1. うつと食べ物の関係とは?
うつとセロトニン
脳の活動に必要な神経伝達物質の多くは、アミノ酸から作られることになります。
とくに感情や本能行動に関係する伝達物質のドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどは必須アミノ酸と言われるフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンから作られます。
これらの必須アミノ酸は私たちの体内では作られず、食べ物の肉などに供給を依存しています。
従って、食べ物としてアミノ酸を摂取することができないと、脳が機能不全を起こし、うつ病につながることも考えられます。
トリプトファンと呼ばれる肉に多く含まれる物質がうつ病を防ぐのに効果的だと言われています。
トリプトファンは脳内に入ってセロトニンになり、精神を安定させ、眠らせるようにする効果があります。
では、肉を食べない菜食主義の方はうつ病になりやすいのか?とお思いになる方もいらっしゃるかと思いますが、大豆などはタンパクにすれば肉と同じくらいのトリプトファンを含んでいるため、肉以外でも代替ができるのです。
うつと血糖値・GI値
私たちの体のあらゆる働き、あらゆる細胞、組織の構成は絶え間なく食べ物の成分により維持されています。
とくに脳はエネルギーのすべてをブドウ糖に頼っており、食べ物の中のでんぷんや砂糖のような炭水化物から作られるブドウ糖がその材料となります。
従って、食べ物としてブドウ糖を摂取することができないと、脳の機能が障害されたり、異常になったりします
当然、うつ病になったりしますし、ボケを早めることにもつながります。
しかし、食後の血糖値のアップダウンがうつ症状を引き起こすという研究もあります。
血糖値を上げるものは、糖質であり、その指標がGI値=グリセミック・インデックスと呼ばれています。
先に説明したように、糖質を摂取しなければ脳の機能不全を起こすこともあるため、摂取しなければ良いという話ではないのですが、過剰な摂取は控えましょう。
2. うつを防ぐための食事・食生活〜基本になる7方針
方針1. 朝食
トリプトファンはミルク、大豆、卵などで摂取します。パン食のときは、紅茶、コーヒーに砂糖を入れて、糖分を摂取しても良いでしょう。過剰摂取を光るために、5gくらいをめどにしましょう。
方針2. 昼食
トリプトファンは焼き魚、ハムなどの軽い食肉で補給し、食後に和菓子などでブドウ糖を補給しましょう。また、果物による糖分補給はこのときにおこなうと良いでしょう。過剰摂取による血糖値のアップダウンを避けるために、和菓子1パック、果物1つなど、ご自身で決めた適量を守りましょう。
方針3. おやつ
三時ごろに空腹感が強ければ、おやつに和菓子などを食べると良いでしょう。このころの空腹は、昼のケーキに砂糖を入れたコーヒー、紅茶を追加することで調節します。
方針4. 夕食
トリプトファンは食肉により補給し、100gくらいを食べます。赤身の肉には、脂肪が少ないので、脂肪の取りすぎを心配する人には赤身が良いでしょう。トリプトファンは赤身部分のタンパクに含まれています。魚の場合には、マグロ、カツオなどの刺身、または赤身の魚肉を焼いたものがよいでしょう。
方針5. 間食
基本的に間食はしてはいけません。食事の間に空腹感が強いときには、前の食事の際に、コーヒーなどに入れる砂糖の量を増やしてみても良いです。間食をとりすぎる肥満になります。
方針6. カロリー管理
厳密にやる必要はそこまでないですが、ある程度目安どの程度摂取しているかは把握しておきましょう。
方針7. 植物成分
植物成分は野菜(レタス、白菜、キャベツなどのサラダ)により補給しましょう。また大豆製品を食事に加えることもおすすめします。大豆は肉以外でもっともトリプトファンを多く含んでいるからです。
3. そもそも食欲がない時はどうすればよい?みんなの体験談
すでにうつ病を患ってしまっていて、うつ病を予防するための食事をしようにも食欲がわかない方もいらっしゃると思います。うつ病の初期症状として身体面での異変、特に食欲不振を訴える方は非常に多いです。
21歳の頃、自分ではあまり気付いていなかったストレスから、自律神経失調症になりました。
突然の嘔吐から始まり、貧血、食欲不振、不眠、体の震えなどの症状が起こりました。
会社にも行けなくなりましたが、理解ある職場の上司に恵まれ、1か月の休職の後、会社に復帰。元気な毎日を過ごす事が出来るようになりました。
引用元:小さな命が救ってくれたうつ病。妊娠によって病を乗り越えました!
