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2016年11月23日更新

女性の「性器ヘルペス」発症。正しい対処法や気になる妊娠出産への影響は?

女性にとって性感染症の1つである性器ヘルぺスの感染は体だけではなく心にも大きなダメージを与えます。知識不足からの誤った思い込みで1人悩んでしまうことも。お風呂で感染する?性行為はNG?出産は出来るの?など気になる情報を集めました。
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女性が性器ヘルペスに感染した時。消えない「再発」の不安とストレス

性器ヘルペスは性交渉によって感染する病気です。

性器や口を通じて、パートナーから単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)という感染力の強いウイルスに感染することで発症します。

女性の場合、外性器お尻の周りなどに口内炎のようなプツプツした水疱が現れ、強い痛みやかゆみを引き起こし、時には発熱、リンパ節の腫れ、膀胱炎などを伴うこともあります。

水疱の広がり方は左右対称の場合や数個の水疱がまとまって出る場合もありますが、その後、数日で水疱が破れ、瘡蓋(かさぶた)になり、2~4週間ほどで自然治癒します。

しかし、その激しい症状がおさまった後もウイルスは死滅せず体内に潜伏しています。(潜伏感染という)

そして体調不良ストレス性行為など、何かがきっかけとなってしまうと、体内のウイルスが再度増殖して不快な症状がぶり返し、患者さんを何度も苦しめることになります。

(参考)国立感染症研究所 性器ヘルペスウイルス感染症とは

性器ヘルペスの詳しい症状については以下の記事で詳しく説明しています。
男性も女性も発症の危険性が!性感染症「性器ヘルペス」の原因、症状とは?

再発は体だけでなく、心に与えるダメージも大きい。

女性の場合は特に生理になると毎回再発するという方もおり、精神的にも相当なストレスを感じ、不眠抑うつ引きこもりといった深刻な状況に陥ってしまうこともあります。

【体験談】性器ヘルペスは人生で1番か2番目につらい病気。身体的だけではなく精神的にもキツかった。

そして、体も辛かったが精神的にもキツかったです。
なんせヘルペスは一度感染すると、一生お付き合いしていかなければ
いけない病気ですから。

これからお付き合いする男性にはもちろんお話ししなければ
いけませんし、伝えたら引かれるだろうな…など
考えれば考えるほど落ち込みました。

しかし、今の彼氏に打ち明けたとき
「そんなの気にしない」「たとえAIDSだったとしても同じことを言っていたと思うよ」と言って貰えて、心が軽くなりました!

それに再発したとしても、症状が落ちつくまで行為を行わなければ
感染することはないそうです。
これからは割り切って、病気と上手く付き合っていこうと思います。

(引用)下半身に違和感から激痛に。性器ヘルペスは本当に辛かった。

上記の体験談の女性はパートナーの方が理解のある方で心が軽くなれたとおっしゃっておられますが、やはり症状がおさまったとしても、再発の不安がなくなるわけではないので、ご自分を責めたり、自信が持てなくなってしまうケースも少なくありません。

これって正しい?性器ヘルペスについてのよくある「思い込み」

性器ヘルペスは性感染症(STD)であるがゆえに、誤った認識を持ってしまい、誰にも相談できずに1人悩んでしまうことも多いようです。

気になる性器ヘルペスの感染経路や予防法、妊娠出産への影響などについて、まずは正しい認識を持つことが大切です。

【よくある思い込み①】プールやお風呂、トイレでうつるってホント?手をつなぐだけでもうつる?

性感染症ということで、心配される方もいるようですが、同じプールやお風呂などを利用しても水を通して感染することはまずありません。

ただし、再発が起きて水疱などの症状が出ている時はタオルなどの共用はしないようにしましょう。

もちろん普通に手をつないでうつることはありませんが、患部を触ったあとはウイルスが手についている場合もあり、感染させる可能性はあるので注意しましょう。

トイレの便座は症状が出ている時は感染の危険性がありますので、エタノール(消毒液)で拭いてから使いましょう。

【よくある思い込み②】うつしてしまうからパートナーとの性行為は出来ない?

確かに、症状が抑えられている状態でもウイルスが体内からなくなることはないため、パートナーへの感染リスクは全くないとは言い切れませんが、症状が現れている時に比べ、感染する確率は低くなります。

症状がある時には性行為を行わないことはもちろんですが、症状が出ていない時であってもウイルスは微量に排出されていることがありますから避妊具(コンドーム)を使うなど注意を払うようにしましょう。

また、現在では継続してお薬を飲むことでウイルスの増殖を抑え、再発を減らす治療法も行えるようになっています。

この「再発抑制療法」はご本人の辛い症状を抑える他、パートナーへの感染リスクを減らす上でも効果的です。

少しでも不安を減らすためには産婦人科や性病科、泌尿器科などの専門医に相談し、治療を検討してみるのも良いでしょう。

【よくある思い込み③】出産時の気になる胎児への影響。感染すると赤ちゃんにもうつるから出産はできない?

確かに性器ヘルぺスは感染力が強いため、経産道感染(けいさんどうかんせん:出産の際、胎児が産道でウイルスに感染すること)します。

分娩時に、母親に再発症状がありウイルスを排出している状態だと、新生児が出てくる際に産道で感染し「新生児ヘルペス」を発症する危険性があります。

新生児ヘルペスは1~2万人に1人程度と確率は高くないものの、発症数の30%が死亡する重篤な病気です。

しかし、分娩時でなければ妊娠中であっても胎児に感染することはなく、万一、臨月に再発してしまった時は、「普通分娩」ではなく、「帝王切開」を行うなどの措置を行うことで感染を防ぐことは可能です。

このように妊娠、出産は決して不可能ではなく、実際に元気なお子さんを出産された方もたくさんいらっしゃいます。

ただし再発の多い初感染から1年を避け、症状が落ち着いてから妊娠を考えるなどの配慮は必要です。

以上のように、誤った思い込みで悩んでいらっしゃる方も多い性器ヘルペスは、正しい情報を身に着け、病院で適切な治療を受けることで、さまざまな不安や精神的なストレスを減らすことが出来るのです。

(参考)産婦人科診療ガイドライン-産科編2014

「検査をしないとおしおきよ!!」2016年秋、厚生労働省も「セーラームーン」で若い女性に向けた啓発活動を開始。

性感染症予防ポスター

(参考)厚生労働省 性感染症予防啓発ポスター

女性の性器ヘルペスについての情報はいかがでしたか?

現在の性の事情は昔に比べ、年々若年化するとともにオープンになってきており、パートナーが代わることも少なくありません。

そのような背景もあり、今や性感染症は特別なものではなくなってきており、いつ、あなたやあなたのパートナーにも病気が降りかかるか分かりません。

性感染症(STD)にかかる人は年々増加しており、とりわけ10代後半~30代という若い女性の患者数は大きく増加してきています。

この状況を重く見た厚生労働省は、昨日(2016/11/21)、若い女性に向けて、子どもの頃の人気キャラクター「セーラームーン」を起用したポスターやリーフレットを作成し、予防や早期発見を勧める活動をすると発表しました。

女性にとっての性感染症は体にも心にも与える影響がとても大きいものです。

「恥ずかしい」「他人事だ」と思わずに、今、1人1人が意識を変えていく努力をしない事には、これからも性感染症はますます私たちの生活の中に蔓延していってしまうのではないでしょうか?

大切なご自身やパートナーの身体を守るためにも、まずは性器ヘルペスやそのほかの「性感染症(STD)」についての正しい知識を持つことから始めましょう。

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