2016年9月15日更新

赤いほっぺに唇寄せて。はしかと間違えやすいシリーズ④りんご病(伝染性紅斑)

伝染性紅斑、りんご病、第5病などの言い方がある病気ですが、潜伏期間の長さが少々厄介です。麻疹(はしか)に比べて軽い感染症ですが、妊婦さんは風疹並みに感染に気を付けた方が良いでしょう。ワクチンもないため、一度感染したら安静第一です。
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1. 頬が真っ赤に腫れるりんご病、正式名称は伝染性紅斑

初めて発見されたときは「非カタル性風疹」、その後変異性風疹と長らく風疹の一種として扱われてきたりんご病は、ウィルスの発見と共に風疹と全く別の病気であることが判明しました。

日本での愛称はその症状の様子から「りんご病」、他にも伝染性紅斑という医学的な名称から、第5病ともいわれています。

ついでに、日本ではりんごですが、アメリカでは「平手打ちをされた跡のような頬(slapped-cheek)」と表現するそうです。アメリカンですね。

第5病と呼ばれる所以は、感染症の分類方法で、第1病が麻疹、第2病が猩紅熱、第3病が風疹、第4病が赤い発疹が出る実態のはっきりしない病気という分類がありました。

これらの病気に次ぐ新たな赤い発疹(紅斑)がでる病気として、伝染性紅斑(りんご病)が末席に加えられました。

今回は第1病の麻疹と第5病のりんご病の比較を行います。

2. 麻疹(はしか)とりんご病の違い

①ウィルスの違い

りんご病はパルボウイルスB19(ヒトパルボウィルス)が原因で感染します。

感染経路は主に飛沫感染と母子感染です。

一方はしかは、空気感染や飛沫感染、接触感染と多様な感染経路を持っています。

感染経路については、こちらの記事で詳しく書いています。

あなたの病気に狙いを決めて、感染経路ブロック!接触、空気、飛沫、昆虫など感染症の感染経路は様々

パルボウィルスB12(直径約20nm)

parvovirus_in_blood 出典:パルボウィルス-wikipedia

麻疹ウィルス(直径約150nm)

375px-measles_virus 出典:麻疹-wikipedia

②症状の違い

潜伏期間の違い

りんご病の場合、潜伏期間は10日から20日です。感染してから1週間程度で発熱や筋肉痛などの軽い風邪症状が表れた後、発疹が出ます。

はしかの場合、潜伏期間はおよそ10日です。

りんご病は、軽い風邪の症状が表れてから発疹が出るまでの約7日から10日間が感染力のピークを迎えます。

りんご病は不顕性感染と呼ばれるウィルスに感染しても発疹の症状が出ないままの状態である感染状態が約20%の確率で発生します。

発疹が出始めた段階では、もう感染リスクが沈静化したということなので、軽い風邪症状の段階での注意が必要です。

発熱の違い

りんご病は、一般的に37度くらいの微熱程度で、高熱になることはあまり見られません。ただ、大人が感染すると高熱が出る場合があります。

はしかは、2,3日の間39度以上の高熱に襲われます。その後一旦収まりますが、半日程度で再びぶり返します。

発疹の違い

りんご病は、発熱などの風邪のような症状が治まって1週間程度経ったあと、まず両頬の発疹が見られるようになります。

kansen_01 引用:伝染性紅斑-感染症の話

その数日後、身体や手足にも紅斑が表れ、だんだんとレース状や網目状のような形の発疹になっていくのが特徴です。

kansen_02 引用:伝染性紅斑-感染症の話

はしかは、コプリック斑という奥歯の周りに、直径1mm程度の少し膨らんだ白色小斑点が表れます。

1度目の発熱と2度目の発熱の両方で、全身に発疹(紅斑)が表れます。

りんご病の発疹は、その表れる時期の遅さと感染力の低下から、パルボウィルスB12によるものではなく、身体が従来持っている免疫反応によるものであると考えられています。

妊婦さんに感染した場合の違い

りんご病の原因であるパルボウィルスB12に免疫のない妊婦さんが感染すると、胎盤を通じて胎児に感染する母子感染を引き起こす恐れがあります。

起こりうる症状は、胎児水腫や心不全です。そして、死産や流産という結果に繋がってきてしまう可能性があります。

時期としては、およそ10%の確率で、妊娠初期(6週目まで)でのりんご病の感染が胎児死に繋がるとされています。

また、妊娠後期になると、初期に比べ胎児死のリスクは低下するといわれていますが、確実に安全な時期を特定するのは難しいとされています。

また、出産した赤ちゃんの先天性の異常は今のところ知られていません。

はしかの場合、免疫のない女性が妊娠初期に感染すると、早産や流産のリスクが増加します。

参照:伝染性紅斑-感染症の話

こちらの記事も参考にしてください。

妊婦さんが麻疹(はしか)にかかるととてもまずい件

ワクチンの違い

りんご病にワクチンはありません。従って、予防法も手洗い、うがいや換気などになります。

はしかは、麻疹ワクチンやMRワクチンを1歳過ぎと6歳頃に計2回接種しましょう。

症状の回復の違い

りんご病は発疹は通常1週間程度で収まります。ただ、激しい運動や、別の原因での発熱、ストレスなどにより発疹が再発する可能性があります。

はしかは、およそ2週間程度です。

どちらも、予後は安静を心掛けましょう。

③行政の対応の違い

りんご病(伝染性紅斑)は、医師の保健所への届け出が義務付けられています。

全国のおよそ3,000カ所の小児科から毎週定点報告がされています。

診断基準は次の通りです。

届出のために必要な臨床症状(2つすべてを満たすもの)
ア  左右の頬部の紅斑の出現
イ  四肢のレース様の紅斑の出現
引用:伝染性紅斑-厚生労働省

また、はしかと異なり、届出は週単位でまとめた上、翌週の月曜日です。

はしかの行政や医療機関の対応については、こちらの記事で詳しく書いています。

尼崎市でも感染する麻疹(はしか)。はしかが流行したとき行政や医療機関は何をしているの?

また、登園や登校の判断は自己判断です。

りんご病と診断された段階で、他者への感染のリスクも低くなっているため、体調を見ながら判断して下さい。

3. ざっくりとしたまとめ

りんご病はいつの間にか感染している病気で、完全に防ぐ手立ては幼稚園や保育園などで他人と接している以上ありません。

日々の健康に気を付けるとともに、妊婦さんは周囲の環境で感染が広がっていないか注意するようにしましょう。

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