1.2018年「手足口病」の流行動向
手足口病は、生後6か月~4歳頃の乳幼児を中心に、主に夏に流行が見られるウイルス性感染症。
「夏の三大感染症」の一つとして、手足の発疹や口の中に水疱ができ、痛みがあるのが特徴です。
例年、手足口病の流行サイクルは、5月頃から少しずつ増え始め、7月8月にピークを迎え、9月末頃になると減少してきます。
※明るい水色線に水色の丸が2017年、赤い太線に赤丸が2018年。
しかし、昨年2017年は夏の流行時のウイルス型とは異なる型で秋以降も流行があり、過去10年の同時期に比べ、最多の患者数を記録した異例の年でした。
2018年は、第19週(5月7日~)より定点あたり報告数が増加していましたが、28週(7月9日~)を境に減少に転じています。
愛媛県では増加中!全国的には4週連続減少の「手足口病」。
※水色線に白色の丸が2017年、赤い太線に赤角が2018年。
2018年第32週(8月6日~8月12日)現在、「手足口病」は報告総数が約5,389人(前週比-1,293人)、定点当たりの報告数*1も1.37(前週比-0.34)と、4週連続で減少しています。
*1定点当たりの報告数:流行の目安で、1.0を超えると”やや流行”。全国約3,000カ所の小児科から報告数/定点医療機関数で算出。
定点当たりの報告数について、都道府県別の上位3県は愛媛県(8.35)、北海道(4.20)、沖縄県(3.59)となっており、特に愛媛県では、前週よりも増加しているので、より一層注意が必要です。
全国的にみて、流行ピークは過ぎたようで、報告総数は4週連続で減少しています。
しかし、愛媛県・北海道・沖縄県や九州地方では、現在も流行しているので、引き続き「うがい手洗い」といった感染症予防を意識的に行いましょう!
2. 手足口病とは?-手・足の発疹、口の中に水疱が出来て痛い
手足口病の特徴-好発年齢は4歳までだが、大人もかかる!
手足口病は夏風邪の一種で、名前の通り”手足や囗の中に発疹ができるウイルス感染症”で、痛みがあるので食事や水分が取りにくくなります。
通常は3~7日程度で症状は治ります。
生後6ヵ月から4才までの赤ちゃんや幼児が罹りやすく、全年齢の患者の90%を占めるとされ、保育園や幼稚園で毎年流行します。
大人は、主な原因となるウイルスの感染を既に経験していることも多いため、発症率はあまり多くありません。
だだし、ウイルスの型自体は10種類以上あるので、大人は感染しない訳ではなく、大人でも未経験のウイルスの型であれば、感染します。
関連記事1 =>手足口病は大人も感染する?仕事は休むべき?症状画像と治療方法
関連記事2 =>手足口病が妊婦に感染!妊娠初期、後期、臨月での妊婦への影響まとめ
3. 手足口病の原因・症状・合併症
飛沫感染に注意!手足口病の原因と潜伏期間
手足口病の原因は、コクサッキーA16(CA16),CA6,CA10,エンテロウィルス71(EV71)などエンテロウイルスに属するウイルスとなり、10種類以上の型があります。
そのため、一度発症(不顕性感染を含む)することで、起因ウイルスに対しては免疫はできますが、他のウイルス型によって、何度も手足口病を発症する可能性がある感染症です。
感染経路は、「飛沫感染」(唾液が飛ぶなど)が主ですが、便中に排出されたウイルスが手などによって口や鼻の中に運ばれる「経口感染」、水疱内容物からの「接触感染」などもあります。
潜伏期間は3〜5日くらいとなりますが、ウイルスは喉から1~2週間、便からは3~5週間も排泄されます。
好発年齢が乳幼児となるため、赤ちゃんのオムツの扱いやトイレ後の手洗いはもちろん、感染症予防に「うがい手洗い」がとても大切です。
手足口病の症状-①口の中の水疱②手足の発疹③発熱
①口の中の水疱・小潰瘍(アフタ)
舌や歯肉、唇に小さな水疱(水を持ったブツブツ)ができます。
この水疱はすぐに破れて、痛みます。
赤ちゃんや幼児はなかなか囗の中を見せてくれないので、熱もないのに食べるのを嫌がり、よだれが増えたりして、口の中の発疹があると気づくこともあります。
②手足の発疹
手(指の問、手のひらなど)、足(指の間、足の裏など)に、水疱や赤みを持った米粒のようなブツブツ(丘疹)ができます。
皮膚にできた水疱は破れて潰蕩になることはなく、痛みもありません。
ひざ・ひじ、おしりに発疹ができることもあります。
(引用)大人の手足口病|整形外科医★リエチ★のEnjoy Cycling & Running
こちらのページでは、手の発疹だけでなく、爪も剥がれてきてしまったとのことで、
手足口病での爪画像(写真)もご紹介されています。
◆手足口病のかゆみのピークや止め方・薬については、次の記事で詳しく説明しています。
手足口病によるかゆみはいつまで続く!?薬は利用しても良いの?
