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2016年4月20日更新

【双極性障害】みんなの双極性障害・躁うつ病体験談

双極性障害を経験したことのある方の体験談をもとに、双極性障害の症状、治療方法を紹介します。
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1. 双極性障害とは

双極性障害を、「双極I型障害」と「双極II型障害」の二つに分類することになっています。

I型とII型の違いは、躁状況の程度の違いのみによって診断されます。

一度でも激しい躁状態があれば、その後、軽躁状態やうつ状態しかなくても、双極I型障害と診断されます。

一方、双極II型障害というのは、周りから見て人格が変わったように”過度な元気さ”を発揮する「軽躁状態」と、うつ状態を繰り返すものを言います。

1. 双極I型障害とは?

双極I型障害は、患者さんの人生や家庭が破壊されかねない、激しい躁状態がひとつの特徴です。

しかし、本人によって躁状態の時は、非常に高揚した爽快な気分になっています。そして自分がとても偉くなったと感じます。

夜も寝ず、声が嗄れるまでしゃべり続けたり、あるいはまったくじっとしていることができず、一晩中、一日中動き続けます。

けれども本人には、その疲れが自覚できず、身体は消耗してしまいます。昔は、自分がどれくらい疲れているかわからず、昼夜動き続けた結果、疲労で亡くなったという症例もあるほどです。

双極I型障害と双極II型障害は、躁状態には大きな違いがありますが、うつ状態は両方とも同じ程度です。

うつ状態というのは、抑うつ気分、そして興味・喜びの喪失、この二つの症状が中核症状です。

2. 双極II型障害とは?

双極I型障害が、先に述べたような、うつ状態と躁状態をくりかえすものであるのに対し、双極II型障害は、I型と同じようなうつ状態と、軽躁状態を繰り返す病気です。

I型とII型の違いは躁状態があるのか、あるいは躁状態ではなく軽躁状態があるのかによります。

3. さまざまなうつ病

1. メランコリー型うつ病

  • 精神運動制止とよばれる動作がゆっくりになってしまう症状
  • すべてのことに興味を失ってしまう症状
  • 日内変動という朝具合が悪くて夕方は少しましになるという症状
  • 罪悪感

こういった症状の見られるうつ病は、これまでは内因性うつ病とよばれ、現在はメランコリー型うつ病とよばれています。

DSMでは、「大うつ病 メランコリーを伴うもの」と記載されていて、これが典型的なうつ病です。

2. 非定型うつ病

これは最近急激に増えているタイプのうつ病です。

抑うつ気分があるけれでも、多少よいことがあると気分が良くなったりする、というように、気分が変化しやすいことや、対人関係で過敏になりやすいことなどがあります。

過眠や過食も特徴のひとつで、身体中が重くなってしまうというような身体症状もあります。

3. 季節性うつ病

主に冬になるとうつ状態になってしまううつ病です。

普通のうつ病は、不眠や食欲低下が出てくるのに対して、この病気は過眠や過食といった症状が特徴です。

冬に多く、冬の日照時間が少ない高緯度地方に多く見られます。この季節性うつ病は、朝方二時間くらい強い光を浴びる光療法でよく治ります。

4. 血管性うつ病

七十五歳以上のうつ病の患者さんのMRI(磁気共鳴画像)を撮ると、ほとんどの方に、脳梗塞の跡が見つかります。

これくらいの高齢になると、元気に暮らしていて脳卒中にかかったことがない人でも、少なからず脳梗塞の跡が見られます。これを潜在性脳梗塞と言います。

しかしその頻度は明らかに、うつ病の方のほうが多いので、なんらかの関係があるだろうと考えられていて、これを血管性うつ病と呼んでいます。

2. 双極性障害の治療

1. 薬物療法

精神科領域で用いられている薬には、大きく分けて、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬、精神刺激薬などがあります。

以下が、双極性障害に用いられる薬です。

薬品名 有効性 適応症
予防 うつ
<気分安定薬>
リチウム 躁病および躁うつ病の躁状態
バルプロ酸 × 躁病および躁うつ病の躁状態
カルバマゼピン × 躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態
ラモトリギン × てんかん(他の抗てんかん薬との併用)
<定型抗精神病薬>
ハロペリドール × × 躁病
レボメプロマジン × × 統合失調症、躁病、うつ病における不安・緊張
クロルプロマジン × ×  統合失調症、躁病、神経症における不安・緊張・抑うつ、人工冬眠、催眠・鎮静・鎮痛剤の効力増強
スルトプリド × × 躁病、統合失調症の興奮および幻覚・妄想状態
ゾテピン × × 統合失調症
<非定型抗精神病薬>
オランザピン 統合失調症
リスペリドン  ○ × × 統合失調症
クエチアピン 統合失調症
アリピプラゾール  ○ 統合失調症
<三環系抗うつ薬>

