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毎日の目薬が視野を守る!緑内障治療の点眼薬の種類と効果・副作用

「緑内障」は、実は中高年に多い病気の一つです。
その罹患率は「40歳以上の20人に1人」とも言われ、日本の中途失明原因の第1位を占める病気でもあります。

しかし、緑内障患者さんの多くは自覚症状がなかった人たちで、人間ドックや健康診断、コンタクトレンズを作るなど別件で眼科を受診した際に発覚することがほとんどなのです。

緑内障は、早期発見・早期治療開始をすれば、失明の危険を回避できる病気でもあります。

緑内障治療の基本となる「薬物治療」で使われる目薬(点眼薬)もさまざま開発され、今や10種類以上発売されています。

今回は、緑内障治療の目薬や内服薬・点滴薬の種類と主な効果・副作用のほか、効果的に目薬を差す方法や気になる”差す順番”について、ご紹介します。

1.緑内障「薬物治療」の目的と効果

緑内障の代表的な症状の視野障害は、「眼圧が上がることによる視神経の圧迫」が原因です。
今のところ、一度障害を受けた視神経が回復する方法は見つかっていません。

では、緑内障治療は何のために行うのでしょうか?

緑内障治療の目的とは?-「視覚の質」と「生活の質」の維持

前述した通り、緑内障は中途失明の第1位です。

その理由は、「病気に気づいていない」こと以外に、「治療の途中離脱問題」があるとされています。
緑内障治療は生涯にわたって必要となりますが、初期の緑内障は、生活の上では問題になることはほとんどないために、せっかく治療を開始しても、だんだん治療(通院)を止めてしまう人が多いのです。

しかし、忘れてはいけないのが「障害を受けた視神経は二度と改善はしない」ということ。

初期の緑内障の場合では、なかなかピンと来づらい部分もあるかもしれませんが、ひとたび視野障害が起こり進行していくと、生活の質(QOL)にも以下のような重大な影響を及ぼすのです。

  1. 乗り物の運転文字を読む・歩く・顔の認識などの能力低下
  2. 転落や転倒の危険性増加
  3. 心理的なQOL(生活の質)の低下
    →失明の可能性がある病気(緑内障)と診断されることによって、本人・家族の不安や心配が増える。
  4. 社会生活からの離脱の恐れ
    →治療の副作用・経済的負担・時間的負担などの理由が原因。

このように「目」は、重要な役割を担っています。
だからこそ、緑内障治療は「見る=視覚の質」と「生きる=生活の質」を維持するために毎日コツコツが大事なのです。

緑内障の基本治療!緑内障の「薬物療法」のメリット・デメリット

緑内障治療では、まずは薬物療法によって「眼圧を下降させること」を基本としています。

そもそも眼圧とは、房水(ぼうすい)と呼ばれる、眼の中を循環している液体によって、一定に保たれています。

(出典)隅角と房水の流れ|公益社団法人 日本眼科医会
こちらのページでは、緑内障の種類について詳しく説明されています。

緑内障患者の約7割が、隅角(ぐうかく:目の中の房水の排出口)が広い目の開放隅角緑内障と言われています。
しかし、この房水の排出口が詰まったり、働きが悪くなってしまったりすると、目の中に房水が溜まってしまい、眼圧が上がってしまう(=視神経が障害を受けやすくなる)ので、緑内障の視野障害につながります。

そのため、開放隅角緑内障の場合、眼圧を下げることで、緑内障の進行を抑え、緩やかにすることができる可能性があるのです。
※隅角が狭い・塞がっている「閉塞隅角緑内障」の場合には、目薬による薬物治療よりもレーザー治療や手術が優先されます。

緑内障の薬物療法では、主に目薬が使用され、場合によって内服薬や点滴が使われます。

緑内障治療では、「眼圧管理」がとても大事です。
2000年代に入り、日本人は平均眼圧値10~20mmHgの範囲内にあっても、緑内障になる人(正常眼圧緑内障)が多いことが分かりました。

