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日中の強い眠気は薬でコントロール!ナルコレプシーの検査・診断・治療法

Checking daily health conditions.

脳神経の異常により日中の居眠り、脱力発作(カタプレキシー)、睡眠中の金縛りや幻覚といった深刻なトラブルが現れる「ナルコレプシー」。

睡眠は、私たちの生命活動の維持に欠かせないもので、普段、私たちは会社や学校といった社会生活に合わせて自由に睡眠のリズムを調整していますが、ナルコレプシーの患者さんは、その睡眠リズムが自分でコントロール出来なくなってしまいます。

そのため社会規範に合わせた生活を送ることが難しく、居眠りによる仕事のミスや重大な事故など、社会的な不適応を起こす可能性も高まる上に、本来、リラックスするための睡眠時に熟睡できないことは、患者さんにとって心身ともに大きなストレスになります。

ナルコレプシーは長く付き合っていかなければならない病気のため、生活への影響を減らすためにも適切な治療を行うことが必要です。

今回は、病院で行われるナルコレプシーの検査や診断方法、治療法などについて説明したいと思います。

 1.専門医の治療を受けることが回復の第一歩!早期の受診を。

ナルコレプシーの患者さんの中には、「中学生から悩んでいたけれど20代になってやっと受診した」というように、受診するまでに何年もかかるケースが多く見られます。

これは、風邪やケガなどに比べ、その症状が複雑であり、専門が精神科神経内科睡眠障害専門外来といった馴染みの少ない診療科で受診をためらってしまうのが大きな理由だと考えられます。

しかし、治療をせずに放置するということは、その間ずっと辛い症状を我慢し続けなければならず、社会生活の不適応を起こす可能性も増えてしまうということです。

また、症状が長期に渡り、居眠りによる失敗などが続くことで劣等感を感じるようになったり、自己主張が少なく、諦めがちになるなど性格形成にも影響を及ぼすこともあるため(ナルコレプトイド性格変化)、異常を感じた時には早めに専門医を受診することが重要になります。

まずは専門医による問診から。睡眠日誌は診断に有効な資料に!

初診ではまず医師の問診があります。

発症時期や、症状の程度、普段の睡眠パターンなどの質問を行う他、「エップワース眠気尺度(ESS)」と言う簡易的なテストでナルコレプシーの兆候の有無を調べます。

患者さんがお子さんの場合は、自分の言葉で伝えるのが難しいこともあるので、ご家族が普段からお子さんの状態をしっかり観察し、医師に正確に伝えられるようにしておきましょう。

睡眠パターンの確認には、毎日の起床時間と就寝時間などの睡眠状態を記録する「睡眠日誌」が役立ちます。

2週間(できれば4週間)記録することで、患者さんの睡眠リズムやパターンを知ることができ、医師が診断するための重要な資料になるため、受診前には忘れずに記録するようにしましょう。

2.睡眠状態をチェック!ナルコレプシーの検査から確定診断まで。

ナルコレプシー検査はなぜ必要なの?

日本睡眠学会が推奨するナルコレプシーの判断基準、「睡眠障害国際分類第2版(The International Classification of Sleep Disorders, Second Edition:ICSD-Ⅱ)」では、「最低3ヶ月以上継続する過度の眠気」があり、ナルコレプシーが疑われる場合には、睡眠状態を確認する検査を積極的に行うことを薦めています。

ナルコレプシーの中には、特徴的な症状である「カタプレキシー」が見られないタイプがあったり、普段、睡眠トラブルのない人であっても金縛りや幻覚を見るといった現象が起こる可能性があるためです。

また、ナルコレプシー以外にも「日中の強い眠気症状を伴う病気」はたくさんあり、問診だけでは診断がつかないため、正確に見分けるためにも睡眠状態を調べる検査を行う必要があるのです。

ナルコレプシーと似た症状の疾患にはどんなものがある?

