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2018年2月19日更新

2017-2018年インフルエンザの流行状況とワクチン供給量・新型情報も!

2017-2018年シーズンのインフルエンザは、全国で本格的な流行シーズン突入し、A型・B型同時流行中!全国的に学級閉鎖や学年閉鎖が報告されています。インフルエンザの型の特徴や2018年のワクチンの供給情報、更には新型インフルエンザ情報をまとめました。
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1.2017-2018年シーズンのインフルエンザが、全国で大流行中!

インフルエンザは、1~3日程度の潜伏期間の後、38℃以上の高熱、頭痛、筋肉や関節の痛みが突然始まり、鼻水などの症状が1週間程度続く、ウイルス性感染症の代表格。

例年インフルエンザの流行サイクルは、秋以降に患者数がじわじわと増えていき、12月から翌3月に感染のピークを迎え、また少しずつ減っていくという山型のサイクルを繰り返しています。

しかし、今期2017-2018年の「インフルエンザ」は、例年よりも早いペースで流行の兆候が見られました。

2017年9月時点で、全国に5,000ある定点医療機関からの患者報告数の合計が1,000人を超え、昨シーズンよりも2倍以上となっており、一部の地域では既に学級閉鎖・学年閉鎖の報告も出ていました。

これは、日本だけの話ではなく、アメリカ・オーストラリア・フランスでも、今期2017-2018年シーズンのインフルエンザ患者数は過去5~9年で最多となっており、世界的に流行しています。

(出典:インフルエンザ過去10年との比較グラフ(定点あたり報告数)2月19日発表-国立感染症研究所
※水色線に水色の丸が2017年、赤い太線に赤丸が2018年。
過去10年間と比べても、2018年第3週~5週にかけて定点あたり報告数が突出しているのが分かります。

(参考)平成29年度インフルエンザQ&A|厚生労働省
こちらのページでは、インフルエンザに関するよくある質問について、Q&A方式で解説されています。

2月半ばに入り、わずかに勢いダウン-今シーズンの累積推定受診者数が1,000万人突破!

2017年12月には本格的な流行シーズンに入り、2018年年始からインフルエンザ患者数は右肩上がりに増えています。
2018年2月に入っても、引き続き大流行中で、下記の流行レベルマップを見ると分かる通り、全ての都道府県で最上位の警報レベルを表す”真っ赤”のままとなっています。

(出典:国立感染症研究所 インフルエンザ流行レベルマップ 第6週(2/14現在)

全国の保健所で注意報レベル(定点当たり10.0)を超えている保健所地域は、30箇所と3週連続(1月15日~2月4日)で減少していますが、その分警報に切り替わる形となり、警報レベルを超えている保健所地域(定点当たり30.0)が521箇所となりました。

第6週(2月5日~2月11日)の一週間で全国に5,000ある定点医療機関からの患者報告数は45.38となり、ここにきて、前週(1月29日~2月4日)の54.33からようやく減少に転じました。
さらに、定点以外を含む全国で医療機関を受診した推計患者数も約239万人となり、こちらも前週(約282万人)よりも減少しました。

その結果、2017-2018年シーズン(2017年9月(第36週)以降)のインフルエンザによる累積推定受診者数は、約1,632万人となりました。

年齢別では、5歳~9歳:約50万人、10歳~14歳:約34万人、0歳~4歳:約26万人と、引き続き子どもの流行が目立っており、保育園~高校まで合わせて約8,000施設が未だ休校や学年閉鎖、学級閉鎖となっています。

また、厚生労働省の報告(2月16日発表)では、定点当たりの報告数は高知県(67.67)、山口県(62.82)、大分県(60.28)、宮崎県(57.17)、鹿児島県(56.66)、北海道(55.39)、福岡県(53.22)、岩手県(52.09)、埼玉県(51.37)、沖縄県(50.81)、千葉県(50.30)となりました。

九州地方は、2018年1月の最盛期(鹿児島県で86.53)に比べると、かなり報告数が減少してきましたが、地方別に比べてみると、依然として他の地方よりも”大流行中である”ことがうかがえます。
また、2月に入り、流行の波が少しずつ北にも波及してきて、北海道や東北もベスト10に入るようになってきました。(報告数が1.0を超えると、流行の目安)