緑内障治療を効果的に行うには、まずは自分のベースラインとなる眼圧(ベースライン眼圧)を知ること、治療が長期に渡るので、定期的に経過観察を行うことが大切です。

◆ベースライン眼圧の詳細や症状・眼圧が上昇する原因、正常眼圧緑内障、閉塞隅角緑内障など緑内障の概要については、次の記事で詳しく説明しています。
気づかぬうちに失明危機も!40歳以上に多い「緑内障」の症状・検査・治療法

2.緑内障治療用点眼薬(目薬)の効果的な差し方・順番と費用

かなり進行しないと自覚症状が現れない慢性疾患の”緑内障”。(※急性緑内障は除く)

緑内障の基本治療である「目薬」は、患者さんが自らの意思で実行する必要がある治療法です。
そのため、どんなに良い処方が行われても、点眼が正しく行われていなければ、治療の効果は十分に発揮されません。

この機会に、目薬を正しく、そして効果的に差す方法をマスターしましょう!
また、緑内障治療で、いくつか目薬を併用している場合には、差す順番も効果に影響しますので、きちんと覚えたいですね。

緑内障の進行に影響!目薬(点眼薬)の正しい差し方

「たかが目薬……」と思うかもしれませんが、実は”目薬の差し方”を間違っている人って、案外多いのです。
緑内障の場合は、点眼の効果がそのまま進行に影響してしまうので、この機会に効果的な目薬の差し方をマスターしておきましょう。

  1. 点眼前に手を洗う
    ここ重要!意外と忘れがち。
  2. 目薬の先が、まつ毛に触れないように注意する
    →目を開けて目薬を差すのが苦手な人は、「あっかんべー」をするように下まぶたを下に引き下げ、そこに点眼すると良い。
  3. 点眼は、基本的に「1回1滴」
    1滴で十分。色素沈着など副作用が起こりやすくなる、高い目薬の無駄遣いにもなります。
  4. 点眼後は、少しまぶたを閉じるか、目頭を軽く押さえる
    まばたき(目をパチパチすること)は、効果減なのでNG。早く吸収されている感じがしますが、実は喉の方に流れているだけ。
  5. 目のまわりにあふれた薬液は、濡れタオルやティッシュ等で拭き取る。手に付いた薬液は洗う。
    →目の周りに付いたままだと、色素沈着の原因に。
  6. 【複数の目薬を併用する場合】5分~10分以上の間隔を開けてから、点眼する
    すぐに差すと、薬液があふれてしまうので”効果減”。

複数の目薬を併用する場合、間隔を開けることで2剤目を忘れてしまわないようにしましょう。
キッチンタイマーなどを使って、2剤目の時間をセットして(決めて)おくのもオススメです。

(参考)目薬の使い方|一般社団法人 日本眼科用剤協会
こちらのページでは、目薬の正しい使い方について、詳しく解説されています。

大事な目薬を最後に!緑内障治療用目薬(点眼薬)の差す順番

緑内障治療で2剤以上処方される場合は、医師から目薬を差す順番について、指示があることがほとんどです。
もし、途中で分からなくなったら、そのままにせず、改めて医師に確認すると安心ですね。

医師から特別の指示がない場合、目薬を効果的に差すための順番は、以下の通りです。

  1. 水性点眼薬:澄明(ちょうめい:透明で濁っていない)の薬剤
    →例)キサラタン、タプロス、トラバタン、ルミガン等
  2. 懸濁性点眼薬:濁っている薬剤
    →例)エイゾプト等
  3. ゲル化(油性)点眼薬 ※現在、緑内障用の油性点眼剤は発売されていません。
    →例)リズモンTG、チモプトールXE、ミケランLA、ミケルナ
  4. 眼軟膏(なんこう)

先に差した目薬は、後から差した目薬によって、あふれて流されてしまうことが多くなります。

効果的に差すために、「順番は、一番大事な(効果を期待する)目薬を最後に点眼する」と覚えましょう。
もちろん、他の目薬とは、5分以上間隔を開けて差しましょう。

なお、ゲル化点眼薬は、前の薬から10分開けて差し、もし次があれば30分以上開けて差すと、長く効果を発揮します。

(参考)点眼薬の選び方|石岡みさき
こちらの「点眼薬の基礎」の中で、目薬の差す順番について、詳しく説明されています。
(参考)点眼剤の適正使用ハンドブック-Q&A-|一般社団法人 日本眼科用剤協会
こちらの「用法・用量を遵守するために」の中で、一般的な目薬の差す順番について説明しています。