同じような過眠の症状に見えても、病気によって起こるものや病気の治療薬の影響によるものなど、原因は様々です。ナルコレプシーと間違いやすい主な原因には以下のようなものがあります。

①行動誘発性睡眠不足症候群

行動誘発性睡眠不足症候群は、日中に眠気を催す原因の中で最も多いもので、「睡眠時間が不足し、慢性的な眠気を感じる」状態のことです。

休日などに睡眠を十分とった時には眠気症状が出なくなります。

寝不足解消のためには、60歳未満の成人は週平均47~49時間程度の睡眠を確保するように心がけましょう。

②突発性過眠症

夜しっかり寝ているにもかかわらず、日中強い眠気を感じ、居眠りをしてしまうという過眠症。

ナルコレプシーと違い、昼寝をしてもスッキリすることはなく、カタプレキシーなどの症状は起こりません。

③薬剤性過眠症

睡眠導入剤、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗ヒスタミン薬など、治療薬のなかには眠気を催すものがたくさんあります。

他の病気の治療のため処方された薬が原因で、慢性的な眠気を感じるのが薬剤性過眠症です。

⓸概日リズム障害

体内時計の乱れにより、睡眠時間がずれて行く概日リズム障害も日中の眠気を引き起こします。

睡眠時間が徐々に後退していく「睡眠相後退障害(すいみんそうこうたいしょうがい)」は若者に多く、反対に早朝から目が覚め、夕方以降の眠気に悩まされる「睡眠相前進障害(すいみんそうぜんしんしょうがい)」は高齢者に多く見られます。

入眠と覚醒の時刻が毎日約一時間ずつ遅れていく「非24時間睡眠覚醒障害」と言われるタイプもあります。

⑤睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:略してSAS)

中高年に多いSASは、睡眠中に時々20~30秒程度、呼吸が弱くなったり、停止したりする病気です。

激しい「いびき」で浅い眠りになるため、睡眠の質が悪く、日中に強い眠気を感じることがあります。

⑥周期性四肢運動障害(Periodic Limb Movement:略してPLM)

睡眠中に、突然、足がピクッとしたり、無意識に蹴るような運動を行う症状が起こる障害です。

症状が起こり、夜中に目が覚めて熟睡できないなど、日中に眠気を感じることがあります。

体内の鉄不足が原因で貧血気味の中年女性に多く見られる症状です。

ナルコレプシーの代表的な検査「睡眠ポリグラフ」「反復睡眠潜時検査」

ナルコレプシーの診断で行われる、代表的な検査は以下の2種類があります。

①終夜睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography:略してPSG)

センサーや電極を頭部、耳、胸、足など全身に付けた状態で一晩眠り(6時間以上)、睡眠中の脳波や眼の動き、呼吸などをチェックする検査です。

電極を頭部に付けて測定した脳波で熟睡度レム睡眠、ノンレム睡眠の状態や回数を記録します。

正常の睡眠は、眠りにつくと、まずノンレム睡眠が現れ、眠りが深まる頃にレム睡眠に移行していきますが、ナルコレプシーの場合は、ノンレム睡眠が現れることなく、いきなりレム睡眠に入り、その後も不規則にレム睡眠を頻発するという特徴が見られます。

≪費用≫健康保険適用。3割で20,000~30,000円程度です。(病院によって異なる)

認定NPO法人 日本ナルコレプシー協会 ナルコレプシーQ&A  

②反復睡眠潜時検査(Multiple Sleep Latency Test:略してMSLT)

日中の眠気の強さを測定する検査です。

終夜睡眠ポリグラフ検査を受けた後、検査終了の1.5~3時間後に開始します。

一回20分のポリグラフ検査を2時間おきに5回行い、入眠潜時(睡眠状態に入るまでの時間)や入眠後15分以内に現れたレム睡眠(Sleep Onset REM Period:略してSOREMP)の回数を調べます。

