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2016年11月4日更新

体験談:痛みで食事できない!子供から感染した大人のおたふく風邪が重症化

2016年猛威をふるっている「おたふく風邪」。まさに大流行の今年、親子でおたふく風邪を発症し、ご自身は重症化し髄膜炎を併発されたカルーユーザー993さんに発症から回復まで詳しいお話を伺いました。
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今年(2016年)夏頃から流行り始めたおたふく風邪

現在でも関西地方を中心に、依然として流行は続いています。

子供の伝染病というイメージのおたふく風邪ですが、抗体がなければもちろん大人も発症します。

そこでカルーマガジン編集部では、まさに大流行が始まりつつあった今年6月にお子さんと共におたふく風邪に感染し、ご自身は髄膜炎も併発して入院という体験をされたカルーユーザーの993さん(30代・女性)にインタビューをお願いしました。

※髄膜炎(ずいまくえん:おたふく風邪の原因となるムンプスウイルスが脳と脊髄を覆っている髄膜に入り、炎症が起きて意識障害やけいれんなどを引き起こす)

実際に体験された方にしか知り得ない、症状の変化や発症時のご苦労など、貴重なお話をいっぱい伺うことができましたので、今回は特別に「おたふく風邪体験談特集」として993さんのインタビューを前編後編の全2回に分けてお届けすることにしました。

以前、993さんに投稿していただいたおたふく風邪病気体験レポートと併せてじっくりとお読みください!
子供から感染した流行性耳下腺炎の合併症で髄膜炎を発症し、入院。

お子さんから始まったおたふく風邪。発症時の状況について伺いました。

Q1.はじめは4歳の息子さんが発症されたと伺いましたが?

日曜日の夜、子供が突然38.5℃くらいの熱を出しました。をしていました。

熱と咳以外は至って元気だったので、前日の土曜日は思い切り活動しており、肌寒い日で汗をかいたのに暗くなるまで外にいたので、疲れて風邪をもらってしまったのかな……という程度でした。

翌日は園をお休みしました。

咳も出て、熱は相変わらず38℃ほどありましたが、元気で食欲もありました。

病院に行きましたが、「ただの風邪でしょうね……」との診断でした。

Q2.その時、周囲でおたふく風邪の流行は始まっていましたか?

病院から帰る時に、偶然園の先生に会い、「あごやほっぺが痛いと言っていませんか?おたふく風邪の子が園でちらほら出てきたんです」と言われました。

日を改めて、園の先生に何人くらい発症しているのかたずねると、「2週間くらいの間で3~4人かな?4~5人かな?」と伺ったと記憶しています。(0歳児から6歳児まで226人の園です)

子供は予防接種を受けられる年齢の満1歳になってすぐに予防接種を受けており、この時点であごもほっぺも痛がっておらず、見た目も腫れていることもなく、咳をしていたのでおたふく風邪ではなく、ただの風邪だろうと思っていました。

後に知ったのですが、当時近隣の数か所の他園でもおたふく風邪が流行っていたようです。

友人の子供は、発熱とほっぺや顎に痛みがあり、食事中も痛がっていたので、絶対におたふく風邪だろうと思って病院に連れて行ったそうですが、「片方しか腫れていないのでおたふく風邪ではなく、リンパ節炎だ」と診断されたとのこと。

でも園でも流行っているから、きっとおたふく風邪だったのではないかな、と話していました。

また、「そういえば痛いって言っていたけど別に腫れてる感じもないし、熱もないし登園させていた」という話もちらほら聞きました。

おたふく風邪と診断されなければ登園証明書の必要もないので、感染力が強いまま登園し、方々で新たな感染が広がったのではないかなと思います。

Q3.はじめは風邪と診断されたわけですね。息子さんがおたふく風邪と確信したのはいつでしたか?

3日目の火曜日は熱は37.1~37.2℃程度まで落ち着き、元気もあったのですが、あと1日休んでしっかり治そうと思い、園をお休みしました。

お昼には36℃台に熱が下がり、休まなくても良かったかな~と思っていました。

4日目の水曜日は熱も無かったので、登園の準備をしていたところ、ふいに右側の頬を押さえて「ママ、ここ痛い……」と訴えてきました。

顎のあたりを触るとピンポン玉より少し小さいくらいの大きさの腫れが手に触れました。

この時点で「ああ、おたふく風邪だったのか……」と思いました。

Q4.この時点でお医者様はおたふく風邪だと診断されましたか?

