2018年「流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)」の感染者数が、例年よりもかなり多い状態であることをご存知でしょうか?(7月現在)
流行性角結膜炎とは、「はやり目」とも呼ばれるウイルス感染症です。
目の充血・たくさんの目やに、涙が止まらない、目の異物感などの結膜炎症状が急に現れます。
この流行性角結膜炎は、潜伏期間が長いため、気付かぬうちに感染源となることや視力低下を伴う角膜炎を併発することがよくある「厄介な感染症」でもあるのです。
また、子どもを中心に感染しますが、感染力が強いので年齢による発症頻度に差はありません。
今回は、「流行性角結膜炎」の症状・原因・治療法や学校や会社での扱いについて、体験談と共にご紹介します。
1.感染する可能性は1年中!?「流行性角結膜炎」の症状と原因
コンタクトはNG!流行性角結膜炎の症状:充血・目やに・まぶた裏のブツブツ
結膜炎というと、読んで字のごとく、「結膜が炎症する病気」で、目が真っ赤になることで有名です。
この「結膜」とは、半透明の膜で上下のまぶたの裏側と白目の表面を覆っています。
まぶたを開く(目を開ける)ことにより、結膜は直接外の世界と接するため、とても病原菌にさらされやすい環境にあります。
その結果、ウイルスや細菌によって、「結膜炎」が起きてしまうのです。
「流行性結膜炎」と花粉症などで起こる「アレルギー性結膜炎」との症状の違いは、”かゆみがない”ことで、流行性角結膜炎は急に発症する特徴があります。
主な症状は、下記の通りです。
- 結膜の充血
→白目の部分・まぶたが、充血する(真っ赤になる)。 - 目やに
→沢山出てくる。朝起きると、目が開かない程になることも。 - 流涙(涙が流れ続ける)・目がしょぼしょぼ
- まぶたの裏にブツブツができる
- 眼痛・目がゴロゴロする
→目に違和感。 - 耳前のリンパ節が腫れる
また、新生児や乳幼児の場合、結膜に炎症性の白い膜ができること(偽膜性結膜炎)がよくあります。
さらに、細菌にも感染(混合感染)してしまうと進行が早く、角膜炎から角膜穿孔(かくまくせんこう:角膜に孔が開く)に至ってしまう可能性もあるので、目に不快症状が現れた場合には、速やかに眼科を受診しましょう。
■流行性角結膜炎の時、コンタクトはしてもいいの?
流行性角結膜炎の時は、結膜のほか、角膜(黒目)にも炎症が起こります。
また、コンタクトレンズを取り扱う際に、感染を拡大させる恐れがあります。
そのため、ウイルス性結膜炎ガイドラインでも、「罹患中はコンタクトレンズの使用は中止すべき」とされています。
そのまま無理に装着し続けると、より炎症が広がり、取り返しのつかない視力障害につながる恐れがあるので、少しの間は我慢してメガネに変えましょう。
(参考)ウイルス性結膜炎|日本眼科学会
こちらのページでは、流行性角結膜炎の症状・原因をはじめ、ウイルス性結膜炎について解説されています。
(参考)ウイルス性結膜炎ガイドライン 第 7章 ウイルス性結膜炎に関する説明例|日本眼科学会
こちらのページでは、流行性角結膜炎をはじめとするアデノウイルス結膜炎罹患時のコンタクトレンズの使用のほか、よくある質問について、解説されています。
【体験談】盲点!コンタクトを直接触ってない時に「流行性角結膜炎」感染。
【前兆〜発覚】
左目がはり付いたように開きませんでした。なんだろうと思って目をこすってみると、指に黄緑のかたまりがつきました。
汚い話で恐縮ですが、黄緑の、かなりべとつく目やにがたくさん出ていて、まつげがくっついてしまっていたのです。鏡で見てみてびっくりしました。
色といい量といい、普段出る目やにとは全然違っていて、白目の方は全体が真っ赤になっていました。【診断・処方】
これはおかしいと思いつつ、そのまま大学に行き、授業に出てしまいました。
