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2016年4月21日更新

【うつと自殺体験談】あなたの大切な人をうつによる自殺から守る方法

うつ病による自殺願望・希死念慮・リストカットを経験した方の体験談をもとに、うつ病による自殺対策の方法を検討します。
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1. うつ病と自殺の関係

1. さまざまな自殺の背景と自殺に至る経路

自殺の原因は複雑です。さまざまな要因が重なり合った結果として、自殺が起こってしまうというのが自殺の専門家の一般的な見解です。

NPO法人自殺対策支援センター・ライフリンクが2008年に中心となって行った自殺実態調査では、1.うつ病、2. 家族の不和、3. 負債、4. 身体疾患、5. 生活苦、6. 職場の人間関係、7. 職場環境の変化、8. 失業、9. 事業不振、10. 過労、を十大要因とした上で、「自殺の危機要因が互いに連鎖しながら、「自殺の危機経路」を形成している」としています。

同調査において、「うつ病」は自殺の危機要因の中で最も重要ということだけでなく、危機連鎖度が最も高いのが、「うつ病 -> 自殺」経路とされ、その意味でうつ病対策は、自殺の水際対策として重要な位置を占めます。

2. うつ病対策の課題

うつ病対策は何が難しいのか。そこには、うつ病という病気の特徴と日本人の気質の問題が見えてきます。

  • うつ病は、もともと、気付きにくい病気であること。「気分の落ち込み」は誰にでも起こり得ることであり、うつの気分が病気のレベルかどうかの境界はわかりにくこと
  • さらに、自殺の多い世代である中年男性の気質として、仕事を最優先し自分の健康は二の次になりがちな傾向があること
  • そのために受診率が低く、治療につながりにくいこと
  • また、日本の中年男性には、うつ病に対する偏見(たとえば、「うつ病は弱い人がなる病気」など)が根強く残っていること
  • そういった日本人の気質を踏まえた対策が、これまでたてられてこなかったこと

こういったことを踏まえて、うつ病対策を検討していく必要があります。

2. みんなの体験談

うつ病を経験した方、あるいはうつ病のご家族をサポートしていた方の中には、希死念慮・自殺未遂・リストカットなどを経験したという方が多くいらっしゃいます。

ここでは、そういった方の経験談を紹介することで、多くの人が辛い状況を乗り越えることができているということを、まず知っていただければと思っています。

7、8年前に1度うつ病を発症し、無意識に自殺未遂や自傷。精神科ではうつ病と『解離性人格障害』と診断されておりましたが、2年ほど通院して、外で仕事が出来るほどに1度は快癒しました。

ですが、4年くらい前から双極性障害を再び発症し、3年前くらい前からは、ひどい過睡眠に悩まされるようになりました。

双極性障害のほうは、元気なときは本当に健常者と同じかそれ以上に、お喋りで活動的になりますが、鬱に入ってしまうと、何も手につかず、髪くらいはたまに流しで洗ったりしておりましたがお風呂に半年入らなかったこともあります。

過睡眠のせいで前の主人に離婚され、子どもが3人おりましたが子どもとの連絡さえ遮断されたことがキッカケだと思うのですが、何度も無意識に自殺しようとして、ODでICUに救急搬送されて入院したり、首を吊ったりしましたが、何とか命は取り留めました。

躁状態に入ると、感情が昂ぶって制御出来なくなり、怒りの感情に任せてダンプカーに突っ込み、骨折脱臼して2ヶ月入院もしました。

引用元:双極性障害と2.3年前から原因不明の過眠症。仕事、生活に支障。

その時に処方していただいた薬の名前は残念ながら覚えていませんが、5種類ほど出していただいた記憶があります。

しばらくはその薬で腹痛も無くなり、元気な日々を送っていたのですが…これはキッカケにすぎなかったようで、その後いろんな症状が出てきました。

その症状は眠れない・落ち着かない・とにかくイライラ・リストカットをするという感じでした。

今では知られているとおもいますが、心療内科と精神科ではだいぶ使える薬の範囲が違い、通っていた病院では症状が良くならず、他院へと自分で決めて移りました。

精神科というのは凄く難しいと思うのが、お医者様との相性だと思います。

引用元:上司が原因で発症したうつ病。頭痛薬、動悸、自殺願望等の症状。

寝れる時間は限られているのに、寝れない、母乳も出ないということで毎日自分を責め、落ち込みが激しく、食欲もなくなりました。

自分が心理学を勉強していたこともあり、これは鬱なのではないかと自分で思い立ち、病院に受診しました。

こちらの病院は、近くの総合病院に精神科がなく、紹介してもらい、その日のうちにタクシーで急患としていきました。

最初は看護師さんに家族や症状のことなど色々聞かれ、その後中年医師の診療になりました。

先のことが不安で仕方なく、そのことをしつこく訴えましたが、慣れておられたのかひとつひとつにうなづき、安心させるような言葉がけをしてくれました。

とくに心理カウンセラーなどはいませんでしたので、全部医師に訴えました。

結果としては、薬物での治療となり、抗不安薬と抗うつ剤と睡眠薬を処方してもらいました。
引用元:親からの過干渉が原因のうつ病で何度も自殺未遂しました。

最愛の妻を病気で亡くしてから暫くして体調に異変が起き始めました。

無理して仕事は続けていましたが日増しにやる気というか気力がなくなって行きました。

食欲もなくなり10キロ以上体重が落ち眠れない夜を過ごすことが増え自殺願望を持つようになって行きました。
引用元:やたらとマイナス思考になることが抑鬱かは自己判断が難しい。

