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2016年6月22日更新

夏風邪を徹底比較!夏に流行る風邪とは?原因ウイルス、症状、治療法まとめ

夏に流行る風邪は一つではありません。子供を中心に毎年流行をみせている三大夏風邪(手足口病、プール熱、ヘルパンギーナ)の原因、症状などの違いを徹底比較しました。
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1.「夏は風邪が流行らない」はホント?

「夏風邪」とは病名ではなく、夏に流行する「ウイルスによる急性の感染症」の総称です。

夏風邪というと、鼻かぜ程度の軽い風邪を思い浮かべる方も多く、「夏風邪はバカがひく」といわれるように、夏に風邪をひくことはめったにないと思っている人が多いようです。

(※正しくは「馬鹿者は風邪をひいても気づかない。馬鹿者は冬ひいた風邪を夏に気づく。」という意味なのですが、最近は「暖かい夏に風邪をひくのは自己管理が出来ないバカくらいだ」という意味で使われることも多いようです。 )

本当に夏はウイルスが少なく、風邪が流行らないのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません!

夏には夏の高い気温や湿気を好むウイルスが活発になります。

感染力の強いそれらのウイルスは、毎年6月頃から暑い夏に向けて増殖し、秋口まで子供たちを中心に猛威を振るいます。

夏風邪は「発症すると症状が長引く」というのが特徴です。

「たかが夏風邪」と油断するのは禁物!しっかりと予防することが大切です。

これから予想される「夏風邪」の流行に備えて、まずはその種類や原因、症状などについて比較してみましょう!

自律神経の乱れが夏風邪感染の原因!流行は子供から始まる。

まず、なぜ夏に風邪をひくのか、というところから考えてみましょう。

夏風邪の原因となるウイルスは数種類ありますが、どれも本来、一年中いるウイルスで、夏だけしかいないというわけではありません。

夏風邪の発症には自律神経の乱れによる、免疫力の低下が大きな要因となっています。

ここ数年、夏の最高気温はじわじわと高くなってきていますが、夏の暑さは体力を消耗します。

食欲不振や睡眠不足になりやすく、さらにそこに強い冷房や、寝冷え、冷たいものの取り過ぎなどの悪循環が重なると、だんだん自律神経が乱れがちに。

自律神経が乱れると、身体を病気から守っている免疫力が低下するので、身体は入ってきたウイルスを撃退できず、夏風邪を発症しやすくなってしまうのです。

夏風邪のウイルスは手などの「接触感染」、くしゃみ、咳、つばなどの「飛沫感染」によって広まります。

小さな子供はまだウイルスに抵抗する力がないため、たくさんの子供が集団で生活している保育園や学校の中で、ひとたび感染者が出ると、あっという間に大流行が始まるという構図になってしまうのです。

子供の感染については以下の記事で詳しく説明しています。

2. 毎年流行る「三大夏風邪」とは?原因ウイルスや症状比較

次に、「夏風邪」の種類について見てみましょう。

ひとくくりで「夏風邪」と言われることも多いですが、夏風邪にはいくつかの種類があり、感染するウイルスの種類によって発症する症状も違います。

毎年流行が起きている夏風邪は、おもに「手足口病」「プール熱」「ヘルパンギーナ」の3種類で「三大夏風邪」といわれています。

原因となるウイルスと症状は以下の図の通りです。
※それぞれの病気についての詳しい記事は表の中の病名をクリックすると見ることが出来ます。

病気名 症状 原因ウイルス
手足口病 発熱(37~38℃)
手や足の発疹、口内炎(水ぶくれ)
エンテロウイルス71 型
コクサッキーウイルスA16型
プール熱
(咽頭結膜熱)
発熱(38~40℃)
喉の痛み
結膜炎
目やに
アデノウイルス3型・4型
ヘルパンギーナ 発熱(38~40℃)
喉の痛み
口内炎(水ぶくれ)
エンテロウイルス属
コクサッキー型A群
コクサッキー型B群
エコーウイルス