入眠潜時が8分以下でSOREMPが2回以上ある場合、ナルコレプシーと診断されます。

≪費用≫2008年4月保険適用。3割負担で20,000円程度です。(病院によって異なる)

状況により行う補助的な検査「髄液オレキシン計測」「HLA検査」

上記でご説明した、PSGやMSLTの検査以外にも、医師が確定診断に必要と判断した場合、さらに以下のような検査を行うことがあります。

①髄液オレキシン計測

ナルコレプシーの患者さんは、脳の視床下部から分泌されるオレキシンというたんぱく質の濃度が低いという特徴があることから、腰に針を刺して髄液を採取する腰椎穿刺(ようついせんし)を行い、髄液内のオレキシン濃度を調べる検査です。

検査結果のオレキシン濃度が正常値よりも低い時はナルコレプシーの可能性が高くなりますが、中には正常値でもナルコレプシーである場合も確認されており、この検査1つだけではナルコレプシーの確定診断になりません。

≪費用≫保険適用外の為、自費。費用は病院によって異なる。

②HLA遺伝子検査

日本人の「カタプレキシー症状があるナルコレプシー」の患者さんのほとんどが「DR2/DQB1*0602」というHLA(ヒト白血球組織適合抗原)が陽性であることが分かっているため、採血をして患者さんの血液から遺伝子を特定する検査です。

≪費用≫保険適用外の為、自費となり、費用は病院によって異なる(例)20,000円程度

(補足)HLAは白血球の血液型として発見されましたが、実際には白血球だけでなくほとんどの体の細胞や体液にあり、免疫にかかわる重要な分子です。

PSGを始めとするこれらの睡眠検査は、日本睡眠学会に認定されたA型認定施設(睡眠障害全般を扱う病院)で受けることが出来ますが、まだ全体数が少ないのが現状です。

日本睡眠学会 認定医療機関
※こちらのページでは睡眠検査を行うことができるA型認定病院が確認できます。

【体験談】中学生から続く異常な眠気。20代半ばに睡眠障害専門外来で受けた検査でナルコレプシーが判明。

二十代半ばになってから、受診していた医療機関で睡眠障害について相談しました。
すると、「ナルコレプシーかもしれない」という話になり、専門医のいる睡眠外来を受診することを勧められました。
それから、睡眠外来の受診予約をして診察を受けると、やはりナルコレプシーの可能性が高いということで、宿泊検査をすることになりました。

検査の内容としては、院内のベッドで計測器を着けながら眠り、一定時間ごとに眠っている途中に夢を見たかどうかをチェックする形でした。
検査料は一泊二日で二万五千円ぐらいかかりました。
それからしばらくして検査結果が出て、ナルコレプシーの診断がつきました。

(引用)日中の強い眠気を伴うナルコレプシー。服薬である程度は改善。

上記の体験談の方も、「ナルコレプシーの疑いあり」という医師の所見の元、終夜ポリグラフ検査を受け、ナルコレプシーと診断されました。

ナルコレプシーの特徴的な症状である睡眠発作やカタプレキシーを受診時に医師が確認するのは難しいため、これらの検査の客観的なデータが診断の重要なポイントになってくるのです。

(参考)ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン項目
(参考)睡眠総合ケアクリニック代々木 睡眠障害について
※日本睡眠医療の名医の一人である井上雄一先生が理事長を務める睡眠障害専門クリニックのサイトです。
(参考)公益財団法人HLA研究所 HLA Laboratory  
※こちらのページではヒト白血球組織適合抗原(HLA)の詳しい情報を見ることが出来ます。

3.症状を抑える「薬物療法」で生活をコントロール。

ナルコレプシーの治療は主に薬で辛い症状を抑える「薬物療法」と、悪い生活習慣を見直して症状を軽減する「生活指導」の2本立てで行われます。

お薬と生活改善の両方を並行して行うことで相乗効果を高め、症状をうまくコントロールするように働きかけていきます。

ナルコレプシーの「薬物療法」とは?

