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2016年9月20日更新

小林麻央さんは遺伝性乳がん?アンジェリーナ・ジョリーも危惧した遺伝性乳がん(HOBC)について

小林麻央さんの病状が明らかとなり、乳がんについての世間の注目度が高まっています。遺伝性乳がん(HBOC)という乳がんは、遺伝子の影響で乳がんになりやすくなります。アンジェリーナ・ジョリー氏も乳房や卵巣の摘出手術へ踏み切りました。
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1. 小林麻央さんのブログ「KOKORO」で気になる一文が。乳がんって遺伝するの?

2016年9月1日に開設された、女性タレントで歌舞伎役者の市川海老蔵氏の梨園の妻である小林麻央さんが、20日、自身の生検の結果を発表しました。

生検とは?
「患部の組織の一部を,麻酔をしてからメスや針などで切り取って,顕微鏡などで調べる検査です。この検査によって,病気を正確に診断することができます。例えば,がんの診断の場合,まず,画像検査や内視鏡検査を行って,病気がどこにあり,どんな様子かを推定します。その結果,がんである疑いが強く出れば,患部の一部を切り取る検査をし,その場所や状態を推定します。この検査によって,診断を確定し,治療に進みます」

引用:生検-「病院の言葉」を分かりやすくする提案

その文中で、小林麻央さんの担当医の方から正式に癌であること。

さらに脇のリンパ節から肺や骨などに転移が確認されていることなどが明かされました。

また、がんであることを告げられたときの心境を語った中で、乳がんの原因であることを臭わすものがありました。

私が結婚をした頃に、
母が、乳癌を患っていたため、
治療に関する知識はある程度あった。

引用:15 告知日-KOKORO.小林麻央のオフィシャルブログ

小林麻央さんのお母様も麻央さんと同様に患っていらしたという乳がん、果たして因果関係はあるのでしょうか。

2. 遺伝性乳がん(HOBC)って?

遺伝性乳がんとは、乳がんになりやすくなる遺伝子が親から子に遺伝して起こる乳がんです。

「BRCA1遺伝子」と「BRCA2遺伝子」2つの遺伝子の変異が原因

乳がんや卵巣がんの発症と関係する2つの遺伝子が、近年乳がん患者の方達の家系から調査した末、発見されました。

それは「BRCA1遺伝子」と「BRCA2遺伝子」の2つの遺伝子です。

この誰でも持ち合わせている遺伝子の2つのうちどちらか片方でも変異を起こすと、乳がんが発症するリスクが高まるといわれています。

BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子の変異は女性の約0.2%、およそ500人に1人の割合で持っているとされています。

また、発症リスクの具体的な割合は、論文によって差はありますが、乳がんで約4割から8割、卵巣がんで1割から4割であるといわれています。

もちろん、これらの遺伝子の変異が確認されたからといって、必ず乳がんや卵巣がんを発症するというわけではありません。

しかし、リスクやその後の出産を考えた結果、乳房の切除、卵巣と卵管の摘出手術に踏み切った女優がいます。

映画「トゥーム・レイダー」や「マレフィセント」、「Mr.&Mrs.スミス」で主役を務めたハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー氏です。

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アンジェリーナ・ジョリー氏の決断

アンジェリーナ・ジョリー氏は2013年5月、検査の結果BRCA1に変異が確認されたため、乳房の切除を行ったと公表しました。

自身の母親を卵巣がんで56歳の若さで亡くしていたことも影響していたそうです。

さらに2年後の2015年3月には卵巣と卵管の切除を行ったと公表しています。

初期の卵巣がんの疑いがあると医師に告げられたことや、癌で亡くなった方の多い家系であることが理由であるといわれています。

アンジェリーナ・ジョリー氏は現在、その判断が功を奏したのか、女優業に留まらない活動を全世界で行っています。

この決断について、アンジェリーナ・ジョリー氏は手記にてとてもリーズナブルで合理的なことだったと記しています。

遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)のチェックリスト

乳がんや卵巣がんの癌細胞を観察しても、遺伝性によるがんかどうかは判断できません。

ですので、小林麻央さんの乳がんが遺伝性かどうかの判断は既に意味を成しません。

しかし、状況をチェックリストから判断することによって自身の遺伝性の乳がんがや卵巣がんのなりやすさが分かります。

NCCN腫瘍学臨床診療ガイドラインが制定したガイドラインから、いくつか抜粋します。

  • 50歳以下(若年発症)の乳がんであると診断を受けた(本人)
  • トリプルネガティヴ(抗がん剤、分子標的薬、ホルモン療法薬のいずれの治療も困難)乳がんであると診断を受けた(本人)
  • 2個以上(両側1つずつ、片方に複数)の原発性乳がんが発症した(本人)
  • 50歳以下で乳がんを発症した血縁者がいる
  • 乳がんや膵がんを発症した血縁者が2人以上いる
  • 卵巣がんを発症した血縁者がいる
  • 遺伝性の乳がんの原因遺伝子に変異が発見された血縁者がいる
  • 男性乳がんであると診断を受けた(本人)

これらのチェックは、「遺伝カウンセリング」といわれる医師との相談、問診の中で行われます。

HBOCに詳しい医師や専門家による評価が重要になります。

参照:遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト-株式会社ファルコバイオシステムズ

条件の中の「高リスク集団」として、アシュケナージ系ユダヤ人の家系であることとありますが、果たしてそこまで分かる日本人は何人いるのでしょうか?

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