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2016年10月5日更新

精神的なストレスや内臓疾患も原因に!?腰痛を引き起こす4つの原因とは。

日本人の国民病とも言える「腰痛」。実はその8割以上が原因が特定できないということをご存知ですか?骨や筋肉によっておきる痛みの他にも、内臓疾患、神経、精神的なストレスまで、様々な要因が混ざり合って発症する腰痛の原因についてまとめました。
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1.腰痛は日本の「国民病」?国民の8割以上が1度は体験する「腰痛」

少し動いただけでも「ピキッ」と腰に感じるあの嫌な痛み…。「腰痛」は本当に不快なものです。

「国民の8割以上の人が一度は腰痛を経験する」と言うほど腰痛持ちの日本人は多く、まさに現代の国民病です。

二足歩行する人間にとって、常に重い頭や上半身を支えている腰(腰椎)は文字通り、体を支える要(かなめ)です。

脊柱とつながり、5つの骨のブロックからなる「腰椎」は、普段から大きな負担がかかるため故障を起こしやすく、一旦、痛みが出ると、ひどい時は歩行もままならなくなります。

横向き背骨図

(出典)疼痛.jp

※こちらのサイトは腰痛の原因、症状、治療法などについて詳しい情報が載っています。

一言で腰痛と言っても、重だるく痛みを感じるというものから、急性の激しい痛みを感じるもの、しびれを伴うものなど様々な症状があり、その原因も様々です。

(参考)『腰の痛み』全解説 数字で見る腰痛
※こちらのサイトでは腰痛に関する様々な情報、データや統計について詳しい情報が載っています。

2.腰痛の種類。急性腰痛と慢性腰痛

発症時は耐え難い痛みだったけど、1週間くらいでスッキリ治る腰痛。

そんなに強い痛みじゃないのに、何ヶ月もダラダラ続く腰痛。

腰痛には「急性腰痛」「慢性腰痛」の2種類があります。

腰の痛みが発生してから4週間以内に治るものは「急性腰痛」3ヶ月以上続くものは「慢性腰痛」に分類されます。
(※ちなみに4週間以上、3ヶ月未満の状態は「亜急性腰痛」と呼ばれています。)

「急性腰痛」の特徴は何といっても「突然おこる強烈な痛み」です。

いつ、腰痛が発症したかはっきりと自覚しやすく、しばらく安静にしていると少し和らいでくる場合が多いのも特徴です。

痛みが出た時は、焦らずにまずは静かなところで横になり、安静を保つことが大切です。

発症時は激痛であっても、1週間程度で徐々に痛みは和らぎ、9割は自然治癒します。

「慢性腰痛」の特徴は、「なんとなく痛い」「治ったと思ってもぶり返す」というようなダラダラ続く痛みです。

まれに急性腰痛が完治せず、慢性腰痛に移行する場合もあります。

急性とは違い、痛みがいつ始まったか特定できないことが多く、急性腰痛程の激しい痛みではないものの、いつ治るか分からない不快な鈍痛が続き、完治しにくい腰痛です。

(参考)『腰の痛み』全解説 痛む期間と痛みの大きさによる分類

3.8割以上が原因不明。はっきりと原因が分かる腰痛のほうが少ないという事実。

「腰が痛くなって整形外科を受診してレントゲンを受けたけれど、異常なしと言われた」ということはありませんか?

実は、腰痛の原因がはっきりしているものは全体の15%にすぎません。

検査をして原因がはっきり特定できる腰痛は「特異的腰痛」と呼ばれています。

特異的腰痛の中には、椎間板ヘルニアや圧迫骨折、脊柱管狭窄症などのように「腰椎に直接障害が起きるもの」と、「腰椎には障害がなくても消化器や泌尿器、婦人科系など別の疾患がもとで痛みを引き起こしているもの」の2種類があります。

残りの85%は、レントゲンやMRIなどの検査を行っても、骨や組織には特に異常が見つからず、はっきりとした原因が特定できない腰痛「非特異的腰痛」です。

(出典)日経ヘルス 慢性腰痛には安静より運動、腰痛治療の新常識

神経の障害の他にも生活習慣心因性のストレスなど、いくつもの要因が重なって発症していることが多く、原因を特定することが難しいのです。

痛みがあるのに原因が特定できないまま、とりあえず鎮痛剤やシップなどの対症療法で痛みをしのいでいる患者さんも少なくありません。

(参考)『腰の痛み』全解説 数字で見る腰痛

4.腰痛を引き起こす!主な4つの原因とは?

腰痛を引き起こす原因や痛みには様々あると書きましたが、その中でも大きく分けると以下の4つに分類できます。

骨や筋肉の障害による痛み

長年にわたって仕事や家事などで重いものを持つ、前かがみや中腰の姿勢をとるなど、腰椎に負担を与える動作を続けることで、徐々に骨が損傷し、痛みを引き起こす場合があります。

また、通常自然にS字にカーブしている脊柱が、姿勢の悪さなどがきっかけで、だんだんカーブが歪み、痛みがおこる場合もあります。

さらに、骨だけではなく「筋肉」が原因になる腰痛もあります。

急に腰をひねったり、曲げたりというような腰に負担のかかる動作を繰り返すことによって、腰の筋肉が疲労・損傷してしまうのです。

このように腰のケガ筋肉疲労関節などによっておきる痛みは「器質的な痛み」と言われます。

ある日、突然襲ってきて動けなくなる、代表的な急性腰痛である「ぎっくり腰」もこれにあたりますが、やはりレントゲンでは異常が見られないため「非特異的腰痛」と診断されます。

