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2016年9月5日更新

あなたの病気に狙いを決めて、感染経路ブロック!接触、空気、飛沫、昆虫など感染症の感染経路は様々

感染が確認されたと言われても、その経路は病気可能性をもった微生物の特徴により多種多様です。麻疹(はしか)ならば空気感染、インフルエンザならば飛沫感染と、感染の仕組みを理解することで、予防方法や感染範囲が見えてきます。
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1. はしかの流行から考える感染経路の把握の重要性

先月8月31日に発生した関西国際空港での麻疹(はしか)の感染は、9月2日には30人を超える感染者が見つかり、まだまだ油断できない状況です。

過去、日本でもはしかの他に様々な感染が話題となりました。

インフルエンザやノロウィルス、O157やデング熱、これらのウィルスは一体どのように広がって、私たちに感染するのでしょうか。

病原体やウィルスによってその経路は様々です。中には複数の感染経路をもつ強力なものもあるので注意と対策が欠かせません。

2. 病気がたどる様々な感染経路。さながらあなたは新宿駅

接触感染

接触感染は、直接接触感染と間接接触感染に細かく分類できます。

直接接触感染

微生物が、汚染物や汚染した人を介さず、感染した人から他の人に直接広まってしまうことで、感染が成立します。

患者の血液や体液が、粘膜や皮膚の傷を通って体内に入り込んでしまったり、手袋をつけずに患者の皮膚に触れたときに、ダニがそのまま伝播してしまうことなどが、考えられる直接接触感染の一例です。
また、ゾンビに噛まれて感染する場合は直接接触感染での感染でしょう。

間接接触感染

微生物の移動が汚染した人や物を介することで、感染が成立します。

身近なものでは、ドアノブや手すりについた病原体に触れてしまい感染してしまうことが考えられます。

また、医療の場面では、医療従事者の手や、内視鏡や注射器といった医療器具の消毒が不完全だった場合に、間接接触感染が成立してしまう可能性が高いです。

代表的な症状は、皮膚や目の病気、性感染症、MRSAなどの薬剤耐性菌の感染、破傷風狂犬病があります。

飛沫(ひまつ)感染

患者が咳やくしゃみなどをしたときに、微生物を含む飛沫が空気中を移動し、結膜や鼻の粘膜、口腔に到達して感染が成立します。

飛沫感染は接触感染の一つの形式とも言われているため、飛沫感染によって広まる微生物は、接触感染でも広まる可能性があります。

飛沫感染の飛沫の大きさは、直径5μm以上の粒子であると定められています。1μm(1マイクロメートル)は1㎜(1ミリメートル)の1000分の1です。以前は1ミクロンとも呼ばれていました。

しかし、この5㎛サイズは肺結核の病因である結核菌をモデルにしたもので、これより大きい微生物も空気中に浮遊する可能性があります。

飛沫の落下速度は、秒速30㎝~80㎝とされており、放物線を描きながら落下していきます。

また、飛沫感染の危険域は、一般的に3フィート(約1m)と言われていますが、2m以上に到達する可能性も捨てきれません。

ですので、マスクをつける基準は患者からの距離ではなく、患者のいる部屋に入るときなどにした方が良いでしょう。

代表的な症状は、インフルエンザなどのウィルス感染症や細菌性肺炎、です。また、SARSの原因となったコロナウィルスも飛沫感染が主体であると考えられています。

ヘルパンギーナを発症する原因とされるエンテロウイルス群の中でも主にコクサッキーA群ウイルスも飛沫感染が主な感染経路です。

ヘルパンギーナについて詳しい症状や感染経路、注意点についてこちらの記事を参照して下さい。

臨月妊婦さんは注意!赤ちゃんへの影響は?妊娠・授乳中のヘルパンギーナ感染。薬・食事・予防法

空気感染(飛沫核感染)

