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2017年4月11日更新

足の不快感、違和感で眠れない…むずむず脚症候群の症状・原因・治療法

寝ている時に感じる足の不快感は「むずむず脚症候群(RLS)」かも。透析中・妊婦・中高年女性に多く、レストレスレッグス症候群・下肢静止不能症候群とも。何科を受診すれば良いか、症状・原因・セルフチェック方法、治療法・薬について紹介します。
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布団に入ると、どうしても足の奥が「ムズムズ」「ジンジン」「虫が這っている」ようで、とても不快。
そして、寝たいのに、どうしようもなく足を動かしたい衝動に駆られる。
夜になると、強く感じる足の不快感で、何だか不眠症……

その症状、もしかして「むずむず脚症候群」が原因かもしれません。

「むずむず脚症候群」とは通称で、正式名称は「レストレスレッグス症候群(RLS)」といい、日本では別名「下肢静止不能症候群」とも呼ばれる睡眠障害の一種です。

欧米(特に白人)の「むずむず脚症候群」有病率は10%と比較的高いですが、厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針 2014」によると、日本での有病率は約2%~5%(約200万人前後)となっています。
しかし、なかなか症状を的確に人に伝えにくいだけでなく、あまり一般的に知られていない病気なので、見過ごされるケースもあるため、多くの潜在的患者がいると考えられています。

とはいえ、妊婦さんなど比較的女性に多く、特に透析患者さんの約20%が、この足のムズムズ不快感で悩まされているのです。

今回は、そんな「むずむず脚症候群」の症状・セルフチェック方法や原因、疑いがあったら何科を受診するか?検査~治療法について、ご紹介します。

1.足に起こる強烈な違和感で不眠症に!?「むずむず症候群(RLS)」症状・原因

じんじん・むず痒い・どうしても動かしたい……「むずむず脚症候群」症状セルフチェック

こんな症状ありませんか?

<「むずむず脚症候群」チェックリスト>

  • 脚の内部(奥の方)が、「じんじん火照る・むずむず・かゆい・虫が這っている・チクチク痛い」と感じる。
  • 足を動かしたい強い衝動がある。
  • じっと座っている時・横になっている時に症状は起こりやすく、趣味や仕事等に集中していると感じにくい。
  • 歩いてみる、運動をしてみる等、足を動かすと不快感が改善。
  • 足の不快感は、夕方から夜にかけて現れる。
  • 寝ている時に、足がピクピク動いている(周期性四肢運動)と人から言われたことがある。

上記の項目は、「むずむず脚症候群」の代表的な特徴です。

チェックリストのすべてに当てはまる場合は、「むずむず脚症候群」を発症している可能性があります。
いくつか当てはまる場合にも、「むずむず脚症候群」の危険信号です。

また、周期性四肢運動(と疑われる)足の様子は、次の動画で確認できます。

(出典)周期性四肢運動障害(レストレスレッグス症候群)|carrierehoikuさん撮影

さらに、この「足の奥がムズムズする」という感じ方には個人差があり、ムズムズする部位も足から始まることがほとんどですが、次第に腕や背中にも感じるようになってくる人もいます。

(図)足に感じる不快感は人それぞれ
※クリックすると、拡大します。

「むずむず脚症候群」の”足などの不快感”は、眠るとまた起こってくるという特徴もあり、それが気になり、結果として不眠症になってしまう可能性がある「睡眠障害」の一つと捉えられています。