緑内障治療の目薬(点眼薬)の費用相場と通院間隔

前述した通り、定期的な通院による診察・検査や投薬が必要となる緑内障。

2018年現在、緑内障治療の目薬は10種類以上発売されていますが、どれも1本800円前後(保険適用・3割負担)と意外と高価です。

そのため、1回の通院にかかる費用相場は、診察+検査+目薬代=約3,000~5,000円となっています。

なお、緑内障治療の通院間隔は、眼圧が落ち着いていれば、約1~2ヵ月に1回となります。
※ベースライン眼圧の測定・治療初期・目薬を変更した時は、約2週間~1ヵ月に1回必要。

3.緑内障治療に使われる目薬(点眼薬)①1つの作用を持つもの

緑内障治療用目薬は、10種類以上存在し、その作用から「房水の産生抑制」「房水の流出促進」の2つに分けられます。(2018年9月現在)

(図)主な緑内障治療用目薬の特徴
※画像をクリックすると、拡大します。

(参考)緑内障治療点眼薬一覧(2018年)|一般社団法人 日本眼科用剤協会
こちらのページでは、2018年1月現在発売されている緑内障治療用目薬の一覧です。先発品およびジェネリック医薬品が写真付きで掲載されています。

緑内障治療用目薬(点眼薬)の選択方法

緑内障の基本治療となる薬物治療は、開放隅角緑内障の中でも重症度などから判断されます。
一般的には1種類の目薬(単剤)から治療を開始し、効果が不十分の場合には、目薬の変更が考慮されます。

目標の眼圧となった後も、定期的に経過観察を行い、視神経所見や視野所見の悪化が見られた場合には、目標眼圧の変更を行ったり、薬剤の変更やレーザー治療・手術などが検討されます。

(図)開放隅角緑内障の場合の眼圧下降治療の方針チャート
※画像をクリックすると、拡大します。

(参考)緑内障診療ガイドライン(第4版)|日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会
こちらでは、2018年1月に作成された最新の緑内障診療ガイドラインが確認できます。

■角膜が傷つく原因にも!?目薬に含まれる”防腐剤”

多くの目薬(約8割)に防腐剤として「ベンザルコニウム塩化物」が使われています。

”逆性石けん”とも呼ばれ、強い殺菌力を持っているため、目薬の容器の中に雑菌が繁殖しないように添加されているのですが、細菌やカビだけでなく、角膜の細胞膜まで作用してしまうのが、ベンザルコニウムの厄介なところ。

たまにしか目薬を差さないというような人や健康で元気な人であれば、防腐剤として添加されている濃度では問題となりません。

しかし、緑内障治療のように長期間差し続けなければいけない場合や高齢者・糖尿病患者さんなど角膜が弱い人達が、防腐剤入りの目薬を使い続けると、角膜上皮障害(角膜の傷)や結膜への悪影響が出る場合があります。

特に緑内障治療の場合、目薬は1種類ではなく、2種類以上となることも多いので、それだけ「ベンザルコニウム塩化物」の影響が出やすいのです。

近年、緑内障治療用目薬でも防腐剤なしの一回使い切り目薬(コソプトミニ配合点眼液など)が販売されています。

防腐剤入り目薬に比べ、割高にはなりますが、防腐剤による副作用が出ている場合や何種類も目薬を処方される場合など、処方されることがあります。

(参考)川本眼科|ベンザルコニウム
こちらのページでは、目薬の防腐剤「ベンザルコニウム」の厄介な副作用について、詳しく解説されています。

(1)【第一選択薬】プロスタグランジン関連薬:1日1回、眼圧を下げる力が強い

緑内障治療で使われている目薬は、現在10種類以上ありますが、中でも【第一選択薬】となっているのが「プロスタグランジン関連薬(PG関連薬)」です。

1日1回でよく、眼圧低下力が強く、全身の副作用も少ないとして、総合的に使いやすいので、医師および患者さんともに納得して使える緑内障治療用目薬です。

(参考)緑内障の病態と薬物治療および今後の展望|Vol.50 No.3 2014 ファルマシア
こちらのページでは、岐阜薬科大学嶋澤雅光先生により、緑内障の薬物療法について解説されています。
(参考)キサラタン点眼液0.005%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)トラバタンズ点眼液0.004%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)ルミガン点眼液0.03%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)タプロス点眼液0.0015%/ タプロスミニ点眼液0.0015%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

■緑内障治療目薬(ルミガン)で、まつ毛が伸びる!?

