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2016年9月5日更新

感染症の感染力を表す単位「R0(基本再生産数)」と「集団免疫率」ってなんだ?

基本再生産数という指標で、麻疹(はしか)やインフルエンザなどの感染症の強さを表すことが出来ます。感染者一人あたり何人の二次感染者を発生させるのか分かれば、対処や予防策にも違いが。実際の感染者以外の数値から分かる感染症の恐ろしさです。
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1. はしかの感染力を数値で割り出す、「R0(基本再生産数)」という概念

麻疹(はしか)の感染が千葉や大阪など日本各地を騒がせています。

はしかの感染がこんなにも騒がれる理由の一つに、はしかの感染力の高さがあります。

現在、感染力は強い弱いといった強弱の程度で表されません。しっかりとした数値に則って算出されるのです。

それが、R 0(基本再生産数)という指標です。

R 0(基本再生産数)はキルレシオのそれとよく似ている

この値が、それぞれの感染症の感染力の強さを表しています。

もともとこの概念は人口学で生まれたもので、女性の出生率から人口の推移を測るときの指標として用いられています。

しかし、基本再生産数の概念は、感染症の分野でも応用できる基本的な概念になります。

感染症の分野においては、集団にいる全ての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が生み出す2次感染者数を表します。

少し不謹慎かもしれませんが、シューティングゲームや軍事に詳しい方なら「キルレシオ」という表現に似ているところがあります。

プレイヤーや兵器の一人もしくは一台あたりの撃破率と置き換えて考えて下さい。

R 0(基本再生産数)の計算方法は三つの数値で割りだす!

基本再生産数の計算方法は「1回の接触当たりの感染確率」と「時間当たりの接触頻度」と「感染性を有する平均期間」を掛け合わせます。

この値が1より大きければ感染が拡大していき、小さければ流行が自然消滅することを表します。

たとえばはしかの場合、1回の接触当たりの感染確率は時期により変動しますが、発しん出現前の期間が最も強力であるとされています。

時間当たりの接触頻度は、今回の関西国際空港のケースなら同じ空間で仕事をした時間が当てはまるでしょう。

感染性を有する平均期間は10日前後であるといわれています。

これらの値を掛け合わせた結果、算出されたはしかの基本再生産数は16~21だそうです。

この値は太平洋戦争初期のゼロ戦のキルレシオに匹敵するといえば、強さと凄さが分かると思います。

2. 他の主な感染症のR 0(基本再生産数)からみるはしかの強力さ

  • はしか:16~21
  • 百日咳:16~21
  • ムンプス(おたふく風邪の原因):11~14
  • 風疹:7~9
  • 水痘(みずぼうそうの原因):8~10
  • 天然痘:5~7
  • インフルエンザ:2~3

引用:わが国におけるプレパンデミックワクチンの開発の現状と臨床研究-国立感染症研究所 感染症情報センター

これらのウィルスや感染性微生物と比べても、麻疹の強さが分かると思います。

この感染力の高さ感染経路が空気感染であることも大きく影響していると考えられています。

感染経路について詳しくはこちらの記事を参照して下さい。

あなたの病気に狙いを決めて、感染経路ブロック!接触、空気、飛沫、昆虫など感染症の感染経路は様々

3. 感染を阻止せよ!集団免疫率の算定方法

感染の拡大の規模を表すR0があるのと同様に、R0を用いて感染の阻止に必要な集団の中の免疫保持者の割合を測る指標があります。

それが集団免疫率(Herd immunity)です。

計算方法は、

H=(1-1/R0)×100です。

例えば、はしかのRo(基本再生産数)を仮に16とおいた場合、集団免疫率は93.75%という値になります。

これは、少なくとも集団中の93%の人間がはしかの免疫をもっていなければ、感染が拡大してしまうことを表しています。

マスクなどの予防ではなく、体内に必要な免疫という点に注意して下さい。

はしかの感染がなぜこんなにもあっという間に広がった理由が、この2つの指標を用いることで理解することが出来ます。

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