(参考)厚生労働省 プレスリリース インフルエンザの発生状況について(2018年2月16日)

「B型」が逆転!2018年2月現在、①B型②A型(AH3)③A型(AH1pdm09)流行中

小さなお子さんや高齢者、呼吸器系など持病のある方などは、重症化する恐れもあるインフルエンザ。

2017年12月中までは、A型の検出が一番多かったのですが、直近5週間(2018年第2週~第6週:1月8日~2月11日)でB型の検出が最も多くなりました。

これまで、インフルエンザといったらA型が有名でした。
しかし、今回A型・B型の同時流行で、B型もあると多くの人に知られるようになったことで、医療機関を受診し、きちんと診断されたケースも、インフルエンザB型患者数が急増した要因の一つとされています。

なお、今シーズンのインフルエンザB型は、例年より早い流行となっています。
そのため、今シーズン既にB型に感染していてもA型に感染する可能性があるので、より一層注意が必要です。

また、国立感染症研究所による「2017-2018年シーズンのインフルエンザ感受性調査*1」では、特に0-4歳および65歳以上の年齢層で、A型B型ともに抗体保有率が低かったという結果が報告されています。
*1 インフルエンザ感受性調査:例年インフルエンザの流行シーズン前でかつワクチン接種前(今期は2017年7~9月)に行われる健常者の血液を使ったインフルエンザウイルスに対する抗体価の測定

予防接種を受けた場合でも、100%罹らないという保証はありません。

まずはインフルエンザについての知識を増やし、予防を怠らず、本格的流行シーズンを乗り切りましょう。

(参考)横浜市衛生研究所 横浜市インフルエンザ流行情報12号(2018年2月15日)
こちらのページでは、横浜市内のインフルエンザ患者の流行状況・年齢別・迅速キットの結果などが公表されています。
(参考)国立感染症研究所 インフルエンザ抗体保有状況 -2017年度速報第2報-(2018年1月17日)
こちらのページでは、ウイルス株ごとの年齢別抗体保有状況について、グラフと共に説明されています。

2.インフルエンザの種類。それぞれの特徴は?

インフルエンザは、直径約1万分の1mmという小さなウイルスに感染する事で発症します。

ヒトが感染するインフルエンザにはA型、B型、C型の3つの種類があり、主に流行を起こすのはA型とB型の2種類。

中でもA型はB型と比べると感染力が強く、毎年、先行して大きな流行になるのが特徴です。

主な症状 流行時期 特徴 症状 治療期間
A型 高熱、寒気、筋肉痛、関節痛、咳、のどの痛み 12月~1月 インフルエンザ脳症の恐れあり 重度 5日程度
B型 高熱、寒気、筋肉痛、関節痛、下痢、おう吐 1月~3月 比較的子どもに多い傾向 中度 2週間程度
C型 微熱、咳、鼻水、のどの痛み 通年 2歳未満は重症化の恐れあり 軽度 1週間程度

毎年流行するインフルエンザA型。感染者が多いのはなぜ?

毎年、決まって大きな流行になるのがA型インフルエンザ

その理由は抗原(ウイルス)が少しずつ変化するためです。

A型ウイルスは遺伝子の変異が起こりやすく、144通りもの亜型(A型の中でもさらに細かい違い)があり、近年では世界的に「H3N2」「H1N1pdm09」という二つの亜型が流行しています。

数十年に一度という間隔で突然新しい亜型が現れ、これまでの亜型と入れ替わり(不連続抗原変異)大流行を起こすことがありますが、さらに同じ亜型の中でも頻繁に変異を繰り返して性質が少しずつ変化していくため(連続抗原変異)、毎年多くの感染者が出るのです。

また、インフルエンザウイルスは他のウイルス性感染症と比較すると、ウイルスの増殖スピードが速い(1つのウイルスが24時間の間に100万個に増える)ということも患者数を増やす大きな要因です。