緑内障治療をしていると、「まつ毛が伸びた!ふさふさになった!」ということがよくあり、某TV番組でもこのエピソードが紹介され、一時期話題となりました。

この「まつげの多毛・成長作用」は、第一選択薬に使われているプロスタグランジン関連薬の中でもビマトプロスト製剤(ルミガン)でよく起こる副作用の一つです。

この副作用を”まつ毛美容”の一つとして、「ルミガン」の適応外使用や個人輸入して使用するケースも出ていた経緯から、適正使用のための臨床試験が開始されました。
そして、2014年にルミガンと有効成分が同じビマトプロストを使った睫毛貧毛症治療薬として、「グラッシュビスタ外用液剤」が発売されています。
ルミガン同様、充血や色素沈着の副作用もあるので、注意が必要です。

また、緑内障治療として、プロスタグランジン関連薬の目薬を使用している人は、グラッシュビスタと併用使用すると、眼圧低下作用が弱まる可能性があります。

(参考)グラッシュビスタ外用液剤0.03%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(2)交感神経β受容体遮断薬(チモプトール、リズモン、ミケランLA、ベトプティックなど):喘息・コントロール不十分な心不全患者はNG。

(参考)チモロール マレイン酸塩|おくすり110番
(参考)カルテオロール塩酸塩 ミケラン点眼薬|おくすり110番
(参考)ミロル点眼液0.5%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)ベトプティック点眼液0.5%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)ハイパジールコーワ点眼液0.25%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(3)炭酸脱水酵素阻害薬(トルソプト・エイゾプト):一時的なかすみ目に注意

(参考)トルソプト点眼液0.5%/ トルソプト点眼液1%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)エイゾプト懸濁性点眼液1%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(4)交感神経α2受容体刺激薬(アイファガン):視神経の保護作用もある

2012年に発売された比較的新しい薬です。

プロスタグランジン関連薬や交感神経β(ベータ)受容体遮断薬などの薬で効果が不十分な場合や副作用の影響で使用できない場合に、使用が検討されます。

(参考)アイファガン点眼液0.1%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(5)Rhoキナーゼ阻害薬(グラナテック):他の緑内障治療目薬とは異なる作用

2014年に認可された、これまでの緑内障治療用目薬とは作用機序が異なる日本初の目薬。
房水の排出口である線維柱帯にあるRhoキナーゼ(酵素)を阻害することで、房水の流出を促進させる作用があります。

他の緑内障治療薬(PG関連薬やβ遮断薬)で十分な効果が出ない場合や使用できない場合に、検討される目薬です。

(参考)グラナテック点眼液0.4%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(6)副交感神経刺激薬(サンピロ):閉塞隅角の緑内障発作予防に

昔からある緑内障治療用目薬。
房水の出口(隅角)が狭い・塞がっている「閉塞隅角緑内障」で、レーザー治療が必要となる前段階に使用し、緑内障発作を予防します。

房水の排出に関わる副交感神経に作用することで、間接的に房水の流出を促進させる作用があります。

瞳孔を縮める(縮瞳)作用があるので、投与中の暗黒感が回復するまで、車の運転など危険を伴う機械の操作はしないようにする必要があります。

(参考)サンピロ点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(参考)緑内障|あおぞら眼科クリニック
こちらのページでは、緑内障の種類・治療法など概要が分かりやすく説明されています。

(7)交感神経 a1受容体遮断薬(デタントール):他の緑内障用目薬で効果が出ない時

a1遮断薬とも呼ばれ、房水の排出に関わるα1受容体に作用することで、間接的に房水の流出を促進させる作用があります。

他の緑内障治療薬(PG関連薬やβ遮断薬)で十分な効果が出ない場合や使用できない場合に、検討される目薬です。

(参考)デタントール0.01%点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

4.緑内障治療に使われる目薬(点眼薬)②2つの作用を持つもの

緑内障治療では、1剤だけの目薬で長期間眼圧をコントロールし続けることは難しく、2剤以上併用して治療を行う場合も珍しくありません。

目薬が2剤以上ある場合、”点眼間隔を5分以上開ける必要がある”ために2剤目以降の差し忘れが発生してしまうケースも多く、しばしばアドヒアランス*1不良が問題となっていました。