■「むずむず脚症候群」の合併症発症リスク

「むずむず脚症候群」を発症していない人に比べ……

  • 寝られないことによるうつ病リスク→2.32倍
  • 寝られない≒交感神経が活発なので、心筋梗塞・脳卒中リスク→2.07倍

神経異常・鉄欠乏・遺伝が関連-「むずむず脚症候群」の原因

「むずむず脚症候群」の原因は、まだ明確にはなっていませんが、下記の3つに深い関連性が指摘されています。

  1. 神経異常(ドパミン神経)
    ドパミン(ドーパミン)とは、中枢神経伝達物質で運動調節、意欲、感覚、学習などを制御する神経に関連。
    そのため、ドパミンが不足すると、運動・感覚の動き(興奮)を抑えることが出来なくなり、過剰な動きにつながってしまう。
  2. 鉄欠乏
    「鉄」は、ドパミン産出に必要で、さらにドパミン放出の調整にも関わっている。
  3. 遺伝
    これまでの研究調査で、「むずむず脚症候群」を発症している患者の家族には、同じく「むずむず脚症候群」を持っている人が多いことや「むずむず脚症候群」の早期発症者(45歳以前)の多くに遺伝子要因が関係しているとされる報告があります。また、BTBD9遺伝子などが「むずむず脚症候群」に関連しているとも。

また、「むずむず脚症候群」の患者の多くは、原因が特定できない「特発性」ですが、慢性腎不全(とくに透析中)、妊娠、鉄欠乏性貧血、関節リウマチ、パーキンソン病など他の病気や薬剤が原因となる「二次性」の場合もあります。

(参考)ムズムズ脚|新橋スリープ・メンタルクリニック
こちらのページでは、「むずむず脚症候群」の原因や代表的な症状について、説明されています。
(参考)標準的神経治療:Restless legs症候群|日本神経治療学会治療指針作成委員会
こちらのページでは、「むずむず脚症候群」の診断基準・合併症・治療等について、診療ガイドラインとして、説明されています。

透析中・妊婦・中高年の女性は要注意-「むずむず脚症候群」になりやすい人の特徴

「むずむず脚症候群」になりやすい人には、①40代~70代頃の中高年女性②妊婦③透析患者という特徴があります。

  1. 40代~70代頃の中高年(特に女性)
    • 加齢に伴い40代以降増えて、60・70代がピークとなり、男女比は約1:1.5で女性が多い傾向。
      ただし、小児期から青年期までに発病する人も約20~30%いる。
  2. 鉄欠乏性貧血の人
    • 妊婦さん
      妊娠中期(妊娠5ヵ月~7ヵ月)~妊娠後期(妊娠8ヵ月~10ヵ月)は、胎児の成長のために赤血球を使い、酸素や栄養を送り続けていることから、母体は常に赤血球を作るために必要な鉄分量が不足しやすい状態となっています。
      赤血球が不足すると「悪性貧血」になったり、母体だけでなく胎児も自分で血液を作り始めるため、より鉄分が不足し、ヘモグロビンが作られない「鉄欠乏性貧血」になりやすくなります。
  3. 慢性腎不全の人(特に、人工透析患者)
    • 二次性副甲状腺機能亢進症・高カルシウム血症・高リン血症等の影響があるのではと考えられていますが、未だ原因は明らかになっていません。

(参考)ママになるためのQ&A|マタニティークリニック 小島医院
こちらのページでは、妊婦さんと貧血以外にも花粉症やつわりなど、よくある疑問について解説されています。
(参考)患者さんからの質問箱|公益財団法人 日本腎臓財団-腎不全を生きる vol.46 2012
こちらのページでは、同財団が行った「透析患者さんと睡眠障害の実態」アンケートの結果や透析患者さんの睡眠障害に関する質問について、医師による解説が行われています。

2.「むずむず脚症候群(RLS)」が気になったら?-受診の流れ・検査方法

「むずむず脚症候群」には、4つの大きな特徴があります。

  1. 足の異常感覚(不快な症状:ジンジン・ムズムズ等)+足を動かしたいという強い欲求がある。
  2. 静かに横になったり、座ったりしている状態で現れたり、増悪する(ひどくなる)。
  3. 歩いたり、足を伸ばす等の運動によって改善
  4. 日中より夕方・夜間に増強する

そして、その症状に起因し、不眠症に陥る可能性があります。

また、治療をせず放置しておくと、不眠症以外にもうつ病など心の病気や心筋梗塞・脳卒中など心血管疾患を合併する可能性もありうるので、気になる症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。

もしかして「むずむず脚症候群」かも?-「睡眠外来」や神経内科・精神科へ

足の不快感からか、「皮膚科」や「整形外科」を受診してしまう人も中にはいるようですが、「むずむず脚症候群」は、皮膚の問題や足の外科的問題ではないため、「皮膚科」や「整形外科」の診療対象ではありません。「むずむず脚症候群」を見逃されてしまったり、無駄足となってしまう場合がありますので、ご注意下さい。