A型インフルエンザの症状は3つの型の中でも最も激しくなる事が多く、一般的な風邪とは違い、筋肉痛や関節痛などの全身症状が強く現れる点が特徴です。

インフルエンザ脳症、熱性けいれんなどの合併症のリスクも

インフルエンザの一番の怖さは、ウイルスが急激に増殖することにより合併症を引き起こす危険性があること。

特に幼児の場合は「中耳炎」「肺炎」「気管支炎」などの他、「インフルエンザ脳症」を起こす危険性が高まります。

インフルエンザ脳症は、主に5歳以下に多く発症し、急激に症状が悪化し、意識障害けいれん、異常行動・言動などが起こります。

年間50~200人が発症し、その10%~30%は死亡するというとても怖いものですが、残念ながらまだその詳しい解明はされていません。

高熱が出て、いつもと違う気になる症状が見られる時は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

また、小さなお子さんは、高熱が出ることで「熱性けいれん」を起こすこともあります。

熱性けいれんを発症すると、体が硬直する、ブルブルと身体を震える、白目をむいて一時的に意識がなくなる、呼吸が乱れる、などの症状が突然現れます。

突然のことで慌ててしまいますが、けいれんは5分程度でおさまる事がほとんど。

安静を保ち、けいれんの様子(けいれんしていた時間、手足や体の震えの様子)や体温を記録しておいて、受診時にお医者さんに伝えるようにしましょう。

【体験談】子どもが2歳のときにインフルエンザで熱性けいれんに

子供が2才の冬(12月末)にインフルエンザによる熱性痙攣を起こしました。我が子はたまごアレルギーということもあり、インフルエンザの予防接種はしていませんでした。また、痙攣は家族に痙攣持ちがいるとなると思いこんでいて、熱性痙攣に関して無知でしたし、周囲での話も聞いたこともなかったこともあり、非常に慌てました。12月末、夕方頃に微熱37度の熱が出て、腹痛に嘔吐を1回、夜の8時くらいまでにしました。
周りでは胃腸炎が流行っていたことや、風邪のいつもの症状と同じでしたので、そこまで気にしていませんでした。
8時過ぎに2回目の嘔吐があり、着替えや処理をしたあと、寝かせようとし、数分後、一点を見つめているかと思ったら、次第に白目になり、カラダが硬直しだしました。口も閉じて開こうにも開けず、親の私は何が起きたかわからずにパニック状態でした。

(引用)子供が二歳の時にインフルエンザにより熱性痙攣を起こしました。

(参考)国立感染症研究所 インフルエンザとは
(参考)潜伏期間ナビ インフルエンザA型3大症状・潜伏期間の解説
(参考)インフルエンザ脳症ガイドライン
(参考)上大岡子供クリニック 熱性けいれんの部屋へようこそ
※こちらのページでは熱性けいれんについて分かりやすく解説しています。

高熱が出ない?胃腸症状がでる?インフルエンザB型

B型インフルエンザウイルスには、ビクトリア系統山形系統の2種類が存在します。

例年、強い感染力がありながらも、A型に比べると流行性が低いB型。
これは、抗原の変化のスピードがゆっくりなことに関係しており、ワクチンの効果が長続きし、すでに免疫を持っている人が多いと考えられています。

そして、A型の流行が落ち着いた1月~3月頃に感染者が増え始め、熱がダラダラと続いて完治に時間がかかるケースが多いB型。

しかし、前述した通り、2017-2018年シーズンでは、インフルエンザB型が例年よりも早く流行しています。
2018年2月現在、特に子どもの感染が目立っております。

インフルエンザB型は、巷で”隠れインフル”とも呼ばれることもあるようですが、日本および世界で研究されている論文においては、「インフルエンザの型(A型・B型)による、症状の違いはない」と結論付けられています。

A型でもB型でも、熱があまりでないケースや腹痛や下痢といった胃腸症状が起きるケースもあります。
症状の出方には、その時々の個人差があります。

(参考)The burden of influenza B: a structured literature review.(英文)
こちらは、インフルエンザB型の疫学・臨床特性・重篤度などについて、1995-2010年の間に出された文献(日本のも含め)に対するレビューが行われています。
(参考)Clinical Characteristics Are Similar across Type A and B Influenza Virus Infections.(英文要約)
こちらは、フランスで行われたインフルエンザA型B型の症状比較についての研究論文です。

