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2016年9月8日更新

糖尿病は発症リスクが4倍に!アルツハイマー型認知症は食事で防ぐ。

生活習慣が深く関係しているアルツハイマー型認知症。Ⅱ型糖尿病を患っていると、アルツハイマー病の発症率が4倍になることが分かっています。食習慣を見直すことでアルツハイマー病を予防できる理由や方法をまとめました。
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Ⅱ型糖尿病の人の認知症発症率は健康な人の4倍に!

特効薬もなく、一度発症すると根治の難しいアルツハイマー病は、これまでも高血圧や糖尿病などの生活習慣病と深い関係があると言われてきました。

さらに近年の日本や欧米の研究により、食べ過ぎや偏食といった食習慣が原因で発症する「Ⅱ型糖尿病」の人はアルツハイマー病を発症する確率が4になる事が分かってきています。(※脳神経細胞の障害でおきる脳血管型認知症は2倍)

(参考)認知症ねっと 認知症と糖尿病の関連性
※こちらは認知症に関する様々な情報が掲載されているサイトです。

なぜ糖尿病だとリスクが上がるのか?

アルツハイマー型認知症の原因は脳内に「アミロイドβ」と言われる茶褐色の老廃物が溜まることです。

アミロイドβ自体は誰の脳にもできる物質で、正常であれば「インスリン分解酵素」によって分解され、いつまでも脳内に蓄積されることはありません。

「インスリン分解酵素」とは、身体の中の血糖値をコントロールするために分泌されるホルモン「インスリン」の働きを抑制するための酵素です。

通常、食事をすると上がる血糖値は、インスリンによって急上昇しないようにコントロールされていますが、そのままだと今度はインスリン過多になってしまうため、「インスリン分解酵素」によってインスリンは分解されるしくみになっています。

本来このインスリンを分解することが「インスリン分解酵素」のメインの役割ですが、さらに脳内のアミロイドβを分解する役目も併せて行っているのです。

しかし、高血糖の状態が続き、インスリン過多が続くとインスリン分解酵素もフル稼働してしまい、アミロイドβの分解まで手が回らなくなるため、老廃物となってそのまま脳に蓄積されることになってしまうのです。

(参考)糖尿病ネットワーク 糖尿病がアルツハイマー病の危険因子となるメカニズムを解明 九州大
※こちらのサイトには様々な糖尿病に関する詳しい情報が掲載されています。

「インスリン過多=認知症発症のリスク増」、こんな人が危ない。

Ⅱ型糖尿病とその予備軍の人はリスクが高くなります。

初期の糖尿病ではまだインスリンを分泌する膵臓も十分な機能を果たせます。糖尿病やその予備軍は血糖値が高くなっているのでインスリンの分泌も多くなります。

また肥満も注意が必要です。
太りすぎていると、身体についた脂肪からインスリンの働きを悪くする物質が出てくるため血糖値は落ちず、さらにインスリンが大量に使われるのです。

これらの理由から、糖尿病やその予備軍、肥満の方は認知症発症のリスクが高いと考えられていますが、逆の見方をすると、きちんと糖尿病の治療を行い、食事に気を付けることができれば、認知症の発症も半分程度に減らすことが出来るということになります。

血糖値を上げない食べ方を心がける。

まず、ごはんやパンなどの炭水化物やケーキやチョコレートなどの糖分の高いおやつは血糖値の急上昇を招くので、摂りすぎないように気を付けなければなりません。

特に「うどんとごはん」や「ラーメンとチャーハン」など炭水化物をダブルでとることは肥満につながるというだけでなく、脳にとっても良くないので避けましょう。

食べる順番も、血糖を急上昇させないために汁物や糖類の低い野菜から食べ始め、次に肉や魚などのたんぱく質、最後に炭水化物という順番で食べることがおすすめです。

また、「噛む」という動作も大切です。
最近は、固いものを避け、あまり噛まずに飲み込んでしまう方も多くなっていますが、噛むことは脳を活性化させます。一口に時間をかけて良く噛むことが大切です。

認知症の原因物質アミロイドβは、認知症発症の20年前くらいにはすでに溜まり始めています。

そのためにも中年(40歳)を過ぎたら、食事のとり方に気を付けることが、生活習慣病の予防のみならず、アルツハイマー病を予防するためにも大切なのです。

積極的に摂りたい食事、食品。油の取り方にも注意!

次に、どんな食品を積極的に摂ればよいのか考えてみたいと思います。

日本人におすすめの食材は、根菜などの野菜、魚や納豆、玄米や卵などです。

特に魚には脳の活性化に役立つDHA、EPAなどを含むオメガ3と言われる油が含まれています。

昔の日本人は魚を沢山食べていたので、オメガ3は十分足りていましたが、近頃の「食の欧米化」に伴い、オメガ3の摂取量は減ってきています。

また、最近話題のココナツオイルも脳の認知機能を上げる効果があります。

ココナツオイルの中に含まれる中鎖脂肪酸は肝臓でケトン体という物質に代わりますが、脳がそのケトン体を吸収し、認知機能が上がると考えられています。料理に使う他、コーヒーなどのドリンクに混ぜたり、積極的に取り入れてみると良いでしょう。

(参考)認知症最新ニュース 白澤先生インタビュー認知症は予防できる?
(参考)第17回日本認知症ケア学会大会での発表内容について 中鎖脂肪酸が認知症に与える改善効果の影響について検討
※日清オイリオグループ社が発表した中鎖脂肪酸の認知症に対する効果について詳しい情報が載っています。

クッキングのすすめ!自分で調理すれば脳の訓練にも。

これまでご説明してきたように、高血糖がなぜ認知症を招くのかお分かりいただけたでしょうか?

外食が続くとどうしても高血糖、高脂肪なメニューになってしまいます。外食ばかりが続かないように気を付けましょう。

高血糖になりにくい料理をご自分で研究し、調理をしてみることは、血糖を抑える食事が摂れるということに限らず、萎縮が始まった脳の機能を改善させるうえでも脳のトレーニングにも効果的です。

自分で買い物に行き、何をどれだけ買うか、どうやって調理するか、味付けはどうやるのかなど細かく考えなければならない料理はかなり脳を使うことが多く、また、楽しんで料理することは脳の刺激にもなるのです。

食に興味を持ち、認知症を改善させるためにもぜひ試してみることをおすすめします。

認知症と糖尿病の関係についてはこちらの情報もお読みください。(外部サイト)
NHK「ためしてガッテン~まさかコイツが原因!?アルツハイマー新予防」

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