でもどうしても左目が気になり、集中できないので大学の保健管理センターに行って相談したところ、先生はすぐ顔色を変えて、「診察が終わったらすぐ帰って1週間は大学を休むように、ここでもなるべく周りのものに触らないでください」と言われました。アデノウイルスによる流行性角結膜炎とのことでクラビット点眼液を処方されました。1日5回さすようにとの指示でした。【感染経路とコンタクトレンズ】
2ウィークのコンタクトレンズを使用していましたが、毎回きちんと期限を守っていましたし、毎日洗浄もしていました。ウイルス性なので、コンタクトの管理とは特に関係ないようです。
ただし、わたしはけっこう頻繁に目薬をさしていました。
コンタクトを入れるときは手を洗っていましたが、目薬をさすときやメイクを直す時は洗っていませんでした。
また手に塗るアルコール消毒液をよく使っていましたが、アデノウイルスには効かないのだそうです。
わたしはきちんとコンタクトを管理できているから病気にはならないと思っていましたが、コンタクトに直接触っていないときにウイルスをもらってしまったというのは思わぬ盲点でした。
流行性角結膜炎の2018年流行動向と好発年齢・流行時期
流行性角結膜炎は、感染症法によって、全国約600か所の眼科による定点報告が必要な疾患となっています。
2018年は赤い丸印・赤い太線です。
※画像をクリックすると拡大します。
2018年の流行性角結膜炎の流行状況をみてみると、5月に過去10年で一番の報告数(定点当たり)を記録し、7月現在、幾分か減少していますが、それでも例年に比べ、かなり多い状態が続いています。
なお、流行ピークは8月頃となり、プールに関連して夏に流行するイメージがありますが、原因となるウイルス(アデノウイルス)自体は季節問わず活動しているので、一年中感染が見られます。
また、好発年齢(発症の多い年齢)は1~5歳くらいの子供が中心になりますが、その感染力の強さから家族にうつることも多いので、大人も同じように感染します。
そのため、幅広い年齢層にみられる感染症です。
(参考)流行性角結膜炎|加東健康福祉事務所
こちらのページでは、流行性角結膜炎の流行時期や好発年齢などについて、説明されています。
型が多数存在!流行性角結膜炎の原因「アデノウイルス」
流行性角結膜炎の原因は、ウイルスの型が多数ある「アデノウイルス」です。
その数は、なんと51種類!
現在は新しい遺伝型も7種類確認されており、型の多さから何度も同じような病気に感染してしまうことがあります。
中でも流行性角結膜炎の原因となるのは、主に8型、19型、37型および53型、54型、56型の新型アデノウイルスです。
ウイルス性結膜炎ガイドラインによると、流行性角結膜炎の原因となる4型・8型・19型・37型の抗体保有率は、約10~30%とされ、この抗体保有率の低さが結膜炎の流行を繰り返す理由の一つと考えられています。
特に、新型アデノウイルスの54型は、2015年~2016年に全国規模での流行など、大規模流行を引き起こす傾向があるとされています。
(参考)アデノウイルスの種類と病気|国立感染症研究所
こちらのページでは、アデノウイルスの型ごとの病気について、症状とあわせて解説されています。
強い感染力から別名「はやり目」
流行性角結膜炎は、原因菌となる「アデノウイルス」の感染力の強さから由来して、「はやり目」とも呼ばれています。
初めは片目だけに症状が現れても、2~3日以内にもう片方の目も症状が現れ、結局「両目感染」することが一般的です。
そのため、学校や幼稚園、職場、家庭内、病院などで小規模の流行がよく起こります。
(参考)流行性角結膜炎とは|国立感染症研究所
こちらのページでは、流行性角結膜炎の症状・原因・診断方法など詳しく解説されています。
【体験談】家族で順番に「流行性角結膜炎」を発症。ウイルスの感染力の強さに驚き
週末の朝、息子の目の充血と目ヤニで始まり念のためにと思って、眼科を受診しました。
単なる結膜炎ではないか、プールを習っているので、消毒などにより炎症を起こしたのかなと軽い気持ちでいましたが、先生の診断の結果、「流行性角結膜炎(はやり目)」との事でした。