【体験談】発熱なし!関節痛、筋肉痛や風邪症状で受診した結果、インフルエンザB型陽性

インフルエンザの予防接種は接種していました。その年も例年通りインフルエンザの予防接種をし、1ヵ月程経ったので抗体も出来ているであろう頃に風邪の症状が出始めました。朝起きると、体が何となくだるく、喉に痛みがありました。
念のため、熱を測ると36.5度と平熱。
食欲もあり、だるさのみだったので通常生活を送り、仕事をしていました。夕方になると喉の痛みが悪化。
悪寒もするようになって、関節痛が出てきました。
寒くて寒くてどうしようもなく、寒さで眠れないため熱もなかったことから入浴することに。
いつもより熱めの43度のお湯に浸かるも寒くて震えていました。
お風呂から上がり、再度熱を測るも36度台。
これから熱が上がるのかと思い、とにかく寒さを何とかしたくてカイロを使用したりしてしながら眠りました。しかし、眠っていても関節痛はどんどんひどくなるばかりで痛みで何度も目が覚めました。
眠れていないからか朝方からはひどい頭痛も出て来て辛かったです。

(引用)熱は平熱、頭痛と関節痛、咳のみのインフルエンザB型感染。

通年性のインフルエンザC型

C型は、A型やB型に比べると感染力が弱く、鼻水、咳、のどの痛み、微熱程度と軽く済むことが多いです。

インフルエンザC型のピークは1~6月とされていますが、どの時期でも感染する可能性があることから通年性インフルエンザとも呼ばれています。

C型は現状、インフルエンザの診断の主流となっている「迅速検査キット」では判定できず、通常、治療に使われるタミフルやリレンザなどの「抗インフルエンザ薬」も効果がありません。

しかし、A型のように変異しないため大流行になる事はまずなく、一度感染すると二度目以降は発症しても軽い症状のみで、患者は抗体を持っていない6歳未満の子どもがほとんどです。

但し、2歳未満のお子さんが感染した場合、他の年代に比べ入院するケースも多く見られているので注意が必要です。

(参考)C 型インフルエンザの流行の現状と臨床的特徴
※C型インフルエンザの流行の特徴や症状などについて詳しい説明を見ることができます。

インフルエンザに感染したら、「無理しないで休む」のが鉄則!

本人的にはぐったりしていなく、微熱程度の発熱や胃腸症状であったら、「ただ風邪でも引いたのかな?」と風邪薬を飲んでやり過ごす人も多いことでしょう。

しかし、家族や友だちなど身近にインフルエンザ感染の人がいる場合には、インフルエンザ感染の可能性が大いにあります。

そんな時は、軽症でもインフルエンザを疑って、医療機関を受診し、適切な薬を服用しましょう。
そして、もしインフルエンザに感染していたら、感染拡大を防ぐためにも、自宅安静で回復に努めたいですね!

3.2017-2018シーズンのインフルエンザワクチンの内容・供給量は?

流行の少ないC型を除き、強い感染力で毎年猛威を奮うインフルエンザ。

A型、B型インフルエンザ感染の予防や発症時の辛い症状の緩和、そして怖い合併症を防ぐためには、やはり予防接種(ワクチン)が有効です。

もちろんワクチンを受けたからと言って、100%インフルエンザに罹らないという訳ではありませんが、重症化や合併症を防ぐことに有効です。

インフルエンザワクチンの内容は毎年見直される

ワクチン株(ワクチンを作る素となる病原性物質)は、国立感染症研究所が、厚生労働省健康局の依頼を受け、WHO(世界保健機関)の推奨株を参考に、世界や日本国内の流行状況やウイルスの性質、抗体を持っている人の割合、株培養時の増殖具合などをもとに決定します。

2017年も7月の時点で以下のように決定されています。

2017-2018シーズンのワクチン株○2017/2018冬シーズン

A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)

