徴の発疹や、風疹のような細かくざらざらした発疹、蕁麻疹(じんましん)のようなぷっくりと盛り上がった発疹など、様々な形や大きさの発疹がみられます。

期間も一定ではなく、1日で消える発疹もあれば、治療まで残る発疹もあります。

k06 引用:症例写真-日本川崎病学会

はしかは、高熱や風邪のような症状、結膜炎の症状が表れ始める(カタル期)と、コプリック斑という奥歯の周りに、直径1mm程度の少し膨らんだ白色小斑点が表れます。

そして、2回の発熱の両方で全身に紅斑が特徴の発疹がみられます。

kansen_05 引用:麻疹とは-国立感染症研究所

主な違いは、コプリック斑の有無や発疹の様子です。発症後すぐだと、医師でも川崎病とはしかの判断をするのは困難なようです。

5. 四肢末端の変化の違い

川崎病は、手足の先が赤くむくみ、そして硬く腫れあがります。

また、発症してから2週間程度たって他の症状が治まってくると、指の先端や爪と皮膚の間から皮がボロボロと剥けていきます。(膜様落屑)

はしかは、手足の先まで発疹が表れますが、硬い腫れや皮が剥がれる症状は見られません。

6. リンパ節の腫れの違い

川崎病になると、大きさは人によってまちまちですが、首のあたり(頸部)のリンパ節が腫れあがります。

しかし、他の川崎病の主要症状と比べて発症率が低く、65%程度と言われています。

はしかは、リンパ腫が腫れることはありません。

3. ざっくりとしたまとめ

川崎病は感染症かどうかも定まっていないため、はしかと同じ土俵にあげるのは本来間違っているのかもしれません。

しかし、似たような症状が表れる場合もあり、どちらも迅速な対応が迫られる病気です。

症状の経過をきちんと記録することで、診療をよりスムーズに行えるようにすることは、川崎病もはしかのような感染症も変わりません。

※第4弾「りんご病(伝染性紅斑)」の記事はコチラです。

赤いほっぺに唇寄せて。はしかと間違えやすいシリーズ④りんご病(伝染性紅斑)

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