「長時間同じ姿勢をとらないようにする」「こまめに休憩をする」「物を持ち上げるときは突然動かず、必ず膝を曲げる」という具合に、普段の生活習慣を見直すことで軽減されることがあります。

神経の障害による痛み

私たちの身体は身体の中心、脊椎(背骨)の中に通っている脊髄(中枢神経)から全身に伸びる末梢神経によって脳からの指令を受け取っています。

通常であれば脊椎によって守られているこの末梢神経が、何らかの理由で圧迫されたり、潰れたりすると「神経痛」と言われる痛みが引き起こされることがあります。

皮膚の表面近くで感じる「ピリピリ」「チクチク」といった「神経痛」の感じ方には個人差があり、重い場合だと針で刺したような激痛になることもあります。

腰痛の原因となる「坐骨神経」は腰から足先にかけて通っている神経で、これが圧迫されることで腰の他、お尻や足先まで痛みしびれが広がることがあり、ひどくなると麻痺歩行障害を招くことがあります。

足のしびれ足に力が入らない歩けないなどの症状がある時は、なるべく早く整形外科を受診するようにしましょう。

内臓の病気による痛み

腎臓肝臓子宮などの病気の1つの症状として腰痛が出る場合があります。

病巣が腰の近くにまで広がってきて痛みが出る場合の他、周辺の臓器に障害が起こることで腰にまで痛みが響く場合(放散痛)や脳が別の場所で起きている痛みを勘違いしてしまい、腰に痛みが出る場合(関連痛)などがあります。

急な強い痛みを引き起こす内臓疾患には以下のようなものがあります。

  •  消化器系  胆石症
  • 泌尿器系  尿路結石
  • 婦人科系  子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頚管炎

内臓疾患が改善されないと腰痛も治らないため、基礎疾患の治療をしっかりとすることが重要になります。

【体験談】長い間続いた腰痛は子宮筋腫が神経を圧迫していた!子宮全摘で腰痛も完治。

書店での勤務をやめデスクワークをするようになってから腰痛が悪化。

その頃子宮筋腫の診断も受け、それも腰痛の原因の可能性があると言われました。

その後、子宮筋腫が悪化。全摘することになりました。

手術した先生によると、筋腫はかなり大きくなっており、背中側に貼りつくような形になっていたということ。

手術をしてからしばらくして、腰痛が全く起こらなくなったことに気づきました。

私の場合、腰痛の主な原因は、大きくなった子宮筋腫が背中側の神経を圧迫していることが主な原因だったようです。

女性の方で腰痛持ちの方は、整形外科で診察してもらうだけでなく、子宮などの病気も疑ったほうが良いと思います。

(引用)長年の疲労で悪化したと思っていた腰痛が子宮筋腫を摘出後に改善。

上記の方も、腰痛に長年苦しんでいらっしゃいましたが、手術で子宮筋腫を摘出したことで、腰の痛みも改善されました。

内科疾患による腰痛は全体の1%と確率は多くありませんが、安静にしていても痛みがなくならない場合や、痛みが長引く場合、腰痛以外にも発熱や痛み、だるさなど内科的な症状が続くような場合は、検査をしてみたほうが良いでしょう。

不安、抑うつなど心因性ストレスによる痛み

さらに、精神的なストレス腰痛を引き起こす原因ということをご存知でしょうか?

これは「心因性腰痛」と呼ばれ、ストレスが多い現代に急増している腰痛です。

ストレスが溜まることで自律神経が乱れ始めると、体内の血流も悪くなります。するとしだいに筋肉が緊張し、固くなって痛みを引き起こします。

最近の研究では「非特異的腰痛の6割程度は心理的要因が関係している」ということが分かってきました。

精神的なストレスが長く続くと、脳の痛みを抑制するシステムがうまく働かなくなります。

その結果、さらに痛みに敏感になったり、痛みがいつまでもなくならない「慢性化腰痛」につながることがあるので注意が必要です。

(参考)『腰の痛み』全解説 腰痛の主な原因 – 種類別の病名一覧

5.腰痛は「運動」「ストレス解消」「生活習慣」、トータルのケアが重要。

これまでご説明してきたように、腰痛を発症する原因はたくさんあり、これらの原因が1つではなく、複雑に合わさっていることが診断を難しくしているのがお分かりいただけたでしょうか?

腰痛悪循環

(出典)疼痛.jp

腰が痛いからといって体を動かさなくなってしまうと今度は精神的なストレスが溜まり、ますます痛みのことが頭から離れなくなるといった負のスパイラルに陥ってしまいます。

過度な安静は逆に症状を長引かせるので、痛みが落ち着いて来たら、無理のないように、生活の中から少しずつでも身体を動かしていくようにしましょう。

身体を動かす事で、気分のリフレッシュし、ストレスを減らす効果も期待できます。

特に原因不明の非特異的腰痛においては、「ずっと治らないのではないか?」「またなったらどうしよう」というような心理的な影響が症状の悪化につながることが分かっています。

好きな趣味に没頭する時間などを意識的に持つようにし、腰痛の痛みから意識をそらしてあげることで、ネガティブスパイラルから抜け出すことが出来ます。

また、痛みがなくなったとしても、癖になっている「悪い姿勢」や「動作」など腰に負担のかかる生活習慣を続けているままだと、再発ということにもなりかねません。

腰に負担がかかっている状況がないか、生活習慣を見直し、改善点を探してみましょう。

このように腰痛は身体的、心理的なケアから生活習慣までトータルにケアしていく事が大切です。

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