とにかく体が重怠く、何もする気が起きないのです。それまで好きだったテレビや音楽、本も全く面白く感じなくなっていました。ただ、一日中、ベッドに寝て外を眺めていました。

そんな日々が半年ほど続き、私は少しずつ外の世界への興味や食欲などを取り戻して行きました。

ところが、その頃から我が家は金銭的に苦しくなり、私の看病疲れもあって、今度は母が体調を崩し始めました。そんな母を見ているうちに、私は罪悪感に苛まれ、再びうつ病のどん底へと突き落とされて行ったのです。

母が無理を押して仕事に出かけている最中に、一人になった私は何度も手首を切って自殺未遂を図るようになりました。酷い時には、包丁を首に押し付けたこともあります。その傷跡は今も、くっきりと残っています。

また、この頃から私は酷い幻覚を見るようにもなりました。

そうして訳の分からないことを口走り、母にものを投げたりしました。そんな私を見かねて、母は私を精神科病院に入院させることにしたのです。勿論、私は嫌がりましたが、正直、もう自分で自分を制御できない状況にあったので、今から思えば当然の措置でした。

引用元:仕事のストレスで抑うつ症に。再発防止の為、定年まで通院。

父は会社から帰ってくると、自分の部屋に引きこもる事が多くなりました。お酒の量も増えていましたし、笑顔が消えたので心配していました。

休日になるといつも出かけていたのですが、休日になっても家に引きこもりっぱなしで、家族と会話をしようともしませんでした。

気になって、父が会社に行っている時に父の部屋を調べてみると、切れた電気コードを輪の様にしている物を発見しました。

明らかに、誰の目から見ても首吊り用の紐でした。母に相談しても、首吊り用の紐にしか見えないという事でした。

父が帰ってきたら、すぐにこの事を説明すると、その紐は捨てていいと言ってすぐに部屋に引きこもりました。

これでは、いつ自殺してしまってもおかしくない状態だと思い、心療内科に連れて行きました。

最初は凄く嫌がっていたのですが、強引に連れて行く事に成功しました。

診断結果はうつ病という事でした。

会社での人間関係や重圧で悩んでいたらしいです。

家族も父のうつ病を理解する様になり、会話を増やしたり、悩みを相談したりする事にしました。

引用元:うつ病で自殺未遂。回復に必要なのは「自堕落に過ごすこと」

3. あなたやあなたの大切な人をうつによる自殺から守る方法

1. 上手なリラックス法を身に付けて、うつ病を予防する

うつ病になりやすいのは、まじめで律儀で几帳面な人です。ストレスは誰にでもあるので、それをどこでどのように発散するか、心身の健康を維持するカギになります。

2. うつ病を予防する「7つのストップ」

参考までにカナダのうつ病の自助グループが掲げている「7つのストップ」を紹介したいと思います。

  1. 完全主義をやめる
  2. 自分のミスに厳し過ぎるのをやめる
  3. すべてをコントロールしようとするのをやめる
  4. 余計な関わりを持つことをやめる
  5. 自分の体調や健康を無視するのをやめる
  6. 仕事をストップして自分や家族のために時間を取る
  7. 自尊心が高いあまり助けを求めてない、ということをやめる

3. 趣味の入り口は身近なところから

  • 音楽を聴く
  • 本を読む
  • 映画を観る
  • カラオケを楽しむ
  • 散歩をする
  • 家族と買い物に行く
  • 自治体が運営する講座・講習会に参加する
  • 美術館や博物館に行く
  • ボランティアに参加する

など、仕事から離れて、好きなことに没頭して気分をリフレッシュすることは、心身を健康にする上でとても重要なことです。

仕事以外の人との交流を通じて、会社に代わる「居場所」を見つけることをお勧めします。

4. 周囲の人はうつ病の患者さんを見守る

1. うつ病は改善する病気であると認識する

「うつ病は改善する」という知識があれば、うつ病が疑われた時、早期に専門医のところで診察を受けることができます。

抗うつ薬による治療が始まってからも、このような周囲の人の理解と協力がスムーズな治療を可能にし、早い回復につながります。

2. 周囲が、体調や仕事ぶりの変化を見逃さない

元気がない、痩せてきた、食欲がない、という変化が出たり、ミスが多くなった、集中力が落ちた、能率が悪くなったという変化に気づくようにしましょう。

3. うつ病の人は自殺する危険性が高いと認識する

うつ状態になると、「生きよう」「生きたい」という気持ちが失われます。

特に、眠れない辛さから朝に自殺する人は多いことに注意が必要です。できる限り、患者さんを一人にしないようにしましょう。

4. 不眠は睡眠薬やアルコールでは治らないと認識する

薬物依存やアルコール依存に陥るリスクを減らす必要があります。家族の方は、睡眠薬やアルコールに過度に頼らせないように気をつけましょう。

5. 励まさず、ゆっくり休養させる

うつ病の方は、生きようとするエネルギーがなくなっている状態にあります。治療には抗うつ薬を飲むとともに、安静休養も必要です。

患者さんの気持ちを理解し、ゆっくり休養できる環境を整えましょう。

6. うつ病は再発しやすいことを認識する

治療が不完全だと、半年や一年の間に再発しやすいことがわかっています。「もう治った」と勝手に判断して服薬や休養をやめてしまうことのないように、家族が協力していきましょう。


<出典>

  1. 筒井末春署(東邦大学名誉教授、人間総合科学大学大学院教授、JICA健康管理センター総括顧問医)「うつと自殺」
  2. 松本伸晃著「うつ自殺を止める:<睡眠>からのアプローチ」
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