(引用)国立感染症研究所 インフルエンザとは

A型株2種類、B型株2種類の「4価ワクチン(4種類の株が入っている)」で、A型、B型のどちらかもしくは両方の型が流行した場合にも効果が期待できます。

近年、A型は「H1N1pdm09」と、「H3N2」、B型は山形系統とビクトリア系統の混合流行が続いていることから、2015年からA型2株プラスB型2株の4価ワクチンが導入されるようになっています。

昨シーズンとの変更点はA型株のH1N1がA/シンガポール/GP1908/2015(H1N1)pdm09になっているところです。(※そのシーズンの使用株の詳しい選定は例年11月頃に国立感染症研究所から発表されます。→※2018年1月現在未発表

(参考)中島クリニック 今年のインフルエンザワクチン|平成29年度インフルエンザワクチン株 (2017/2018シーズン)
※ワクチンに使用されるインフルエンザワクチン株について分かりやすく説明されています。

2017-2018シーズン、ワクチンは安定供給されてきたが、希望者はお早めに……。

毎年、「供給量が足りるか?」で心配されるインフルエンザワクチンですが、今年もまた例外ではありません。

今年のワクチンの製造量は2,528万本。昨年実際に使用したワクチン量の2,642万本よりも114万本少ない見込みになっています。

そのため厚生労働省では、「65歳以上の高齢者や60 歳以上 65 歳未満で心臓や腎臓、呼吸器、免疫系の持病がある方がワクチンを受けられるように配慮すること」や、「13歳以上は1回接種を徹底すること」など、ワクチンの効率的な使用を呼びかけています。

実際、例年予防接種の受付が始まる10月・11月は供給量も少なく、予約制限を行っていた病院も多くありました。しかし、12月に入り、少しずつワクチンが安定供給され始めました。
そのことを受け、一部の自治体では高齢者のインフルエンザ予防接種費用の助成を1月31日までの接種に延長する動きも見られました。

また、予防接種を打ったからといって、すぐに抗体が作られるわけではありません。
インフルエンザの予防接種を行い、抗体ができるまで、早くとも約2週間かかるとされています。

なお、ワクチンの入荷状況は医療機関によって異なりますので、今シーズンのワクチン接種をお考えの方は、早めにかかりつけの医療機関に確認することをおすすめします。

(参考)厚生労働省 季節性インフルエンザワクチンの供給について

4.新型インフルエンザ、出現の可能性は?

毎年、流行する「季節性インフルエンザ」に対し、まだ誰もかかったことのないAの亜型のインフルエンザが鳥や豚などの他の動物から感染して増殖し、効率よくヒトからヒトへの感染するようになったものを「新型インフルエンザ」と言います。

≪20世紀以降、パンデミックを起こしたインフルエンザウイルス≫

流行名 時期 ウイルス名 致死率 死亡者数
スペインかぜ 1918~1919 H1N1亜型 2% 約4,000万人
アジアかぜ 1957~1958 H2N2亜型 0.5% 約200万人
香港かぜ 1968~1969 H3N2亜型 0.1% 約100万人
2009 H1N1亜型 0.1% 約2万人

新型インフルエンザの怖さは、季節性インフルエンザとは違い、いつ始まるかが分からず、毒性の強さも分からないということ

もちろん、発生したばかりでは確立した治療法もなく、これまで使用されてきた治療薬もどの程度効果があるのかは未知数です。

ほとんどの人が新型ウイルスに対する免疫を持っていないため、急速に感染が拡大し、世界的な大流行になる事を「パンデミック」といい、私たちの生活のみならず、社会や国家経済にまで大きな影響を及ぼすと言われています。

最近では、2009年に「A型H1N1 pdm09」という型の新型インフルエンザ(豚由来のインフルエンザ)が登場し、日本国内でも2,000万人が罹ったと言われていますが、幸い弱毒型ウイルスであったため、呼吸器の症状が主で、抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)も効果がありました。

