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2017年2月28日更新

無痛分娩の流れは?自然陣痛を待てる? 全国の「無痛分娩」24時間対応病院一覧

無痛分娩は促進剤使用の「計画(誘発)分娩」が主流でしたが、自然に陣痛が来てから硬膜外麻酔をかける「24時間対応無痛分娩」が近年登場。無痛分娩の「計画分娩」と「24時間対応」の違い、お産の流れ、産科麻酔、全国の「24時間対応無痛分娩」実施施設をご紹介します。
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女性が経験する痛みの中で一番痛いとも言われる、出産の痛み

どのくらい痛いかを様々な質問で数値化した”マギールの疼痛スコア(痛みの尺度)”というものがありますが、初産婦さんが感じる陣痛の痛みは、”「手指の切断」の次に痛いとされています。

21世紀に入り、出産スタイルが多様化する中で、強烈な痛みを緩和して、少しでもリラックスしてお産に臨める「無痛分娩」は、ここ数年芸能人が選択したと公表したり、女性誌で話題となったりと、今、注目されている分娩方法として、全国的にも「無痛分娩」を選択できる施設が増えています。

これまで「無痛分娩」といえば、あらかじめ麻酔をかける日を決めて、出産する「計画分娩」がほとんどだったため、予定外に夜間などに陣痛が始まってしまうと、「無痛分娩」でお産することが出来ないという問題もありました。

しかし、最近では、24時間いつでも「無痛分娩」が出来る施設も少しずつ出てきて、「無痛分娩」でも”いつ産むか?”を選択できるようになりました。

今回は、そんな「無痛分娩」で麻酔をかけるタイミングに焦点を当て、「無痛計画分娩」と「24時間対応無痛分娩」の特徴と違いや全国の「24時間対応無痛分娩」実施病院ならびに「無痛分娩」でのお産の流れ、「産科麻酔医」について、ご紹介します。

1.いつ麻酔をかけるか?生み方によって違いがある「無痛分娩」施設と切り替えタイミング

麻酔管理の対応力に違い①無痛計画分娩②24時間対応無痛分娩

無痛分娩には、2017年現在、2パターンあるのです。

そのポイントとなるのが、”いつ産むか?”ということ。

<出産予定日を決める判断材料>

  1. お母さんとお腹の赤ちゃんのタイミング
  2. 分娩施設のマンパワー問題

出産が近づいてくると子宮の出口である子宮口が熟化(じゅくか/柔らかくなること)してきますので、産科医は内診などでその経過を診て、出産予定日を予測します。

また、母子の状況を鑑みつつも、産科医も麻酔科医も少ない産科医療の資源不足があるため、母子に何かあった時にすぐ対応できるようにできるだけマンパワーがある”診療時間内での分娩”にせざるを得ない状況もあるのです。

出産日を決めて分娩誘発-「無痛計画分娩」の特徴

「計画分娩」とは、読んで字のごとく、”計画的に分娩する”こと。つまり、「出産日を決めて、子宮収縮薬による分娩誘発を行う方法」です。
さらに、”下半身の痛みを緩和しながら、分娩する”のが「無痛計画分娩」です。

  • 出産日が前もって予定されているので、心の準備(覚悟)が出来る。
  • 家族がお産に立ち合いやすくなる。
  • 予定通り分娩を進めるため、医療介入が多くなる。
    (分娩誘発のための陣痛促進剤の使用、子宮口を開くためのラミナリアなど器具挿入、下半身の痛みを和らげる硬膜外麻酔など)
  • 出産を調整するため、時間外分娩の可能性が低くなる。

前述した通り、「分娩施設側の問題」もあることから、「無痛分娩」を扱う分娩施設の多くが”無痛計画分娩”として対応しています。(2017年2月現在)

自然に陣痛が来るまで待ってから、麻酔を入れる-”24時間対応”無痛分娩の特徴

土日祝日・夜間など関係なく、自然分娩と同じように、お母さんと赤ちゃんのタイミングで然に陣痛が来てから硬膜外麻酔を行う”無痛分娩法です。

  • 自然の摂理を尊重できる。
  • いつ陣痛が来て生まれるのかは、”神のみぞ知る”なので、予定が立てにくい。
  • 陣痛が自然に来てから硬膜外麻酔を行うので、医療介入が少なく済む。(分娩進行が遅い場合には、促進剤使用の場合も)
  • ギリギリまで麻酔をしないで頑張って、耐えられなくなった場合、分娩途中から切り替えられることも。
  • 主に経産婦さんで分娩の進行が極端に速い場合、麻酔が間に合わないこともある。