病院へ行きましたが、「園で流行っているのであれば、おたふく風邪だと思うけれど、片方しか腫れていないので、今断定することはできない。おたふく風邪であればもう片方も腫れてくると思う」とのことでした。

Q5.息子さんは予防接種を1回受けていたとのことですが、腫れや熱などの経過はいかがでしたか?

食べ物を食べると時々「痛い~食べれない~」と言い出しましたが、やわらかいものは大抵食べていて、水分は普通に取れていて、元気もありました。

右頬の腫れは大きくなることもなく、「ちょっとむくんだかな~?」くらいの見た目で、言われなければ気が付きませんでした。

5日目、6日目は熱も上がらず、外出したがるのですが、人ごみには行けないので川沿いを散歩したりなど、元気に過ごしていました。

このまま快方に向かうと思って油断していた7日目の夕方くらいになって、突然左頬を押さえて「痛い……」と、3日差で左側が腫れました。同時に熱が38.6℃まで上がりました。

8日目には左側の腫れもすぐ落ち着いてきて、9日目には両方腫れもなく、食事も普通に摂れていて、熱もなかったので登園しました。

疲れるかな……と思いましたが、月曜日から金曜日まで元気に登園していました。

Q6.そのあとも息子さんには気になる症状があったそうですが?

14日目、元気だったのですが、両頬が腫れた後くらいから「胸が痛い」と度々訴えることがあり、気になって病院へ行き、心電図を受けました。

異常は見当たらず、その後も特に何事もありませんでしたが、後にも先にも「胸が痛い」と言ったのはおたふく風邪の時だけだったので、おたふく風邪と関係があったのかな……と思っています。

お子さんの看病でおたふく風邪をもらってしまった993さん。ご自身の発症について伺ってみました。

Q7.993さんが体調の変化を感じられたのは?

子供の頬が腫れた日を1日として、16日目の朝、メイクをしていた時に耳の下に異変を感じました。

見た目では分からず、触ると「少し硬いかな?」という程度で腫れている感じではなかったのですが、押すと少し痛みました。

潜伏期間(約2週間)と合致していたので、これはおたふく風邪だと確信しました。

ただ、どうしても会社に行かねばならず、マスクをして夕方まで働き、帰宅してから病院へ行きました。

社内では昔おたふくになった人か、予防接種をした人だけで無感染者はいなかったのが幸いでした。

病院に行った時は押すと痛いという状態で、何もしていなければ特に痛みはなく、腫れも感じておりませんでしたが、触診で「腫れていますね」と言われました。

少し前に子供がおたふく風邪に感染していたことと、過去におたふく風邪を経験したことがないことから、おたふく風邪ですねとすぐに診断されました。

Q8.痛みや腫れが強くなったのはいつ頃でしたか?

食事で痛みを感じるようになってからは急激に進行し、5時間程度経過すると何もしていない状態でも激痛となり、そこからは悪化の一途を辿りました。

約24時間は激痛のピークが続き、その後、更に24時間かけて激痛から緩やかに痛みが和らいでいったと思います。

痛みのレベルと腫れの具合はおおよそ比例していて、一番腫れている時は一番痛かったです。

しかし、痛みが落ち着いた状態になっても腫れは残っていて、腫れが引くのはワンテンポ遅いと感じました。

痛くなくなっても数日間硬く、やや腫れた状態でした。

Q9.発症前に前兆のような症状があったとのことですが?

発症前、度々目の奥に鈍痛を感じていました。

目をギュッと瞑ると多少痛みが和らぎました。

医師からは、「もしかしたら前兆だったのかもね……」と言われました。

私自身も、おたふく風邪に感染する以前も以後も感じたことのない痛みだったので、前兆だったと思っています。

また、これは関連性が分からないのですが、耳の下に痛みを感じておたふくと診断された日から2週間前(子供がおたふくだと分かってすぐくらい)から喉が痛く、咳も出て微熱があり、体がだるく、しんどかったです。

(耳の下に痛みを感じておたふくと診断された日から)1週間前には叔父の通夜が重なり、疲れもたまる一方で、マッサージを受けたら38.3℃まで熱が上がり、それら諸々の体調不良からようやく回復してきたと思った矢先に耳の下が痛くなりました。

息子もほぼ同じ状態の経過をたどっていたので、潜伏期間中は風邪のような症状が出るのかなと思うのですが、真相は分かりません。

Q10.おたふく風邪の様々な症状のなかで「これが大変だった!」ということはありますか?