そして現在ではワクチンが開発され、季節性の流行が認められていることから、季節性インフルエンザの一つとして扱われるようになっています。

【体験談】2009年旦那さんが新型インフルエンザを発症。倦怠感、悪寒、関節痛

2009年の年明け、新型インフルエンザの流行が世の中で騒がれていた時でした。

旦那と2人で休日にショッピングモールへ買い物に出掛けていて、自宅に帰ってから旦那が急に体調不良を訴えてきました。
全身の倦怠感から激しい悪寒と節々の痛み、食欲もなくて熱を計ると38度を越えていました。
そして夜には痰が絡む激しい咳も出てきました。

祝日で近所に開いている病院も無かったし、三連休の初日だったので、残り2日間あるから安静にしていれば休み明けには治るだろうと言って、市販の風邪薬と栄養ドリンクを飲んで横になっていました。

しかし翌日も翌々日も熱は全然下がる気配はなく、咳もひどくなる一方でした。
あげく、マスクをして気をつけていたにも関わらず私にもうつってしまったようで全く同じ症状が出てきました。

結局、連休明けに病院へ行ったところ、夫婦揃って新型のインフルエンザの陽性反応がでました。

(引用)倦怠感、悪寒に節々の痛み。新型インフルエンザは脅威です。

鳥インフルエンザが新型インフルエンザになる可能性

現在、いくつかの鳥インフルエンザウイルス(H5N1、H7N9、H5N6)で、鳥からヒトへの感染が認められており、これらのウイルスが将来、新型インフルエンザになる可能性が危惧されています。(※ヒトからヒトへの持続的な感染はまだ確認されていません。)

遺伝子がいつ変異するかはもちろん分かりませんが、飛行機や電車など交通網が発達し、多くの人が自由に移動できるようになった現在、これらのウイルスが人の間で流行りだすと、急速に感染が拡大し、致死率もかなり高くなる事が考えられます。

特にH5N1は、これまでパンデミックを起こしてきたウイルスとは違い、まだ人類が経験したことのない強毒型のウイルス。

感染すると、ウイルスは血液を通して全身に運ばれ、多臓器不全を引き起こし、その致死率は5~15%に及ぶと予想されています。

そのためそれぞれの国では常に鳥インフルエンザの発生状況や動向に目を光らせており、万一の状況に備えて様々な対策を行っています。

日本では2012年に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が公布され、2013年から施行されており、抗インフルエンザ薬の備蓄や発生時に備えた行動計画などが考えられています。詳しくは以下のHPをご覧ください。

(参考)新型インフルエンザ等対策特別措置法
(参考)内閣官房 新型インフルエンザ等対策
(参考)厚生労働省健康局結核感染症課 新型インフルエンザ対策推進室 新型インフルエンザ対策について

予防のために私たちができること「手洗い・うがい」「咳エチケット」

未知のことだらけで、考えれば考えるほど怖くなってしまう新型インフルエンザ。

流行の兆しが現れたら食料の備蓄人との接触を避けるなど、やらなければならないことはたくさんありますが、今の段階で私たち個人が自分たちでできる事と言えば、やはり感染症予防の基本である「日頃からの手洗いやうがいを徹底」すること。そして周囲の人への「咳エチケット」も忘れてはいけません。

「なんだ、季節性のインフルエンザと同じじゃん!」と思われた方もいると思いますが、パンデミックはいつ起こるか予測がつかないもの。

結局は、季節性インフルエンザと同じように、日頃から基本の感染症予防対策をしっかりとすることが、いつか発生するかもしれない新型インフルエンザへの対策にもなるということを忘れないようにしましょう。

そのためにも、情報収集を怠らず、まずは体調を整え、今シーズンの季節性インフルエンザの予防対策からしっかりと進めていくことが大切です。

(参考)国立感染症研究所 高病原性鳥インフルエンザの発生状況
(参考)厚生労働省 鳥インフルエンザについて
(参考)厚生労働省 鳥インフルエンザに関するQ&A
(参考)国立感染所研究所インフルエンザウイルス研究センター長 田代 眞人「 鳥インフルエンザA(H7N9)感染症」
(参考)大幸薬品 新型インフルエンザの症状
※新型インフルエンザについて分かりやすく説明されています。

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