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スギ花粉症「舌下免疫療法」効果・副作用・費用・開始時期と2018年花粉飛散予測

日中暖かな日が増えて、春の訪れを少しずつ感じてくると、花粉シーズンもそろそろスタートです。

厚生労働省によれば、国民の25%が花粉症であり、そのうち約70%はスギ花粉症であると推測されており、今や「花粉症」は国民病の一つとして認知される程になりました。

花粉症はセルフケアによる対策も大事ですが、それだけではつらい症状が抑えられず、目薬や内服薬といった症状を抑えるための治療(対症療法)を行っている人も多いことでしょう。

一般的に「スギ花粉症は、自然には治らない」とされていますが、近年、原因そのものを取り除いて治すための治療(根治療法)として、「アレルゲン免疫療法」が行われています。

今回は、2018年スギ花粉飛散予測と共に、2014年から保険適用となったスギ花粉症の根治療法の一つ「舌下(ぜっか)免疫療法」の特徴や効果と費用・治療開始時期・副作用、治療薬(シダトレン)についてご紹介します。
また、幅広い年齢層で使用できるようになった錠剤タイプの新しい治療薬(シダキュア)についてもご紹介します。

1.2018年スギ花粉飛散量&ピーク予測-全国的に去年並みか多い?

2月に入り、関東でポツポツと飛び始めてきたスギ花粉。

スギ花粉の飛散量は、前年のスギ雄花の着花量に影響されます。

2017年12月に発表された環境省による「平成29年度スギ雄花花芽調査」では、スギ雄花の着花量は全国的に昨年同時期と比べ、昨年並みか多い状況でした。
特に、千葉県・東京都・神奈川県では、昨年の2倍超の着花量となっていました。
また、今年度のスギ着花量は、地方ごとというよりも”都府県ごとにばらつき”があると報告されています。

環境省のデータをまとめると……

■2018年花粉飛散量予測

■2018年花粉飛散ピーク時期予測

スギ花粉のピーク時期予測は、全国的に例年通りとなっています。

西日本では3月上旬~中旬まで、東日本では3月中旬~下旬とされています。

ただし、関東地方は3月上旬~4月上旬と若干長くなるとする見方もあり、注意が必要です。

環境省のデータ以外にも、気象調査会社各社においては、気象データや独自データなど踏まえ予測しています。

こうした花粉情報を活用し、これからの花粉症対策セルフケアに生かしたいですね。

(参考)平成29年度スギ雄花花芽調査の結果について|環境省
こちらのページでは、都府県別のスギ雄花着花量が公表されています。 (北海道は対象外)
(参考)日本気象協会 |2018年 春の花粉飛散予測(第4報)
(参考)ウェザーニューズ|スギ花粉飛散ピーク

2.スギ花粉症の「舌下免疫療法」特徴・効果・副作用・体験談

アレルゲン免疫療法(別名:減感作療法)とは、アレルギーの原因となる物質(=アレルゲン:花粉症の場合、スギ花粉)を少量ずつ体内に取り入れ、時間をかけて身体をアレルゲンに慣らす治療法です。
アレルゲンに対する免疫反応自体を改善するので、アレルギー症状を完治させる、長期的に症状を起こらなくすることができる可能性があります。

花粉症に対するアレルゲン免疫療法は、スギ花粉のみ適応となっています。

これまでスギ花粉症に対する免疫療法は、”皮下注射”によってアレルゲン(スギ花粉)を体内に取り入れる「皮下免疫療法」だけでしたが、2014年10月より新たに舌の裏側に薬を垂らして飲み込む「舌下免疫療法」が登場しました。

■スギ花粉の「皮下免疫療法」効果や治療期間・費用などについては、次の記事で詳しく説明しています。
体質改善で花粉症やアレルギー性鼻炎を治療。「皮下免疫療法」の効果・期間・費用

スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」の特徴

従来からあった皮下免疫療法でデメリットとなっていた点を改善する形で、2014年に「舌下免疫療法」は登場しました。

  1. 痛みが無い
    →注射による接種ではありません。スギ花粉エキス(治療薬:シダトレン)を舌の下に一定時間置いておき、その後飲めばよいので、痛みが苦手な人も安心して行えます。
  2. 通院回数が少ない
    →初回投与のみ、病院で行う必要がありますが、2回目以降は基本的に自宅で服用できます。
    その後、月1回程度の定期受診は必要です。
  3. 重大な副作用が起こる確率が少ない
    →軽い副作用(口の中がかゆくなる、腫れる等)が出ることはありますが、アナフィラキシーショック(呼吸困難など)といった重大な副作用は極めて少ないと報告されています。