「むずむず脚症候群」は睡眠障害の一種です。
そのため、睡眠障害を診ている医療機関を受診すると、良いでしょう。

  • 睡眠(障害)外来
    →日本睡眠学会認定の「睡眠医療認定医」が在籍している場合も。

全国の睡眠障害専門外来のある病院を「病院口コミ検索Caloo」で探す

<お住い・勤務先など、身近に「睡眠外来」がある医療機関がない場合>

  • 神経内科
    →ドパミン神経異常が原因の一つと考えられているため、頭痛やパーキンソン病など同様、脳・神経に詳しいところで診てもらうとよいでしょう。
  • 精神科
    →うつ・不安などメンタルな問題、不眠症などの睡眠障害の治療を行っているところも。

ただし、実際「むずむず脚症候群」を診ているかどうかは、医療機関ごとに異なりますので、事前にHPなどでご確認の上、受診することをオススメします。

①問診&診察

まずは、下肢の不快感や困っている症状について、問診が行われます。
似ている疾患との区別をするためにも、感じていることについて、できるだけ詳しく医師に伝えましょう。

  • 症状が出始めた年齢や期間
  • 症状が出ている部位 
  • 日中の不随意運動(自分の意思とは関係なく現れる異常運動)の有無
  • 就寝中の周期性四肢運動(下肢が周期的にピクっと動くことが)があるか?
  • 家族歴
  • 既往症(腎不全・人工透析、貧血、糖尿病、動脈硬化性疾患、神経筋疾患など)
  • 症状の増悪因子と考えられている飲酒・喫煙・カフェイン飲料の摂取状況や頻度など

②血液検査

鉄代謝の低下が発症の原因の一つと考えられていることから、血液中の鉄分(血清フェ リチン)の量を確認したり、他の病気や薬剤が原因となる「”二次性”むずむず脚症候群」の要因を調べるために行われます。

また、「むずむず脚症候群」の薬物療法で一般的となっている薬の多くが、腎排泄となります。(2017年4月現在)
腎機能障害を持っている人が腎排泄タイプの薬を服用すると、薬の排泄が遅れ、体内に溜まってしまうことで、重い副作用が起きたり、中毒症状を引き起こしかねません。

そのためにも、一般血液検査は、薬を選択する際に重要なポイントとなります。

■対象となる人

  • 「むずむず脚症候群」を疑われる患者さん

③鑑別検査-下肢静止検査(SIT)・終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)・アクチグラフ

「むずむず脚症候群」患者さんの約50~80%に、下肢の不随意運動(自分の意思とは関係なく現れる異常運動)や周期性四肢運動(下肢がピクっと動く)が見られます。

■対象となる人

  • 「むずむず脚症候群」の可能性は高いが、チェックリストのような典型的症状ではない場合
  • 足の不快感よりも日中の眠気を強く訴える場合
  • 重症のレストレスレッグス症候群に罹患し、痛みに対して麻酔性鎮痛剤オピオイド)が検討されている場合
    (日本では管理の問題から、あまり選択されることは多くない。)

■下肢静止検査(SIT)

SITとは、Suggested Immobilization Testの略で、足が静止していられるかを診る検査。PSG検査を行う前(寝る前)に、足を延ばした状態でゆったり椅子に座って、「むずむず脚症候群」の感覚異常や運動症状を調べます。

■終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)

PSG検査とは、医療機関に1泊入院し、脳波や心電図など精密検査を行い、呼吸+睡眠の質を測定します。

◆睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査としても有名な「PSG検査」の詳しい内容や費用については、次の記事で詳しく説明しています。
PSG検査・CPAP療法も保険が効く!「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の検査・治療法

