男性から男性へ感染?梅毒などの性感染症を防ぐための最低限のマナーとは?
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1. MSMを知っていますか?男性と性行為をする男性ですが、ホモやゲイとは異なります
「同性と性行為する男性」という言葉を聞くと、ここ数年メディアでの露出が増えてきたオネエやゲイ、ホモの方達を思いつきます。
2015年にCM女王を獲得したマツコ・デラックスさんもその代表例でしょう。
しかしMSM(Men who have Sex with Men)は、より広義の意味で扱われている単語です。
LGBTのうち、女性同性愛者であるL(レズビアン)を除いた3種類の人は、いずれもMSMである可能性があります。
男性同性愛者であるゲイ(G)、両性愛者であるバイセクシュアル(B)も男性と性行為する機会はあります。
またトランスジェンダー(T)も、性自認は女性であっても身体が男性である場合(MTF)はMSMと見なしたり、同列に扱うことがあります。
あくまで性的な同一性などの問題やジェンダーなどのデリケートな部分とは切り離した考えを、MSMという定義をとることで、男性の性行為感染症の広がりの問題が見えてきます。
2. MSMで広がる梅毒を中心とした性病の感染と近年の傾向
国内でのここ数年(2012年~2015年)の男性の梅毒の感染傾向
厚生労働省が発表しているデータによると、2012年から2013年にかけて男性の感染者数が急増しています。
また、年代別にみた場合20代から30代の若い男性に多く感染が確認されました。
日本の地域別に見た場合、感染者数と感染率の伸び率が高いのはやはり都心部です。
特に東京では、既に現時点で梅毒の感染者数が過去最高の人数を記録しています。
引用元:梅毒の流行状況(東京都 2016年)-東京都感染症情報センター
平成25年のデータを参照すると、梅毒に感染したと報告された男性の感染経路の詳細が、国立感染症研究所から報告されています。
感染経路は、男性では861例(87.1%)が性的接触と報告されており、同性間または異性/同性間性的接触が443例(51.5%)と過半数を占め、そのうち同性間性的接触が432例(50.2%)、異性/同性間性的接触11例(1.3%)、異性間性的接触は309例(35.9%)であった(図4)。女性は160例(67.5%)が性的接触と報告されており、異性間性的接触が141例(88.1%)と多くを占めた。
また、国立感染症研究所が発表した2015年の分析によると、次のような報告がされています。
感染経路別では、男性は異性間性的接触が615例(昨年同時期比1.7倍)、同性間性的接触が
487例(同1.0倍)の報告であった。また、女性の異性間性的接触は405例(同2.1倍)であった。
病型は早期顕症梅毒が、男性で990例(昨年同時期比1.6倍)、女性で323例(同2.4倍)とそれ
ぞれ増加した。女性の年齢分布として15〜35歳の全体に占める割合が約4分の3を超えた
(437例:76%)。特に20〜24歳が177例(同2.7倍)と全体に占める割合の最も高い年齢群であっ
た。さらに、先天梅毒が既に10例(昨年同時期9例)報告されており、本疾患の発生動向を注視
する必要がある。
以上を踏まえ、男性同性間性的接触による感染報告の増加傾向は2010〜2013年にみられた
が 1-4)、本年は、男女の異性間性的接触による報告数増加の傾向が続いていると考えられた 5)。引用:IDWR感染症週報(2015年 第44週(10月26日〜11月1日): 通 巻 第17巻 第44号)-国立感染症研究所/厚生労働省
※背景色は筆者によるもの
MSM(引用文中では同性間性的接触)による梅毒の感染は、2010年代前半にみられた増加傾向は一旦落ち着きを見せているとのことです。しかし、割合が低下したとはいえ、数の減少は見られていません。
感染経路は現在のところ異性間性的接触が増加傾向にあるとのことですが、引き続きMSMによる感染を注意していかなければならないでしょう。
3. 必ず着用、コンドーム。性別に関わらず着けなければいけない理由
梅毒を予防するために、性行為の際必ず着用しなければならないのが、コンドームです。コンドームを着用しても梅毒に感染する可能性はゼロではありませんが、それでも使用しないより遥かに予防に効果的です。
梅毒の感染経路は多様で、膣以外でも肛門直腸や唇や口内にあるわずかな傷からでも感染するリスクがあります。
男性同士の性行為の場合、アナルセックスやディープキスをしたときにも感染してしまうかもしれません。
気持ちよさだけを求めて、コンドームの使用や着用を避けることは絶対に控えましょう。