2018年2月現在、スギ花粉症の「舌下免疫療法」で使われている薬は、液体「シダトレン」鳥居薬品)のみとなっています。

■治療薬「シダトレン」の特徴・効能

保険適用が開始された2014年10月から1年間は、新薬のため2週間分の処方しか認められていませんでしたが、2018年現在では2~4週間の長期処方が可能となっています。

(参考)シダトレン|おくすり110番

継続は力なり!?舌下免疫療法による効果

東京都保健局による臨床研究では、スギ花粉のアレルギー症状が治った・緩和したとする人は約70%であったと報告されています。

一方で全く治療が効かない(症状があり、対症療法での薬の量が減らない)人も約20%いるとしています。

また、治療終了後4~5年の追跡調査において、3年以上治療をしていた人の80~90%が効果の持続を感じていました。

(参考)花粉症一口メモ 平成30年版|東京都保健局
こちらのページでは、スギ花粉症の舌下免疫療法に対する特徴や有効性について、説明されています。(P.18)
(参考)スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き|一般社団法人 日本アレルギー学会
こちらのページでは、スギ花粉症の免疫療法の概要・安全性などまとめた手引きがダウンロードできます。

【体験談】舌下免疫療法(シダトレン)開始から4ヶ月で花粉症の症状が軽減

シダトレンという1日ごとにエキスがパックになっているものを、1日1回舌の下にのせるだけ。
味はほんのり甘め。飲みにくさなどは特にありません。
この薬は、冷蔵庫に保存しなければなりません。
治療方法は上記のようにとても簡単です。

気になる治療の効果ですが、去年の花粉シーズンは例年より断然ましでした。
まだ治療して3、4ヶ月でしたが効果が出てたので驚きでした。
通常のシーズンなら、薬を飲み続けますが、昨年はこのシダトレンだけで大丈夫でした。

通常この治療は2~3年は、続けなければならないようです。
ちなみに治療費は一回1,000円ほどなので、それほど負担にはならないです。

(引用元)話題のスギ花粉症の治療、舌下免疫療法をレポートします。 (写真あり)

スギ花粉症に対する舌下免疫療法の副作用

「シダトレン」の服用によって、10~20%の頻度で下記のような副作用が現れます。

これらの副作用は、服用後30分間以内に現れ、また治療開始後2週間~1か月くらいまでは現れやすく、発生後1か月以内に消えるものがほとんどです。

自宅で服用中にこれらの副作用が現れた場合、腫れている口など様子が分かる写真を撮っておいて、速やかに医療機関に相談しましょう。

また、頻度は非常に少ないですが、アナフィラキシーショック(呼吸困難やチアノーゼ、血圧低下、全身にわたる蕁麻疹など)といった重篤な副作用が起こる可能性もゼロではありません。

アナフィラキシーショック症状が現れたら、救急車を要請するなど、すぐに医療機関を受診しましょう。

(参考)舌下免疫療法―舌下免疫療法を開始するためのポイント―|アレルギー 64(8),1136―1140,2015
こちらのページでは、日本医科大学多摩永山病院の後藤穣先生によって、副作用について解説されています。

3.スギ花粉症の「舌下免疫療法」がおすすめの人・受けられない人

毎年のスギ花粉アレルギー症状でお悩みの方、薬物治療を行ってもあまり効果が出ない方などは、一度治療を検討されてみてはいかがでしょうか?

こんな人におすすめ!スギ花粉症の「舌下免疫療法」

スギ花粉症の「舌下免疫療法」が受けられない人(適応外)

「舌下免疫療法」は、アレルギー症状を持っている人に対して、あえてアレルギーを体内に取り入れて体質を変えようとする治療法なので、人によっては一時的に症状が悪化する可能性もあります。

また、禁忌にはなっていませんが、下記の場合には慎重投与となっているので、予め医師に相談すると良いでしょう。

(参考)シダトレン 添付文書|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

4.スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」の治療期間・開始時期

アレルギー免疫療法は、花粉症の症状が軽くなる・治る可能性がある治療法として注目されていますが、いつでも気軽に始められる治療ではありません。

効果を実感するためには、根気よく続けていく必要のある治療法です。

スギ花粉症の「舌下免疫療法」治療期間

「鼻アレルギー診療ガイドライン2013」によると、効果を維持するためには最低でも2年間以上、毎日の服用が必要で、3~5年が望ましいとされています。

いずれにせよ、薬物による対症療法とは異なり、症状に対する即効性はありません。
年単位の時間をかけて、ゆっくりと体の中からスギ花粉に対するアレルギー反応が出ないようにしていきます。