現在、ナルコレプシー自体を根本から治す薬はなく、薬物療法は「生活をコントロールすること」を目的に、それぞれの症状を緩和させる「対症療法」を行います。

それぞれの症状ごとに対応するお薬は、大きく分けて以下のような3種類の薬に分けられています。

①日中の眠気症状を抑える「精神賦活剤(せいしんふかつざい)」

「中枢神経刺激薬」とも言われ、脳神経を覚醒し、はっきりと目覚めさせる作用があるお薬です。

モディオダール(成分:モダフィニル)、リタリン(成分:メチルフェニデート)、ベタナミン(成分:ぺモリン)の3種類があり、それぞれ健康保険が適用になります。

これらのお薬の強い覚醒作用は、遅い時間に服用すると夜の睡眠が妨げられることがあるので、夕方以降に服用してはいけません。

モディオダールは、日本国内では2007年に認可された比較的新しい薬ですが、世界各国で使用されている実績があります。

リタリンやベタナミンよりも依存度が低いため、ナルコレプシーと診断された場合、ガイドラインではまずモディオダールから使用することを薦めています。

リタリンは、かつて「うつ病」の治療にも使用されていた経緯があり、社会問題になっている薬物依存の原因薬物の1つでもあるため、モディオダールでは効果がない時や、副作用で他のお薬が使えない場合などに限定して使用し、やむを得ず使用する際も、休薬日を設けるなどの工夫が必要です。

リタリンの処方に際しては、MSLTなどの検査を行ってナルコレプシーを特定する必要があること、「リタリン登録医」という認定された医師のみが行うことなど、管理基準が定められています。

ベタナミンは、副作用で肝臓の機能に影響が出ることがあるので、継続して使用する時は定期的に血液検査を行い、常に状態をチェックする必要があります。

(図)過眠症状を抑える薬 Calooマガジン編集部

※図はクリックすると拡大されます。

②レム睡眠関連症状の緩和する「抗うつ剤」

うつ病の治療に使われる「抗うつ剤」ですが、レム睡眠を強力に抑制するという作用も持っています。

そのため、レム睡眠が頻発することで起こる「カタプレキシー」「金縛り」「入眠時幻覚」などのレム睡眠関連症状が見られる患者さんには、少量の抗うつ剤が処方されることがあります。

残念ながら、ナルコレプシー治療のための抗うつ剤の使用は、健康保険が適用になっておらず、ガイドラインにも薬の選択基準は定められていないため、医師の判断で、患者さんの年齢や身体状態に適したお薬が処方されます。

抗うつ剤の中でも古いタイプの「三環系抗うつ薬」は特に高い効果が見られますが、口の渇き便秘症状などの副作用が出やすく、耐性(体が慣れてだんだん薬が効かなくなる)もできやすいというデメリットがあります。

また、急な断薬は、レム睡眠関連症状が強まることがあるので、自己流で使用量を変えるのは禁物です。

(図)レム睡眠関連症状を抑える薬 Calooマガジン編集部

※図はクリックすると拡大されます。

③睡眠の質を上げる「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」

ナルコレプシーの場合、寝つきが悪いというよりは、夜中にたびたび目が覚めてしまう中途覚醒に悩まされ、睡眠不足に陥ってしまうことがあります。

睡眠の分断を減らして睡眠の質を上げるためには、不眠症の治療に使われる「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬」が処方されます。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中には、催眠効果の短いものから長いものまで多数ありますが、主に中途覚醒に効果的な短時間作用(6~10時間程度)タイプ中間時間作用型(12~24時間程度)の薬が処方されます。

どちらのタイプも耐性依存性(薬がないといられなくなる)のある薬の為、使用には注意が必要です。

(図)睡眠の質を上げる薬 Calooマガジン編集部

※図はクリックすると拡大されます。

不眠症のお薬については以下の記事で詳しく説明しています。
不眠症の市販薬が効かない?知っておきたい処方薬との違い、薬の種類 

薬の使用は最小限に。医師の指示を守れば長期服用もできる!