③発熱
初期症状として、約1/3の患者さんに軽い発熱が発疹とほぼ同時に出ることもありますが、高熱や長く続く熱はなく、38度以上の熱で苦しむことは、まずありません。
手足口病の合併症-髄膜炎・脳炎など
特にウイルスの型がエンテロウイルス71型(EV71)の場合、まれに髄膜炎や脳炎といった中枢神経系合併症を起こすことが他のウイルス型よりも多くなっています。
エンテロウイルス71型が原因で、手足口病を発病した場合には、注意深く観察することが必要です。
2日以上高熱が続いている、頭痛、けいれん、嘔吐、顔色が悪くぐったりしているなどの症状があるときは、早めに病院を受診しましょう。
(参考)手足口病|日本臨床皮膚科医会
こちらのページでは、手足口病の症状・原因・感染経路など詳しく紹介されています。
4.手足口病の治療とホームケア
手足口病の治療は、何もせずに治るケースがほとんど
原因が細菌ではないので、手足口病の治療に抗生物質は、効果ありません。
かゆみがある時には、抗ヒスタミン薬の塗り薬を塗るなど、症状に応じた対症療法が取られますが、特に治療をしなくても、1週間ほどで治ります。
関連記事 =>手足口病の感染力はいつまで続く?感染力の強い時期を知って対策しよう!
手足口病のホームケア①食事のケア
辛いものや酸っぱいものなど、刺激のあるものはすべて痛みを感じます。
やわらかく、刺激の少ない食べ物を食べましょう。
手足口病のホームケア②脱水予防
囗の中が痛いので、あまり飲みたがらないかもしれませんが、脱水にならないよう、こまめな水分補給を心がけます。
囗の中を清潔に保つためにも、甘い飲み物より麦茶や湯冷ましがいいでしょう。
口の中をゆすげる年齢の子どもなら、食事のあとは白湯で囗をすすぐなどさせるといいでしょう。
手足口病のホームケア③お風呂
熱がなく、元気なら入浴OKです。
手足など、発疹ができている皮膚を清潔に保ちたいので、シャワーで軽く洗い流してあげましょう。
ただし、しばらくの間うんちの中にウイルスが排出されているので、下痢がひどい時などは、家族に移ってしまう可能性があるので、控えたほうがよいでしょう。
手足口病のホームケア④登園・登校の目安
学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていません。
症状が軽くなり、本人が大丈夫そうであれば、登園・登校・出社OKです。
ただし、少しの間はウイルスが排出されるので、うがい手洗い・咳エチケットなど気を付けたいですね!