「痛み」が一番辛かったです。

世の中には経験や想像を遥かに超える痛みが存在することを知りました。

素人が無防備な状態でプロボクサーに本気で顎を殴られ続けたらこういう痛みになるのかなと思いました。

次いで辛かったのは「顔の腫れ」でした。

顎と首が繋がって、巨漢の特殊メイクを施されたようでした。

マスクをしても顎の腫れは隠し切れず、症状が落ち着いてからも腫れがしばらく残ったので、元に戻るのか不安になりました。

痛みが強い時の食事や水分補給について伺ってみました。

Q11.ほっぺたの腫れや痛みがあるときに水分は問題なく摂れましたか?

お茶は痛みを助長させることなく飲むことができたので、水筒(ワンタッチで開閉するもの)に冷たい飲み物を入れて常に傍に置き、積極的に摂取していました。

痛みどめを服用する際に、少しでも胃の保護をしたいと思い、苦肉の策で牛乳を飲んだことで気が付いたのですが、牛乳も飲むことができました。

私はコップ半分も飲めば気持ちが悪くなってしまうので、少量しか飲むことができませんでしたが、飲める人であれば水やお茶よりも、栄養を摂れるのではないでしょうか。

Q12.症状が一番ひどかった時、お食事は摂れましたか?

咀嚼(そしゃく:噛むこと)自体も痛いので、噛まなければならないものは食べることができませんでした。

ただし、柔らかければ食べられるというわけではなく、塩味、酸味、甘味などが耳下腺・唾液腺を刺激するようで、痛みが強くなります。

豆腐に醤油 → 痛み悪化
たまご豆腐にタレ → 痛み悪化
アイスクリーム・シャーベッド → 痛み悪化
ポカリスエット、OS1、ウイダーinゼリー → 痛み悪化

といった具合です。

塩味、酸味、甘味が無く(或いは極端に薄味にできる)、且つ、飲みこめる程度の柔らかさのものであれば、食べられる(飲める)と思います。

冷水に希釈用のめんつゆを味がするかしないか程度入れたものに、3倍の時間をかけて茹でたそうめんを離乳食用のはさみで5㎜~10㎜くらいに細かくカットしたものを入れて、咀嚼をせずに飲んでいました。

おかゆも飲みこめる柔らかさであれば飲めました。
味気ないので塩や醤油をかけると痛みが激しくなりますが、だし(かつお・昆布)は、刺激が少ないのか、痛みが悪化しませんでした。

今となっては、ごっくん期の離乳食(味付けはほぼなく、使っても一番だし程度で赤ちゃんがごっくんと飲みこめるもの)のレシピを参考にすれば良かったと思います。

≪編集部より≫

993さんおたふく風邪感染から発症までのインタビュー前編はいかがでしたか?

小さなお子さんのいるご家庭では「お子さんからの感染でご両親も発症するケース」が多く見られます。

予防接種を一度受けていたお子さんは軽症で済みましたが、抗体がない大人の方は症状が重くなるケースが多く、993さんもピーク時はお食事ができないくらいの痛みでご苦労されたようです。

お食事に関しては噛むのはもちろん、味覚によっても痛み方が違うというのは、実際体験された方にしか分からない貴重な情報ですね。

また、「ごっくん期の離乳食を参考」というのは食べられるものの目安としてとても分かりやすいですね!

さて、プロボクサーに殴られ続けるような痛みと巨漢の特殊メイクのように(表現力がなんとも素晴らしい!)顔が腫れてしまった993さんですが、その後、さらに髄膜炎を併発してしまいます……。

その詳しいお話はインタビュー後編「体験談:おたふく風邪で髄膜炎を併発して入院!めまいの後遺症も。」に続きます……。

今年(2016年)おたふく風邪については以下の記事で詳しく説明しています。
2016年夏大流行!感染力が強い「おたふく風邪」の症状・経過・感染経路

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