ステロイド入りの目薬を処方してもらい、週明け再受診となりました。
そして、感染力が強いため、出席停止となると聞き、家族内感染のリスクが高いため、タオルの共用など気を付けるように注意を受けました。息子はおよそ1週間、出席停止となり、登園許可がでて、幼稚園へ登園できました。
そうした矢先、私の左目が、なんだかかゆくなり、充血が始まり、2日経った頃には、目は真っ赤に充血し、腫れ、起床時には、目ヤニで目が開かなくなりました。
手洗いなど細心の注意を払っていたつもりでしたが、その1週間後には、娘に感染し、その1週間後には、主人にも感染しました。感染力の強さには驚くばかりでした。しかし、眼科から処方された目薬をさしていたら、完治までに数週間かかりますが、治りました。我が家では、子供より大人の方が、重症化してつらかったです。
もう、二度と感染したくない感染症と思いました。
■どうやって診断するの?検査は?
流行性角結膜炎は、臨床症状およびアデノウイルスを検出するキットによって診断します。
- 臨床症状
→両目の結膜に急性濾胞性結膜炎(きゅうせいろほうせいけつまくえん:小さなぶつぶつができる)が現れている。また、耳前リンパ節の腫れ、押すと痛い症状がある。 - アデノウイルス検出キット
→綿棒で結膜をこすって、10分間待つ。
(参考)はやり目(流行性角結膜炎)|はやし眼科臼井クリニック
こちらのページでは、流行性角結膜炎について、診断方法をはじめ詳しく説明されています。
2.流行性角結膜炎の感染経路・感染期間と似ている病気
流行性角結膜炎の感染経路:手から接触感染
流行性角結膜炎の感染経路は、主に「接触感染」です。
「接触感染」とは、病原体が付着したものに他の人が触れることで、病原体が体の中に入り込み感染することです。
感染すると、目の不快症状(目やに・目がゴロゴロ・涙目など)が現れることから、子どもはなおさらのこと、大人でも、ついつい手やハンカチで目をぬぐったり、いじったりしてしまいますよね。
しかし、感染者が目(結膜)に触れた”手”でドアノブ、ハンカチ、タオル、洗面器などを触り、それを他の人が触り、何かの拍子で目(結膜)に触れてしまうと、感染してしまいます。
アデノウイルスはさまざまな環境に強く、乾燥した布や金属・プラスチックの表面でも長期間生存できることが、集団感染を引き起こす原因の一つなのです。
流行性角結膜炎では、特に”手”からの感染に注意しましょう。
感染サイクル:潜伏期間(1~2週間)→発症(1週間前後)→回復期(1週間前後)
①潜伏期間(1~2週間) ※発症3日前頃からウイルス排出
流行性角結膜炎の潜伏期間は、1~2週間と比較的長い期間です。
この間は、これといった症状は現れません。
しかし、発症の3日前あたりから、実はウイルス排出がされているので、知らぬ間に感染を広げてしまっている可能性もあります。
②発症(ピークは1週間前後)→回復期(1週間前後) ★感染期間は約2週間
流行性角結膜炎の発症は、予兆もなく突然です。
急に目やに・流涙(涙が流れ続ける)、目の異物感(ゴロゴロする)が起こります。
その後、結膜の充血や腫れが現れ、もう片方の目にも同じように波及します。
また、耳前のリンパ節が腫れたり、痛みが出たりすることもよくあります。
症状のピークは大体1週間で、この頃に抗体ができるので、次第に症状が治まっていきます。
一般的に、治癒には発症から約2週間かかり、この期間がウイルスの感染リスク期間となりますので、感染拡大しないように注意が必要です。
いつも以上にこまめな手洗いを心がけ、タオルの共用は避けましょう。
なお、ウイルス性結膜炎の中でも、流行性角結膜炎は「一番症状が重くなる」という特徴があります。
重症化した場合は、目やにが増えてまぶたと角膜が癒着してしまい、角膜上皮が剥がれて激しい痛みを引き起こすことがあります。
いつもより目やにが酷い、目が充血している、目がゴロゴロするといった症状があれば、ひどくなる前に眼科を受診しましょう!