「24時間365日、無痛分娩の対応ができる」とは、24時間体制で麻酔管理ができる産科麻酔担当医が待機しているということ。
そのため、2017年2月現在、24時間対応の無痛分娩を実施できる施設は、ごく僅かしかありません。
(※「24時間対応の無痛分娩を実施できる施設」については、後ほど「3.全国の24時間対応可能な「無痛分娩」実施病院・診療所」で詳しくご紹介しています。)

(参考)無痛分娩について|おとめクリニック
こちらのページでは、硬膜外麻酔でなぜ痛みがなくなるのかについて、分かりやすく解説されています。

■「無痛分娩」とは何か?選択するメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく説明しています。
出産時の痛みを麻酔で軽減・産後の回復早い「無痛(和痛)分娩」の特徴・体験談

子宮口8cm開大までに-分娩途中で「無痛分娩」へ切り替えるタイミング

「”24時間対応”無痛分娩」施設であれば、「自然に来た陣痛をできるだけ我慢して、どうしても我慢できなくなったら、無痛分娩に切り替える」なんてことも可能です。

ただし、切り替えするにも、事前に無痛分娩や促進剤使用などの「同意書提出」が、必須となる施設も多く存在します。出していないと、すでに痛みがある中で、無痛分娩の説明や準備を受けなければならず、妊婦さん自身が辛くなる場合もありますので、ご注意ください。

また、「”24時間対応”無痛分娩」施設としては、いつでも麻酔ができるように準備していますが、「無痛分娩」へ切り替えられないこともあります。

<「無痛分娩」へ切り替えられない場合>

  • 本人の痛みの限界で麻酔がかけられない場合
    →痛みによって、うまく麻酔のための姿勢を取ることができない。
  • すでに子宮口が全開大(10cm)している場合
    →麻酔の効果が現れる前に、赤ちゃんが生まれてしまう。

そのため、「自然分娩」からの「無痛分娩」への切り替えタイミングは、痛みMAXの子宮口最大(10cm)ではなく、”子宮口8cm開大まで”を目安にしている施設もあります。
最後まで、分娩時の痛みを我慢できる自信がない場合には、早めに産科医・麻酔科医に相談しましょう。

(参考)順天堂医院での無痛分娩について 2014年7月(第1版)|順天堂医院
こちらのページでは、無痛分娩を開始するタイミングの他、周産期麻酔外来を受診する必要性など、Q&A形式で解説されています。

2.「無痛計画分娩」と「自然陣痛が来てからの無痛分娩」お産の流れ・違い

「無痛分娩」のお産の流れ①(病院選定~出産予定日)

分娩施設によって、細かい処置の手順などは異なりますが、「無痛分娩」は大まかに以下のように進められます。

(図)「無痛計画分娩」と「自然陣痛発来後の無痛分娩」のお産の流れ・違い
※図をクリックすると拡大して表示されます。

  1. 病院の選定
    「無痛分娩」を希望する場合、子宮収縮薬(陣痛促進剤)を使った計画分娩か、自然に陣痛が来てからの24時間対応無痛分娩か、どちらを希望するかよく考えておく。
    特に、自然陣痛後に硬膜外麻酔による無痛分娩を希望する場合、24時間対応できる施設はとても限られているので、早めに一度連絡しておくとよいでしょう。
  2. 妊娠中期・妊娠20週頃~(妊娠6ヵ月頃)
    無痛分娩教室・母親学級・麻酔科外来などで、無痛分娩についての説明を受ける。
    (「無痛分娩」を選択するにあたり、説明会への事前参加や促進剤使用同意書の事前提出が必要な場合も。
  3. 妊娠後期・妊娠35週頃~(妊娠9ヵ月頃)
    <無痛計画分娩>
    産科医による内診(子宮口の熟化などの確認)後、誘発分娩予定日を決定する。
    <24時間対応無痛分娩>
    産科医による内診後、出産日を予測する。
  4. 出産予定日前日
    <無痛計画分娩>
    入院。ラミナリア・ダイラパンなど器具を挿入して、子宮口を拡げる前処置を行う。
    (背中に硬膜外麻酔用のカテーテル留置(そのまま置く)も前処置として行ったり、前処置の時、軽い麻酔のみ行う施設もある。)
    <24時間対応無痛分娩>
    自然に陣痛が来るのを待つ。
  5. 出産予定日当日
    <無痛計画分娩>
    子宮収縮薬(陣痛促進剤)を使って、陣痛を起こす。
    <24時間対応無痛分娩>
    陣痛間隔が初産婦なら約10分経産婦なら約15分になったら、病院へ行く。

「無痛分娩」のお産の流れ②(分娩準備~出産)