*1アドヒアランス:患者が治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けること。近年重視されている考え方で、従来から使われていた「コンプライアンス」との違いは、医師と患者との関係は”一方的な指導のみの関係”ではなく、患者自身が積極的に治療に参加する”相互理解の関係”を目指している点。

そこで、近年登場した配合薬は、1本に2つの作用を持つ薬剤が配合されています。
利便性を向上し、高い治療効果が期待できるとされています。
なお、配合薬の作用および副作用については、何の薬剤を組み合わせたかによって異なります。

(1)ザラカム配合点眼薬(キサラタン+β遮断薬)の特徴・副作用:房水の産生抑制・流出促進

日本で最初の緑内障治療の配合薬として、2010年に認可されました。
海外100か国以上で使われている薬です。

(参考)ザラカム配合点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(2)デュオトラバ配合点眼液(トラバタンズ+β遮断薬)の特徴・副作用:防腐剤なし

2010年に認可されたプロスタグランジン関連薬とβ遮断薬との配合薬第二弾です。

(参考)デュオトラバ配合点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(3)コソプト配合点眼液(トルソプト+β遮断薬)の特徴・副作用:配合薬で一番人気

2010年に国内認可された配合薬第3弾。
1998年にメキシコで承認されて以来、世界約90か国以上で使用されています。

2015年6月には、同じ有効成分で防腐剤の含まない1回使い切りの無菌ディスポーザブルタイプ容器に入った「コソプトミニ配合点眼液」が発売されています。

また、ある医師向けのアンケートの中で、緑内障治療配合薬で一番処方することが多いという結果も出ています。

(参考)コソプト配合点眼液/コソプトミニ配合点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(4)タプコム配合点眼液(タプロス+β遮断薬)の特徴・副作用:比較的副作用が少ないタプロスがベース

2010年に国内認可された配合薬第4弾として、2014年11月に承認されました。
「タプコム配合点眼液」は、局所副作用が少ないタプロスがベースとなっています。

(参考)タプコム配合点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(5)ミケルナ配合点眼液(キサラタン+ミケランLA)の特徴・副作用:チモロール以外のβ遮断薬を配合

2010年に国内認可された配合薬第5弾として、2016年9月に承認されました。
「ミケルナ配合点眼薬」は、チモロール以外のβ遮断薬が配合された日本で初めての製剤です。

(参考)ミケルナ配合点眼液|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

5.緑内障治療に使われる内服薬・点滴薬の効果・副作用・禁忌

内服薬や点滴薬は、目薬に比べ強い眼圧下降効果がありますが、全身への副作用が多いことから、目薬のような長期的な使用は難しいとされています。

主に、急性緑内障発作や手術後などで特に高い眼圧になっている場合、早急に眼圧を下げたい時に使用されます。

緑内障治療の内服薬:ダイアモックス

(参考)ダイアモックス末/ダイアモックス錠250mg|独立行政法人医薬品医療機器総合機構

【急性緑内障発作時】高張浸透圧薬の点滴:マンニトール、グリセリン

閉塞隅角緑内障で急性緑内障発作を起こした場合、短時間で視神経の障害が進むため、素早く高度の眼圧上昇を鎮める必要があります。

そんな時使用されるのが「高張浸透圧薬」です。

高張浸透圧薬は、目の組織の中の水分を血管内に吸収させることで眼圧降下作用は大きくなります。
しかし、急激に全身の細胞外液量が増加するため、循環器系に負担をかけることも少なくありません。
特に、心不全・肺うっ血患者は、肺水腫を起こしやすいので、注意が必要です。

使われる注射薬には、2種類あります。

(参考)第5章 緑内障の病型別治療|日眼会誌 116 巻 1 号
こちらは、緑内障診療ガイドライン(第3版)の中で閉塞隅角緑内障治療の部分に、高張浸透圧薬について、解説されています。(P.2)

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