(参考)流行性角結膜炎|阪大病院感染制御部
こちらのページでは、大阪大学医学部附属病院の感染管理マニュアルの中で、流行性角結膜炎の臨床経過について、分かりやすく説明されています。
似ている病気(咽頭結膜熱・急性出血性結膜炎・ものもらい)との違いは?
※画像をクリックすると、拡大します
■プール熱(咽頭結膜熱:いんとうけつまくねつ)との違いは?
結膜炎+発熱やのどの痛みがある場合には、プール熱(咽頭結膜熱 )が疑われます。
- 原因:アデノウイルス3型。
→昔はプールの水を介して、よく流行していたので、別名”プール熱”とも。
しかし、最近は塩素濃度管理の徹底などによって、プールの水での感染は”稀”と考えられている。 - 潜伏期間:1週間
- 症状:結膜炎+5日前後の発熱(1日の間で熱が上がったり(高熱)、下がったりする(微熱))・扁桃腺が腫れて、喉が痛い・頭痛・腹痛・下痢・耳前や頚部のリンパ節が腫れる
- 感染経路:飛沫感染・接触感染
◆咽頭結膜熱(プール熱)の症状や原因などについては、次の記事で詳しく説明しています。
プール熱(咽頭結膜熱)の感染力の強さに注意!原因、症状、治療法と2018年の流行状況は?
■急性出血性結膜炎との違いは?
激しい目の痛み・結膜の充血のほかに、白目部分にポツポツした点状の出血が見られる場合には、急性出血性結膜炎が疑われます。
- 原因:エンテロウイルス70型、コクサッキーウイルスA24変異株
→アポロが月面着陸した1969年に最初の世界的流行があったため、別名「アポロ病」とも。 - 潜伏期間:エンテロウイルス(1日)、コクサッキーウイルス(2~3日)
- 症状:突然の強い目の痛み、異物感、異常に眩しく感じる、結膜の充血、白目にポツポツとした点状の出血(結膜下出血)、目やに+全身症状(頭痛、発熱、呼吸器症状など)
- 感染経路:接触感染
(参考)急性出血性結膜炎|国立感染症研究所
こちらのページでは、急性出血性結膜炎の症状や原因について、解説されています。
■ものもらい(麦粒腫:ばくりゅうしゅ)との違いは?
