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2016年9月13日更新

「アリセプト」と併用OK。攻撃性・徘徊も抑える認知症治療薬「メマリー」の効果・副作用

アルツハイマー型認知症の薬であるメマンチン(メマリー)は、「NMDA受容体拮抗薬」として記憶・学習機能の低下を守るだけでなく攻撃性・徘徊や・感情の不安定さも改善する効果も。中等度~高度に適応。「アリセプト」と併用可。使用方法や副作用の解説。
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1.記憶・学習能力の低下を抑える薬「NMDA受容体拮抗薬」とは?

「NMDA受容体拮抗薬」の作用機序・しくみ

2011年に国内認可承認された抗認知症薬であるメマリーは、「NMDA受容体拮抗薬」として、作用しています。

<アルツハイマー病で記憶障害が起こるまで>

  1. 脳内で異常なタンパク質が活発化し、記憶・学習に関わる神経伝達物質「グルタミン酸」が過剰放出される。
  2. 受け手の「NMDA受容体」も同様に活発化しているので、「カルシウムイオン」も過剰放出。
  3. 脳神経細胞の中に入り込んでしまう。
    →この過度な刺激で、神経細胞を壊す=記憶障害が起こる

NMDA受容体拮抗薬」は、この受け手である「NMDA受容体」に作用して、活発化しすぎる「NMDA受容体」を抑え、過剰なカルシウムイオンが神経細胞内への流入を防ぐことで、神経細胞が壊れていくのを防いで、記憶・学習機能の低下を守る薬です。

■他の認知症認可薬「アリセプト/レミニール/リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ」については、以下の記事で詳しく説明しています。
認知症の進行抑制薬「アリセプト/レミニール/リバスタッチ」の効果・副作用

2.メマンチン塩酸塩 (商品名:メマリー)の特長・使用方法・副作用

2011年に国内認可承認された抗認知症薬で、「NMDA受容体拮抗薬」として作用します。
中等度から高度のアルツハイマー型認知症の適応があります。

名称(商品名) アルツハイマー型認知症 適応 薬の形態 回数

(1日あたり)

軽度 中等度 重度
メマンチン塩酸塩(メマリー) 内服 1回

(参考)認知症薬の種類と特長|認知症ねっと
こちらのページでは、医師による認知症薬の概要について説明されています。

この薬も国内認可の他の抗認知症薬(アリセプト、レミニール、イクセロンパッチ、リバスタッチ)同様、海外では2000年過ぎから発売されていた薬のため、実はさほど「新薬」でもない経緯があります。

既存の抗認知症薬「アセチルコリン分解酵素阻害剤(「①アリセプト」、「②レミニール」、「③イクセロンパッチ/リバスタッチ」)」とは作用機序が異なるため、「アリセプト」など1種類と併用使用が可能です。

<初期アルツハイマー型認知症-薬物療法の流れ>

  1. ドネペジル(アリセプト)で治療スタート
  2. 症状が中等度以降に進行した場合、医師の指示の元でメマンチンメマリー)を併用

■メマリーの効果

イライラしてすぐ怒ったり、叩くなど攻撃性や徘徊・興奮したりする感情の不安定さを改善する効果

■メマリーの種類

  1. 口腔内崩壊錠(OD錠)……水なしでも飲める。
    嚥下機能低下の場合でも服用可能。
  2. 錠剤
    一般的な錠剤。飲み込む力が弱ってきている場合には、不向き。
  3. OD錠、錠剤ともに各3種類(5mg,10mg,20mg)。

■メマリーの使用方法・服用タイミング

<使用方法>

  1. 5mg(1日1回)からスタートして、身体に薬による神経伝達物質の変化に慣れさせ、副作用があるかどうかを確認。
  2. 服用開始から1週間毎に5mgずつ増量(1日1回)します。
  3. 4週間後に目標の維持量(最大20mg/日)にします。

※高度の腎障害がある場合、服用上限は1日10mgとなります。現在の持病だけでなく、既往症も必ず主治医に相談のこと!

<服用タイミング>

  • 飲む時間帯による血中濃度への影響は、小さい。

■メマリーの注意点・副作用

  • 気付いた時点で飲む。ただし、次の服用時間が近い場合、忘れた分は飲まずに、次の服用時間に1回分飲む。
    ※1度に2回分飲むのはNG!
  • めまい
    →服用開始初期や薬の増量後などに起こり易い。特に20mgだと副作用が、起こり易い。
    めまいが原因で、不意に転倒するなどに要注意。
  • 頭痛や日中傾眠、食欲不振、便秘、血圧上昇。
  • ごく稀に、けいれん・失神など起こる場合もあり。

必ず、服用開始後しばらくは様子観察をして、変化があった際には早めに医師に相談しましょう!

【みんなの体験談】中等度認知症、アリセプトとメマリーの併用服用1年。進行が抑えられ安堵。

もともと腎臓が悪くて、泌尿器科で、頻尿の薬をもらっていたんですが、その薬の副作用として、アルツハイマー型認知症の進行を早めてしまうことがあるらしく、うちの父親にも、その傾向が見られると言われました。
医療センターで、MRIを撮って検査してもらったところ、すでに脳が委縮していて、アルツハイマー型の認知症が始まっていると診断されてしまいました。

家族としては、かなりショックでしたが、まだ初期の症状でした。それで、薬で進行を抑えていく治療法を勧められたので、近くのかかりつけ医で、アリセプトをもらうことになりました。

そのようにして、アリセプトを飲み始めてから、3年ほどになった頃に、ケアマネージャーさんに、認知症専門の病院を紹介してもらい、またMRIを撮って診断してもらったところ、中等度にまですすんでいるといわれました。
それで、そこの先生の診断で、薬を二種類に増やして、併用して飲んでみるようにと言われたので、メマリーも、アリセプトと合わせて飲むことになりました。

このように、二種類を飲み始めて、今は一年ほどになりますが、先月検査をしてもらったところ、ほとんど去年と変わらず、認知症がひどくなっていなかったので、ほっとしました。

(引用):父がアルツハイマーと診断され、アリセプトとメマリーを処方

3.認知症の薬は、家族が管理!早期投与でより高い改善効果。

認知症に対する薬物療法の効果は、早い段階で始めれば、より高い改善効果があると言われています。

その効果を得るためには、きちんとお薬を飲むことが大事です。
飲み忘れや飲み過ぎの恐れなどがあるため、患者さん本人まかせではなく、ご家族など患者さんをサポートする方が、お薬を管理することが大切です。

また、薬物療法だけでなく、デイサービスなどを活用したり「非薬物療法」も併用して、患者さん本人だけでなく、サポートをするご家族にとっても、穏やかな生活を送れるようになることが望ましいですね。

(参考)認知症の薬|認知症ねっと
こちらのページでは、認知症の薬について、詳しく説明されています。
(参考)メマリー(メマンチン)の概要・効果・副作用まとめ|認知症ONLINE
こちらのページでは、メマリーについて、効果や副作用、薬価など詳しく説明されています。

低周波機器の使用による物忘れの予防改善に関する調査

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物忘れの多い方を対象とした調査にご協力いただける患者様を募集します。



対象

60歳から75歳までの男女・物忘れが多い方

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