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2016年9月13日更新

突然始まる認知症の介護生活。介護する家族が一番大変に思う事とは。

ご家族がアルツハイマー病などの認知症を発症され、介護をしている介護者の一番のストレスは、コミュニケーションが取れない、指示が守れないといった「生活障害」です。自治体などのサービスを利用して1人で抱え込まないとことが大切です。
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介護者は認知症によって引き起こされる「生活上の障害」に一番ストレスを感じている!

社会問題となりつつある認知症。高齢になるほど発症リスクが上がることは良く知られていますが、その介護の実情についてはあまり知られていないのではないでしょうか?

「記憶に障害が起きる病気で大変そう…」と想像することはできても、実際自分に降りかからない限り、医療のスペシャリストでない私たちは正確な対応方法を知らないのが実情です。

2011年に製薬会社が軽度~中等度の認知症の親を介護している方300名を対象に行った実態調査を行った結果、8割以上の介護者が認知症患者さんの「日常生活動作(ADL)の障害の進行に困っている」という結果が出ました。

日常生活動作(ADL)とは

ADL(Activities of Daily Living):食事や排泄、入浴や着脱衣など、日常生活を送る際に必要な基本的動作

(出典)小野薬品工業株式会社プレスリリース

調査結果によると、介護者の方にとって最も大変だと感じているのはトイレや入浴、服薬などの「日常の見守り」であり、コミュニケーションが取れない、指示が理解できないといったことで起こる「生活障害」が介護の大きな負担となっていることが分かります。

アルツハイマー型認知症、みんなの介護体験談

毎日の生活の中でおきる「生活障害」。介護する方々は常に「また何か起こるのでは?」という不安がつきまといます。

【体験談1】祖母の認知症。症状が進行しご飯の食べ方や歯ブラシの使い方が分からなく…。

一年後には、同居している孫の名前は全く忘れてしまいました。たぶん、家族ということも、よくわかっていなかったと思います。いらっしゃいと、ニコニコしながら、言っていました。

さらに、数年後には、ご飯の食べ方がわからなくなり、家の中で迷子になり、トイレの場所を何回も聞いてきたり、歯ブラシを渡しても、どのように使うものなのか、わからず、きょとんとしていました。

(出典)80代の祖母が認知症になり、家族で介護生活をしました。

【体験談2】認知症の兆候が見られた祖父。ある日、車を逆走させ交通事故に。

これは認知症なのではないかと思っていましたが、家族の中では言えない雰囲気がありました。
なぜか、家族は認知症を認めたがらずに祖父が変な事を言っても笑って冗談の様に流す事が多かったです。
しかし、ある時に祖父が車で事故を起こしてしまいました。

ニュース等でも話題の逆走というやつです。祖父がその逆走をしてしまっていたらしいです。
間一髪で対向車の方は避けてくれたらしいですが、車を擦ってしまったらしいです。
相手の方はカンカンに怒っていたらしいです。
ここは、認知症を認めざるを得ない状況になり、ついに病院に診察を受けました。

(出典)祖父が車で逆走して事故を起こす・・認知症はぜひ早期に病院へ

物忘れ症状などの記憶障害に加え、生活障害が進行すると、患者さん一人では自立した生活が送れなくなります。

【体験談1】の方のように薬の飲み方を守れない簡単な会話ができない、といった日常生活の介助をする上でうまくコミュニケーションが取れないことに毎日対応しなければならず、介護者は大きなストレスを抱えることになります。

症状が進行するにつれ、できない事、分からない事は増えていきます。それは同時に介護者の生活が更に振り回され、負担もますます重くなるということに他なりません。

さらに時には【体験談2】の方のように「交通ルール」などの常識的なことすら分からなくなり、社会的に重大な問題行動を起こしてしまう事もあります。

患者さんの性格や環境にもより様々で必ずしも起きることとは言えませんが、特に軽度から中等度にかけては患者さん自身もまだ病気を認められない場合も多く、介護者の方の精神的な負担は相当なものになります。

介護は長期戦。相談機関を利用して抱え込まないことが重要!

認知症の介護を経験された方のほとんどが「実際介護を行ってみて初めてその大変さが分かった」とおっしゃっています。

肉体的、精神的、経済的に負担が大きい認知症の介護を続けるには大変な努力が必要です。

これまで頼ってきたはずの愛する家族が起こすトラブルに、心が折れそうになったり、家族の役割を根底から覆されるケースも少なくありません。まずは、かかりつけの医師や市民センターの窓口に相談してみるのもよいでしょう。

家族や友人、近所などのネットワークを利用して協力を得たり、専門家の集まる以下のような相談機関を積極的に利用しましょう。

◆地域包括センター

介護の必要な高齢者を地域でサポートするための自治体の窓口。保健師や社会福祉士、ケアマネージャー、看護師などがそれぞれの分野の相談ができる。

◆福祉事務所

高齢者の福祉について相談できる。

◆保健所・保健センター

地域の保健所や保健センターでは住民の医療介護などの相談に乗ってくれる。

自治体によっては高齢者の認知症対策として勉強会講演会などイベントを企画しているところもあります。

◆家族の会

認知症を患っている家族が集まる家族の会「認知症の人と家族の会」という団体もあります。
認知症の介護をしている方、過去に認知症の介護をされた方などがメンバーとなっており、不安を話したり、介護のヒントなどの情報交換をしたり、これまでの経験を共有できる等のメリットがあります。

上記のような機関やサービスを上手く利用することが、長丁場の介護を続ける秘訣になります。

忘れてはいけないことは、「介護者の健康が一番大切」だということ。介護者の方が体調を崩してしまったら介護自体が立ち行かなくなります。

様々な機関や介護サービスをうまく利用して、意識的に介護をお休みする日を作り、リフレッシュすることを忘れないようにしましょう。

最期に認知症介護の参考になる書籍やDVDをご紹介します。ご興味のある方はぜひご覧下さい。

◆認知症患者さんの問題行動の介護やケアなど役立つ知恵や工夫などの実例集。
問題行動の理由を理解することで気持ちが楽になります!

認知症・アルツハイマー病 介護・ケアに役立つ実例集
認知症・アルツハイマー病 介護・ケアに役立つ実例集

◆介護の毎日を明るくつづった作品。楽しく介護の現実が良くわかるDVDです。

毎日がアルツハイマー [DVD]
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低周波機器の使用による物忘れの予防改善に関する調査

募集

物忘れの多い方を対象とした調査にご協力いただける患者様を募集します。



対象

60歳から75歳までの男女・物忘れが多い方

通院場所

相模原中央病院(神奈川県相模原市中央区)

調査の詳細を見る
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