まぶたの腫れや痛み、まぶたに膿を持った点が見られる場合には、ものもらい(麦粒腫)が疑われます。
- 原因:黄色ブドウ球菌(元々皮膚にある細菌で感染力が弱いが、身体の抵抗力が弱くなっている時に感染する)
→地方によっては、「めばちこ(近畿地方)」「めいぼ(京都・滋賀)」「ばか(宮城)」「おひめさん(熊本)」などと呼ばれることも。 - 症状:かゆみ、まぶたの縁(汗を出す腺やまつ毛の毛根)に赤み・腫れ・痛み
→化膿が進むと、膿が出る。 - 感染経路:接触感染
(参考)麦粒腫|日本眼科学会
こちらのページでは、ものもらい(麦粒腫)の症状や治療など解説されています。
3.流行性角結膜炎の治療法-混合感染・症状悪化防止に目薬(抗菌剤・ステロイド)
アデノウイルスには、有効なワクチンがまだありません。
そのため、流行性角結膜炎についても、原則的にはアデノウイルスに対する免疫が出来て、自然に治るのを待つことになります。
ウイルス特効薬がないので、治癒まで約2~3週間と時間がかかります。
流行性角結膜炎の薬物治療①処方薬(抗菌剤:クラビット等、ステロイド:フルオロメトロン等)
あくまで他の感染を防ぎ、症状を悪化させないための補助的な目的で「目薬(点眼薬)」が処方されます。
- 抗菌剤:細菌の混合感染を防ぐため
→例)クラビット(レボフロキサシン)、ガチフロ(ガチフロキサシン)、ベガモックスなど- 副作用:びまん性表層角膜炎(0.1~5%未満)。
※ごく稀にアナフィラキシーショックを起こす場合もある - 子ども:OK
- 妊婦:OK(治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ)
- 副作用:びまん性表層角膜炎(0.1~5%未満)。
- ステロイド:炎症を抑えるため
→例)フルメトロン、フルオロメトロン、オドメール、リンデロンなど。- 副作用:眼圧の上昇。
※緑内障・白内障を誘発する場合があるため、長期使用は避け、定期的な眼圧測定が必要。 - 子ども:安全性は確立していないので、2歳未満へは慎重投与
- 妊婦:OKだが、長期および頻回投与は、避けた方がよい。
- 授乳中:OK
- 副作用:眼圧の上昇。
(参考)クラビット点眼液0.5%
こちらのページでは、抗菌剤点眼薬”クラビット”に関する添付文書(医薬品の説明書)を確認できます。
(参考)フルメトロン点眼液0.1%
こちらのページでは、ステロイド点眼薬”フルメトロン”に関する添付文書(医薬品の説明書)を確認できます。
(参考)眼圧あれこれ|川本眼科
こちらのページでは、ステロイド目薬と眼圧の関係について、詳しく説明されています。
【体験談】目やにで目が開かない!抗菌剤+ステロイド目薬処方で次第に快方へ
なんの前兆もなかったのに、朝起きると目ヤニがひどくて目が開きません。
鏡を見ると左目がひどい充血。それに瞼が赤く腫れて痛みがありました。ものもらいなんかではない、そう感じた私は仕事の前に薬局へ寄り、「抗菌剤入り」の目薬を買って点眼しました。目薬を入れても一向に充血は治りません。
さらには何もしていないのに目ヤニが出てきます。目がゴロゴロして痛く、常に異物感があります。
そのうちに耳の前あたりがボコっと腫れてクリクリしたものが触れるようになりました。発症から五日目、やっと眼科を受診しました。その頃には受付の方にもわかるくらい両目が充血していました。
耳のリンパ腺は左側のみ腫れていました。先生に診てもらうと、「のどが痛むか」「耳の前を押さえると痛いか」「鼻水が出るか」などと尋ねられました。
すべて当てはまっていたのですが「これは流行性角結膜炎ですね。〈はやり目〉とも言います。」と言われました。最初に発症したのは左目だけでしたが、この時点で右目にも感染してしまっていたようです。
治療についてですが、はやり目の原因はアデノウイルスであり、特効薬がありません。
細菌の二次感染を防止するために抗菌剤「ガチフロ」という目薬を点眼するように言われました。また、はやり目は治りかけに角膜に白いぶつぶつのようなものができる症状が出ることがあるそうで、それを予防するためにも抗生物質入りの「オドメール」という目薬も処方されました。
発症後9日が経ちましたが、目の痛みや異物感はなくなり、耳のリンパ腺の腫れはまだあるものの痛みはなくなりました。やはり後から発症した右目は早くに良くなりました。
ひどかった左目はまだ若干の充血は残っています。そして私より一週間遅れで5歳の娘、夫にまで感染。
潜伏期間が1,2週間ということですがその時点ですでに人に移しているかもしれないので家族内感染を防ぐことはとても難しいです。
流行性角結膜炎の薬物治療②市販薬(抗菌剤のみ)
抗菌剤成分配合の目薬は、販売されていますが、ステロイド点眼薬はありません。
前述した通り、ステロイド点眼薬は抗炎症効果が高い反面、長期使用で眼圧が上昇し、最悪の場合、視力障害を引き起こすステロイド緑内障などを誘発する恐れがあるので、医師による経過観察の必要な薬剤なのです。
下記の目薬は、どれもしみにくいタイプなので、お子さんの使用もOKです。
- 抗菌アイリス
- ロート抗菌目薬EX・ロート抗菌目薬i(生後4ヶ月以上~)
- サンテ抗菌新目薬(1歳~)
使い切りタイプは使用都度、新鮮な薬液を点眼できるので、常備にもオススメです。
ただし、1回使い切りタイプは防腐剤が含まれていないので、一度封を切って使い、残った薬液は捨てましょう。
また、市販されている抗菌目薬を3~4日使用しても、症状がよくならない場合には、速やかに眼科を受診しましょう!