イミプラミン、クロミプラミン、アミトリプチリン

× × × うつ病・うつ状態
<SSRI>
フルボキサミン × × × うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害
パロキセチン × × × うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害
セルトラリン  × × × うつ病・うつ状態、パニック障害
<その他の抗うつ薬>
ミルナシプラン × × × うつ病・うつ状態
アモキサピン × × × うつ病・うつ状態
トラゾドン × × × うつ病・うつ状態
ミアンセリン × × × うつ病・うつ状態

○:有効のエビデンスあり, △:有効性を示唆するエビデンスあり, ×:有効のエビデンスなし

2. ECT(電気けいれん療法)

ECT(電気けいれん療法)は、うつ病に対する治療法の中では、最も効果が高く、即効性もあるため、抗うつ薬の効果が乏しい難治性のうつ病に対して広く行われています。

即効性があることから、自殺念慮の強い場合には、ぜひ試みるべき治療と言えます。

通常、この治療を週二、三回で五〜八回を繰り返すのを一クールとします。効果は直後に現れることも多いのですが、二、三回施行後から現れることもあります。

主たる副作用としては、記憶力の低下が出る場合があります。

3. 精神療法

双極性障害の治療は薬物療法が一つの柱であり、もうひとつの柱が広い意味での精神療法です。

精神療法というと、精神分析やカウンセリング、そして「心」といった言葉が頭に浮かぶかもしれません。

しかし、双極性障害は、いわゆるカウンセリング、あるいは精神分析だけで治るということは難しいです。

3. みんなの双極性障害体験談

病気の発生原因は、人に騙されたため、その後一月位かけて少しずつ異常が発生し始めました。

まずは、食欲不振が始まり、食べたいと思わなくなった事。それから一日0食から1食食べるか食べないかの状態が始まりました。

それと、時々ではありましたが、吐き気が出始め、食べた後、もしくは食べなくても吐いてしまうことが多数ありました。

それから、食べない事が原因かわかりませんが、便秘がちになり、一週間に一度排泄があるかないかの状態が続いていきましたが、この時点ではまだ、病気だと思わなかったです。

次に出てきました症状としましては、不眠、眠る時間が日に日に少なくなっていき、一日1時間も眠れなくなっていきました。

このあたりで異常があるとは思いましたが、病院へ行く程ではないと思っておりました。

そして、病院に行くキッカケになったのは、頭痛が出始めたからです。何もしていなくても頭が痛くなる。動けない位痛みが発生する時間が長くなったため、頭痛薬をもらうつもりで病院へ受診しました。

引用元:頭痛がきっかけで発覚した成人してからの双極性障害。

昨日は今年初めての精神科受診、カウンセリングを行ってきました。医者からは、去年よりは良いですねと言われました。
なぜなら、去年の年始は精神障害が悪化し、入院せざるをえない状況だったのだが、今年は入院までしていないからである。

一昨年の年末から去年の年始はたぶん一番酷かったのか、動くことも、立ったり、歩いたり、行動する事もしんどくて、グッタリとなっておりました。

ほとんど寝ているだけの本当の寝正月になっておりました。それからすれば、今年はまだ動くこと、歩いたり食事したりができたので、病院の先生からは今年はまだ良い方だと診断がされたのだと思います。
引用元:双極性障害のカウンセリングでは休養の為に働かないよう注意される

4年くらい前から双極性障害を再び発症し、3年前くらい前からは、ひどい過睡眠に悩まされるようになりました。

双極性障害のほうは、元気なときは本当に健常者と同じかそれ以上に、お喋りで活動的になりますが、鬱に入ってしまうと、何も手につかず、髪くらいはたまに流しで洗ったりしておりましたがお風呂に半年入らなかったこともあります。

過睡眠のせいで前の主人に離婚され、子どもが3人おりましたが子どもとの連絡さえ遮断されたことがキッカケだと思うのですが、何度も無意識に自殺しようとして、ODでICUに救急搬送されて入院したり、首を吊ったりしましたが、何とか命は取り留めました。