耐性や依存性の問題もあり、薬は「日中覚醒させておく」必要最低限の量に抑える必要がありますが、医師の指示を守って適切な使用をしていれば、長期間使用しても問題ありません。

患者さんの中には、飲み始めた頃を中心に頭痛胃腸症状などの副作用に悩まされたり、効果がでるまでに時間がかかる場合もあります。

自己判断で、勝手に使用を止めたり、量を増やしたりすると、せっかくの薬の効果が得られなかったり、症状がさらに悪化することもあるため、お薬について何か気になる事がある時は早めに主治医の先生に相談するようにしましょう。

(参考)ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン項目
(参考)おくすり110番 
※病院で処方されるさまざまなお薬についての効能や副作用などについて詳しく紹介されています。
(参考)せせらぎメンタルクリニック 
※病院で処方される抗うつ剤や睡眠薬についての詳しい情報を見ることが出来ます。

4.計画的な昼寝も効果的!薬物療法と並行して「生活習慣」を改善。

生活を見直せばナルコレプシー症状は軽減する!

せっかくお薬を飲んでいても、乱れた生活習慣のままでは回復は期待できません。

生活を見直し、規則正しい生活をすることは、お薬の効果を高めることが出来るため、病院では薬物療法と並行して、患者さんへの「生活指導」も行います。

薬に頼らず、上手くナルコレプシーと付き合っていくことが出来るようになれば、いずれは薬の量を減らしたり、やめることも可能になります。

患者さんご自身が生活の上で、以下のようなことに気を付けるだけでも症状はコントロールしやすくなります。

①睡眠習慣の見直し

過眠症の患者さんの中には、夜型で遅くまで起きていたり、睡眠時間がバラバラなど、不規則な生活を続けている方も少なくありません。

昼間の眠気が強いからと、無理に夜間仕事をしたりすることは、さらに睡眠リズムの乱れを助長してしまうのでやめましょう。

睡眠不足や疲労は、発作の頻度を高め、薬によるコントロールも難しくなるので、睡眠時間を減らそうなどと考えず、特に夜間の睡眠はしっかりとるように心がけましょう。

また、遅い時間の飲食は控え、食事は決まった時間に摂る、適度な運動をするなど、生活全体のリズムを立て直すことも大切です。

②計画的な昼寝

ガイドラインでは、日中は可能であれば2回程度、数時間おきに計画的に昼寝をすることを薦めています。

ナルコレプシーは「ずっと起きていられない病気」なので、仕事や勉強の合間、お昼休みなどを有効に使い、短い仮眠をはさむだけでも、ある程度、眠気を抑えることが可能です。