空気感染は、長時間かつ長距離空気中を漂っても感染性を維持できる微生物が、吸入可能なサイズの飛沫核や小粒子になって拡散されることで引き起こされます。

空気の流れによって遠距離まで拡散されるため、感染者と顔を合わせていなくても感染する恐れがあります。

飛沫に含まれる感染可能性のある微生物を飛沫核といい、飛沫が蒸発して微生物がむき出しになったまま空気中を漂って感染するので、飛沫核感染ともいわれます。

飛沫核の大きさは直径5㎛以下なので、なかなか落下せずに、空気の流れの影響を大きく受けます。

換気による予防が一般的ですが、微生物も無限に漂い続けるわけではありません。

注意しなければいけないのは、病室やエレベーターなどの限定された空間ですが、その場合飛沫感染による感染か、空気感染による感染の断定は困難です。

また、バスの車内や飛行機の機内など空間の規模によっても感染のリスクは変化しますが、広さと感染リスクの具体的なデータは示されていません。
ですので、確実な予防法は、限定された空間内は注意することに尽きるでしょう。

代表的な症状は、結核麻疹(はしか)水痘(みずぼうそう)です。また、おたふく風邪の原因でもあるムンプスウィルスも当てはまります。

おたふく風邪について詳しい症状や感染経路、注意点についてはこちらの記事を参照して下さい。

2016年夏大流行!感染力が強い「おたふく風邪」の症状・経過・感染経路

経口感染

感染動物由来の肉や、糞便で汚染された水などを介して感染が引き起こされます。
食肉による感染の代表的な症状は、BSEが挙げられます。
また汚染された水を介する代表的な症状はO157腸チフスサルモネラ赤痢プール熱などです。
浄水技術が日本より発達していない海外の地域に行くときなどは水に注意が必要です。

プール熱として有名な咽頭結膜熱は、アデノウィルスによって引き起こされますが、プール熱の名の通り、塩素消毒の不十分なプールでも感染しますが、接触感染や飛沫感染でも感染可能性のある病気です。

プール熱について詳しい症状や感染経路、注意点についてはこちらの記事を参照して下さい。

プール熱(咽頭結膜熱)の感染力の強さに注意!その原因、症状、治療法は?

昆虫媒介感染(ベクター感染)

主に昆虫などの節足動物が媒介となって伝播することで、感染が成立するケースです。
病原体が動物の中で育成され、増殖して感染に至る場合と、単に身体の表面に付着した場合が考えられます。
代表的な動物と症状は、蚊による日本脳炎マラリアデング熱、ネズミによるペスト、ハエによるO157赤痢菌鳥インフルエンザなどが挙げられます。
ペットを飼っている方には、蚊によるフィラリアや、シラミは聞いたことがあると思います。

母子感染(垂直感染)

親から直接子供に伝播される感染の形式です。
感染経路を時系列で整理した場合、垂直感染と呼ばれることがあります。なお、反対語は同時代に感染する水平感染です。

母体から子供に感染する場合、三つのケースが考えられます。
一つ目の胎内感染は、胎盤を通る血液を通して感染します。代表的な症状は、HIVや風疹ウィルスです。麻疹(はしか)も感染するおそれがあります。
風疹ウィルスによる妊婦さんへの影響については以下の記事を参照して下さい。
妊婦さんが麻疹(はしか)にかかるととてもまずい件

二つ目の産道感染は、出産時の出血や皮膚にできた傷を介して感染します。代表的な症状は、B型肝炎やHIVウィルスです。
B型肝炎の感染については、以下の記事を参照して下さい。
本田宗一郎や藤子F不二雄も発症した「肝不全」いったい肝臓に何が起こった?

三つ目の母乳感染は、感染者である母親が、赤ちゃんに母乳を与えた場合に感染します。代表的な症状は、HIVや成人T細胞白血病の原因とされるHTLV-Iです。

3. 感染経路を理解する重要性と、感染源を絶つ更なる必要性

感染経路を理解することで、感染を引き起こした病原体を突き止めて、感染源をはっきりさせることが出来るようになります。

しかし、何より大切なのは割り出した感染経路を一つ一つ精査することではなく、元から絶っていくことです。そうすることで、感染の拡大が防いでいけることを忘れてはいけません。

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