出産予定日当日、分娩準備の段階になれば、無痛計画分娩も自然陣痛を待ってからの”24時間対応”無痛分娩も、お産の流れは、ほぼ同じです。(※施設によっては、細かい手順が異なる場合があります。)

(図)出産日(誘発分娩)当日の「無痛分娩」お産の流れ
※図をクリックすると拡大して表示されます。

  1. 診察によって、点滴ルートの確保などを行い、胎児心拍モニターを開始。
  2. 硬膜外麻酔用カテーテルを背中に入れる。
    (※計画分娩の場合、カテーテル装着も前処置として前日に行っておくことも)
    <硬膜外麻酔用カテーテル 処置手順>
    (1)処置台の上で横向きになり、膝を曲げて、丸くします。
    (2)背中の消毒後、カテーテルを留置する(そのまま固定しておく)場所の皮膚に、局所麻酔の注射をする。
    (3)カテーテルを通すための細い針を挿入し、針が適正な場所にあることを確かめてから、カテーテルを入れる。
    (4)カテーテルが入ったら、細い針は抜く。
  3. 陣痛促進剤の投与を開始(計画分娩の場合)、硬膜外麻酔薬の投与を行う。
    • 陣痛の痛みが出てきても、硬膜外麻酔薬の投与後、15分くらいで効果が現れてくるので、次第に和らいでくる。
      →自動で一定量の麻酔薬が持続的に注入。また、施設によっては、妊婦さんがボタンを押して自分で追加注入できる場合もある。(自己注入量も制限アリ)
    • 血圧計を装着し、点滴による補液管理をうけながら、ベッド上で安静に過ごします。
    • 硬膜外麻酔の影響で、足が痺れたり、足に力が入らなかったり、また、カテーテルが抜けるのを防止するため、歩行はNG。ベッドの上での導尿(管で尿を採る)や食事も点滴管理になることも。
  4. 子宮口が全部開いて(全開大 10センチ)、赤ちゃんの頭も降りてきたら、分娩台で出産
    • 下半身の痛みは感じにくく、赤ちゃんの挟まっている感じやお尻の辺りの圧迫感は残る。
      →下半身自体は痛くないので、冷静にいきむことが可能。いきむタイミングが分からなかったり、力が入らず、いきみづらいケースもあるが、その際は医師や助産師さんがサポートしてくれる。
  5. 出産および傷の処置後、問題なければ、硬膜外カテーテルを抜き去る。
    • 硬膜外麻酔の効果は、約2~3時間。
    • 麻酔が切れてくると、傷(会陰切開を行った場合など)の痛みや後陣痛の痛みを感じる場合もありますが、鎮痛剤の内服で様子見となる。

(参考)無痛分娩での出産|TOKYO産科麻酔チーム
こちらのページでは、硬膜外無痛分娩のメリットや痛みが和らぐ理由など、説明されています。
(参考)無痛分娩について|やはたウィメンズクリニック
こちらのページでは、無痛分娩のメリット・デメリット、無痛計画分娩の流れなど、説明されています。

≪出産予定日(誘発分娩予定日)よりも先に破水・陣痛が来てしてしまったら?≫

  • 「無痛計画分娩」予定の場合
    ”計画分娩”のみ取り扱っている施設での分娩を予定していて、土日夜間など時間外に発生した場合には、無痛分娩が選択できず、自然分娩となることが多い。
     ただし、”24時間対応”している施設であれば、そのまま”無痛分娩”が受けられることも。
  • 「”24時間対応”無痛分娩」予定の場合
    →入院した時点で、麻酔科医が無痛分娩をいつでもできるように準備しているので、予定通り無痛分娩を行うことが可能。

■「無痛分娩費」や全国の平均出産費用、「出産育児一時金」など、出産のお金に関係する話については、次の記事で詳しく説明しています。
「無痛分娩」にかかる費用と公的補助制度「出産育児一時金」の特徴・支給条件

広まりつつある産科専門の麻酔医「産科麻酔医」

フランスやアメリカでは、出産といったら半数以上が「無痛分娩」です。
日本では、2008年に厚生労働省が調査した際には、約40万件の出産うち、たった2.6%(約1万件)しか「無痛分娩」が行われていませんでした。

欧米諸国において、「無痛分娩」がこれほどまでに一般的になった要因の一つに、”産科麻酔が麻酔科のサブスペシャリティ(専門分野)として確立している”ことが挙げられます。

一方、日本では麻酔科医の多くが、帝王切開術の麻酔をはじめ、「産科麻酔」に携わっているにもかかわらず、周産期医療(出産前後の産科・新生児科の双方に対する高度な医療)は、集約化されておらず、各施設に分散しているという問題があります。