他の人に合わせて無理して起きていようとせず、病気の特性に合わせて早め早めに休憩をとることで居眠りをコントロールしましょう。

③適量のカフェイン摂取

眠気が起きる時間に合わせて、コーヒーや紅茶、ココアなどの神経覚醒作用のあるカフェインを摂るのも効果的です。

カフェインの覚醒効果は緩やかに3~4時間程度続きます。

しかし、飲みすぎると夜眠れなくなったり、不安焦燥感胃腸症状などが起こり逆効果になってしまいますので、飲む量や時間には十分注意しましょう。

(参考)ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン項目

「車の運転」「仕事」「喫煙」ナルコレプシー患者さんが気を付けたい3つのこと。

ナルコレプシーの睡眠発作やカタプレキシーなどの症状が強く出ている時は、生活への影響が大きくなります。

状況によっては大きな事故につながったり、命に関わることもあるので、特に以下のようなことに気を付けて生活するようにしましょう。

①車の運転

運転中に睡眠発作が起きると、ご自身はもちろん、同乗者の方や、たまたま居合わせた歩行者の方などを巻き込んだ大事故につながりかねません。

道路交通法では「運転に支障が及ぶ可能性のある重度の眠気がある時は、治療によって改善するまで免許は保留または停止」と定められています。

運転をする時は、必ず眠気を抑える精神賦活剤を服用して眠気を抑え、症状が強い時は車の運転を控える勇気を持つことも大切です。

②仕事の選択

ナルコレプシーだからと言って出来ないということはありませんが、仕事中の「居眠り」が頻発するとミスや事故を起こすリスクを高めてしまいます。

高所作業や、危険な機械を扱う仕事ドライバーなどは、万一発作が起こると命に関わる場合もあるので避けるようにしましょう。

また、シフト制や夜勤のある仕事は生活が不規則になり症状が悪化することがあるので、なるべく規則正しい生活を続けられる仕事が良いでしょう。

座ったままのデスクワークは眠気が起こりやすくなるため、適度に身体を動かせる仕事もおすすめです。

その他、日中、短時間の昼寝を挟んだりできるようなフリーの仕事自営業などを選ぶなど、なるべく病気の影響を減らして、社会に適応できるように工夫するようにしましょう。

③喫煙

カフェインと同じく、タバコのニコチンにも神経を覚醒させる効果があるため、成人患者さんの中には眠気対策として喫煙をされる方も多いようです。

2008年、アメリカのボルチモアで行われた睡眠学会の調査報告では、調査に参加したナルコレプシーの喫煙者全員がニコチンは「眠気の軽減に効果的」と感じていました。

しかしその反面、喫煙中に居眠りが起こり、やけどや衣服や家具などを焦がしてしまったという経験を持つ人も多く見られました。

ナルコレプシーの患者さんの場合、禁煙すると眠気症状がさらに強まる場合ケースも見られ、やめるのは普通の人以上に難しくなりますが、室内での喫煙は思わぬ大火災につながることもあります。

喫煙を続ける場合も、「ベッドサイドでは吸わない」「誰かと一緒の時のみ喫煙」など、ルールを決め、万が一に備えて対策するようにしましょう。

(参考)過眠症ランド
※こちらのページにはナルコレプシーと喫煙の関係について興味深い調査結果を紹介しています。

5.加齢とともに症状が軽くなることも!根気強い治療がカギ。

ナルコレプシー特有の症状などに関しては、まだまだ周囲の認知が進んでおらず、理解が得られないことも少なくありません。

実際、患者さんの中には、「怠け者や不真面目などと言うレッテルを貼られて、思春期は本当に辛かった」という方もいらっしゃいました。

長期間の継続が必要なナルコレプシーの治療中には、将来が不安になったり、薬の副作用などで治療を続けることが辛くなる事もあるかもしれません。

しかし、患者さんの中には加齢とともに、症状が改善し、お薬を飲まなくても大丈夫なくらいに回復したという方がたくさんいらっしゃいます。

日本睡眠学会が作成した「クリニカルクエスチョン(Q&A)」の中でも「加齢に伴い症状が軽くなる例がある」と記述されています。

慢性疾患であるナルコレプシーは、完治という状態にはならないまでも、うまく付き合っていける程度に回復する可能性は十分あるのです。

しかし、これは1年、2年といった期間ではなく、10年後、20年後といった長期スパンでの話になります。

それまで、希望を失わず治療を続けていくためにも、辛い時、困った時に支えになってもらえる「信頼できる先生」を見つけることが大切です。

そして患者さん自身が「いつかきっと必ず良くなる!」と信じて、根気強く治療を続けていくことこそが、何よりも回復につながっていくという事を忘れないようにしましょう。

(参考)日本睡眠学会 ナルコレプシークリニカルクエスチョン
(参考)認定NPO法人 日本ナルコレプシー協会 ナルコレプシーQ&A

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