(参考)手足口病とは|国立感染症研究所
こちらのページでは、手足口病の疫学、原因、臨床状況、治療など写真とともに、詳しく説明されています。
(参考)子どもの病気 手足口病|上田小児科
こちらのページでは、手足口病の症状・原因・家庭で気を付けたいことなど、分かりやすく説明されています。
関連記事 => 子どもが手足口病!明日の保育園はどうする?登園やプールの時期を知り、保育園でのトラブルを防ぐ!
5.みんなの体験談-手足口病
ケース1:親子で手足口病
夏風邪の印象がある手足口病ですが、我が家では10月に1歳の娘、3歳の息子、母親の順にうつりました。
娘が39度の熱と手のひらと足にプクプクとした発疹が出て、痒がってなかなか治らなかったので、
かかりつけの小児科を受診しました。
先生は、時期的に手足口病ではないのではと、痒み止めの軟膏を処方してもらい、様子をみることにしました。3日後に、今度は息子が38度~39度の発熱、手足に水泡のような発疹、口の中にも口内炎のようなものが出て、
夜中に何度も起きては、痒い嫌だと言って泣いて暴れました。
これはやはり手足口病ではないかと思い、再度かかりつけの小児科を受診しました。
しかし、水泡と風邪とは無関係かもしれないとのことで、痒み止めの軟膏と解熱剤を処方されました。
ケース2:2歳児の手足口病
夏でした。保育園に通っていましたが、毎日プールや、水遊びをさせてくれていました。
元気な二歳児の男の子。沢山遊んでいましたが、突然発熱。
39度あるのに、家でも元気な様子。病院行っても、あら元気ね…高熱なのに…と言われて。先生からは、熱が高くても元気で食べれるなら、解熱剤の座薬は使わなくていいよといわれ、ムコダインとアスベリンを貰って帰宅。
帰ってからも、すこぶる元気でしたが、食欲低下…そして、高熱がやはり続いて、病院に翌日行くと、口の中が荒れてるね…と話していて、なるべく酸味のないものを食べてねと。
確かに元気で、牛乳はごくごく飲むけど、好物のみかんゼリーもブドウゼリーも受け付けない。そして夜になって、着替えをさせていたら、足にボツボツ発見。
あら、もしや手足口病では?と。そういえば、先生も、湿疹が出ないか観察していてねと話していたなと思いネットで調べたり、手足口病の画像を見たりして比べておりました。翌日、また通院して、先生に診て貰ったら、手足口病ですねとのこと。
ケース3:3歳児の手足口病
息子が3歳のとき、手足口病になりました。
最初は喉の痛みを訴え、「風邪っぽいかな?」と思っていたらみるみる熱が上がっていき38℃を超える発熱がありました。その日は土曜日の夜で行きつけの小児科はすでに閉まっている時間ですし、過去に高熱のときに処方されて、残りを保管していた解熱剤を飲ませて様子をみることにしました。
翌日は日曜日でしたので、やはり小児科はお休みでした。
日曜日の夜には発熱も治まったようで熱が平熱まで下がりましたので、ほっとしていましたが、翌朝には手のひらや、足の裏、膝の裏など皮膚の柔らかいところに多数のブツブツができ、痛がっていました。月曜日、小児科を受診しましたところ、手足口病と診断されました。
手足口病はセキやくしゃみなどで感染する飛沫感染と、接触感染もするとのことで、兄弟がいますので感染に注意しなければなりませんでした。(引用元):手足口病で食欲減退
ケース4:大人の手足口病
子供が手足口病になって一週間くらいしてから
「なんだかだるいなぁ」
「なんだか喉が痛いなぁ~」と思っていたら口の中に口内炎ができ始め、みるみるうちに増え始めて、
飲み物を飲み込むのも痛い程になりました。
今思うとこの時に熱も出ていたのかもしれません。
あまりに口の中に違和感があったので口の中をライトで照らして見てみると
白い口内炎の様な発疹がビッシリ!!
まさかと思い、ネットで調べてみると稀に大人も感染と書いてあり症状もそっくりだったので手足口病だとわかりました。