なお、ソフトコンタクトレンズを装着したまま、点眼することはNGです。
(参考)抗菌アイリス|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
(参考)ロート抗菌目薬EX|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
(参考)サンテ抗菌新目薬|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
目薬の正しい差し方-下まぶたを引いて、目薬を落とす
目薬の効果が最大限発揮するか、否かは、「目薬を正しく使用できているか?」にかかっています!
この機会にしっかりマスターしましょう。
正しい目薬の差し方は、下記の通りです。
- 手をハンドソープでよく洗う
- 首を後ろに傾ける
- 下まぶたを引いて、下まぶた内側に1滴さす。
→目薬の先が、まつ毛・まぶた等に触れないように!薬液が菌に汚染されると、症状悪化も。 - 1分くらい目をつぶる
→目をパチパチすると、鼻の方に流れるのでNG!
意外と、大人でも苦手な人が多い「目薬」。
小さなお子さんの場合、「目薬が落ちてくるのが怖い→泣く→目が開けられない→何とか差しても、涙と一緒に流れる」といった無限ループに陥る可能性のある難易度の高めな処置の一つですよね。
上記のように、下まぶたを引いて差す方法(あっかんべー方式)であれば、怖さも和らいで、目薬を差せることでしょう。
■どうしても、目が開けられない場合の目薬の差し方
目の周りをきれいなガーゼなどで拭いてから、目頭付近に目薬をさしてあげましょう。
その後、1回まばたきをすると、薬液が目に入ります。
また、お子さんがぐっすり寝ている時に、そっと下まぶたを引いて、目薬をさしてあげることも一つの手です。
(参考)目薬の使い方|東光眼科
こちらのページでは、上手な目薬の使い方や気を付けたいポイントについて、詳しく説明されています。
4.学校や仕事は行っていいの?流行性角結膜炎の予防法
出席停止措置アリ!流行性角結膜炎になったら、子どもも大人も外出NG。
流行性角結膜炎は、学校保健法の中で「第三種の伝染病」となっています。
目の症状が軽減してきても、感染力が残る場合があるため、医師によって「感染の恐れなし」と診断されるまで、出席停止となります。
自治体によっては、登園・登校の際に「治癒証明書」の提出が必要な場合もあります。
詳しくは、お住いの自治体または通われている学校・幼稚園・保育園にご確認ください。
■大人が流行性角結膜炎になったら、どうする?
流行性角結膜炎は、大人も子ども同様に感染しますが、大人の場合には、学校保健法のような法的な決まりはありません。
しかし、感染拡大防止のためには、できるだけ出社を控えましょう。
学校や医療機関、介護業などに従事している人の中には、職場の規則で出勤停止が義務付けられている場合もあることや医師によって、出勤停止の指示をされる場合があります。
(参考)学校感染症について|横浜市衛生研究所
こちらのページの学校感染症の第三種の中で、流行性角結膜炎について説明されています。
手洗い&身の回りの消毒で、流行性角結膜炎を予防しよう!