■アクチグラフ

覚醒時と睡眠時の周期性四肢運動を調べる検査。
手首や足首に腕時計のようなバンドを装着するだけなので、家庭でも手軽に長時間測定可能。

④診断・治療

基本的には、患者さんの訴えを基に、前述した特徴的な症状に当てはまるか、他の似ている病気との鑑別などを行い、総合的に判断されます。

■「むずむず脚症候群」に似ている病気

  • アカシジア
  • 痛む脚と動く趾症候群
  • 線維筋痛症
  • 多発性神経障害
  • 下肢の血管疾患(跛行・静脈うっ血など)
  • 感情障害 など

(図)「むずむず脚症候群(RLS)」と似ている病気との違い
※クリックすると、拡大します。

(参考)むずむず脚症候群|前田呼吸器科クリニック
こちらのページでは、「むずむず脚症候群」の疫学や病態などについても、説明されています。

3.基本は生活習慣の見直し!+薬物療法-「むずむず脚症候群(RLS)」の治療方法

日本の有病者数は、概ね200万人~500万人いると考えられています。
中でも、「むずむず脚症候群」患者会の調査によると、積極的な治療が必要な患者さんは、そのうち約1%(50万人前後)と見られています。

生活習慣の見直し・適度な運動・ツボによって症状軽減も。

まずは、生活習慣を見直してみましょう。
軽症の場合は、生活習慣を見直し改善してみるだけで、症状が軽くなるケースも!

  • 刺激物(たばこ・コーヒーや紅茶などカフェイン入り飲料・アルコール)の摂取を控える。
    →特に夕方以降は、睡眠にも影響を及ぼすことがあるので、避けましょう。
  • ウォーキングやストレッチなど適度な運動や足のマッサージを行いましょう。
    ※やりすぎには要注意。
  • バランスの良い食事を心がけましょう。特に、鉄分を多く含む食品を積極的に摂りましょう。
    →鉄分を多く含む食品:レバー・ひじき・魚(カツオ・マグロ・イワシ等)・赤貝・カキ・小松菜など
  • じっとしなければならない時は、趣味など何か集中できるものを見つけ、症状から注意をそらす工夫をする。
  • 睡眠日記をつける。
    →最近では、スマートフォンで手軽に記録をつけることが可能なアプリも出ています。
    (参考)

  • 血液循環を促進させ、足の不快感や不眠を和らげるようなツボを押してみましょう。

<「むずむず脚症候群」症状軽減におすすめのツボ>

  •  足三里(あしさんり)……膝のお皿のすぐ下にある外側にあるくぼんでいるところから、指幅4本分(人差し指~小指)置いて、小指の部分。万能ツボ。

(出典)足三里のツボ|せんねん灸公式

  • 承山(しょうざん)……つま先立ちでアキレス腱をふくらはぎの方へ沿っていくと、ふくらはぎが膨らみ始める手前にへこみがある部分。足のむくみ・疲れなど足に効くツボ。

(出典)承山のツボ|せんねん灸公式

  • 失眠(しつみん)……足のかかとの真ん中。不眠や水分代謝を改善するツボ。

(参考)非薬物療法|特定非営利活動法人 むずむず脚症候群友の会
こちらは、RLSの方同士の情報交換の場やRLSについての啓発活動等を行うNPO法人サイトです。
こちらのページでは、非薬物療法で行われる生活改善の方法について、説明されています。
(参考)貧血予防に効く栄養素と食材|女子栄養大学
こちらのページでは、貧血に予防に良い食材を春夏秋冬ごとに、ご紹介されています。
(参考)むずむず脚症候群|ふたば鍼灸院
こちらのページでは、「むずむず脚症候群」の鍼灸治療の方法について、説明されています。

薬物治療-①商品名「ビ・シフロール」(ドパミン作動薬):第一選択薬

生活習慣を見直しても、症状に改善が見られなかった場合には、並行して薬物療法を行います。

2017年4月現在、「むずむず脚症候群」治療の薬物療法における第一選択は、ドパミン作動薬です。

ビ・シフロール(成分:プラミペキソール塩酸塩水和物)の特長・効果

  • 元々パーキンソン病治療薬だったが、2010年1月「むずむず脚症候群」追加で保険適応
    ※速放錠(ビ・シフロール錠)のみで、同成分の徐放錠(ミラペックスLA)は適用外。
  • ドパミンアゴニスト(ドパミンを増やす物質)として、神経に作用する。
  • 【治療対象】中等度~高度の「特発性むずむず脚症候群」患者さん
  • 効果が出るまで1~3時間かかるので、寝る2~3時間前服用し、少量からスタート。
  • 血中半減期は10時間と長い。
  • 注意すべき点(別の薬を服薬中・妊娠中・腎機能低下中の服用など)が多いので、必ず医師に伝えましょう。

