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2016年11月7日更新

【健康読書vol.4】齋藤應典さんインタビュー「運動能力は背骨で決まる」

一般の方から芸能人や文化人、プロスポーツ選手のトレーニング指導などで活躍中のパーソナルトレーナー齋藤應典さん。2016年11月15日(火)出版予定の「運動能力は背骨で決まる 」の見どころやオフィスでできる簡単エクササイズをお伺いしました!
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運動能力は背骨で決まる (「脊柱ライン」を整えると体は瞬時に変わる!)

パーソナルトレーナーとして、一般人から、モデル、俳優、歌手、ミュージシャンなどの芸能人や、様々な競技のスポーツ選手のトレーニング指導で活躍中の齋藤應典さん。2016年11月15日(火)に自身初となる著書「運動能力は背骨で決まる (「脊柱ライン」を整えると体は瞬時に変わる!)」が出版となります。今回は齋藤應典さんに、著書の見どころや、オフィスでできる簡単エクササイズの方法まで、たっぷりとお伺いしました!

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齋藤應典(さいとうまさのり)さん|パーソナルトレーナー
1964年、東京生まれ。アメリカスポーツ医学会認定エクササイズフィジオロジスト、全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー。一般人から芸能人、アスリートまでのコンディショニングおよびトレーニング指導全般を行う。また、医療機関における傷病者に対する運動指導、小・中学校での体育授業の外部講師、万座温泉日進館で行われている健康プログラムの講師を務めるなど、多方面での活動を通じて、幅広い世代への健康増進・体力向上・スポーツ競技力向上に力をそそいでいる。

「運動能力は背骨で決まる」Amazonページ
齋藤應典オフィシャル・ウェブサイト

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▲俳優・酒井敏也さんへのトレーニング指導(公演中の楽屋にて)

1.パーソナルトレーナーになるまで

「自分の体に感謝することを伝えたい」

-パーソナルトレーナーとしてご活躍の齋藤さんですが、パーソナルトレーナーになった経緯を教えてください。

もともとスタントマンをやっていましたが、仕事中に大事故を起こしてしまい、脊髄骨折、左腎臓の裂傷、全身約30か所の骨折……という、医師からも再起不能と告げられる大怪我をしました。

脊髄骨折の治療のため、全身を固定して、骨がつながるのを延々と待つ日々が始まり、全く動けないこと対するストレスで医師に怒りをぶつけてしまったのです。

私が「こんな状態だったら死んだ方がマシだ!俺の体なんだから、どうなってもいいから固定を解け!」と言うと、主治医は「君の体じゃないんだよ。この世にいる時だけ地球から借りている物なんだよ。あの世に行く時に返すんだよ!それを仕事だか何だか知らないけど、借りてる物をこんなにボロボロしていいのか?体に謝れ!」と言うのです。

それを聞いた瞬間、怒りはどこかに消えてしまい、不思議なことに、その日から怪我もどんどん回復していきました。

この経験を通して「体には体の意思がある」ということが分かりました。
体というのは本来自分のものではありません。例えばサラリーマンの方であれば、残業が続いて大変な時は「今日は遅くなってしまってごめんね」と、”自分の体に「謝る」「感謝する」”ということが大切です。

体は70年、80年一緒にいてくれるパートナーです。自分の行きたいところに連れて行ってくれる、やりたいことをやらせてくれる、そんな体に対して感謝をするということを多くの人に伝えなければいけない、という使命を感じました。

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ただし、入院中はその使命をどうやって伝えればよいか分かりませんでした。
退院後、リハビリをするにあたって、試しにパーソナルトレーナーの方についてもらったところ、病院では治しきれなかった痛みが劇的に改善しました。

これはすごいと思って、そのパーソナルトレーナーさんに「その技術って学校で勉強したんですか?」と聞いたことが、パーソナルトレーナーになったきっかけですね。

―”体に対して感謝をする”という考え方は初めて聞きました。

そうですね。でも「自分の体に対して感謝をする」ということが分からないと、どんなに一生懸命トレーニングをしたって効果は出ません。

その気持ちがないと、病気やケガにも繋がります。僕が出版する「運動能力は背骨で決まる」はいわゆるトレーニング本で、あらゆるエクササイズ方法が載っていますが、「体に感謝する」といったマインド的な部分についても触れています。

そういった考え方が載っているトレーニング本は、おそらく他に無いのではないかと思います。

2.新刊「運動能力は背骨で決まる」内容と見どころ

「体に感謝し、背骨(脊柱ライン)の機能を正しく整えればだれでも運動能力を上げられる」

―今回の著書の内容・見どころを教えてください

僕はいま主にスポーツ選手を担当しています。
例えば野球のバッターでも、一週間前まで打てたのに急に球が当たらなくなった、そういう人って結構いますよね。

なぜそうなるのか?急にパワーやスピードが落ちてしまうのか?というと、一週間で急に筋力が落ちるなんてことはもちろんない。

細いバットで、高速のボールを目で追って、打ち返せるのは、目からの情報が神経を通して正しく手に伝わっているからです。
急にボールが打てなくなる人は、脳からの信号が手まで正しく伝わらなくなっているのです。こうなると、どんなに早いスピードでバットを振っても、ボールとの位置がずれてしまい、思った通りに打ち返せません。