そんな中、近年、日本産科麻酔学会や北米や欧州で産科麻酔を学び、国内で産科麻酔組織を立ち上げた経験のある麻酔科の先生たちが勉強会などを開催したりと、日本の産科麻酔の水準をより高めるための活動が盛んに行われています。

そのため、国内でも産科麻酔部門がある医療機関が少しずつ増えています。

<産科麻酔研修施設>

(参考)無痛分娩Q&A|日本産科麻酔科学会
こちらのページでは、産科麻酔に関わっている医師が日頃患者さんからよく受ける質問について、丁寧に解説されています。
(参考)「麻酔科医のための産科麻酔プロフェッショナル・セミナー」産科麻酔に参加しよう|産科麻酔に参加しよう事務局
こちらのページでは、麻酔科の先生向けのサイトではありますが、リンクページには産科麻酔や麻酔科に関し、一般向けにも参考となる学会サイトが紹介されています。

 「無痛分娩」でも立ち会い出産できる。ただし、「夫のみ」が多数。

アメリカでは当たり前の立ち会い出産
日本の立ち会い出産の歴史は、約50年。
そもそも日本で自宅出産が一般的に行われていた昔は、立ち会い出産が普通だったと話すお産婆さん(今でいう、助産師)もいました。

立ち会い出産とは、旦那さんなど家族が妊婦さんに付き添って、分娩すること。

立ち会い出産のメリットと言えば、「出産の大変さの共有」や「より強い父親の自覚」が今後の家族の絆を強くするとも言われ、「さぁ、出産!頑張りましょう!」という時に、近くに家族が寄り添って手を握っていてくれるだけで、リラックスできたり、心強いと思う妊婦さんも多いことでしょう。

「無痛分娩」での立ち会い出産も「自然分娩」同様に実施している施設は、多数あります

また、前述した通り、無痛分娩は”計画分娩”にて行っていることが多いため、いつ生まれるか分からない自然分娩よりも、家族が予定を立てやすく、立ち会いやすいのです。
他にも、麻酔によって痛みがある程度抑えられているため、分娩直前まで旦那さんと話したり、落ち着いて出産できる人も多くいます。

さらに、経産婦さんの中には、「生命が誕生する瞬間を、上の子どもにも経験させてあげたい!」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、子どもや親族なども分娩に立ち会える施設も中にはありますが、立ち会えるのは原則「旦那さん(夫)のみ」としている施設が多数を占めます。
しかも、旦那さんの立ち会いを予定している場合も、事前に父親学級の参加や講習受講が必要な施設もありますので、注意が必要です。

最近では、立ち会い出産ができる施設が増えていますが、立ち会い出産とは、いいことばかりではありません。

  • 思った通りに動いてくれない夫にイライラした。
  • 夫が血を見て、失神した。
  • 妻の必死の形相などをみて、もう女性と思えなくなった。
  • 硬膜外麻酔をして、痛みを緩和しながら出産したら、夫から楽そうに思われた。

というような、立ち会い出産を後悔した声も中にはあります。

立ち会うことで、旦那さんの中には”より強く父親の実感が湧く”ことはあっても、立ち会わなかったからと言って、父親の実感が湧かない訳ではありません。
妊婦さんでも、旦那さんでも、立ち会い出産に向かない人はいます。
どちらかが一方的に立ち会いについての意見を押し付けてしまっては、決していいことはありません。

立ち会い出産をするか、しないかについては、ご夫婦でよく話し合ってから、結論を出すことをオススメします。

(参考)助産師の歴史|公益社団法人 日本看護協会
こちらのページでは、昔は”お産婆”とも呼ばれていた助産師さんの歴史について、解説されています。

3.全国の24時間対応可能な「無痛分娩」実施病院・診療所

前述した通り、「無痛分娩」を取り扱っている施設は、麻酔管理の対応力によって、2種類に分けられます。

今回ご紹介する24時間対応「無痛分娩」可能な病院施設にて、実際に分娩をご希望する場合、必ず事前にご確認ください。
(※受診時期によっては、24時間対応「無痛分娩」を取り扱っていない場合もありますので、予めご了承ください。)

北海道で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

東北地方で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

関東地方で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

<東京都>

<神奈川県>

<埼玉県>

<茨城県>

<千葉県>

中部地方で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

関西(近畿)地方で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

中国地方で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

九州・沖縄地方で24時間対応可能な「無痛分娩」を実施している施設

全国の無痛分娩を実施している病院を「病院口コミ検索Caloo」で探す
「病院口コミ検索Caloo」では、全国の「無痛分娩」を実施している病院ごとの方針や費用等について、簡単にご紹介しています。

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