アデノウイルスは、感染力が非常に強いウイルスです。
特に、帰宅時、トイレ後、食事前のほか、自分の顔(目・鼻・口)を触る前には、よく手を洗ってウイルスを洗い流しましょう。
また、感染者の涙や目やにには、多量のウイルスが存在しています。
ふき取る際には、目薬同様に手を洗ってから、ティッシュで拭きとり、二次感染に注意して捨てましょう。
なお、アデノウイルスは熱に弱い性質があるので、熱湯消毒(56度以上5分間)も有効です。
ドアノブや手すり、おもちゃなど熱湯消毒できないものは、こまめに次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行うと良いでしょう。
■ペットボトルで作る!次亜塩素酸ナトリウム(0.02%および0.1%)の作り方
<用意するもの>
- 家庭用塩素系漂白剤(市販のハイター・ブリーチ・キレイキレイ・ミルトン等)
……市販の漂白剤の濃度は、約5%。 - 500mlのペットボトル(ふた付き)
……500mlのペットボトルのふたは、約5mlの容量。 - 水 500ml
<作り方>
※「消毒液」と分かるように表示の上、誤飲に注意して取り扱ってください。
※他の洗剤と混ぜると、危険な場合があります。特に、酸性の強い洗剤と混ぜると有毒ガスが発生しますので注意してください。
- ペットボトルに水(500ml)を入れる。
- 漂白剤原液(量は下記参照)をペットボトル1本分(500ml)の水に加える。
- 0.1%消毒液を作る場合(床・衣類など):ペットボトルのふた2杯分(約10ml)の漂白剤原液
→50倍希釈となり、1000ppm(濃度0.1%)の消毒液ができる。 - 0.02%消毒液を作る場合(手すり・ドアノブなど):ペットボトルのふた半分より少なめ(約2ml)の漂白剤原液
→250倍希釈となり、200ppm(濃度0.02%)の消毒液ができる。
- 0.1%消毒液を作る場合(床・衣類など):ペットボトルのふた2杯分(約10ml)の漂白剤原液
(参考)アデノウイルス予防と対策・診断|国立感染症研究所
こちらのページでは、アデノウイルス感染対策について、まとめられています。
(参考)消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)|広島市
こちらのページでは、次亜塩素酸ナトリウムの作り方について、詳しく説明しています。
流行性角結膜炎になった時、家庭で気を付ける事は?
家族内感染を100%防止することは、残念ながら難しいのが現実です。
しかし、下記のポイントを意識しながら生活して、少しでも感染してしまう可能性を下げましょう。
- タオルの共用をさける
→意外と盲点なのが「洗面所のタオル」!使い捨てできるペーパータオルを利用する手も。 - 感染者のお風呂は最後に
→お風呂の水を介しても、感染する可能性はあります。また、感染者の入浴後は、洗面器や蛇口、浴室をしっかり洗浄しましょう。 - 感染者の衣服やタオルは、熱湯消毒か水洗後、消毒を行う(分けて洗うとより安心)
→感染者が使用したタオル・衣服は熱湯消毒(56度以上5分間)をしましょう。できないもの(金属以外)は次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行い、水で流すか、水拭きしましょう。 - こまめな手洗い
→手からの接触感染が一番の感染ルートになるので、いつも以上にこまめに手を洗いましょう。
(参考)流行性角結膜炎(はやり目)|相模原市
こちらのページでは、流行性角結膜炎の概要(流行時期・症状・予防法など)について、説明されています。
(参考)はやり目|スマイル眼科クリニック
こちらのページでは、はやり目(流行性角結膜炎)での家庭での対処法や症状など画像と共に詳しく説明されています。