ビ・シフロールの副作用・服用上の注意点

  • 吐き気や胃の不快感が副作用として起こる場合がありますが、「むずむず脚症候群」では少量使用のため、比較的副作用が起こることは少ない。
  • まれに、突発的に眠り込んでしまったり、衝動制御障害が起こって、ギャンブルや買い物衝動が止められないなど自制心にかける行動を取ることも。
    →車の運転・危険な作業・高所作業は、避けましょう。
    ご家族が服用する場合にも副作用・注意点は確認しておきましょう。
  • 妊娠中は服用NG。授乳中も服用する場合には、その間授乳を止めましょう。
  • 統合失調症など精神疾患がある人は、精神疾患が悪化することがあります。
  • 薬の排泄が遅れる可能性があるため、高齢者・腎臓に疾患がある人も注意が必要です。
  • 長期連服用すると、反跳現象(薬が切れる時期に、症状が強く出る)と症状促進現象(服用前より症状が悪化する)が出る場合も。

<注意すべき薬の飲み合わせ>

市販薬を含め、服用中の薬がある場合には必ず医師に報告を!

  1. 薬の排泄が遅れ、副作用が強まることも。
    • 胃薬(タガメット)
    • A型インフルエンザウイルス感染症(シンメトレル)
    • 飲酒
  2. 併用すると、どちらの薬も作用が弱まる可能性がある。
    • 安定剤(フェノチアジン系、ブチロフェノン系など)

(参考)ビ・シフロール|おくすり110番

薬物治療-②商品名「レグナイト」(抗てんかん薬):第二選択薬

レグナイト(成分:ガバペンチン エナカルビル)の特長・効果

  • 興奮系神経の抑制と抑制系神経の増強によって、足の異常感覚を抑えると考えられている。
  • 【治療対象】中等度~高度の「特発性むずむず脚症候群」患者さんで、前述した第一選択薬:ビ・シフロールが副作用などで使用できない場合や効果不十分な場合
  • 2012年1月保険適応。
  • 既存の抗てんかん薬(ガバペンチン)よりも吸収効率が優れていて、効き目が長い(血中半減期は5~7時間)。
  • 他の治療薬「ビ・シフロール」よりも腎排泄に関する制限が厳しい。(クレアチニンクリアランス30mL/min未満の人は禁忌)

レグナイトの副作用・服用上の注意点

  • 薬の排泄が遅れる可能性があるため、高齢者・腎臓に疾患がある人も注意が必要です。
    ※人工透析患者さんは禁忌。
  • 主な副作用は、立ちくらみ・眠気。
  • 長期服用で体重増加する場合も。

<注意すべき薬の飲み合わせ>

市販薬を含め、服用中の薬がある場合には必ず医師に報告を!

  1. 薬の吸収を増加させ副作用を強める可能性がある。
    • 鎮痛薬(モルヒネなど)
  2. 徐放性が失われ、成分が急速に溶け出す可能性がある。
    • 飲酒

(参考)レグナイト|おくすり110番

薬物治療-③商品名「ニュープロパッチ」(日中の不快感・腎障害がある):貼り薬

ニュープロパッチ(成分:ロチゴチン)の特長・効果

  • ビ・シフロール錠同様に、ドパミンアゴニスト(ドパミンを増やす物質)として神経に作用し、世界で唯一のドパミン作動薬の貼り薬。2013年保険適応。
  • 【治療対象】人工透析患者など腎臓機能が低下した人・日中に不快感がある人・他の治療薬で効果がなかった人
  • 眠気や傾眠の副作用が目立つので、特に要注意。
  • 1日1回貼って、24時間作用するため、日中の不快症状にも対応可能。
  • 肝臓で代謝するタイプ。