では脳からの信号を伝達しているのは何か?それが「背骨(脊柱ライン)」なのです。

姿勢や脊柱ラインの機能が悪くなると、脳からの信号が手足の運動器官に正確に伝わらなくなります。
そして誤差が生まれる。なので「まずは背骨を正しい状態にしましょう」というのが今回の本のテーマです。

fullsizerender▲高齢者向け脊柱機能改善エクササイズ(万座温泉日進館)

例えば一般の方でも急に痩せられなくなった、急に目が疲れるようになった、膝が痛い、腰が痛い……などの不定愁訴や、子どもの運動嫌い、かけっこが遅い、といった体力低下の問題まで、じつは背骨の機能が悪化して姿勢が崩れていることが多いのです。

ですから、背骨を正すことであらゆる年代の人たち、あらゆる悩みを抱える人たちの問題を解決することができるのです。

背骨を正す、というといわゆる「気を付け」の姿勢になることを思い浮かべがちですが、背骨というのは前に丸まる後ろに反る、そして横にひねる、三次元の動きができる状態が理想です。

しかし人は日常生活の偏りによって、身体に歪みができてしまいます。
例えばデスクワークの人がパソコンばかりやり過ぎたり、女性がショルダーバッグを片方の肩で持ちすぎたりで、身体が歪んできて、そして病気に繋がってしまう。

ですから自分の身体の状態を把握し、動きづらいところは改善して、背骨(脊柱ライン)の機能を整え、正しい姿勢にしてあげることが大切です。

著書の中では、身体の状態のチェック方法と、それぞれの問題に対するエクササイズ方法を紹介してあります。

―この本はどんな人に読んで欲しいですか?

運動が苦手な人はもちろんですが、運動が得意な人、その中でも「もっと記録を伸ばしたい」という人にはぜひ読んでもらいたいです。

運動というものに対しての皆さんの理解を超えたいと思って書きました。言わば、運動の新常識です。

―本当に誰でも運動能力を向上させることはできるのでしょうか?

できます。今回この本を作ることになった理由の一つには、僕が千葉県の中学校で行った取り組みが成功したということがあります。

プロのスポーツトレーナーが体育を教えたらどうなるかという教育委員会の実験で、千葉県野田市・流山市・柏市の74校のうち、下から3番目の体力レベルの中学校に僕が赴任することになりました。
1年生の3学期の終わりから指導し始めて、その生徒たちが卒業するまで指導しました。

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すると、体育の成績が下から3番目だった学校が、最終的には男子は上から2番目、女子は上から3番目になりました。

しかも、生徒の95%の運動能力が伸びていました。体調不良で測定できなかった子もいましたから、ほぼ全員、落ちこぼれなしで運動能力が向上したと言えます。

学校では教えない、「体の声を聞いて、感謝する」ということ、「背骨を正しくしてあげる」ということ、これを行うだけで誰でも運動能力を向上させることはできるのです。

3.齋藤應典さんが教えるオフィスでできる簡単ストレッチ

「日常生活で崩れたバランスを整えてあげることが重要」

-最後にCalooマガジン読者へ簡単なストレッチを教えていただけますか?

それでは、オフィスでできる簡単なストレッチ・エクササイズを紹介します。普段運動不足で体が固くなっている人におすすめですね。

① イスに座り、両手でそれぞれのかかとを持って、息を吐きながら、脚の間から後ろをのぞき込むように前屈する。息を吸いながら起き上がり、両手を上げて、背もたれの角で背中を折るイメージで、後ろに倒れ、背骨を伸ばす。これを3回繰り返す。
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②もう一度①を繰り返す。このとき、手でかかとを持たず、頭の上に上げたまま、腹筋の力を使って前屈する。息を吸いながら起き上がり、両手を上げて、背もたれの角で背中を折るイメージで、後ろに倒れ、背骨を伸ばす。これを3回繰り返す。

③イスに横向きに座り、上半身を後ろに向けて背もたれを持ち、腕の力で体をひねる。力を緩めて、またひねる、という動きを左右3回ずつ行う。

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④手を体の前で重ね、腹筋の力を使って⑦の動きを3回繰り返す。

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⑤ ボール(クッションなどでも可)を背中と背もたれの間に挟み、力を入れてボールをつぶすように②の動きを3回繰り返す。

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⑥ ボールを太ももの付け根にのせて、ボールに両腕を重ねて置き、腹筋に力を入れてボールをつぶす。力を緩め、つぶす、を3回繰り返す。ボールの位置を膝に変え、ボールを同じ運動をさらに3回繰り返す。

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⑦ ボールを床に置き、脚を軽く伸ばした状態でボールの上にかかとを載せ、腹筋に力を入れてボールをつぶす運動を3回繰り返して終了。

 

例えば子供を片方の腕で抱っこしている、カバンを片方で持つ、パソコン作業のやりすぎなど日常生活の中の動作で体のバランスは崩れがちです。

逆に言うと、バランスが崩れてしまうのは当たり前で、それをきちんと戻してあげることが何より重要です。

毎日のほんの少しの時間でいいので、体のバランスを整え、背骨の機能を正しくしてあげるようにしてください。


【紹介書籍】

運動能力は背骨で決まる (「脊柱ライン」を整えると体は瞬時に変わる!)

齋藤 應典 (著)
マキノ出版 (2016/11/15)

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