躁状態に入ると、感情が昂ぶって制御出来なくなり、怒りの感情に任せてダンプカーに突っ込み、骨折脱臼して2ヶ月入院もしました。
引用元:双極性障害と2.3年前から原因不明の過眠症。仕事、生活に支障。

それからおそらく10箇所以上の病院を渡り歩いた。あまりにもずさんな病院が多く、一週間ごとに別の薬になったりと体調も安定せず、副作用に悩まされた。

家族がテレビに出ていたひもろぎ心のクリニックに初診予約をしてくれ、行くことになった。

今まで問診だけでうつ病と診断されてきたが、この病院は採血や脳波検査をして診断してくれた。

診断の結果は双極性障害だった。双極性障害とうつ病は同じようなものだと捉えられがちだが、別の病気なので、双極性障害に合わせた薬を処方されてからみるみるうちに良くなってきた。

引用元:うつ病で服薬しても回復しない。科学的な検査で双極性障害と判明。

会社では「仕事が早い」「気がきく」「元気」との評価、入社してすぐに管理職に抜擢され、寝ずに働きました。

とても充実感があって楽しくて、寝るのが惜しいと思っていました。

しかし数ヶ月で精神状態が落ち込み出社できなくなり、退職。

上記のことを、20代から30代前半まで、5回は繰り返しています。

他にも、自分は何でもできるような気分になったり、お金を使いすぎたり、恋愛に奔放になったりした反面、落ち込んだときはひきこもりです。

寝るのが惜しいと思って仕事をしていた直後に、ガクンと落ち込み、誰とも会いたくない電話も出たくないという気持ちになり、精神科に行くと、双極性障害との診断を受けました。

まさにその通りと思いました。

先生に、しっかりと服薬をすれば、人生変わりますよと言われ、リーマスとデパケンを内服しています。今はごく少量で症状は安定しています。

気分が上がっている時は、自分が病気だということを忘れがちです。

なので、調子の良いときこそ、自分の心の内に耳を傾けてるようにしています。

先生には、眠りたくない気持ちや予定を詰め込みたくなる気持ちは要注意と言われました。

また、リーマスは飲み続けるとリチウム中毒の危険性があるとのことなので、月に一度は血液検査をして血液中のリチウム濃度を調べてもらっています。

 

引用元:気分が沈むのと高揚するの繰り返し…双極性障害と診断されました。


<出典> 加藤忠史:「双極性障害 – 躁うつ病への対処と治療」

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コメント
  1. BP

    2型が[本人も困らない程度の軽躁]は間違いです。それは病気とはいいません。
    [本来のその人の様子とは明らかに違って、まわりの人から見ても違いが分かる。
    本人が判断力とコントロールの意思(できるとは限らない)を失わず、病識がある。
    社会生活を維持することは出来て、重篤な狂乱状態にならない]です。
    スペクトラム上の軽度~重度 どこに位置するかにもよりますが、
    酩酊している人に見られる特徴が部分的に似ているかもしれません。

    大口を叩いてしまったり、不適切で無礼な態度を取ってしまったり、
    所得の範囲内とはいえ予算外の買い物をしたり、酷く怒りっぽかったりで、
    社会生活上、致命的というほどではありませんが対人摩擦や信用失墜は免れません。

    例として、過度の多弁で終日、1分と黙っていられない患者を考えてください。
    電話をかけまくり、おなじ話を繰り返し、延々と他人に話しかけつづけます。
    直接に致命的な自己破壊・他害行為ではないけれど関係者・周囲には迷惑行為であり、
    通常の仕事は優秀であっても、通常の評価の対象になりません。
    場合によってはビジネス上の大きな失敗につながったり、失職することもありえます。

    当事者は自己阻害的な行為による困難に突き当たっています。
    困難が生じなければ、そもそも病気ではありません。

    2017年7月22日 9:11 AM コメントに返信
    • Calooマガジン編集部

      BP様

      貴重なご指摘をいただき、誠に有難うございます。

      当該箇所につきまして内容を精査した上で、
      > 本人も困らない程度の軽い躁状態である
      の文言を削除し、
      > 周りから見て人格が変わったように”過度な元気さ”を発揮する
      と記載を改めさせていただきました。

      2017年7月24日 10:10 PM コメントに返信

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