上記の他にも、鼻かぜ症状を引き起こすライノウイルス(大人の感染が多い)などの感染もありますが、毎年、夏に大きな流行が見られるのが上記の3種類になります。

どれも発熱、喉の痛みなど風邪症状を伴うのは共通ですが、プール熱はさらに目の結膜炎症状を伴い、手足口病とヘルパンギーナは発疹(水ぶくれ)が出るのが特徴です。

人によってはこの症状以外にも、腹痛や下痢、筋肉や関節の痛みなどを併発することもあります。

ウイルスは、感染してから潜伏期間(2日~1週間程度)の間に体の中で増殖し、ある日、突然の発熱などによって現れます。

(参考)国立感染症研究所 手足口病とは
(参考)国立感染症研究所 咽頭結膜熱とは
(参考)国立感染症研究所 ヘルパンギーナとは

3. 夏風邪の特効薬はない!?安静による体力の回復が一番の治療法!

それぞれ原因となるウイルスの種類や型は違いますが、治療の方法はどれも同じく「対症療法」を行います。

ウイルスには抗生物質が効かず、ウイルスそのものをやっつける特効薬もないからです。

発熱には解熱剤、痛みには鎮痛剤、目の症状には炎症を緩和する目薬をというように、それぞれの辛い症状を緩和するようなお薬が処方されます。

お薬を飲むことでこれらの症状は緩和されますが、だからといってウイルスがいなくなり、病気が治るわけではありません。

自分の身体(免疫力)がウイルスと戦って、最終的にウイルスが体外に排出された時、初めて夏風邪が治ったということになるのです。

そのためにも、安静にして睡眠をしっかりとり、体力を回復させて自己免疫力を上げることが、回復を早める何よりの治療法となります。

≪注意!≫ ウイルス排出を妨げる「下痢止め」は使わない。

辛い症状には対症療法を行う夏風邪ですが、例外もあります。

夏風邪からくる下痢症状がある場合は、「下痢止め」は使ってはいけません!

なぜなら、下痢を起こすということは、腸の中で増殖しているウイルスを身体の外に出そうと体が防御反応しているということです。

お薬によって無理に下痢を止めてしまうということは、身体の中からウイルスが出るのを止めてしまうことになり、症状の回復が遅くなってしまいます。

下痢症状が続くのは辛いですが、脱水にならないよう湯冷ましや麦茶など刺激の少ない飲み物を摂ることを心がけ、ウイルスが自然に身体から排出されるのを待ちましょう。

4. 夏風邪はまずはかからないように予防が大切。こんなことに気を付けよう!

軽く見てしまいがちな夏風邪ですが、1週間~10日程度と長引くこともあってなかなか治りにくいのが特徴で、症状のピークには数々の辛い症状に悩まされます。

特に小さな赤ちゃんや老人の場合は、症状が急変することや、合併症を引き起こすこともあります。

また、妊娠中や授乳中の場合、赤ちゃんへの影響を考えてお薬の使用を控えるため、辛い症状を抑える対症療法さえも行うことが出来ず、辛い症状がなくなるまでひたすら耐えなければならないことも。

このようにかかってしまうと、辛い夏風邪。まずはなるべくかからないように予防を行うことが大切です。

うがい手洗いをこまめにする十分な睡眠をとるバランスの良い食事をとるなど、どれも日常的なことばかりですが、夏風邪を予防するには、最も効果があります。

これまでもお伝えしてきたように、生活習慣を整えることが「自律神経を整える事」になるためです。

また、家族に夏風邪感染者が出てしまったら、マスクの着用衣類や家具の消毒などを行い、二次感染を防ぐ対策も取らなければなりません。

お子さんの看病の疲れなどで体調を崩すと自分も感染しやすくなってしまうので、看病する側も睡眠や栄養をしっかりとり、自己管理をすることを忘れないようにしましょう。

もうすぐ到来する暑い夏に向けて今から体力を付けて万全の準備をしておきましょう!

普段から風邪を寄せ付けない生活を送り、夏風邪ウイルスを吹き飛ばして、楽しい夏を思いっきり満喫したいですね!

妊娠中、授乳中の夏風邪については以下の記事で詳しく説明しています。

(参考)医療法人 東内科医院 夏風邪対策と予防について
※夏風邪の原因や種類、対策などについて分かりやすく説明してあります。
(参考)潜伏期間ナビ
※夏風邪をはじめとする様々な感染症の原因、症状、治療法などが掲載されています。

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