友人が先日うつ病になってしまいました。
自律神経の乱れから始まり、極度のストレスで突然と人と会話をするのも苦痛になり、他の症状としては●全身の痛み
●毎日頭痛
●笑う事ができない
●泣く事ができない
●食欲不振
●朝が怖い
●玄関から外へは怖くて出られない
●立つだけで血の気がひく
●眠れないとかなり酷い状態です。
【病気が発覚した経緯】
1.うつ病
会社から帰る途中、「ストン」と気持ちがおち、それからいわゆる
抑うつ症状が出始めました。
(食欲不振、睡眠障害、憂鬱感、興味・喜びの喪失、思考力低下)
病気の発生原因は、人に騙されたため、その後一月位かけて少しずつ異常が発生し始めました。
まずは、食欲不振が始まり、食べたいと思わなくなった事。
それから一日0食から1食食べるか食べないかの状態が始まりました。
それと、時々ではありましたが、吐き気が出始め、食べた後、もしくは食べなくても吐いてしまうことが多数ありました。
それから、食べない事が原因かわかりませんが、便秘がちになり、一週間に一度排泄があるかないかの状態が続いていきましたが、この時点ではまだ、病気だと思わなかったです。
引用元:頭痛がきっかけで発覚した成人してからの双極性障害。
うつ病が発症したのは去年の10月、うつ病治療継続し1年経ちました。
原因は職場の経営者による、、、パワハラでした。
今で物事たまに思い出しますね。
とくに冬になるたび鬱になってツライし大変であります。私がうつ病になった際の症状は、
◎常に物事を悪い方向に考える
◎死にたい手首切りたい
◎自分は生きてる価値あるのか
◎人の声聞いたら恐怖感が出る
◎身体が全身痛く起きれない。
◎食欲意欲性欲が湧かない。。
引用元:現在、うつ病を治療中。自己判断で減薬しない、根気よくを心がけよう
そもそもうつ病から食欲がわかない時には、次の項で説明するように、食事を有効活用できるライフスタイルから変えてみることを提案します。
4. 明日から食べ物・食事を有効に活用する5つの法則
食べ物を摂るということは原料を与えているにすぎません。
この原料を有効に活用できるかどうかは、あなた自身の日々の生活次第ともいえます。
本記事においては、食べ物・食事を有効にうつ病予防、治療に生かすための5つの法則をご紹介します。
法則1. 光を意識して生活する
私たちは暗いところにい続けると気分が悪くなる傾向にあります。実際、冬になり日差しが弱くなると気分が滅入り、うつ状態になるということもあります。専門的な見地からいうと、私たちの目から光が入ると、これは後頭葉の視覚野に伝えられ、ここで見たものの像が映し出されます。しかし目からの視神経は、途中で視交差上核という視床下部の核にも連結しています。この神経は、一方では脳の後ろのほうにある松果体につながり、ここでセロトニンを作らせます。夜になり暗くなると、このセロトニンからメラトニンというホルモンが作られるのです。メラトニンは免疫力を強め、睡眠をもたらし、心臓などの働きをよくする作用を持っています。従って、昼間明るいところに出て、日差しを浴びるということは夜のメラトニンの生産を高めるという点で非常に重要になります。
法則2. 呼吸法を身につける
私たちの体には交感神経と副交感神経があります。交感神経も副交感神経も自律神経と呼ばれ、自分の意思では変えられない働きをする神経という意味です。ところが、副交感神経の中で唯一自分の力で変えられるものがあります。それが呼吸なのです。ヨガで良く行われるような片鼻呼吸法(一方の鼻で息を吸って吐く間に、もう一方の鼻を押さえる。)や、太極拳などの呼吸法(体をゆっくり運動することで呼吸を深くする。)を身につけ、ゆっくりした呼吸をしましょう。そうすることで、副交感神経を刺激し、体の修復を促し、体も脳も休ませることができるのです。
法則3. 体を動かす習慣をつける
私たちの脳は運動により大きな変化をうけます。運動は脳細胞、とくに前頭葉の細胞と記憶の入り口である海馬の細胞を増やします。人は走りながら悩むことはできません。テニスをしながら悩むこともできません。ですから頭から何かの悩みがどうしても離れずうつ症状が続くときには、体を動かしてみると良いのです。
法則4. 毎日安定して睡眠をとる
私たちは何か嫌なことがあっても、良く眠るとかなり忘れることができます。眠りと脳の安定の間には関係があるのです。眠りには心を安定させ、不安を解消し、脳の活力を増すという作用があるのです。この眠りを引き起こす二は先に説明したようにセロトニンが必要となります。例えば、眠る前にホットミルクを飲むといった行為は、脳内のセロトニンを増やすためです。
法則5. 極端な考え方をやめる
うつの治療においては物事の捉え方を変えることが大事です。ウツになりやすい人の特徴として、成功と失敗の中間が存在していない白黒思考を持っていることが多いです。うつになれば、将来はもちろん生活にも希望がなくなるのですが、自分の体、脳にも傷がつきます。考えを変えて、しばらくは隠忍の時期だと思い、置かれた地位、職、環境に順応することがまず大事です。
<出典> 高田 明和著「うつにならない食生活」
1935年静岡県生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学院修了。アメリカ・ロズエルパーク記念研究所研究員、ニューヨーク州立大学大学院助教授、浜松医科大学教授を経て同大学名誉教授。医学博士。著書に「ストレスがもたらす病気のメカニズム」「脳と心の仕組み」「ウツな気分が消える本」など