ニュープロパッチの副作用・服用上の注意点

  • 貼り薬ゆえに皮膚の炎症が起こることがあるので、前日と同じ場所には貼らない。
    ※どこに貼ったかチェックシート等で管理すると良い。
  • 貼り忘れても2回分をいっぺんには貼らない。
  • まれに、突発的に眠り込んでしまったり、衝動制御障害が起こって、ギャンブルや買い物衝動が止められないなど自制心にかける行動を取ることも。
    車の運転・危険な作業・高所作業は、避けましょう。
    ご家族が服用する場合にも副作用・注意点は確認しておきましょう。
  • 妊娠中は服用NG。授乳中も服用する場合には、その間授乳を止めましょう。
  • 統合失調症など精神疾患がある人は、精神疾患が悪化することがあります。
  • 重い心臓病・重い肝臓病の人は、注意が必要。

<注意すべき薬の飲み合わせ>

市販薬を含め、服用中の薬がある場合には必ず医師に報告を!

  1. 作用増強で精神症状が現れることも。
    • 他の抗パーキンソン薬(レボドパ、抗コリン薬など)
  2. 併用すると、どちらの薬も作用が弱まる可能性がある。
    • 安定剤(フェノチアジン系、ブチロフェノン系など)
  3. 飲酒は控える。

(参考)ニュープロパッチ|おくすり110番

薬物治療-④鉄剤や漢方薬など:その他

上記の3つの代表的な薬以外にも、鉄剤や漢方薬などが処方されることがあります。

■鉄剤の特長・効果・副作用

前述した通り、鉄欠乏は「むずむず脚症候群」の発症要因の一つと考えられています。
そのため、血液検査の結果で、貯蓄鉄が不足している(血清フェリチン 値50ng/ml以下)場合には、鉄剤を摂取すべきと考えられています。

また、鉄剤の副作用として、便秘・黒色便・吐き気などの消化器症状が現れることがあります。

■漢方薬の特長・効果・副作用

漢方薬は、西洋医学の薬のような”劇的にすぐ効く”ということはありませんが、マイルドな効き方のため、副作用が少なく体に優しいのが特徴です。
また、妊娠中・授乳中や高齢者・透析患者さんなども服用できることも、うれしいですね。

<「むずむず脚症候群」の症状で処方されることがある漢方薬>

  • 当帰飲子(とうきいんし)
    →痒みやむずむずした不快感を取り除きながら、「血」を補う。
  • 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
    →しっかりと「血」を補う。
  • 釣藤散(ちょうとうさん)
    →自律神経のバランスを整え、脳血管のけいれんを緩和する。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
    →中高年女性の神経症状(交感神経の興奮によるイライラや不眠症など)によく用いられます。むずむず脚症候群に効き目があったケースについて、いくつかの論文で紹介されています。

漢方専門医がいる病院を「病院口コミ検索Caloo」で探す

(参考)むずむず脚症候群の漢方治療|当院の漢方著効例5 はぎの内科クリック
こちらのページでは、むずむず脚症候群以外の様々な病気に対する漢方治療についても、説明されています。
(参考)むずむず脚と漢方|よろず漢方薬局
こちらのページでは、むずむず脚症候群を引き起こしている体質について、中医学的な観点から解説されています。

4.「むずむず脚症候群(RLS)」は、生活の質(QOL)の低下に。

前述した通り、「むずむず脚症候群」は就寝時に起こりやすく、その何とも言い難い足の不快感から、足を叩いたりして、症状を和らげようとすることが多くあります。

重症になると、大人しくしていることが出来なくなり、歩き回らなければならない程の状態になります。

その結果、なかなか寝付けなかったり、途中で目が覚めたり、熟睡できないという睡眠障害を引き起こすことで、翌日の日中のひどい眠気に繋がり、生活の質(QOL)が著しく低下する悪循環に陥る可能性があります。

これまで見てきたような「むずむず脚症候群」の症状で気になる点がある場合には、まずは自分でできる範囲で生活習慣を見直しつつ、医療機関を受診してみましょう!

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