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2016年9月8日更新

発症前から兆候を発見!認知症予備軍「軽度認知障害(MCI)」とは。

認知症発症の予備軍「軽度認知障害(MCI)」という言葉を聞いたことがありますか?生活には支障はないが「物忘れ」などが気になり始めた…。こんな症状はもしかしたらMCIかもしれません。早期の発見は認知症の予防に重要です。
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「脳の萎縮」は認知症発症の10年前から始まっている!

最近では症状の進行を考える時、認知症の3段階(軽度認知症、中等度認知症、高度認知症)の他に、認知症予備軍である「軽度認知障害(MCI)」も注目されるようになりました。

認知症というのは高齢になる事で徐々に始まると思われがちですが、実は発症の10年前からすでに「脳の萎縮」は始まっているということが分かっています。脳に溜まることによって発症の原因になる老廃物「アミロイドβ」に至っては20年前から溜まり始めていると言われています。

10年~20年前と言えばまだまだ現役で仕事をしている時。認知症を意識している人はあまりいないと思われますが、脳の中では徐々に変化がおきているのです。

※認知症の進行度合いを表す3つの段階については以下の記事で詳しく説明しています。
静かに進行する怖さ。アルツハイマー型認知症の進行度を表す「3つの段階」

(参考)MCIスクリーニング検査のすすめ
※認知症の早期発見のためのテスト(検査)について詳しく紹介されています。

軽度認知障害(MCI)とはどんな状態なのか?

軽度認知障害とは認知症には至っていないが兆候がある状態です。まだ通常の生活には支障をきたしてはいないものの、一部の認知機能に障害が見られ始めたような場合をさします。

加齢による正常な物忘れと認知症の中間ともいえる、グレーゾーンの軽度認知障害を放置してしまうと、半数の人が5年以内にアルツハイマー病や認知症を発症すると言われています。

軽度認知症(MCI)にみられる具体例は以下のようなものです。

  • 知っているはずの物や家族、知り合いの人の名前が分からなくなった。
  • 約束の日にちを忘れてしまったり、約束したこと自体を思い出せなくなる。
  • 最近起きた出来事を覚えていられない。

軽度認知障害だからと言って必ずしも認知症を発症するとは限りませんが、このような症状が現れ始めた時に、速やかに薬物療法の他、食事や睡眠、運動などの生活を見直すことで、認知症の発症を遅らせたり、予防することも可能と言われています。

【体験談】父の様子に異変を感じ、受診。認知テストは合格したが、本人の様子から軽度認知障害(MCI)と診断された。

父が最近、行先を間違えたり、夜中に血圧が180を超えたり、イライラして大声でどなっているため、おかしいと思い父のかかりつけの内科に母と一緒に付き添って診察をしてもらいに行きました。

また、好きなゴルフに誘われても行かなくなり、自宅に引きこもりがちであったため、体調が悪いのかなと不安に思っていました。

先生がいつ頃から父の様子がおかしいかと、最近、転倒して頭をうっていないかを聞いた後、長谷川式簡易知能テストを実施して、先生が3つの言葉(桜、猫、電車)を言って、後で聞きますと言って、別の質問をした後に、先ほどの3つの言葉(桜、猫、電車)は、何だったのかを聞いたのですが、猿などと全く違う言葉を答えてしまい、言葉の即時記銘が、父は低下している恐れがあることがわかりました。

先生は、父の自尊心を傷つけないように、もし父が許してくれるならば、最近、認知症予備軍の軽度認知障害が認知症発症につながるリスクが高いから、物忘れ外来を受けた方がいいと説明してくれました。

先生も降圧薬を処方していて、血圧まで上昇したりすることをおかしいと思い、24時間血圧測定検査や心筋シンチグラフィー、血液検査、心電図検査などを実施してくれたのですが、全く異常はないということで、薬の飲み忘れをしているかもしれないから、家族が父に薬を飲んだかを聞いてあげて下さいと言われました。

父は、物忘れ外来の受診を了承して、先生に紹介状を書いてもらい受診しましたが、今のところ、長谷川式簡易知能テストは合格点だけど、言葉の即時記銘力の衰えと父本人の病識の自覚がないから、軽度認知障害(MCI)で継続して通院することになりました。

認知症も軽度認知障害(MCI)も、早ければ早いほど進行を遅らせることは可能なので、家族が普段の状態変化に気がつくことが重要と言っていました。

ちなみに、65歳以上の4人に1人が軽度認知障害(MCI)の疑いがあるそうです。

(出典)国も注目、認知症予備軍、軽度認知障害(MCI)でした。

上記の体験談にもあるように、認知症の判定テストでは合格をしているけれど、記憶障害などが起き始めている時は、患者さん本人も、家族も病気であるかどうかを判断するのは困難です。

このような場合は「認知症外来」「物忘れ外来」などの専門科を受診し、認知症の発症を防ぐためにも進行が進んでいないか専門家である医師とともに経過観察を続けることが大切です。

※体験談にあった「長谷川式簡易知能テスト」は以下のページで受けることができます。
長谷川式認知症・MCIテスト | 認知症ねっと

長谷川式認知症・MCIテスト(抜粋)
長谷川式認知症・MCIテスト(抜粋)

早期受診で認知症発症前に兆候を察知し、認知症を予防しよう!

今や、認知症やその予備軍、軽度認知症の人を含めると、65歳の4人に1人が認知症であると言われており、さらに今後10年で患者数は今の1.5倍になると予想されています。

これまでの患者さんは軽度認知症の終わりから中等度で認知症を疑い、医療機関を受診するケースが多く見られました。

最近、MCIが注目されてきているのは、さらに早い段階で病気の兆候を察知し、芽を摘むことができると期待されているからです。

早期の発症を見落とさないためにも、少しでも疑わしい症状が見られる時は、医療機関を受診して専門医に相談してみるようにしましょう。

(参考)厚生労働省 認知症施策の現状について

低周波機器の使用による物忘れの予防改善に関する調査

募集

物忘れの多い方を対象とした調査にご協力いただける患者様を募集します。



対象

60歳から75歳までの男女・物忘れが多い方

通院場所

相模原中央病院(神奈川県相模原市中央区)

調査の詳細を見る
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