花粉シーズン中はNG!スギ花粉症「舌下免疫療法」の治療開始時期

スギ花粉飛散時期(1月~5月頃)は、スギ花粉に対してより過敏となっており、安全上の問題から治療を開始することはできません。

一般的に開始時期は、6月~12月頃とされています。
※なお、病院によって開始時期が多少前後する場合がありますので、ご注意下さい。

花粉飛散時期の3ヵ月以上前より治療を開始していた方が効果的とされているため、翌春の花粉シーズンに少しでも効果を得るには、11月頃までに開始するとよいでしょう。

(参考)スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き|一般社団法人 日本アレルギー学会 (P.10~13)
こちらのページでは、スギ花粉症の免疫療法の治療期間や開始時期が記載された手引きがダウンロードできます。

5.保険適用となったスギ花粉症「舌下免疫療法」の費用

スギ花粉症の舌下免疫療法に使われている治療薬「シダトレン」は、2014年10月に保険適用となりました。

1日あたり数十円!?スギ花粉症の舌下免疫療法にかかる費用

まず、スギ花粉症の舌下免疫療法を始めるには、「間違いなくスギ花粉症である」と診断されている必要があります。

そのための血液検査(アレルギー検査)には、約5,000円かかります。
なお、過去に血液検査を行った事がある場合には、医療機関によって検査結果を持参すれば、再度行わなくてよい場合もあるので、事前に確認すると良いでしょう。

また、治療薬「シダトレン」の薬剤代は、3割負担で1日あたり約30円。
この他、診察料など合わせると、月あたり約2,000円年間約24,000円かかります。
※実際の通院回数や薬物療法との併用などを行った場合には、この限りではありません。

6.スギ花粉の「舌下免疫療法」シダトレン服用方法・注意点

「舌下免疫療法」は、基本自宅で行う治療法ですので、患者さんが主体となって治療を進めていく形となります。
また、治療期間も長くなりますので、服用方法や注意点などよく理解して、分からない点は必ず医師に確認しましょう。

舌下免疫療法「シダトレン」服用方法や注意点

初回は、必ず病院で服用します。
アレルギーの副作用が出ないか、服用後30分程度の待機が必要となります。

2回目以降は自宅で服用できますが、症状や副作用の確認のため、月1回程度の通院は必要です。

  1. 舌の下に決められた量の薬液を垂らす。
  2. 舌の下に薬液を含んだまま、約2分間じっと待つ
  3. しっかりと飲み込む
    →薬を飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食は控える

また服用の注意点として……

なお、部活・体育・自転車通学なども「激しい運動」に含まれることもあるので、学生の方は、服用時間について医師と相談しましょう。

舌下免疫療法「シダトレン」服用量

最初の2週間は増量期として、1週目は低濃度、2週目は高濃度で薬の量を徐々に増やしていきます。
3週目以降は、維持期として治療終了まで同じ量を続けていきます。

  1. 1週目:低濃度(200JAU/mlボトル)で0.2mlから1mlまで徐々に増やす
  2. 2週目:高濃度(2000JAU/mlボトル)で0.2mlから1mlまで徐々に増やす
  3. 3週目以降:高濃度(2000JAU/mlパック)で1mlを続ける

(参考)シダトレン 添付文書|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

7.子ども服用OKに!舌下免疫療法の新薬-舌下錠「シダキュア」

2017年10月、スギ花粉の舌下免疫療法で使用されている「シダトレン」から、さらに利便性を高めた治療薬が開発されました。

その名は「シダキュア」

2018年2月現在、まだ販売は行われていませんが、2018年度中の発売が期待されている新薬です。

舌下錠「シダキュア」特徴・効能

子どもの花粉症患者数が増加傾向にある中で、ついに小さなお子さんにも使用できる薬が開発されました!

※シダキュアに関する情報は、2018年2月現在の暫定的情報です。
実際、発売される薬と異なる可能性もありますので、予めご了承ください。

(参考)スギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法薬 「シダキュア®スギ花粉舌下錠」の国内製造販売承認取得について|鳥居薬品株式会社
こちらのページでは、製造販売元である鳥居薬品(株)からの「シダキュア」に関するプレスリリースが確認できます。

8.スギ花粉の舌下免疫療法を受けられる診療科目・病院

舌下免疫療法は、一般的に耳鼻咽喉科アレルギー科・内科・小児科で行われています。

しかし、スギ花粉症の舌下免疫療法は、アレルゲンを含む製剤が使われているので、安全性の観点から処方する医師は、製薬会社による講習の受講およびテストに合格し、「受講終了医師」としての登録が必要となります。

全国の約3,000院の病院で、舌下免疫療法によるスギ花粉症治療を受けることが出来ます。(2018年2月現在)
※受診の時期によって、治療を行っていない場合もあります。

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